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<Lost World>白亜の世界、泥濘の世界


 ――脳を焼かれる様な恐怖が身を刺した。
 真白のセカイ。出される繊手は次々と私を捕らえようと伸びてきて、それらに捕まる度、ううん、触れるだけでも、思考は灼熱するような白へと塗りつぶされる。
 どろどろと、溶かされる。思いが、ココロが。
 怖い、怖い。我を取り戻す度に『そうなった自分』を思いだし、再びそうなることを怯え、唯、私はそれから逃げ続ける。
 視界は永遠の白だ。逃げ場など無いと言われたような絶望に怯えながらも、私は見えない出口を求め、一直線に走る。走る。
 ……そして。
「ぁ……!!」
 白が、薄れる。濃緑のセカイ。私たちのセカイが。
 見えた、あれが、彼処にたどり着けば。
 強張った表情が希望の笑みを形作った。それこそが絶望の導と知る由もなく。
 ――ごぴゅ、と言う音。
 聞こえた、不自然なそれに疑問を思うよりも早く、ばたばたと身に落ちた『それら』は、またしても私の思考を喰らっていく。
「……ひ……い!」
 嫌だ。嫌だ。怖い怖い怖い。
 白のセカイを拒んだ私を、白のセカイは許さない。
 眩んだ身体を、緩んだ意志を。逃さじとばかり伸びた繊手が、再度、私の身体を捕まえる。
 消える自我、ココロすらも白く染め上げられる刹那。
 私は唯、シェルン様に助けを乞い――意識を、手放した。


「緊急事態です」
 吃とした声でリベリスタ達に相対するフュリエの長――シェルンの表情は、険しさを全面に顔に出している。
 対するリベリスタ達も、それが何を意味するかが解らない訳もない。引き締めた表情で言葉を返す。
「敵か」
「はい。場所は私たちが沐浴に使う小さな泉の直ぐ近くです。一名の被害が出かけましたが、偶然周辺を回っていた仲間に助けられ、事なきを終えました。
 現在あの子達には近づかないように言っておりますが、もしあの地点を侵略されたら、私たちは生活に大きな不便を強いられることとなります」
「……確かに、それは」
 渋い顔のリベリスタ。
 橋頭堡にも一応浴場設備はあるが、彼処は曲がりなりにもバイデンの領域――荒野に設営されている以上、彼女たちもおいそれと近づく気にはなれないだろう。
 事態の重要性を改めて認識したリベリスタ達は、一つ頷くと再びシェルンに向き直る。
「敵は、どういう対象だ?」
「何と……言うのでしょうか。かなり広範囲に広がっている、霧のような形状です」
 世界樹とのリンクで得た情報を言葉で説明するため、シェルンはきわめて難しそうな表情で訥々と言葉を述べる。
「霧は白い油で出来ており、敵対する対象を自身の中に取り込もうとしてきます。
 そうなってしまった対象は……何というのでしょうね。霧を構成する油で出来た、白い手のようなもので対象の身体中をなで回されるんです」
「………………」
「この油はかなりの……多幸感、ですか? を与えるらしく、それに囚われた者は霧から出たくなくなってしまうようです。
 仮にそれを拒絶しても、霧は自身を液状にして対象に振りまく能力も持っており、此方は先の攻撃よりも更に強い効果を及ぼすらしく……」
 ……要約してみる。
 敵は油。近づいた者を自身のフィールドの中に取り込んで、ぬるぬるした手で身体中をなで回す。
 これに抵抗し続けていると、白くてぬるぬるした液体を身体中に掛けられる。うん、なるほど。
 取りあえず誰か助けろ。
「霧状の油と言うことで、もし炎系統の攻撃を放てば瞬時に燃え広がってしまうでしょう。それは私たちとしても避けて欲しいところです。
 皆さん、難しい戦いだとは思いますが、私たちを救うため、どうかお力添えを……」
 シェルンは祈るような表情を浮かべ、改めてリベリスタ達に助けを求める。
 底辺世界のわりかしニッチな性的思考を知らないフュリエ達からすれば、この依頼がリベリスタ達にどういう意味の苦しみを与えているか解って居ないのだろう。ちくしょう何だよこのやり場のない怒り。
 色んな意味で悶えながらも、リベリスタ達は『完全世界』を救うため、色んな意味での戦いの場に出向いたのであった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:田辺正彦  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年07月26日(木)22:54
STの田辺です。
ガンマSTによる会話が元ネタとなります。この場を借りて感謝(?)の意を。
以下、シナリオ詳細。

目的:
『白溺世界』の討伐

場所:
地図上においては、世界樹の北東、フュリエの集落からはほんの少し離れた地点となります。
時間帯は昼。

敵:
『白溺世界』
巨獣には分類されません。一応種別するとしたらアザーバイド。
油で出来た白い霧状の姿を取っております。
霧と言うこともあって物理、神秘共に耐性がかなり高いです。炎を叩き込めば一撃で消滅しますが、周囲一体が灰燼となるのでNG。
基本的に攻撃手段は無いかわり、自身の霧の中に取り込んだ相手をぬるぬるした手でなで回す、若しくは白い油をかけると言う能力を所有。
これは[魅了]相当の行動制限を与え、掛かった場合はあらゆる戦闘行動を放棄すると共に、自身の仲間にも同様の効果を与えようと動くようになります。幸せはみんなで共有しないとね、のイメージで。
あと序でに言っておきますと、シェルンが言う「多幸感」はあくまで彼女の知りうる知識で表現したものに過ぎません。
これをどう受け取るかは、PC様方の自由です。はい。
それとこのアザーバイド、対象に男女の見境も在りません。参加者様とその行動次第では今までにないカオスが顕現します。



それでは、参加をお待ちしております。多分。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
インヤンマスター
門真 螢衣(BNE001036)
インヤンマスター
イルゼ・ユングフラウ(BNE002261)
ホーリーメイガス
レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)
ソードミラージュ
リンシード・フラックス(BNE002684)
ダークナイト
霧島・撫那(BNE003666)
レイザータクト
聖火 むにに(BNE003816)
覇界闘士
桜乃 彩音(BNE003884)
ホーリーメイガス
平等 愛(BNE003951)

●余談
 これ書き終えた報告書担当が有給取った。

●白くてぬるぬるしたアザーバイドなんかに絶対負けない!
「油のエリューションは、まぁ、いいとして」
 はい。
「霧状になってるのもいいとして」
 はい。
「……白い意味がまったく分からない」
 どう見てもセクハラでしょうと頭を抱える『フェアリーライト』レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)の遙か前方には、なにやら一定空間でもやもやとしてる白い霧が見える。
 アザーバイド『白溺世界』。
 霧状の油である自身に対象者を取り込んでひたすらなで回したり、液状化した自身の体液をぶっかけたりと聞くだに酷い敵に対して、立ち向かうリベリスタは女性八名(と思わせて欲しい)から成る作為的な面子。
「私は人形、人形には快楽、その他……感情はありません……だから効きません……」
 必死すぎるくらいに精神統一してらっしゃる『鏡操り人形』リンシード・フラックス(BNE002684)さん然り、
「沐浴できなくなるというのは大きな問題ですね。ええ、そういうことでしたら喜んで協力させていただきます。
 ……ただ、どこか、悪い予感がするのは何故でしょうか」
 敵の脅威度をあんまり把握し切れてなかったりする『下策士』門真 螢衣(BNE001036)さん然り。
 もうこの辺りからフラグっぽさ凄いけど気にしない!
「白い油? この世界は変なものが出てくるわね」
「油で出来た霧、というのも想像がつかないけど少なくとも気持ちの良いものでなさそうな事だけは確かね。
 というか、霧なのにわざわざ「手」で撫でまわしてくるなんて……」
 反し、『百花乱舞』桜乃 彩音(BNE003884)と『月光花』イルゼ・ユングフラウ(BNE002261)。この二人は一同の中に於いては比較的落ち着いたものである。
 年長者ならではの余裕とでも言うべきか。黙々と装備とかスキルとかの確認してる二人を、何名かが羨ましそうな目で見つめていたりするのは置いといて。はい、最後。
「フレアバースト禁止令だと……なんってこった。
 炎撃が……オレのライフワークが……」
「白い油か……エロスの匂いしかしないけど。なぜ! 何故! 男がボク1人なのかと!」
 『聖なる業火』聖火 むにに(BNE003816)と『ナルシス天使』平等 愛(BNE003951)。言うなれば欲望に忠実なチーム。
 思考の行き先は全くの真逆であるにしろ、この二人が洗脳された際に一体どういう事が起こりうるのかは想像したくもない。
 かくも危うい女性陣(殆どが)パーティ。
 が、その中でも一筋の希望はハッキリと見えていた。
「神経毒を持つ霧……。
 思考を鈍化させ、フュリエを食い物にするとは言語道断!」
 きつく拳を握りしめ、白霧そのものを吃と見つめるのは『悪木盗泉』霧島・撫那(BNE003666)。
 微かな風にスイカbじゃなく桃碧の髪を靡かせながら、幻想纏いから自身の剣と盾を出だす姿は正しく救世者のそれと相応しい。
 自らの誇りを貶められる事も厭わぬその矜恃を、運命が加護するかのように、陽光は彼女の得物を煌々と輝かせた。
「さあ、行きましょう皆さん!
 彼の様な下郎、わたくし達が絶対に征伐してやりますわ!」

 ――嗚呼、誇りあれ、リベリスタ!

●このシナリオはH陸先生のご意見を大変参考にしております。
「油といえども霧なら、こういったものも効くんじゃないかしらね?」
 やや疑問混じりのイルゼが虚宙に陣を敷く。
 簡素な太極図から出でた陰陽・氷雨が針のように霧に向かって降り注げば、もやもやと漂う霧の動きは確かに鈍った……気はする。気がするだけだが。
「あー……炎撃使えないとかマジきつい。多幸感でハイになって我慢できなくなったらどーすっか」
「え、アレの能力ってそう言うトリガーハッピー方向?」
「と言うか活性化外してきてください!?」
 それに追撃するのはダウナーな表情を浮かべるむににさん。
 気勢こそ見たとおりであるが、その技の冴えはそれと反比例して見事なものである。
 それに続くように、他のリベリスタ達も霧に対しての攻勢を一気に畳み掛け始めた。
 ――実際、攻撃能力を持たないアザーバイドに対して彼女らとの戦闘は殆ど一方的と言っていい。
 が、元の形状が広範囲に広がる霧と言うこともあり、具体的にどれほどのダメージが与えられているのかが全く解らない部分がプレッシャーになっている。
 尚かつ。
「ひゃう!? い、今なんか撫でられました、すごくぞわぞわっとしました……!?」
「ふぇっ! ちょ、ちょっとちょっと! 後ろのあたしよりもっと狙い易い人とか居るでしょお!?」
 リンシードだの、レイチェルだの、当初から服を脱いで下着とか水着とかに着替えてる者達がわりかし早いタイミングで魅了に引っかかりそうな状況だったりするのも、状況膠着のファクターだったりする。
 予備とか持ってきてよ! 多分アークが払うから! 等という突っ込みは正しく霧に消え。
「……やはり直接肌に触れることで効果を発揮するタイプの能力でしたか」
 段々白い視界の中に消えつつある仲間達を見やりつつ、「ですが」と不敵に笑うのは螢衣。
「こういう事もあろうかと、入念に装備をそろえてきた甲斐が有りましたね……!」
 そう言う螢衣さんの現在の服装は、対油用の完全防水コート、そして小型の酸素ボンベ、更には掃除機と、端から見たら若干ヤバイ人っぽさ全開である。
「これで油を吸引し、お布団セットに吸わせることで行動不能にすれば……!」
「螢衣ちゃーん螢衣ちゃーん」
「? 何でしょうか」
「服の袖からちっちゃい手が入り込んでる」
「……」
「……」
 そう言えば手のサイズが固定って誰も言ってなかったもんね。
 仕方ないよね。

 ――で、このように。
 一定距離取ってた女性陣が予想外の敵のスピードであっという間に巻き込まれたり敵に魅了与えても攻撃手段自体なかったから意味がなかったり何かもう後半辺り意図的に油被りに言ってる人たちとかも居たりしたが、その誰もが行き着く先は一つであった。
 はい、それじゃあ皆さんお待ちかねの全年齢タイム始まるよー。

●γさんを絶対に許さない
「……っ、ンぁ、この、ヤロウ……!」
 全身をなで回す手が、糸を引く。
 元より粘性の有る油が、むににの体温で更に溶けたのか。その光景を彼女は見て――直ぐさま目を逸らす。
 ……カラダが、熱い。
 触れた箇所が、呼吸する胸が、どくどくと灼熱のマグマを作り出すかのような感覚。
 炎のようだ、と、むにには思った。
 炎の使い手、自らをそう足らしめんとする彼女を、彼女のカラダを、ココロを作り替えていく白い手を、むにには最早抵抗することもせず、唯じっと見つめている。
 それが、ぴたりと肌に張り付き、服の中に入り込もうとする感覚。
「――――――っ!!」
 拒めない。
 抵抗できない。
 触れた場所が、火照る場所が増える度、がくがくとこみ上げそうになる何かを堪えて、むにには、眩んだ思考に、ピリオドを打つ。
「はふぅ……すごいです……溶けちゃいそうです……」
 ……位置的に言うならば、気をやった彼女のすぐ近く。
 リンシードは、陶然とした面持ちで、自身をなで回す手を、寧ろ愛しげに見つめていた。
 元より露出の高い服装である。這いずる手の感触は一つ、また一つと増えていき、その度に、少女は微かな嬌声を響かせる。
「どんどん、集まってください……私が、むちゃくちゃに、壊れるくらいに……」
 呼吸すら荒げて。宙を漂う霧達も、此方においで、と。
 身体を浸食していく白い油。それが遂に水着の内側へと至ろうとしている。
(っ……ここが、チャンス……かな……?)
 その、ぎりぎりの所で、リンシードは克己心を振るわせる。
 声に応えてか、密集しつつある霧を此処で一気に切り刻めたら、それは敵を大きく削る結果になる。
 魅了された振りを其処で止め、握った剣を一挙に振ろうとした――刹那。
「ふふっ、リンシードちゃんっ♪」
「……へ……!?」
 背後から、彼女を愛が抱きしめた。
 予想だにしなかった――否、有る意味予想するべきだった奇襲を受け、少女は少年の顔を見るが。
「これだけ幸せなら、女の子にも分けてあげなくちゃダメだよねぇ。キュフフフフフ」
 ……彼がどうなっているかは、聞くに及ばず、である。
 リンシードは混乱する。自分ごと斬り飛ばす筈だった予定が、接近した愛によって不可能になった。どうすれば、一旦彼を引き剥がしてから――
「っ……ひ、ん!」
 再度、ぶるりと震える身体。
 自我を取り戻したことに気づいたのだろう。白い手からぽたぽたと滴る液体を背筋に受け、一瞬、我を失う。
 そして、それが決定打。
「油まみれの羽で包んであげるよ。羽のカーテンだよ……羽がきもちーでしょ?」
「……ぁ」
 ゆっくりと。
 リンシードを抱きしめた愛が、自身ごと、彼女を羽の中に覆っていく。
「油に触ってないところは何処かな? ちゃーんと、全身に塗っておかないとね」
 世界が、閉じる。
「あん。白くて、べとべと……」
 艶めいた声音が響く戦場。
 其処に更なる一枚を重ねたのは、全身を油に塗れさせたイルゼだった。
 縛っていた髪はすこしほつれ、肌に張り付いた導師服は彼女の豊満なラインを余すことなく浮かび上がらせている。
 趣味ではないと考えていた彼女をして、このような魅了状態に置く敵の能力は流石とでも言うべきか。
 白磁の如き肌を滑る複数の手に、時折跳ねるような動作と共に婉然とした笑顔を浮かべるその姿は、平時の姿からは想像も付かない。
 ……嗚呼、否。それは他も同じ事。
「どうしてこんなものを着込んでいたのでしょうか。野暮の極地としか呼べません」
 微かな衣擦れの音の後に、一枚、また一枚と服を脱いでいくのは螢衣。
 そう、そうだ。そも、敵に戦うための力がないのならば、倒すのは何時だろうと出来ること。
 ならば、多少くらい楽しむことさえも、またいけないことはないのではないか――
 最後の羞恥心が顔を覗かせたのか。下着姿にまで成った彼女は、次いで自身の体に白の腕を呼び寄せ、その身を白く染めさせていく。
 だが、
「ぬるぬるの女の子……えへへへへ」
「あら? レイチェル……さん」
 ふらふらと、
 それに近づいてきたのは、彼女同様下着姿のレイチェルだった。
「やだ……柔らかい……。こんな綺麗な肌、他に触らせるなんてやだなあ」
 放った言葉そのままに。螢衣の肌を滑る腕を取り払った彼女は、それらに代わって自身の双手で螢衣の身体をなで回し始める。
「……っ! レイ、チェル、さん」
「ふふ。一緒にぬるぬるになろうね……?」
 身体中のあらゆる部分を触る過程で、螢衣が過敏に反応する部分を探すことに愉しみを探し、レイチェルは嗜虐的な笑みを浮かべ、行為を継続していく。
「く……、皆さん、気をしっかり保ってください!」
 その最中、唯一人奮戦を続けるのは撫那であった。
 視界を白に埋め尽くされた状況。味方が何処にいるのか、霧の包囲から逃げ出す未知は何処か、それすらも解らない中でも、彼女は誇りを失わない。
 魅了の効果か。膝が笑い、地にぺたんと座り込んだ撫那は、それでも技を放とうと、緩んだ手に力を込め、再度剣を握る。
「わたくしは最後まで……そう最後まで、抗い続け――!」
「あら、野暮な事言うわね」
「! え……っ」
 その身体を、後ろから抱きすくめる者が居た。
「あ、彩音さん!」
「ふふ、一緒に幸せになりましょう?」
 撫那がそれに抗する声を上げるよりも早く、肌にフィットしたボディースーツの中に、彩音の手が強引に入り込む。
「ひゃ……あぁっ!」
「貴方達も手伝いなさい。ほら、こうするのよ……そう」
 痛みと、それを塗りつぶす何かと。
 隙間など無い衣服と肌の間を強引にかき分ける彩音の手と、それに誘導されるアザーバイドの手。
 逃れる場所は無いとばかりに、身体を塗りつぶされる感覚をたっぷりと味わう撫那が、其処でぐるりと表情を変える。
「あ……ああ……全てを塗りつぶすこの感情! 我慢した甲斐がありましたわあ……!」
 あら? と頭を傾げる彩音など最早見向きもせず、撫那はボディスーツのみを幻想纏いにしまい、身に纏うものを軽鎧だけという大きく露出度を増やしたものへと変える。
「さあ、皆で身も心も一つになりましょう? 白濁した甘い悦楽の世界へ……!」
 最早誘導も必要なく、自ら堕ちていく少女の姿を、彩音は寧ろ喜びの表情で見守っていた。
 そんな彼女すらも、今は魅了の腕の虜でありながら。
 服の中に入り込んだ手は幾つだろう。身体を燃やすような強烈な感覚が視界をぱちぱちと明滅させ、それすらも足りないと彩音は霧を吸血する。
 傍目には呼吸と変わらぬ動作。それを吐き出すとき、彼女の口の端には白い油が微かに零れていた。
「……っと、危ない。あなた、全部飲んでもらうのが嬉しいんでしょう?」
 それを指ですくい上げ、こくりと嚥下する表情は、今魅了されている者とは違う――人並み外れた色香のようなものを感じさせる。
 嬌声は止まない。
 肢体も動きを続けている。
 永遠とすら思える時間の中で、微かに自我を呼び起こした機会も、やがて再び魅了される時には屈辱という名のスパイスにしか成らないのだろう。
 白のセカイは、八人の女性を永遠に取り込み続け――

●このシナリオはK路先生のリプレイも大変参考にしております
 リベリスタの大半が目を覚ましたときは、霧は既に消失していた。
「……え」
 レイチェルが、疑問混じりの声を出す。
 何故と言って、彼女を含めたほぼ全員はその誰もがぐったりと横たわっており、どう考えても彼女らがアザーバイドに抗し得たとは思えなかったからだ。
「アイツ、逃げ――」
「逃げてないわよ」
 立ち上がろうとした彼女を押さえたのは、茂みから出てきた彩音であった。
 戦闘前のシスター服で現れた彼女は、その肌にも油のぬめりを一切残していない。恐らくは沐浴を一足先に済ませてきたのだろう。
「時間は掛かったけど、根気よくやったら十数分程度で倒せたわ。防御性は兎も角案外脆いのね」
「え、でも……」
 つい先ほどまでの彼女の姿を思い返すレイチェルが怪訝そうな顔をすれば。
「ああ、魅了? そんなの掛かった端から回復してたわよ?」
「………………」
 平然とした口調で言う彼女を、レイチェルが何とも形容しがたい目で見やる。
 少なくとも本依頼の参加者の内、アザーバイドに辱められた記憶のとらえ方という面では、レイチェルと彩音は稀な例外である。
 今こそ気絶している面々だって、この後の記憶を思い出してどうなるかは想像に難くないところだった。
 彼女らの精神的なフォローも、この後に重要になってくるのだろうが――何よりも。
「……この件、どう報告しよう」
 アークの変態紳士達に見られる危機もさることながら、戦闘に於ける殆どの時間を女の子達と絡んでましたとか正直あんまりな戦果である。
 腕を組み、黙考。たっぷり十秒考えた後に、彼女は本依頼を以下に結論づけた。

「魅了ならしょうがないよね」

●余談
 これ書き終えた報告書担当が何故か某フォーチュナの真空管叩き割った。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
STの田辺です。多大な遅刻をお詫びいたします。
語るべき事は、何も、有りません。はい。
次回以降も、皆さんの相談、プレイングに期待しております。
本シナリオのご参加、本当に有難う御座いました。