● 「ねえ、やっぱりやめませんか?」 「なに言ってるッスか! ここまで来てそりゃナシッスよ!」 「うう」 ええと、何と言いますか。 ばかばかしい話ですが。 私達、肝試し中です。 「でもですね? これって一応不法侵入って言うか」 「不法どんとこいッス! 苦節15年の生き様、その原体験を担った学び舎に最期の別れをしようというこの男気に水を差すのが不法と言うならあっちは外道ッスよ!」 「ただの15歳風情で何を言いますかあなたは」 あとあなたは女の子ですからね? 親に泣かれる子にだけは育って欲しくないものです。 「大体、この校舎に別れを告げようと言うなら昼間に寄ればいいでしょうに」 「……人はまだ見ぬ未来に向かって突き進む好奇心をもって進化してきたと言うッスし」 原体験は迷子のようす。 辺りを見回すと、やはりオンボロ。朽ち方も半端じゃありません。よくもまあ私達、こんなところに6年間も通ったものです。 で、話を戻すと肝試しです。 「それで? 取り壊しも決まった校舎にわざわざ忍び込む気持ちは判らないでもありませんが、なにゆえ肝試しですか。学びのやしろに微塵の敬意も感じられないのですがその辺」 「それを言われるとまったくもって返す言葉もないんスけど……」 「と言うことは悪いことをしているという自覚はあるのですね」 逆にびっくりです。 「ではなぜこんなことを?」 「……あいちゃん、覚えてるッスか?」 「何をですかまいちゃん。主語を抜かすのは女子高生と中年男性にありがちな悪癖ですよ?」 「ひど! てかあいちゃんだって若い女性じゃないッスか! ああでも、その落ち着き具合は中年男?」 「まあ失敬な」 私はあなたのようになるまいと考えて生きてきただけですよ。 「まったく一卵性双生児なのにどうしてこうも似てないッスかね」 「いえ、けっこう似てると思いますよ」 主に向こう見ずなところとか。 おっと、話が逸れていますね。 「それで、何を覚えているかとおっしゃる?」 「七不思議ッスよ、七不思議!」 「はて」 そんなものがこの学校にあるとは。 「あったんスって、七不思議」 「ああ、思い出しました」 その当時、人が数人行方不明になったとか、そういう“うわさ”が流行したんでしたっけ。 それが7つあったかどうかなど、そこのところ興味の薄かった私は忘れていたのでしょう。きっと。 なにひとつ、どんな事件があったかなどと覚えていないのですけれども。 「……で? それと今日の肝試しにどんな関係が? まさか取り潰される前に噂の真偽を確かめようって腹じゃあ」 「今日は一段と暑いッスねえ。肝試し日和!」 「ああ、処置なしですねえ」 我が妹(その差1分30秒)ながら、どーしてこうアホな子に育ってしまったのでしょう。 一段と強い風が、立て付けの悪くなった窓枠を掴んでがたがたと揺らします。 かなり雰囲気出てますねえ。 「もう、ここまで付き合ってしまったからには私も同罪です。さっさと行ってさっさと済ませましょ?」 「…………」 「まいちゃん?」 「なななんスか?!」 「あなたまさか、もう」 「ビビビビッてなんかないッスよ?!」 電波受信中? 「はいはい、姉に隠しだて出来ると思わないことです」 「ああもうそッスよねえ! じゃあやっぱぶちまけるッスけどこわいッス!」 「じゃあ帰りましょうよ」 「でも噂の真相を確かめぬままには!!」 「難儀ですねえあなたって人は」 それはまた、私も同じなのですが。 彼女は権力などさらさら怖くないのですが、非実在的存在に対しては極めて弱い傾向にあり。 私は私でたかだか足がない程度で驚いたりもしませんが、社会的地位を脅かされるのはいやなのです。 やっぱり似てますね。さすが双子。やったね。 「じゃあどうするんです? 夏休み、終わるまでには施工が始まるっていうのに」 「……うう。でもでも、あいちゃん一人だといまいち頼りにならないと言うか」 「まあ失敬な」 なるほど、要は前後左右のどこかに人がいないと怖いってことでしょう。 後ろから引っ張られるとか、隣から手を掴まれるとか。 怪談の定番ですものね、そういうの。 「じゃあどうするんです? 一旦帰る?」 「いやいや……でも……うう」 「そんなにけったいな逡巡をするくらいなら手を引けば良いですのに」 「そうは行かぬ!」 「難儀ですねえあなたって人は」 うーん、どうしろと。 ……ああ、なるほど。要は人がいればいいんですよね。 「では、今日は一旦出直して改めて人を呼びましょ?」 「それはいいッスけど……人のアテはあるんスか?」 「あのねえまいちゃん、私達は何ですか?」 「そりゃ……その、姉妹で同級生って以外の話なら……リベリスタッスよ」 「ご名答」 そう、私達はリベリスタ。 つまり、私達には幽霊騒ぎという、一般人間社会なら胡乱な目で見られる(そうでなくとも対処などままならない)事件に対して明確な実効力を伴った対応が出来るのです。 「エリューションのうわさとしてかこつけてしまいましょ。実際失踪騒ぎも当時はあったのですし、こういう“場”を対処もないまま取り壊しにかかるのにも、問題はありますしね。十分大義名分にはなります」 「おおっ、さすがはあいちゃん! かしこいッスね!」 「あなたが脳みそきんにくなだけなんですよ、まいちゃん」 責任は全部あなたになすりつけますしね。 とはいえ。 そこのところ、私が不安なのは、今日この日の風景がアークの万華鏡に映し出されてしまわないかというところなんですよね。 不法侵入はやっぱり叱られると思います。 「……もしこれ見てらしたら、私は巻き込まれただけです。悪いのは全部まいちゃんです。そこのところ、宜しくお願いします」 「何してるッスか? あいちゃん」 「ナイショです。……許してくださいね」 ● 「許しません」 『天照』神宮・てる(ID:nBNE000231)のこめかみに青筋。 今もって笑顔なのが余計に怖かった。 「ですが、そういうわけなので。申し訳ありません、皆様。彼女の言うとおり、確実にエリューションの仕業と言うのではありませんが……報告を受けて調査をしたところ、近辺に小規模ですが、D・ホールが発見されました。そこへ来て、彼女らの言う過去の失踪事件……無視をすることも出来ません 学校の七不思議と言うのは、良く扱われる題材です。都市伝説、現代の妖怪奇譚……実際にエリューションやアーティファクトが関わっているとすれば、水面に新たな一石を投じるが如き波紋を生み出すことになるでしょう」 そう言うと、てるは銅鏡を胸の前に捧げ持つ。目を閉じると、僅かに微笑んだ。 「此度感じるものは、うわさ――想い――人の業。皆様の道行きに、幸あらんことを」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕陽 紅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月31日(火)23:17 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 『ライトニング・フェミニーヌ』大御堂 彩花(ID:BNE000609)が俯きがちになって資料をめくる。汗が滴りそうになるのでハンカチで軽く押さえると、ふう、と一息入れて顔を上げた。 何と言っても、暑い。申し訳程度に扇風機の音が聞こえる。とはいえ、昔ながらの民家というのはエアコンの恩恵に預かれない反面風通しは極めて良く、思ったより不快ではない。 過去の事件。アークにあった資料は役に立つと言えば立つし、立たないといえば立たなかった。こういう事案というのは、細部こそ違えどよく起こるものだ。そしてそれにも関わらず、大本の原因は笑えるほどにバリエーションに富んでいる。 人の想念、かくも恐るべしと言うべきか。厳密な神秘の定義などなくとも、ほんの少しの刺激でそれは爆発的に増殖して現実を塗り潰す。 『水底乃蒼石』汐崎・沙希(ID:BNE001579)の資料をまさぐる手と触れ合った。ぺたぺたとした感触がする。まぶしい日差し。ミンミンゼミの合唱のシャワー。山間部の夏、かくあるべし。 横に人の気配が現れる。腰の曲がった老婆が器用に片手で持ってきたお盆にはグラスが載っていて、もう片手にはやかんがあった。 「そんな根さぁ詰めんと、ちぃと休み入れたらどうかねぇ?」 「そんな、お茶まで……いえ、ありがとう御座います」 彩花が頭を下げると、ええてええて、と手を振る。 それを見やりながら『ヴァイオレット・クラウン』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(ID:BNE002939)が溜め息を吐いた。 「しかし……何だろう。違和感があるわね」 彼女はじめ図書館や学校の資料を調べようとする者は多かったのだが、村とでも言うべき場所に図書館など上等なモノも無く、また取り壊し間近の学校の資料など既に移設された後だった。 とはいえ、そういった資料が無いのかと言えばそうではなく。どうやらこの村において、そういった資料は名士の家系の本家に蓄積されているようだ。 そういうものを見せてくれるようにと言うと、老婆は快く受け入れてくれた。どうやら廃校の運びとなったことを知った卒業生達がひっきりなしにたずねてくるようだ。それにしても、少しガードが甘すぎるような気もする。 しかし、だからこそ見えるものもある。 失踪事件の記録は、この閑散とした村にとって致命的と言える程度には多い。だからこそ、廃校のはこびとなったのだろう。 一方で…… 「見て、これ」 「どしたのでー?」 テテロ ミミルノ(ID:BNE003881)が覗き込む。烏頭森が広げたのは事件の起きた日の新聞と、その後一月から二月にかけての学級新聞。 「何も書いてない。書かれていないのよ。何かが確実にあったはずなのに。それは絶対。なのに、子供の口に戸が立てられていたのか、それとも……」 『他に、資料はないのですか?』 沙希の筆談に、眼をすぼめて近付けて読んでから、はあて、と老婆は首をかしげた。 「あったらまんだ学校の方だらぁなぁ。何せほれ古い学校だもんでぇ、まんず全部引き上げられてっかわがんねえがらなぁ」 小骨どころではなく、引っかかる違和感。 だと言うのに、明るみには出ない何か。 確かにそう、怪談と言うにはふさわしい。 「はいはーい、お招き頂きありがとうね」 「いやぁ、こちらこそ!」 『クロスイージスに似た何か』内薙・智夫(ID:BNE001581)の新聞記者への変装も果たして意味があったのかわからないほど、少女はあっけらかんとしていた。何というか、喋りたい気がまんまんとか、そんな感じ。いかにも依頼人である双子の級友らしい。家に上げて、そわそわとする。 そもそも、何を聞こうとしているのか。 新聞記者の話は、晴れて役目を終える学校の話へ移っている。 実際にそういう話があったと、そういう話を聞いたし、いくつかの例を教えてももらった。 だが、まだ足りない。彼女は、明言していないことがあるのだ。 「それで……」 『息抜きの合間に人生を』文珠四郎 寿々貴(ID:BNE003936)がわずかに身を乗り出して問うのは、そもそもの本題だ。むしろこの話題以外に意味などない。 「ああ、七不思議ねっ、ありましたありました! いや、あたしも全部覚えてるわけじゃないんですけどっ」 にも関わらず 「実際にいなくなった子とか、いたんだよね?」 「え? そりゃもう……ん?」 羽柴 双葉(ID:BNE003837)の問いに、少女がぴたりと動きを止めた。 未だに。 主だった事件のことははっきりと解説できたのにも関わらず。 「あれ? 居なくなったのは、えっと……だ、誰? え? あれ?」 智夫は、少女の表情に――その感情を読む技によって、ありありと、恐怖の感情を読み取っていた。 「噂には、なったのですよね?」 「確かに、そのはずなんですけど……」 雪白 万葉(ID:BNE000195)の問いに、頭をがりがり掻いて困惑する。見た目は凪いでいるが、その実今にも破裂しそうだ。智夫に促され、少女はぽつぽつと話し始める。 記憶に欠落があるのか。それともそもそも…… なるほど、エリューションという外法の関わるか否かに関わらず、確かにこれは怪談らしい。 ● 「そもそもおかしかったんですよ」 東屋あいの声は、やっぱりねーこんな気はしてたんだよねーと、そんな空気をふんわり含んでいた。万事こういうゆるさの少女は、人指し指を顔の横に立てる。 「私ならともかく、この面白いこと大好きまいちゃんが被害者のことに心当たりひとつ無いっていうのが」 時刻、草木も眠る丑三つ時。 場所、取り壊し寸前のボロ校舎。 一応これ不法侵入であるからして、確実に人の居ない時間を選んだのだ。視聴覚室跡から取り込まれる月の灯かりを頼りに広げた資料は、名士の家で借りてコピーを取らせて貰ったものと、友人や教師に行った聞き込み調査の成果。彩花の推理と沙希の記憶力。 その結果は様々だが、全員が共通して集めたものにはひとつの共通点があった。 ひとつ。 いくつかそれらしい怪談は聞けたものの、情報媒体による資料には何一つそれらのことが残っていなかったこと。 ひとつ。 行方不明者の資料は手元にあっても、その資料にある彼らのことは、関係者の記憶に何一つ残っていなかったこと。 まったくもって不明瞭。何といっても不鮮明。 といっても、ここまではっきり異常とわかった以上、仕事をせざるを得ないのがリベリスタという存在のさがである。 「さ、きりきり働いてちゃちゃっと帰りましょ?」 ちなみに、この話し合いの最中、東屋まいは暗さに怯えてずっと丸まっていた。 「そう言えばもう怪談の似合う季節だよね。まあ、革醒なんかしちゃってバンバン神秘に触れちゃってる身としては怖さも半減しちゃってるような……」 双葉の軽口。 「だって、笑っちゃうよ。七不思議どころじゃないんだもん」 あちらこちら、目をめぐらす。 3班に分かれて人が少なくなった分警戒は必要なのだ。 笑っちゃうよ、と言うのは。 あちらこちらの聞き込みの成果、掘り出された怪談が十かそこらはあったからだ。勿論共通するものや類似・派生したものは纏めて、それでもだ。 「そんなことないの! これ、これっ」 それが気に入らないのはミミルノだ。おばあさんから借りたらしい本を掲げて、ぴょんぴょんと飛ぶ。 郷土史とでも言うのか。そこにあったのは、過去の出来事だ。さる武将が逃げ延び、落ち武者狩りに遭ったとか。 「ここ、ここみてみて~。きっとこうていをさまようおちむしゃのれいはこのひとなのっ!!」 「僕も、何かしらあるとは思うよ」 智夫が指折り数える。 ピアノがなる。小人の姿。そういうファンシー。 「音楽室にお菓子を置いておくと、真夜中に妖精が出てきてピアノを弾いてくれる! ……とか。ダメかな?」 まとめあげて一つにしてみたが、どうも自分で自信がないらしい。ふいっと目を逸らしてしまった。 その目の端に、ふっと影が映った。 渡り廊下は今どき見かけない、屋根だけの造り。そこから見える校庭。月の光だけが照らすその地面に―― 「ででででで、でたのぉぉっぉぉっっ!?!!!」 ミミルノの絶叫が、木霊した。 「学校の七不思議といえば、七つの数合わせの適当な話が混ざっていたり、いつの間にか話が違うものに変わっていたりしますよね」 双葉と似ているようで違う考え。あちらが加算ならこちらは減算。彩花がぽつんと言う現実に即した考えに、寿々貴は肩を竦める。 「すずきさん的価値観として、怪談は怪談だから怪談なわけで。……わかるかい? エリューション事件は怪談じゃないんだ」 今日の事も怪談か、それに近いものであって欲しいなぁと思うのです。だって、暑い夏の夜に似合うのがどっちかって、明白じゃないかい? 浪漫とリアルという名の果てしない水掛け論。 「それはいいんですけどね、まずはこっちを片付けてからにしませんか?」 突き刺さるピンポイント。ぐにゃりと影に沈む。言いつつ、万葉も 「こういう校舎に夜忍び込むと歩けば歩くだけ廊下が伸びて何処にもたどり着けなくなる無限廊下なんて話もありますね」 ぐにゃりと潰れた饅頭のようになり、伸び上がった影に、彩花の正拳が突き刺さる。氷結したソレは海苔か何かのようだ。 あっさりと脆く崩れ落ちるそれを足でつついて、寿々貴が首を傾げる。 「強さはたいしたことないんだねえこれ。でも、一体何――」 言いかけたその顔に、すっと影が落ちた。 「の、呑まれたわね」 (丸呑み……) 烏頭森と沙希が呆然としている。やわらかくふるふると震えて、ふたつの影があいとまいを呑んでしまったのだ。厚みはすぐに無くなって、影は次にとこちらを狙っている。 携帯で写真を撮ると、味方に送信した。職員室の日誌に目を通す。ばらばら、瞬間記憶に高速演算。飛びかかってくる影を紙一重でかわす。 「溶かされたのかしら」 『そうは思えないわ』 烏頭森の問いに、沙希が答える。溶かしたのであればその分の質量はどこかにあるはずだが、厚みごと無くなったのを見ると液体と化したのではない。となると 「どこかに飛ばされた……?」 エネミースキャン。自身の知識を総動員して、隅から隅まで見て通して。 動きがいやに画一的だ。とすると、敵は個々の存在ではなく何かの意志に統一された存在……端末ということかも知れない。 あと少し、あと少し見られれば……そう思いつつも、敵は次第に数を増す。増えている? いやいや、他に手を回さなくてもよくなっているのだろう。つまり、これは 「――後ろっ!!」 搾り出すに張り上げた声が滅多に出さない沙希のそれだと気付くより前に、烏頭森の意識は真っ黒に染まっていました。 あー、あと少しだったのに。頭の隅に、そんな声。 ひとつ。ふたつ。みっつ。よっつ。 共通幻想。 人の抱く。 身体が痛い。 ばらばらに。 苦痛。 触れる痛み。 ならば、殻を。 まだ足りない。 意識の殻を被る。 そう。 それで良いのね。 決まりなのね。 ――それが、あなたたちの。 黒鎖が影を絡め取る。 双葉の葬送曲・黒がはじけると、それは黒い影と渾然一体となって重く重く動きを止めた。なにかが腐ったようなどろりと臭いを放つそれに、彩花が打ち下ろす軌道の拳を撃ち放つ。凍り付くと砕け散った。 視界をきらきらと輝く塵が舞う。そこで初めて、リベリスタ達は互いを庇いあうように背中を預けて立っていることに気付いた。 「れ、れ……れれー? ゆーれいさんは?」 「い、今はいないみたい」 ミミルノの問いに、智夫が頭を振る。彼らの居場所は先程までの校舎ではなく、校庭の中心だ。 一通りの調査は終わったところだったし、一人も欠けは無い。意味のわからない状況ではあるが、今更外に出されたところで何か実害があったわけではないのだが。 「あぁ……これ、もう」 ただ一人。 エネミースキャンで敵を見ていた烏頭森だけが、おぼろげに察していた。頭を振って眉を顰めている。 「恨むわよ、二人とも」 彼女だけは、何となく察していたのだ。 好奇心からの行動とはいえ、この調査によって……この小学校の怪異が、再びその息を吹き返してしまったと言う事を。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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