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超演劇・シンデレラオブカオス

●超演劇とは!
 脚本も監督もなく打合せも根回しもなくアドリブと言う名のぶち壊し合いでどこまでも高みに昇って行くカオスにして高尚な演劇スタイルのことである!

●シンデレラってあれだよね、コロニーと地球が宇宙戦争を始めるっていう……。
「皆さん、かつてのマスタープラトン争奪戦を覚えていますか。あの戦いの結果、小島の民は大きな混乱に巻き込まれました。様々なフィクサードによる乱戦。入り乱れるアーティファクトによるカオス。記憶や情報こそお片付けされているものの、彼らの心に残る不安やしこりはまだ消えていない……そう、思いませんか?」
 アイワ・ナビ子(nBNE000228)がいきなり真面目なこと言い出したので、一同は僅かな驚きと共に風邪薬の用意をした。
 頭に冷えピタ当てられつつも、ブレずに説明を続けるナビ子。
「人の心、それは繊細なものです。一度叩かれてしまうとその痛みを魂が忘れてくれない。いつまでも痛みに怯え、戸惑い、人によっては普通に笑うことすらできなくなっているでしょう」
 リベリスタ達がいよいよこいつヤバいんじゃないかと囁き合い、医者に連れて行くかいやそれとも病院をこっちに来させるかむしろ建てちゃうかみたいな話に発展し始める。
 そんな一同に、ナビ子は今日一番のドヤ顔を見せつけた。
「だがそんな時こそカオス! カオスですよ! ね、ね、シンデレラの台本がいまここに、あの、表紙だけあるんで! カオスな演劇やって愉快に洗い流そうじゃありませんか! ね、そうしよう、ね!? だって面白いから!」
 いつものナビ子だった。
 一同は心からの安堵と共に、優しくそして強かにナビ子を腹パンしたのだった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年07月31日(火)00:03
八重紅友禅でございます!
さあまた性懲りも無く始まりましたSTとプレイヤーの無茶振り合戦!
あなたはこのカオスに挑戦することができるのか!
そもそもカオスに挑戦とかそういう概念があるのか!
参加することに意義があるのか!
そもそもこんな演劇が成立するのか!
誰が責任をとるのか!
全てが分からぬまま、再びスーパー見切り発射でお送りする超演劇でございます!

●参加のしかた
プレイングの冒頭。最初の行に『役柄』を書いて下さい。
『シンデレラ』とか『魔法使い』とか『天下一舞踏会に参加して首位奪還を狙う局地戦用親指姫カスタム』とかです。
次に、このシナリオ内での行動を記入して下さい。
演出の仕方とか、舞台の幅とか、現実的なことは考える必要はありません。その辺セットや何かでどうとでもします。
こうして集まった無数の(荒唐無稽な)シナリオをまとめ上げ、最終的に得体の知れない闇鍋みたいなシナリオが完成する予定です。
ちなみに、出演者以外のスタッフは既に居るのでその辺はご注意ください。『監督』とか『小道具』とか書いても描写されないかもしれないゾ☆

以上、あなたの魂輝くプレイングをお待ちしております。
参加NPC
 


■メイン参加者 71人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
ホーリーメイガス
悠木 そあら(BNE000020)

神楽坂・斬乃(BNE000072)

霧島 俊介(BNE000082)
マグメイガス
アリス・ショコラ・ヴィクトリカ(BNE000128)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
ソードミラージュ
司馬 鷲祐(BNE000288)
スターサジタリー
エナーシア・ガトリング(BNE000422)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
マグメイガス
雲野 杏(BNE000582)
覇界闘士
鈴宮・慧架(BNE000666)
クロスイージス
白石 明奈(BNE000717)
スターサジタリー
リリ・シュヴァイヤー(BNE000742)
ナイトクリーク
アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)
ソードミラージュ
上沢 翔太(BNE000943)
インヤンマスター
焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)
インヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
ソードミラージュ
天風・亘(BNE001105)
ナイトクリーク
リル・リトル・リトル(BNE001146)
デュランダル
ランディ・益母(BNE001403)
★MVP
デュランダル
楠神 風斗(BNE001434)
覇界闘士
設楽 悠里(BNE001610)
ホーリーメイガス
ルーメリア・ブラン・リュミエール(BNE001611)
クロスイージス
雪城 紗夜(BNE001622)
マグメイガス
イーゼリット・イシュター(BNE001996)
デュランダル
イーリス・イシュター(BNE002051)
クロスイージス
カイ・ル・リース(BNE002059)
デュランダル
降魔 刃紅郎(BNE002093)
プロアデプト
銀咲 嶺(BNE002104)
スターサジタリー
立花・英美(BNE002207)
ソードミラージュ
安西 郷(BNE002360)
ホーリーメイガス
エリス・トワイニング(BNE002382)
プロアデプト
ロッテ・バックハウス(BNE002454)
覇界闘士
焔 優希(BNE002561)
ソードミラージュ
リ ザー ドマン(BNE002584)
マグメイガス
大魔王 グランヘイト(BNE002593)
デュランダル
羽柴 壱也(BNE002639)
ソードミラージュ
イセリア・イシュター(BNE002683)
ソードミラージュ
リンシード・フラックス(BNE002684)
クリミナルスタア
オー ク(BNE002740)
クリミナルスタア
烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)
デュランダル
有馬 守羅(BNE002974)
ナイトクリーク
宮部・香夏子(BNE003035)
ホーリーメイガス
ティアリア・フォン・シュッツヒェン(BNE003064)
プロアデプト
アーリィ・フラン・ベルジュ(BNE003082)
スターサジタリー
コ ボ ルト(BNE003091)
マグメイガス
リウビア・イルシオン(BNE003100)
ナイトクリーク
荒苦那・まお(BNE003202)
クロスイージス
鎧 盾(BNE003210)
クロスイージス
犬吠埼 守(BNE003268)
ホーリーメイガス
氷河・凛子(BNE003330)
クロスイージス
シビリズ・ジークベルト(BNE003364)
ダークナイト
神埼・礼子(BNE003458)
インヤンマスター
災原・悪紋(BNE003481)
ダークナイト
熾喜多 葬識(BNE003492)
ダークナイト
高橋 禅次郎(BNE003527)
ダークナイト
霧島・撫那(BNE003666)
プロアデプト
チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ(BNE003669)
ホーリーメイガス
石動 麻衣(BNE003692)
ソードミラージュ
セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)
レイザータクト
アルフォンソ・フェルナンテ(BNE003792)
レイザータクト
恋宮寺 ゐろは(BNE003809)
レイザータクト
ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)
マグメイガス
羽柴 双葉(BNE003837)
マグメイガス
シェリー・D・モーガン(BNE003862)
ナイトクリーク
月野木・晴(BNE003873)
レイザータクト
山田・光(BNE003898)
ソードミラージュ
鋼・輪(BNE003899)
クリミナルスタア
藤倉 隆明(BNE003933)
プロアデプト
ヤマ・ヤガ(BNE003943)
ホーリーメイガス
平等 愛(BNE003951)
   

●第一章 夢も魔法もあるんだよ
 昔々ある所に、とても大きなお屋敷がありました。
 そこには父と母と娘が暮らしていましたがなんやかんやあって継母と性悪姉とシンデレラという組み合わせに落ち着いたようです。
 そんなある日のこと、やはりなんやかんやあってお城の舞踏会に招かれたからどうのこうのって言ってシンデレラだけ置いて行かれました。
 そして……。
「夜だよ!」
「お月様です」
 山田光ことサーチライトに照らされ、頭をお月様にしたまおが吊るされてくる。
「ボーンボーン、ふとんがふっとんだー」
 シェリーの顔が突き出た柱時計がいつものように場を凍らせる。
「……フッ」
 コンビーフ缶からイセリアが生えたような生物が食欲を刺激する。
 いつも通りの夜でした。バケモンだらけやないかい。
「はあ……」
 そんな夜、シンデレラことイーゼリットは質素な部屋の中でため息をつきました。
「私はシンデレラ。年に二回だけ春日通りに行くの。姉さんは今日も合コン。酒臭さをまき散らして明日の朝には床で寝ているわ」
 イーゼリットの頭上にもわんもわんと回想が浮かび、姉役の撫那の顔が浮かびました。
 口を覆って斜め下を見つめる撫那。
『嘘っ、私の出番少なすぎ!』
 徐々に狭まるもわんもわんに力技で抵抗しつつも舞台端へボッシュートされていく。
 そこへ、一人の魔法使いが現れました。
「オレは魔法使い。不幸にあえぐシンデレラに幸福への道をさし示す者」
 ぬらりと剣を抜き、今日一番のシリアス顔をして見せる風斗。
 ちなみに二階の窓をガラっと開けて侵入しています。不法侵入です。
「シンデレラよ、オレが舞踏会へ連れて行ってや」
「行かないわよ?」
「えっ」
「王子とか興味ないし。タイツじゃないあんなの。今本を読んでるんだから邪魔しないで頂戴」
 と言って『俺の下で足掻け』と書かれた本に目を落とすイーゼリット。
 すると……。
「シンデレラの語源は灰である!」
 ラペリングからの窓破りで部屋に侵入してきた優希がどんぶりいっぱいの灰をイーゼリットにそぉいしました。
「ちょっ、何するのよ!」
「少女に灰を被せ精神を磨き上げるが我が定め!」
「その様子をナレーションすんのが俺のつとめ!」
 別方向の窓を蹴破って翔太が侵入。マイク片手にずさーっとガラス片だらけの床をスライディングしました。
 素早く剣を向ける風斗。
「何者だ、ことと次第によってはお前等を斬――」
「みんなホモにな~れっ☆」
 天井をけ破って落下してきた壱也が魔法のステッキをくるくるやって優希と翔太に粉的なものをかけたのでした。
「くっ、これは!?」
「気付いたみたいだね、それはホ(モ)レ薬……その名の通りの薬よ!」
「馬鹿な、優希が……輝いて……見え……る……」
 良い角度から山田ライトに照らされた優希を、うっとりと見つめる翔太。そこへ割り込む風斗。
「待ってくれ、実は俺も……!」
 優希を後ろから包むように抱くと、耳にかかる程の距離で熱く吐息を吐いた。
「風斗、お前っ」
「おい優希、どういうことなんだこれは!」
 掴みかかる翔太。ピアノ伴奏が緊迫した音楽を奏で始め、山田ライトがピンクフィルターで舞台を照らし、コンビーフイセリアがあのくるくるするヤツで缶を開けはじめ、それをつまみながら壱也とイーゼリットは『いいぞもっとやれー』と言ってコーラを注文する始末。そのコーラを持ってくるのがお月まおだから始末に負えない。
 場面は刻々と切り替わり、同時刻に放送される別番組へのチャンネル変更を阻むための濡場的サービスシーンや無意味な柱時計のギャグを挟み物語もついにクライマックス。三角関係の決着がつきかけた、その時の事でした。
「お姉ちゃんストーップ!」
 割り込んできた双葉がせいやーと言って停止ボタンを押しました。
「はっ、俺達は一体!?」
 ベットの上で互いのジーンズを同時に脱がし合うというマニアックなシーンに挑戦しようとしていた優希と昇太は、正気に戻って首を振りました。
「ちょっ、何するのよ! 今いい所だったのに!」
 そーよそーよと言って食いつくイーゼリットたちに首を振り、双葉は悲しげな眼差しで言いました。
「お姉ちゃん、こんなことはもうやめて。いくら腐女子層への需要が急増してるからってこんな方法で視聴率を稼いで何になるの……」
「見損なわないでっ、わたしは本気でやってるのよ! 本気で優希と翔太がくっつけばいいと思ってるわ!」
「それはそれでどうなの?」
 再び読書に戻ったイーゼリットを無視して会話を続ける羽柴姉妹。
「それを止めるのが妹の役目だよ、お姉ちゃん。それにね」
「……それに?」
「お客さんが来てるの」
「えっ」
 すっと道を開ける双葉。
 その後ろからは、借金関係と思しき資料を携えた紗夜が現れた。
「やあお久しぶり弦気にして多かな? ああ言わなくていいよ分かってる。今まで支払って貰わなかった対価を払ってもらうよ」
「借金取りだわ、逃げるわよ双葉!」
「えっ、お姉ちゃん何借りてたの!? 何を後回しにしていたの!?」
 窓から飛出して逃げていく羽柴姉妹。
「待てい貴様もシンデレラとなれぇ!」
 それを負って飛び出していく優希たち。
 最後の遺されたイーゼリットは、再び本へと視線を落としたのでした。

 一方その頃。
「ボクは『神~超絶的な宇宙的かつ開闢的かつ全てを包み込む愛を持ち合わせた可愛さと癒しを有するあなたの可愛いから遥かアンドロメダ星雲の可愛さまで完全に網羅しその可愛さから天使が勝手に讃美歌を歌い吐息を漏らしもっと高位の存在もボクを狙っていると言われている最大にして至高、最高にして唯一無二のカリスマ性を持ち合わせるオカマにして男の娘全ての男子(ショタおじさまおじいちゃんまで全てが守備範囲)を包み込む男色家な唯一神にして八百万の神々を何故か従える天上天下唯我独尊の人類史上最強のメシアにして完全究極体の可愛さの根源で絶対神更に『オカマーバー~愛~』の店長までこなしてしまうその名も愛~』なんだけど、君は?」
「俺は『シンデレラの父の親友の妹の叔父の昔の仲間の愛人のはとこの旦那の母の姪の息子の相棒の従兄弟の甥の嫁の義父の孫の弟の娘の姪の祖母の知人の従兄弟の宿敵の許婚の乳母の友人の幼馴染の親の仇の義母の父の上司の叔母の旧友の父の親友の妹の叔父の昔の仲間の愛人のはとこが少女時代を過ごした家の隣に最近越して来たおじいさんがくれた初めてのキャンディの味は甘くてクリーミィでこんな素晴らしいキャンディを貰える俺は特別で完璧で幸福な存在なのだと感じました。今では俺がヴェ○タースオリジナル。なぜなら幸福でいることは市民の義務だからです』だよ」
「そっかぁ、出番これで終わりだね!」
「文字数全部使い切ったからね!」
 あっはっはと言って肩を叩き合う愛と晴。
 そんな二人の間を割るようにして、大魔女グランヘイトが現れました。
「余は大魔女グランヘイトである。哀れな少女、灰かぶりのシンデレラよ。貴様等の浅ましい願いをかなえてやる。まずは坊主とインコと童貞を」
「どどどどうていちゃうわ!」
「DTを用意せよ。世は魔法でそれを馬車にしてやる。だが午前零時を過ぎれば貴様に呪いが降りかかるであろう。具体的には……死ぬ!」
 ドドーンという効果音。背後でビカビカと稲妻のように光る山田ライト。
 だがしかし。
「ボク、シンデレラじゃないよ。神だよ」
「俺もグレート他人なんだけど」
「あっ、シンデレラを超える愛らしさなのは認めるけどボクらほら、これでも男の子だから」
「「えっ……」」
 これからが出番だと思ってスタンバっていたインコと坊主と童貞は――。
「どどどどうていちゃうわ!」
 ――DTは、この先もう出番が無いことに気づいて愕然としたのでした。
 あとインコはブリッジ体勢のまま顔面蒼白になっていました。バケモンです。
 グランヘイトさんは額に二本指をあててゆっくり首を振る『やれやれだぜ』的な仕草をしつつ、暗黒溜息を吐きました。
「仕方あるまい。他の家をあたることにするか」
「おっと、ちょっと待ってもらおうか」
 グランヘイトの背後に音も無く現れる影。素早く暗黒魔法の杖を振り込むと、影はガシリと片手で掴んだのでした。
「何ッ……!?」
「オレは異端査問官トーマス。魔女を狩る使命を与えられた男」
 ドヤァって顔で竜一がフードを脱ぎます。
「ヒャーハハハハー! 貴様等全てを神の審議により罰してくれるわ!」
「来るがいい、魔女を狩ろうとこの世から闇が消えることはない!」
「ギルティイイイイイイ!!」
 グランヘイトの胸を深々と貫く銀のナイフ。
「ぐおおおおっ……光りある所に闇はある……心せよ人間ども、闇は常に、貴様等を見ている……ぞ」
 ゆっくりと倒れるグランヘイト。
 彼を満足げに見つめる竜一。
 そんな彼等を纏めてダンプで轢く郷。
「待たせたな! 愛の宅急便安西郷だ! どうしたお城に行きたいのかい? だったら俺のダンプに乗り……あれ?」
 シンデレラどころか、インコ(ブリッジ固定)と坊主と童貞――。
「どうていじゃねえって言ってんだろぶっ殺すぞ!」
 ――DTしかいません。
 ダンプから降りて呆然とする郷。坊主はぽんと彼の肩を叩くと、親指で飲み屋の方向を指し示しました。
 悲しげに微笑む郷。そして坊主とインコ(ブリッジ固定)とDTと運転手は、夜の繁華街へと消えて行ったのでした。

●第二章 アトランティストレジャー
 アトランティス大陸に封印されし黄金の鉄仮面を求め戦ったかつての戦士獅羅逝姫は舞踏会の知らせに電撃を受ける。
 彼は散り散りになった七人の使徒を集め、シンデレラ抹殺の為に動いた。
 立ちはだかる幾つもの罠。闇組織の刺客。政府の陰謀。美女の誘惑。飲んだくれた坊主。その先で見つけた最初の仲間は悠里と名乗る元桃太郎であった。彼は鬼ヶ島で鬼を討った功績により高く出世し将軍職に就いていた。
 彼の地位を借りることで残りの仲間を見つけることに成功。一人は道端でマッチョ売りをしていたアンジェリカ。黒いビキニパンツのマッチョたちを従え、第二の仲間かぐや姫を発見。ほどなくしてウサギを追いかけてきたという意味不明の供述をするアリスと合流。最後にゆーしゃを名乗るイーリスと出会ったが軽く見なかったことにして先を急いだ。
 ひたすらはいぱー馬です号の上で自己主張を続けるイーリスを無視し続け、彼らが出会ったのは一人の天使であった。
 天使ことフルメタル輪は虫はいないのかという意味不明な供述をしており、仕方ないのでアンジェリカのマッチョで担ぎ上げてえっさほいさと持ちだすことに。
 今回は異常に出番の少ないユーヌの木を素通りし、一同はついに幻の大陸アトランティスへと足を踏み入れたのだった。
 ここで発揮しなければ出番が無くなると察した嶺がかぐや姫EXにフォームチェンジ。しかし彼女はリリから放たれた凶弾に倒れる。
 それは赤ずきんを食べたお婆さんを追っていたリリによる、誤解と憎しみが生んだ悲劇であった。
 『全ては憎しみが生んだ悲劇である』
 カオス観測員エナーシアは、著書の最後にそう記し、この物語の最終項としたのだった。

 てってってー、てってっててー。
「あー今日も熱いですねー」
 チャイカはノートPCをぐりぐりぴこぴこしながら香夏子カレーをパクついていた。
 その様子をじっとカメラに収めるエリス。
「あれ、このカレー新鮮な味がしますよ!?」
「隠し味に、いちご大福を少々」
「アホですか!?」
 チャイカはスプーンをぶん投げると、カメラに向かってタブレットPCの画面を翳して見せた。
「はいでは今回の残念賞を紹介します。神楽坂斬乃さん、そして霧島俊介さん。以上のお二方は白紙により出番なしとなります。出発後に手紙やファンレターでプレを送ってもカウントできないのでご注意くださいとのことです。続いて雲野杏さん。ベルカちゃんぺろぺろだそうです、お便りありがとうございます。最後にこちら高橋禅次郎さんには『お前ほんとふざけんな賞』を贈りたいと思います。このリプレイが公開停止になったらお前本当にどうしてくれるんだだそうです。禅次郎さんには『せめて伏字にしろ』『機種依存文字はやめろ』『ミッシェルだよな、そうだと言え』などのコメントが寄せられております。あと……あ、これは私達へのお便りですね。なになに『配役だっつってんだろうが』ですか、ありがとうございます。我々は現状に満足せず今後も自重しない舞台を目指して万進していく所存です。どうぞよろしくお願いします。――続いてはスポーツ情報です。現場の鈴宮さーん」
『はいこちら鈴宮慧架です。今日は野球場に来ております。なのはなオリーブスは今年も絶好調! 9回裏ツーアウト満塁、18番ピッチャーのルーメリアにとって逆転満塁ホームランを阻止する大一番、観客席のヤマさんも『いいぞもっとやれ』と沸く中渾身の一球を投げ――』
 ――プツン。

●第三章 王城と戦火
 プツンとテレビの電源を切る隆明。
「はぁ、今日も退屈な門番仕事が始まるぜ……」
 彼がやれやれと言いながらパイプ椅子から立ち上がると、向かいでアイドルグラビアの袋とじを開けていた守が顔を上げました。
「そう言えば今日はお城で舞踏会が開かれるんでしたっけ」
「門番に舞踏会が関係あるかよ」
 小さく毒気づく隆明。そんな彼等の休憩所へ、シビリズと盾が入ってきました。
「……交代だ」
「ああ、わかった」
 どうみてもさまようよろいにしか見えない盾に言われて、守と隆明は休憩所を出て行きます。
 その背中を見つめ、シビリズは冷たく笑ったのでした。
「せいぜい楽しむんだな、最後の門番を」

 さあ今日も門の前に立って欠伸する仕事が始まります。
 隆明は憂鬱な顔で門番用の通用口の鍵を取り出しました。
 すると。
「ケヒヒッ、こんな鍵はあってないようなもんっすよォ? ケヒヒーッ!」
 門が向こう側から開き、コボルトが舌をべろんべろんとなびかせながら飛び出してきたのです。
「し、侵入者だ! 誰か……はっ!?」
 助けを呼ぼうとした隆明を後ろから羽交い絞めにする影。何者かと振り返ると、それはなんとシビリズでした。
「お前まさか裏切ったのか!?」
「へっ、門番ってのは安月給なもんでな。奴らが暴れてくれれば略奪劇にも参加できるってのんだ、ハハハッ!」
「おうおう楽しそうな顔してるじゃねえか。感謝するぜぇ、門番さンよお」
 コボルトたちによって全開に開かれた門から、棍棒をかついだオークが悠々と現れました。
 隆明をスタンロッドで殴り倒すと、鼻をブヒブヒ鳴らしながら馬車の縄を引きます。
「あっしは女、それ以外はお前らにくれてやンぜ。ブッヒヒ!」
「当然。ここからは全員やりたい放題ってことにしようじゃないか」
「いいアイデアだぜ……『やりたい放題』だってよお、リザードマン!」
「ギャギャギャッー!」
 門の上から突然飛び降りるリザードマン。
 彼は早業でナイフを閃かせるとシビリズの喉を掻っ切りました。
「う、うわあああああああああ!!」
「ギャギャ、ギャギャギャ!」
「おういいぜ、その頭蓋骨はお前のもンだ。こいつの言った通り『やりたい放題』……やらぜてもらうゼェー!」
「ギャッギャー!」
「ケーッヒッヒー!」
 どっからどう見てもモンスターにしか見えない三人組が武器を振り上げてまずは門番の休憩室や事務所へと突入して行きます。
 中では盾に羽交い絞めされた守が悲痛な叫びを上げていました。
 そうです。今まさに、彼の目の前で、彼の大切なものが壊されているのです!
「やめろ、やめてくれ……その消しゴムの角は使うなあああああ!」
「ケヒヒッ、そんなこと言っていいんすかねえ? おおっとこんな所にシャーペンが」
「や、やめろ! シャーペンの芯を消しゴムに差し込むな! フタ部分の消しゴムを削り取るなっ、香り練り消しに酢をかけるなああああああああ!」
 泣きわめく守の首をごきってやって昏倒させると、盾ことさまようよろい(割とモンスター側の人間)はゆっくりと振り返った。
「ふう、全く戦火隊が来てしまうとは驚いたなあ。混乱のあまり城内をさまよっても仕方ない……そのまま宝物庫に迷い込んでしまっても……クク、仕方ないな?」
「ケヒヒッ、そう言うことになるっすねえ。その扉をうっかりオレが解除しちまっても事故ってことになりますなあ?」
 二人は肩を組むと、ヒーッヒッヒと言いながら宝物庫へとあるき始めたのでした。

 城門が突破された今となっては当然のことながら、城下町は既に戦火の海に呑まれていました。
「しかたないねぇ、悪い人達の首は切らないとねぇ~」
 リザードマンと一緒にスキップしながら髑髏やら死体やらを袋詰めにしていく葬識。
 そんな彼の悪行がいつまでも続くと思われましたが……。
「治療の邪魔です」
「ギャ?」
 シャキンと斜めに走った光目を瞬かせるリザードマン。だが彼が二度目の瞬きをする前に全身から大量の血を噴出して倒れたのでした。
「これは……」
 素早く振り返る葬識。彼の翳したナイフと凛子の刀がぶつかり火花が散りました。
「お医者さんかぁ、俺様ちゃんの天敵……なのかな?」
「知れたことです。リルさん、やってしまいなさい」
「ドクターストーップ!」
 キュンという音がしたかと思うと、葬識の首にワイヤーが巻き付き、一瞬で民家の屋根から吊るされてしまいました。その様子を伺って、暫く触診した後で『死亡確認!』と言いながらトドメを刺す麻衣。
 リルたちは戦火隊を片付けながら炎の上がる遠き城を見上げました。
「凛子さん、この分だとお城は……」
「いえ、大丈夫でしょう」
「そんな! 何を証拠にっ!」
 掴みかかるリルをやんわりと引き離す凛子。
 眼鏡を親指と中指で覆いこむように押し上げると、反射する光で表情を隠しました。
「あの城には今……シンデレラがいるのです」

 同刻、お城某所。
「ブッヒヒイ! 城の警備がこんなに薄いもンだとは思わなかったぜ。おかげで略奪し放題だがなァ! 金は取り放題、女は狩り放題。全く良い世の中になったもんだぜェ!」
 オークは人をまるまる詰められそうな麻袋を担いで『シンデレラ様控室こちら』と書かれた通路を歩いて行きました。
 扉の前でせーのと構えるオーク。
「さぁて放送コードの限界にチャレーンジッ! オジャマシマァース!」
 蹴破られる扉。
 漏れ出るドライアイスの煙。
 荘厳なオーケストラ演奏をバックに、円柱型のステージが下からせり上がってきました。
「敗国の一族郎党に焼けた鉛靴を履かせ、苦言を呈する家臣はかぼちゃの面を被せて飢鼠の群へ投げ込む。長きに渡り人民と周辺諸国を恐怖させた暴虐の王。その名も――」
 ばさりとマントを翻し、『それ』は……降魔刃紅郎は威厳ある声で名乗りました。
「シンデレラ!」
「嘘つくんじゃネエエエエエエエエエエッ!!」
「だが彼は無残な死体として発見された。覇王(シンデレラ)の死によって幕を開ける、次なるシンデレラを名乗る者たちの戦いが始まろうとしているのだ。貴様は……シンデレラではないな?」
「ブヒッ!?」
 ビクリと背筋を伸ばしたオークだったが、気づいた時には頭を鷲掴みにされていました。
 ぐしゃりというスイカの潰れるような音と共に、部屋の中にむっとした血肉の臭いが広がります。
 刃紅郎は悲しげに、しかし重く目を閉じると、つい数時間前までこの部屋に控えていた『シンデレラ』達へと想いを馳せたのでした。

●第四章 この物語に真面目なタイトルをつけようとしてる時点で頭がどうかしてる
 街の中を礼子がキャットウォークで歩いていた。
 計算され尽くされたタイミングできりっと振り向く。
「もしかしてあなたが魔法使いさん? おねがい、ボクを舞踏会へ連れて行って!」
 キランと目から星を飛ばしながら言う礼子。
 そんな問いかけられ方をした悪紋は、地面にペッと唾を吐くと懐からリンゴを取り出した。
 小声で会話を始める。
「(随分無理なキャラ付けをしとるようじゃのうロリバアアよ)」
「(誰が脱法ロリじゃ。まあそっちは魔女役がお似合いじゃなあ。わしの方がきゃわうぃーから当然じゃな)」
「ほう……舞踏会に行きたいのかお嬢ちゃん! ならこの魔法の毒林檎を食べるのじゃぁ!」
「はごあっ!?」
 悪紋は礼子の口にリンゴをまんま突っ込むと、そのまま馬乗りになってぐいぐいと押し込み始めた。
「ぐはっ、お、おのれ……貴様、謀ったな……!」
 血を吐いてこと切れる礼子。
 悪紋は狂った笑いを浮かべると、ふらふらと立ち上がった。
「やっちまったのじゃ……じゃが、じゃがこれも計画通り! 姫様ァー、姫様ァー! 我はやりましたぞ、約束通り王子様と結婚を!」
「ええ、よくやりました悪紋」
 背後から聞こえた声に、悪紋は喜色満面で振り返る。
 だがしかし。
「褒美に……あなたには死を差し上げましょう」
 悪紋の胸から突き出る剣の切っ先。
 それを見下ろし、悪紋はごぼりと血を吐いた。
「そ……んな……我はあなたの右腕の筈……」
「右腕?」
 剣を引き抜き悪紋を礼子もろとも川に投げ捨てるリンシード。
「私の右腕なら、肩の先にちゃんとついていますよ?」
 わーちょっとまてーまだ出番がある筈なんじゃーと言いながら川に流されていく悪紋と礼子に背を向け、リンシードはふんわりと微笑んだ。
「あら、見ていたのですね……王子様」
「リン……ちゃん……」
 そこに立っていたのは、目のハイライトが消えたアーリィ王子だった。
「だ、だめだよ! 人殺しなんて!」
「何をいまさら? あなただって……」
「そ、それは確かに、いつもヤっちゃってるけど……でも違うよ。罪は……罪は償わないとだよね!」
 アーリィはフリントロック式の取り出すとリンシードへと突きつけた。
 だがそれはコンマ五秒程遅かった。
「どうやら、理解してもらえないようですね」
 気づいた時には、リンシードはアーリィの背後に立っていた。
 がくりと崩れ落ちるアーリィを、リンシードが素早く腕に抱える。
「羽柴とかいう人から買ったホレ薬を塗っておきました。これでアーリィさんは私の者……ふふふ……」
 リンシードの声は川のせせらぎに乗って、闇夜の中をどこまでも響いていたのだった。
 どこまでも、どこまでも。

 一方その頃。
「ハイ皆さんご一緒に、『パンが無ければ美少女を食べればいいじゃない(性的な意味で)』!」
 リウビア女王はカンパーイと言いながらワイングラスを掲げた。
「ふふふ、民の血税から搾り取って飲むリンゴジュースはなんと甘美なこと。さあ皆のものー、じょおーさまじゃんけんっ、じゃんけんぽーん! 今ださなかった人とチョキで勝ったヤツは後で死刑! 最後の舞踏会を楽しむがいいわ! オーッホッホッホ!」
 リウビアがワイングラス(中身リンゴジュース)を天高く掲げた……まさにその時、リウビアの額で真っ赤な花が乱れ散った。
 それが鮮血の花弁だと知った途端、豪奢なステンドグラスを突き破ってエーデルワイスが飛び込んできたのである。
 彼女は大排気量のバイクから飛び降りると、その場で立ち尽くす王族たちに向けて銃を乱射し始める。
「革命の時よ王族! この国は『シンデレラ』様のものとなる! ふはははっ、はっはっはっはっは!」
「革命? こんなときにっ……!」
 アルフォンソは慌てて裏口の扉を開けると、銃声溢れる舞踏会場を後にした。
 ぱたんとしっかり扉を閉め、外側から錠を落とす。ここは王族が逃げるための扉だ、もう向こう側から開くことはない。
 安堵の息を吐くアルフォンソ。
 だが、そのまま息を吸うことはできなかった。
 後頭部にぴたりと銃口を突きつけられたことをしったからである。
「な……」
 ドアノブに反射したゐろはのを見てアルフォンソは全てを察する。
「あなたは、清掃員の」
「長話はしたくないの。機密文書の在処を教えて」
「フ、フフフフフ……」
 両手をゆっくりと上げながらも身体を揺するように笑うアルフォンソ。
 ゐろはが眉間にしわを寄せていると、彼は横目で振り向いて見せた。
「残念ですが、私は影武者です」
「そ? じゃあ死ね」
「えっ、ちょっと待ってくださいそこは気絶させるとかそういう」
 アルフォンソが死ぬ気の抵抗を見せようとしたその時、ゐろはとアルフォンソの間に煌めく刃が奔った。慌てて飛び退くゐろは。
「王子様が欲しければまず私を倒すことですね!」
「ちっ、SPッ!」
「いいえメイドです! 安心して下さい、殺しはしません。ですが命以外のすべては諦めてもらいますよ!」
 何処からともなく現れたセラフィーナは刀を構えたままドヤ顔で言った。
 そんなセラフィーナの後ろからにゅっと出てくるティアリア。
「ねえそれはいいんだけど他に王子いないの? カップリングが成立しないんだけど」
「他には見なかったですけど。私じゃ駄目なんですか?」
「あなたは私が教育してお持ち帰りするから」
「えっ?」
 うわーちょっとまってくださーいと言いながら小脇に抱えられてテイクアウトされるセラフィーナ。
 彼らを見送ってから、ゐろはとアルフォンソは顔を見合わせた。
「じゃあ、そう言うことだから私は」
「逃がすか」
 乾いた銃声と共に、また一つこの世から命が消えた。

●第五章 もう誰がシンデレラでもいいんじゃないかな
「シンデレラは、あたし!」
 そあらは映画とかで見るような豪奢な階段から一足で飛び降りると、鋭くとがったガラスの靴を両手に構えた。
「待っててねあたしの王子様(さおりん)! たとえこのドレスが赤く染まろうとも、プリンセスは……主役はあたし一人! 今時のお遊戯みたいに希望者全員主役なんてゆとり精神はまっぴらなのです! 出番は奪うモノ! MVPは勝ち取るもの! 主役は強奪するもの!」
「その精神、否定しないよ」
 明奈はぐっと胸の前で腕をクロスさせると、そあらへと向かい合った。
「全開のアタシは甘かった。アイドル系キジ役として参加したはずがまさかの銃殺エンド。桃太郎どころかセガール系男子の騒動に巻き込まれただけだったなんて……もう、もう私は……油断(アイドル)なんてしない!」
 そあらと明菜は同時に地面を蹴り、煌びやかなシャンデリアの下へ舞った。
「プリンセスシンデレラそあら、行きます!」
「重装甲型シンデレラナイト明奈、行くよ!」
 まずは第一交差。
 そあらから鋭く繰り出されるガラスの靴を、明菜は鋼の盾で打ち弾く。砕け散るガラス片。
 そあらは螺旋階段の手すりに、明菜は美しいステンドガラスに足をつき、再び跳躍。
 第二交差……ではない。今度は正面衝突である。
「「『シンデレラ』は、渡さない!」」
 鋼の盾がそあらのガラス靴を粉砕し、力技で叩き落とす。
 ぎりぎりで相手の首を掴み取るそあら。
 ふたりは絡み合いもつれ合い、職人が丁寧に作った石造りのフロアタイルへと落下したのだった。
 ごしゃんと音を立てて床に激突する二人のシンデレラ。
 床で目まぐるしく殴り合っていた夏栖斗とロッテは同時に飛び退いた。
 螺旋階段の手すりへ着地し、自らの額から流れる血を親指で拭うロッテ。
「御厨夏栖斗……日ごろからプリンセスキャラで売ってるわたしを差し置いて……」
 一方で床に降り立ち、汗ばんだ胸元を開く夏栖斗。




















「ああ、僕はシンデレラ王になる! お前は……シンデレラ王顔じゃあない!」
 びしりと指をつきつけられ、ロッテはファックと叫んだ。
「畜生、あまねくプリンセスの座はわたしの物なのですぅ! 呪ってやる、縊り殺してやる! プリンセスを名乗るのは……わたしを倒してからにしてもらおうかぁ!」
「あれお前そんなキャラだっけ!? っていうか白雪姫じゃねえのかよ、シンデレラにまでならなくていいじゃん! 強欲なんだよあとぱんつ見えてる!」
「早く言えぶち殺すぞですぅ!」
「そんな無理して口悪くしなくても!」
「うるさいうるさいっ! くらいやがれですぅ、プリンセス☆ピンポイントォ!」
 夏栖斗に向けて高速で連射されるリンゴ型チェーンハンマー。
 それをひらひらとかわしている……と。
「シンデレラだって? シンデレラが幸せになるのだけは、許さない!」
 ステンドガラスを突き破り、守羅が単身突入してきた。
 ハンドガンをフルオート乱射しながらラペリング降下してくる守羅。
「乱入者か!」
「ここは任せるバン☆」
 スライドインしてきたベルカが口で閃光手榴弾のピンを引き抜いた。
 テヘペロみたいな顔をした後、守羅へ向けて手榴弾をぶん投げる。
「私はパーフェクトシンデレラF(フラッシュ)! どの辺がパーフェクトかと言うと、脚がついてる辺りだ! 今日はフラバン投げ方だぞ! やったねフラバン出番が増えるよ!」
「おいやめろ!」
「フラーッシュッシュッシュ!」
「なんだそれ笑い声か!? ウワーッ!」
 所かまわずフラッシュをかけまくり、舞踏会場はちかちかとする視界とキーンとする音に支配された。
「えー、ナニコレ。自分の出番来る前にこの国崩壊するんじゃないですか!?」
 目を瞑り耳を塞いで口を開けていた(割と的確な対応)亘は、舞踏会場のをとりまくあまりの惨劇に辟易していた。
 正直この後ガラスの靴を履かせてシンデレラを炙り出……見つけ出す役をやろうと思ってたけどもうコレ靴とか穿かせてる場合じゃなかった。というか死ぬ。
「あー職務放棄したいなー。でもサボったら打ち首だもんなー。ブラック過ぎるでしょこの職場……」
「こんな所でサボってたのですか?」
 え、と言って振り返ろうとした。だが意識とは裏腹に亘はその場から横っ飛びに転がっていた。
 先刻まで自分の頭があった場所をデザートイーグル(要するに大口径ハンドガン)の弾が通過したのを見た。
「な、何を!」
「何を、ですって?」
 エイミーは再び亘へと銃口を向けると、容赦なく引金を引いた。
「今宵は『壁の花』などない。あるのは『血の花』のみよ、このミス・パーフェクトシンデレラが居る限りなぁ!」
 残弾の限り弾を叩き込むエイミー。必死でかわす亘。エイミーは素早くマガジンを再装填すると、亘の腹に直接銃口を突きつけた。
「この真正統派ヒロインにして『黒鉛の火喰鳥』と呼ばれた私の銃撃、見切れるかぁ!」
 トリガーを引きっぱなしにして叫ぶエイミー。亘の背中から内容物に混じって大量の鉛玉が通過した。
 こときれた亘を踏み潰し、高笑いを浮かべるエイミー。
「私は最強(パーフェクト)、私は無敵(パーフェクト)、私は究極(パーフェクト)! さあかかって来いシンデレラどもおおおおおおおお!」
 と、その時。エイミーの後頭部にどす殺気が押し当てられた。
 いや押し当てたと言う表現はおかしい。まるで脳内に抉り込むかのように叩きつけたのだ。
「誰か、今俺を笑ったかァ……?」
 吐息そのものが炎であるかのように、彼の呼吸は熱かった。
 彼こそがバイ……じゃなくてランディ。異世界の王子である。だって腰みのつけてるし。
「こんな格好にされたのも貴様のせいだ。ぶち殺すッ!」
 斧をスイングするランディ。たったの一振りでエイミーの頭を首から離脱させフロアタイルの上に転がした。
「聞きやがれお前ら、今日は無礼講だ」
 そしてランディは天に向けて銃を構え、怒声と共に引金を引いた。
 天井のガラスが砕け散り、雨のように降り注ぐ。
 そして―。

 全ての役者が出そろった今。
 これ以上物語を続ける必要はない。
 だが見給え。
 尺は十分に余っている。
 始めようではないか。
「歪曲(シンデレラ)――!」
 至高にして究極。
「運命(オブ)――!」
 狂乱にして凄絶。
「黙示録(カオス)――!」

 真のバトルロワイヤルというものをォ!

●最終章 最後に生き残ってた奴がシンデレラ(MVP)だ!
 全ての舞台骨は崩壊し、ダイス目は裏返り、役者は天より降ってくる。
 今より全員、坩堝(スタッフロール)に流す。
 タブレットPCでナビ子をぶん殴ったチャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ(BNE003669)にニューナンブの弾をしこたま叩き込んだ犬吠埼 守(BNE003268)をナイフで八つ裂きにした熾喜多 葬識(BNE003492)にガラス片を突き刺す有馬 守羅(BNE002974)を二足歩行型にトランスフォームした新田・快【拉致】(BNE000439)がケチャップ塗れにしたが安西 郷(BNE002360)に纏めてダンプで轢き潰しぼーっと見てた月野木・晴(BNE003873)と平等 愛(BNE003951)まで巻き込んだ所ではいぱー馬です号ので蹴っ飛ばすイーリス・イシュター(BNE002051)を観測するエナーシア・ガトリング(BNE000422)を蹴倒す悠木 そあら(BNE000020)に虹色の何かで襲い掛かる司馬 鷲祐(BNE000288)の後ろでほくそ笑む高橋 禅次郎(BNE003527)をそっと連行していった鈴宮・慧架(BNE000666)をジャイアントスイングで投げ飛ばす御厨・夏栖斗【拉致】(BNE000004)の脇で状況について行けない霧島 俊介(BNE000082)と神楽坂・斬乃(BNE000072)にプリンセスかぐやビームを炸裂させる銀咲 嶺(BNE002104)をマホカンタで迎撃する『さまようよろい』鎧 盾(BNE003210)を素手でぶん殴った設楽 悠里【拉致】(BNE001610)に八つ当たり気味の銃撃を乱射する立花・英美(BNE002207)の頭蓋骨を密かに狙うリ ザー ドマン(BNE002584)をマジカル☆ロッドのフルスイングで薙ぎ倒す羽柴 双葉(BNE003837)を清掃ワゴンで軽く引き潰す恋宮寺 ゐろは(BNE003809)に怒涛の羽柴 壱也【拉致】(BNE002639)ミサイルを叩き込む白石 明奈(BNE000717)にやたら遠まわしな対価の返済を要求する雪城 紗夜(BNE001622)の首を跳ねておしまいと高笑いするリウビア・イルシオン(BNE003100)の懐からそっと財布をスリ取るコ ボ ルト(BNE003091)の口にリンゴをまるまる突っ込んで黙らせる災原・悪紋(BNE003481)を辻斬りするセラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)に影からスパピン撃ちこむアーリィ・フラン・ベルジュ(BNE003082)の後ろに隠れて拉致被害者が五人も紛れてるとか呟くエリス・トワイニング(BNE002382)にプリンセス☆ガンダムハンマーとか言ってリンゴ叩き込むロッテ・バックハウス(BNE002454)に大量のマッチョを消しかけるアンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)を斧でぶった切りにかかるランディ・益母(BNE001403)に背後からなら平気だろうと襲い掛かってみるアルフォンソ・フェルナンテ(BNE003792)の後ろで華麗なブリッジをキメるカイ・ル・リース(BNE002059)に縄付けて連行していく結城 竜一(BNE000210)のすぐそばで閃光手榴弾ボーリングと洒落込むベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)にここぞとばかりにしゃぶりつきもみつきからみつく雲野 杏(BNE000582)の頭上でふわふわ浮いてる鋼・輪(BNE003899)を横目に畜生開幕を別のヤツに取られたと地面叩いて悔しがる上沢 翔太(BNE000943)をにちゃにちゃした顔で見つめるイーゼリット・イシュター(BNE001996)をそっと吊るしにかかるユーヌ・プロメース(BNE001086)にいきなり死亡確認を突きつけてくる石動 麻衣(BNE003692)に看取られた藤倉 隆明(BNE003933)の横で一向に悲劇のヒロイン的妄想を辞めようとしない霧島・撫那(BNE003666)に優しくウィンクするイセリア・イシュター(BNE002683)を完全に無視して最強の魔王を決定する戦いを繰り広げる大魔王 グランヘイト(BNE002593)と降魔 刃紅郎(BNE002093)を温かい目で見守るアリス・ショコラ・ヴィクトリカ(BNE000128)をサッと縛り上げておくリル・リトル・リトル(BNE001146)の背後でがばっと起き上がる神埼・礼子(BNE003458)を優しく照らす山田・光(BNE003898)をバットでフルスイングするルーメリア・ブラン・リュミエール(BNE001611)へ凶悪な顔で襲い掛かる烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)の後ろで11時59分をかれこれ五時間くらい満喫しているシェリー・D・モーガン(BNE003862)にアルシャン決めようと身構えるリンシード・フラックス【拉致】(BNE002684)の目を盗んで略奪ヒャッハーとテンションを上げるシビリズ・ジークベルト(BNE003364)を軽く殴り倒すティアリア・フォン・シュッツヒェン(BNE003064)がいくらで売れるかと言う目でニチャニチャ観察するオー ク(BNE002740)をぺかーっと優しく照らす荒苦那・まお(BNE003202)にどこか親近感を覚えつつも良く考えたらオレ全然セリフ喋ってないなと思って今ここで言おうとする焦燥院 フツ(BNE001054)を背後から斬り捨てた上で治療しようとする氷河・凛子(BNE003330)の頭に灰をそぉいする焔 優希(BNE002561)を観客席で煽るヤマ・ヤガ(BNE003943)にそっとカレーを差し出す宮部・香夏子(BNE003035)の下にあいた落とし穴にパカッと落とす天風・亘(BNE001105)を見えない所から狙撃するリリ・シュヴァイヤー(BNE000742)をメガクラで斬り捨てた楠神 風斗(BNE001434)が――。





「俺が、シンデレラ……?」
 自分以外誰も立っていない舞台の上で自らの目を覆った。その手もまた血に濡れていた。
 風斗は剣を下すと、輝く星空を見上げた。
「こんな戦い、誰も望んじゃいなかった。誰も傷つきたくなかった。それだけだったのに……」
 血にまみれた舞台をゆっくりと降りていく。
 それから、新しき『シンデレラ』となった彼の姿を見た者はいない。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
MVPはバトルロワイヤルーレットで決めました。