●ぬいぐるみ達 「ここ、どこだろう?」 うさぎが周囲を見回し、わずかに首をかしげる。太陽が一つ、それから雲がたくさん。元の世界では太陽が四つあったし、雲も手を触れることが出来、乗る事も出来た。 しかし今は手を伸ばしても、一向に雲はすかすかとうさぎの手をすり抜けるばかりだ。 「さあね。どうでもいいよ」 マイペースなくまが、樹木に実っている果物をもぎながら言う。彼は本当にどうでもいいと思っているのだろう、まるで気にしていない風にしゃくしゃくと果物をかじり始める様子を横目で見つつ、うさぎはねこと顔を合わせた。 「何か変な感じだね」 「お母さんに相談してみようか?」 と、ここでねこがナイスアイディア。うさぎは「それもそうだ」と頷き、長い耳をぴくぴくと動かした。 「お母さん、今日は起きているね」 そして、視線を移動させる。 その先には、花崗岩を切り出されて作られたと思しき小さな塔があった。 ●Red Sky 「太平洋上に小さな浮島が現れたの」 ブリーフィングルームに集まったリベリスタ達を前に、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)はそう言った。 その言葉に何人かのリベリスタは首をかしげた。浮島が現れる、などという現象はもちろん通常では有り得ないことだ。そして自分たちが呼び出された事に関係すると、それはエリューションかアザーバイドの仕業の類なのだろうか。 その心中の問いを察したのだろうか。イヴはついと視線を上に上げると、ぽつりと呟いた。 「あれは別チャンネルから来た浮島。 あそこにいるのは、十匹くらいの動物のぬいぐるみと、一台のロボット。と言っても、全ては管理者であるそのロボットが作り出している夢――みたいなモノ」 イヴの説明によると、浮島は端から端まで100m程度の小さな所で、そこには豊かな木々と湖、そして動き回る動物のぬいぐるみたちが棲み付いているのだと言う。 だが、その島の中央には小さな塔があって、その中には一台の女性型ロボット――アザーバイドが存在している。そのアザーバイドこそ、この夢のような(?)浮島を管理し、作り出しているのだと。 「そのアザーバイドさえ倒せば、あの浮島は消える――これ以上崩壊を加速させることもない。だから、みんなにはそのアザーバイドを倒しに行って欲しいの」 浮島への交通手段は、アークがプライベートヘリを手配してくれるのだと言う。アザーバイドを破壊した事も携帯電話で連絡をくれれば、すぐに救助に来てくれるとも。 「だからみんなは、思う存分アザーバイドと戦ってきて。 ――あ、それからあの浮島に入ると、みんなぬいぐるみになっちゃうから、それだけ気をつけてね」 イヴはそう言うと、ぽかんと口を開けたリベリスタ達に「いってらっしゃい」と小さく手を振ったのだった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:水境 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2011年05月27日(金)23:46 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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●到着 「わあっ、可愛い! 写メしてもいい?」 浮島に到着すると同時、ふわもこのテディベアと化した『ビタースイート ビースト』五十嵐 真独楽(BNE000967)は、仲間達の姿を見てはしゃいだ。 太平洋上に出現した小さな浮島、その縁。 ヘリコプターにて到着したリベリスタの面々は、事前の説明通り体長三十センチほどのぬいぐるみへと姿を化した。 「ま、まあ、写真くらいなら……」 言いつつ白く短い腕を組むのは、うさぎぬいぐるみの『通りすがりの女子大生』レナーテ・イーゲル・廻間(BNE001523)。スカーフとヘッドホンを苦労して巻いたその姿に歓声を上げつつ、くま真独楽はふかふかの腕で携帯カメラのボタンを押そうとするが、なにぶん指が短く太い。上手くシャッターボタンを押せずに四苦八苦するくま真独楽は、結局諦めて、そのふかふかの丸い耳をぱたりと下げた。 「うう……せっかくみんなの可愛いぬいぐるみ姿を撮りたかったのに……」 「……『みんな可愛い』、ねえ」 微妙に口を――いや、くちばしの端を歪めたのは『むしろぴよこが本体?』アウラール・オーバル(BNE001406)だった。ぺんぎんへと姿を化した彼は、そのやや剣呑さの混じる視線を傍らに佇む『BlessOfFireArm』エナーシア・ガトリング(BNE000422)へと向ける。 「みんな、っていうのはやや語弊があるような気が――」 「……何が言いたいのよ」 エナーシアは意外そうに応じる。なぜなら彼女が変化したのはハルキゲニアという、外耳道のようなものにトゲがたくさんくっついたような形をした古代生物だ。 彼女はその姿を『実に可愛らしくて愛らしく、見る者全てが幸せになれるような』と自称しており、二本のトゲを動かし――どうやらこれが腕らしい――器用に身体にマフラーを巻いていく。 彼女がどこから声を出しているのかも定かではないが、とりあえずアウラールは視線を逸らし、「別に」と呟く。その頭の上で、オウムのぬいぐるみである『Trompe-l'?il』歪 ぐるぐ(BNE000001)が「オハヨー オハヨー」と鳴いている。 「皆、可愛らしいわよ」 やはりこちらも『皆可愛い』と評するのは『運命狂』宵咲 氷璃(BNE002401)。日傘をくるくる回す彼女は、銀灰色のシャルトリューという種類のねこぬいぐるみになっている。大きな金色の瞳をぱちぱちと瞬かせ、周囲の仲間達を眺め回した。彼女の視線を辿るように仲間達を順繰りに見つめた『星守』神音・武雷(BNE002221)も、感心したようにその短い腕を組んだ。 「うんうん、皆見事にぬいぐるみになっているなあ」 「ええ。貴方もね」 「って、ああ、当然おれもか! って、ちっさ! おれちっさ!」 ちいさいうしぬいぐるみへと変化した武雷は、氷璃の言葉にやや驚いた仕草をしたのち、自身の身体を見下ろしてまた驚いたように飛び上がった。大きな目をくりくりと動かし、ぬいぐるみへと変化した体のあちこちを触る。 その傍らで、白い羽毛と黄色いくちばしのあひるへと変化した『みにくいあひるのこ』翡翠 あひる(BNE002166)は、くちばしをぱかぱか動かしつつ『さくらさくら』桜田 国子(BNE002102)の元へ近付いて行った。 「国子、かわいい……。なんのねこ?」 「ねこじゃないよ! ねこじゃなくてチーター!」 あひるの言葉に反論する国子。釣り目がちのねこ……いや、チーター国子は、憤慨したようにその小さな鼻先を鳴らす。 「皆さん、そろそろ行きましょう。まずは島のぬいぐるみに話をつけに行かなくては」 「あ、そうだった」 オオワシぬいぐるみになった『正義の味方を目指す者』祭雅・疾風(BNE001656)が尖ったくちばしを動かして言うのに、くま真独楽はぱたんと閉じていた耳を立てる。 「早く行かないとね」 「そうね。――あ、あそこに何か動いているのが見えるわよ」 ハルキゲニアエナーシアが、そのトゲの一本を木々の生える方向へ示してみせる。目がどこにあるのかも定かではないが、彼女のトゲ先を追って、ぬいぐるみの姿を確認したリベリスタ達は、果てしなく短くなった足をぽてぽてぽてっと動かし、そちらへ向かったのだった。 ●縫 「ちょっといいかな?」 オオワシ疾風に話しかけれたうさぎとねこのぬいぐるみは、びっくりしたようにリベリスタ達を見返した。特に後方にいるハルキゲニアエナーシアを興味津々に見つめている。 「あれ、新顔さん?」 羽毛を揺らしつつオオワシ疾風は頷き、続ける。 「うん、そうなんだ。ここの管理人さん? そう言った人と大事な話をしに来たんだけど、どこにいるか知らない?」 「お母さんのことかな? あっちだよ」 ねこが肉球の手をぴしっと伸ばすと、その先には確かに石造りの塔があった。しかし塔の位置よりも、それよりもチーター国子はねことうさぎのふかふかさに夢中になっていた。 (うーん、……かわいいよね) 堪えられず、オオワシ疾風の傍らにひょこひょこ出て行き、 「ね、ねえ、友だちになろうよ?」 と、ねこに話しかけてみると、ねこは嬉しそうにチーター国子に近付いてきた。 「もちろんだよ! キミはなんていうねこ?」 「え? い、いや、私はねこじゃなくて……」 けれど、そこまでしか口に出来なかったチーター国子は、近付いてきたねこの首元にもふっと鼻先を埋めた。ねこは嬉しそうに笑い声を上げる。 その横で、オオワシ疾風と共にうさぎに話しかけるのはねこ氷璃だ。 「私たちを、そのお母さんのいる連れて行って頂戴」 「いいよー」 あっさりとうさぎは承諾する。そしてリベリスタ達に背中を向け、「こっちだよ」と声をかけた。 「案外スムーズにいったな……あ、木の実」 柔らかい蹄の足でうさぎを追いつつ呟いたうし武雷は、うさぎの傍らに生えた木に実がなっている事に気付いた。ひょこひょこと飛び上がってそれをもぐと、むしゃむしゃ頬張る。だが、口の周りは布で出来ているのであっという間に口元が真っ赤に染まってしまった。 「このまま上手くいったらいいんだけど」 「そうだよねえ」 うさぎレナーテは、その長い耳をぱたぱたと動かしつつ呟くと、くま真独楽もこくこく頷く。隣を歩く犬のぬいぐるみ、『重金属姫』雲野 杏(BNE000582)にひょこひょこと手を振りつつ、 「他のぬいぐるみたちと一緒に帰って貰って、倒さないで済むなら、その方がいいよぉ」 「若干心苦しいものね。ああ……でもかわいいなあ」 うさぎのふさふさの背を追いつつ、自身もうさぎであるうさぎレナーテは顎の辺りを緩める。 「!? あ、待って」 ねこと戯れていたチーター国子は、仲間達がうさぎと一緒に塔の方角へ向かうのに気付き、慌てて後を追って来る。 短いピンク色の足を動かしつつ近付いてくるチーター国子を確認し、ハルキゲニアエナーシアは歩きを再開しつつ、そのどこにあるか分からない視線を島内に巡らせた。 「色々と秘境は見てきたけど、さすがに全然違うわね。異界をそのまま切り取ってきた感じだわ」 「まるでぬいぐるみの楽園ね」 くるりと日傘を回しつつねこ氷璃は頷き応じるが、頭上で輝く太陽に目を細め、ぽつりと呟いた。 「けど、ここはこの世界の運命から外れたもの。――運命に愛されぬものは、滅ぼすだけ」 ●塔 リベリスタ達に先駆けて塔に辿り着いたうさぎは、その鉄製の扉を軽く押した。軋んだ音を立てて門扉が開く。 「せ、せまか島ばってん、こん身体だと広かねぇ……」 息を切らしつつうさぎの後に続いて塔に入ったうし武雷は、だが塔の内部中央にいる影を見つけ、すぐにくりっとした瞳を眇める。 「……あれが」 「うん、あれがお母さん」 それは『母』という言葉の印象から想像するものの範疇外にあった。 銀色の頭、胴、腕、足。その全てがのっぺりした素材で出来ていて、一応人型を取っているが鼻も目も口もない。手にしたハサミと刃のような針だけが、この島に存在する証のようにも見えた。 その『母』――ロボットに向けて、うさぎは話しかける。 「ねえ、お母さん。この人たちが、お母さんに話をしたいんだって」 その言葉に、ぬいぐるみ遣いの容姿に虚を突かれていたオオワシ疾風が前に出、くちばしをぱかぱかさせつつ銀色のモノに話しかける。 「私達はこの世界に住む人間です。この浮島がこの世界に存在することで、私達の世界の崩壊が加速するのです。……どうか、このまま元の世界に戻っていただけませんか?」 返事はない。銀色のモノはのっぺりした顔をただオオワシ疾風に向けている。オオワシ疾風は綺麗な翼をばさばささせつつ続ける。 「手荒な事もしたくないのです、ですのでこのまま――」 『侵入者、発見』 と、そこで突然ぬいぐるみ使いが声を上げる。どこから声を上げているのかは定かではないが、機械めいた声はオオワシ疾風を戦慄させるのに相応しいものだった。 『侵入者、発見。規定外存在につき削除します』 「やっぱダメみたいだな」 殺気を滲ませるぬいぐるみ使い。それを見て、ぺんぎんアウラールはオオワシ疾風の前に出た。 「行くぞ!」 「だめ、おかあさんを攻撃しないで!」 ぺんぎんアウラールがライフルを構えるのを見て、必死になって止めるうさぎ。それをハルキゲニアエナーシアの方へ突き飛ばすと、ぺんぎんアウラールはぽてぽてぽてっと短い足を動かしぬいぐるみ使いから距離を取る。 「……まあ、なんだ。緊迫感がねぇけど……とにかくやるぞ!」 「よし、皆気をつけろよ!」 ぱんだ焦燥院 フツ(BNE001054)が、その白黒の腕を上下させ、愛くるしく守護結界を張った。 「ちょっぴりザンネンだけど……仕方ないのかな」 くま真独楽は残念そうにため息をつきつつ、クローを手にしたままぽてぽてっとぬいぐるみ使いに接近した。 「このまま放っておいて、世界をヘンにされても困るしねっ!」 決意を込めたくま真独楽のギャロッププレイ。テディベアボディの身体から発せられた気糸は、しかしぬいぐるみ使いのみぞおちを捉えたものの、麻痺させるには至らなかったようだ。くま真独楽は唇を尖らせ身構える。 「真独楽、少し待っていて!」 背後からチーター国子の声が響き渡る。くま真独楽から少し下がった位置で反応速度を高めている彼女は、その鋭い猫科の視線をぬいぐるみ使いに据えたまま、動かない。 「残念だけど、向かってくるなら容赦しないわよ」 その横で、二本のトゲで器用にアームキャノンを構えるのはハルキゲニアエナーシアだ。その銃口はぬいぐるみ使いと、そしてこちらに突き飛ばされ、懇願するように接近してくるうさぎに向けられている。 「カンブリアの海の厳しさ、魅せてあげるわ――特に関係ないけど」 ハルキゲニアのトゲがトリガーを引く。ばらばらばらっと滑るような音と共に弾丸がバラ撒かれる。 蜂の襲撃に似た発砲音からその名が名付けられたハニーコムガトリング。エナーシア自身の高い命中力と相まって、それはまるで刺すようにうさぎとぬいぐるみ使いに襲い掛かる。 銃弾によって、うさぎはあっさりと胴を、腕を、足を、そして頭を打ち抜かれ――綿を出してバラバラになり、そのまま動かなくなった。 「生憎裁縫出来ないしな、みんなもこうならないよう気をつけろよ……!」 緊迫した声音でぺんぎんアウラールが叫ぶ。 だが、そこでぬいぐるみ使いが動く。手にしたハサミと針で、眼前のくま真独楽に襲い掛かる素振りを見せたが――しかしそののっぺりした銀色の頭から発せられたものは、どこか心地よいオルゴール音だった。 何の攻撃が来るかと身構えていたリベリスタ達だが、その余りの心地よい旋律に戦意を薄れさせるのを止められなかった。 「あ~……なんか気持ちよかばい……」 うし武雷が瞼を下げる。優しい音色ではあるが、そのオルゴールメロディは人間に真似する事は果てしくなく難しい。真似してやり返してやろうと考えていたオウムぐるぐは「ムリ、ムリ」と鳴く。 だが、仲間達がその歌に魅了されることは無い。なぜなら、 「させるか!」 ぺんぎんアウラールがいるからだ。彼が放った淡い光脱すブレイクフィアーは、仲間達の周囲できらきらと輝き出す。途端、瞼が下がり気味だったリベリスタ達の意識がはっきりしてきた。 「ふう……どうもね。これで支援が出来るわ」 「お返しだ――あーらよっと!」 ねこ氷璃のマジックミサイル、うし武雷のヘビースマッシュが飛ぶ。マジックミサイルはぬいぐるみ使いの胴を凪いだが、ヘビースマッシュは危うい所で避けられた。うし武雷が鼻をぶもっと不満そうに鳴らす。 「真独楽君、次で決めて」 うさぎレナーテが、その軽やかな脚でぱたぱたっとくま真独楽に近付き、庇うように立つ。自身の防御力を強化したうさぎレナーテにくま真独楽は頷き、クローを構え―― 壊れたように『削除』と繰り返すぬいぐるみ使いを、現出させた黒い影で貫いたのだった。 ●赤い空 太平洋上に浮かんだ浮島が、その端から石や木々をそぎ落とし、次々と崩壊していく。 既にアークが手配したヘリコプターに乗り込んでいたリベリスタ達は、人間に戻った視界の中、夕焼け空の中で崩れていく楽園の様子を静かに見つめていた。 「夢は夢に、泡は泡に。さようならね」 エナーシアは風に靡く自身の金髪を押さえ、そう小さく呟いた。アウラールはその言葉に目を細めた後、すっと肩をすくめた。 「ま、とにかく早くヘリに救助に来てもらって良かったぜ」 「本当よね。携帯も圏外だったし」 レナーテが頷きつつ応じる。位置のずれたヘッドフォンを治しつつ、崩れ行く浮島を見つめた。 「けど、見るのは良いけど……ぬいぐるみに実際になると、すごい違和感あったわ。……ていうかちっさいって不便」 「でも可愛くてよかったよね! ……写メが撮れなかったのが残念だったけど……」 「まあ、また機会がありますよ」 本気で残念そうに携帯電話を見つめる真独楽に、疾風が慰めるように言葉をかけた。「今の指だったらボタンも楽に押せるのにな」と呟く真独楽に目を細めていた氷璃は、ふと隣の席で苦しそうに胸元を押さえている国子に気付く。 「どうしたのかしら?」 「あ、や……ヘリコプター乗るのなんてはじめてで。こわい……」 国子はそう言って前のめりになって顔を伏せる。肩をすくめた氷璃は、そのまま視線を浮島へと移動させた。 「……黄昏に染まり消えていく楽園の姿は――儚いものね」 ヘリコプターの窓辺で浮島を一人眺めていた武雷は、今日の出来事を思い返し、その唇の端からため息にも似た息を吐き出す。 「あー、楽しかった。あんなアザーバイドだったら、また来てくれねぇかな~……」 やや物騒めいた言葉ではあったが、ユートピアと称しても差し支えないあの浮島は、彼の心中に幸福に似たものすらもたらしたのかもしれない。 武雷は、赤く染まる空を背景に崩れ行く浮島を、いつまでも見つめていた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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