●原罪 罪の果実は齧る程に甘く。 罪の過日は過ぎる程に褪せ朽ちる。 ――――『疾く暴く獣』ディーテリヒ・ハインツ・フォン・ティーレマン ●実在の人物・名称等とは取り敢えず関係ありません。 「しとしとと降りしきる雨の向こうに、爽やかな初夏の息吹を感じなくもない今日この頃! 少年少女、老若男女! 津々浦々の皆様如何お過ごしでしょうかッ!」 『塔の魔女』アシュレイ・ヘーゼル・ブラックモア(nBNE001000)の無闇に力一杯な前口上にブリーフィングのリベリスタ達は一つ小さな溜息を吐いた。 彼女の持ってくる仕事は大抵の場合碌でもない。その始まりがどれ程軽妙だったとて――軽妙である程に。かの歪夜騎士団(バロックナイツ)が十三位『塔の魔女』は底意地の悪さを見せるのだ。 「仕事なんだろ?」 「はい、仕事です」 小さく頷いたアシュレイは猫を思わせる移り気な瞳に悪戯っぽい笑みを滲ませ、リベリスタの顔をじっと見つめた。少しの居心地の悪さを感じたリベリスタは咳払いをして彼女の先を促すのだ。 「……で、どんな話だ?」 「とあるリベリスタのお嬢さんが危険なフィクサードに誘拐されてしまいます。皆様にはこれを食い止めて頂きたく……」 「意外とまともな話じゃないか」 珍しく『まともないしは素直』なアシュレイの導入にリベリスタが意外そうな顔を浮かべた。何せこの女の持ち込む仕事の酷さと言ったらもう…… 「えへへ。褒めてくれてもいいんですよ?」 えへへとかのたまう(最低でも)三百歳。 突っ込むのも疲れたリベリスタは肩を竦めたが、その表情が凍りついたのはまさにそんな彼女がその先を口にした時だった。 「フィクサードの名は黄泉ヶ土らると。狙われるリベリスタは海柘榴シーナ。 わあ、大変。世に出回る無慈悲なシナリオ達に影響が出そうなお名前ですね!」 「……おい。何だそのパチモンは!」 迸るメタファー。鎮痛なリベリスタ。 海柘榴は別名で椿とも呼ぶ。全ては偶然ですと言わんばかりにニコニコと笑う魔女は更に決定的な言葉を並べていく。 「ヤツはしかも危険なエリューションを連れているのでした。 白い毛の大猫、酒と昼寝が大好きなピッピー!」 「……」 「超不思議生物フライももんが!!」 「……………」 「あさこ!!!」 「説明すら放棄かよ」 「ノーフェイスです。ノーフェイスのお嬢さんです、はい」 余りにも酷い、露骨にアレな展開に頭痛を禁じ得ないリベリスタ。 魔女のガッツポーズが虚ろなリベリスタに突き刺さる。 「いぇあ!」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:YAMIDEITEI | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月17日(火)22:15 |
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■メイン参加者 10人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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●嗚呼、不条理なるこの世界…… 「ああ、いやだなあ」 人気の無い路地裏に『イケメン覇界闘士』御厨・夏栖斗(BNE000004)のやけに情感が篭りまくった一言が響いていた。 「――どうして僕はここにいるんだろうなあ!」 少し自棄になったように空元気を発揮した彼の言を殊更に借りずとも―― 全く人生とは総ゆる不条理を煮詰めた混沌のスープのようである。 果たして――十四人のリベリスタが遭遇した『不具合』の事件は今日も今日とて突然に訪れたものだった。 リベリスタは何時もと何も変わらない仕事を請けただけだ。それは幼いリベリスタをかどわかそうとする羨ましい……じゃねぇ不届きなフィクサードを懲らしめろという。普通の、普通の仕事だった筈なのだった。 「な、なんだか……ヘンな旋律。なんだか燃えてる人もいるし、うん……」 しかし、独特の癖で物事を音楽の調べに表現するフォルティア・ヴィーデ・アニマート(BNE003838)の微妙な表情がその真実を告げていた。 「メタファーにも限度があるから。よー言わんよー? よー言わんけどもー……」 僕ちゃん直接恨みも無いしー分別つけるけどー。 やり場の無いこの気持ちをーなんとなーく振り下ろす場所が見つかったよーな、そんな天からの恵みを見つけちゃったーみたいなー」 「なんか全員どっかで聞いたことある気がするのよね…… どこかは解らないんだけど。兎に角――そう。何て言えばいいのか分からないけど。アタシ達じゃない、何か後ろからの陰謀みたいな――見えない力を感じるわ……」 釈然としない調子の『大風呂敷』阿久津 甚内(BNE003567)、可憐なその顔立ちを何とも微妙に曇らせた『雇われ遊撃少女』宮代・久嶺(BNE002940)の言は場の一同の代弁にもなっただろう。大抵の場合、混ぜっ返すような表現のその先には硬軟問わぬ『ロクデナシ』が待っているものだ。 倒すべきターゲットの名を『黄泉ヶ土らると』という。大阪のチンピラ。 守るべきターゲットの名を『海柘榴シーナ』という。寝袋幼女。 任務達成の障害となるのはらるとの連れるエリューション達。『白猫』ピッピー、フライももんが、あさこ! 悲惨極まるラインナップである。 「な、なんだか敵だったりハジメテな味方さんなのに聞いたこととなんだか親近感があるよ……?」 何はともあれ。『本能』とも呼ぶべき『理由知れぬ』強烈な衝動を――何人かのリベリスタ達は抑え切れていない。 少し乾いた声で呟いたフォルティアの微妙な反応に構わず、共にこの場を訪れたリベリスタ連中は先走るだけ先走っていた。 「今回の任務達成条件は、シーナを守る事……で、良いんだよネ? そりゃあ、幼女は守りたいし、エリューションなんかは放っとけない。けど、けど――」 ある種、居た堪れないような空気の中に『灰の境界』氷夜 天(BNE002472)の声が響く。 「――皆殺気に満ち満ちてる気がするのは気の所為デスカ? もしもーしッ!?」 彼の心からのツッコミは全く理に叶ったものだった。 「らると……数多のリベリスタを地獄に落としてきた諸悪の根源。 悲劇の源泉。暗黒の使者。トラウマを創りそして抉る者。 数多い凶悪事件の糸を引いてきた、恐るべき紡ぎ手(ストーリーテラー)。 知らぬ存ぜぬで通す訳にはいかないわね。少し位、やる気を見せてもいいでしょう?」 赤い瞳の上に乗った形の良い眉を顰めて極めて深刻な顔をした少女――『告死の蝶』斬風 糾華が重い決意と共に溜息にも似たような調子で呟く一方、 「全力でシーナさんを守るのです! 私の初めて(リプレイ)をあげたり、私にとても大事な物(MVP)を貰ったような気がする人を―― そんな(ピピピー!)で(ガガガー!)で(BNE倫)な大阪のチンピラさんに渡すわけにはいきませんから! 何より幼女ですし!」 『極北からの識者』チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ(BNE003669)が自身も少女の割には随分熱烈に、別chから電波でも受信したのかやけに熱烈に会った事も無い幼女への想いを語っている。 リベリスタは昂揚している。 この事件だけは見逃してはならないと。 そんな気がしてならないのはどうしてなのだろうか―― 「らるとどうでもいいです。あさこは殺すです」 「あさこ! そあらさん怖い!? やめて、あさこは美少女だ! 美少女は国宝だ! ううう殺したく無い殺したくないうああああ!」 「エリューションだから仕方ないのでした」 空気はおかしい。 普段は(´・ω・`)か(´・ω・`*)か(´・ω;`)で大体表現出来る可憐な『ぴゅあわんこ』悠木 そあら(BNE000020)の目が、表情が逆三角形に吊り上がっている。地団駄を踏んでうろたえる『Gloria』霧島 俊介(BNE000082)に彼女が告げた「仕方ない」は『仕方ない』という次元では無い激しくアクティブな殺意を含んでいた。 「ん、りべりすたお仕事えらべない。へんな人がでてくるお仕事多すぎな気がする。 んーでも、なんかあさこは見ててちょっとふびん? ほかーくしてみる? まだ、えらい人(さおり)のお土産にもってかえったほーが、へんな人と一緒にざしゅっとやられちゃう未来よりはよさそ?」 「あさこ殺すです」 小首を傾げた『うさぎ型ちっちゃな狙撃主』舞 冥華(BNE000456)の言葉をゼロコンマで最大否定する彼女には案の定一切迷いが無い。 「pip……ピッピーしゃん! まってて! 今、行くのー! 愛してる!」 空気はおかしい。大いにおかしい。 「最速!突撃★どっかーん! 勢い余ってゴロゴロしちゃう? でも、大丈夫! むぎゅむぎゅー! なの!」 ダンダンピョンピョンと飛び跳ね白い頬を興奮で紅潮させた『雪風と共に舞う花』ルア・ホワイト(BNE001372)の挙動は露骨にバグり、最早異常の域に到達している。 「ふふ、いいわね。やる気が出てきた……」 「潰す! 黄泉ヶ土フィクサード潰すぅー!」 糾華や甚内もぶっちゃけあんま大差無い。 まー、こいつ等は兎にも角にもさて置いて。 「ゆるゆる~なお仕事ですけど~、相手は相応の実力を持っているとのお話ですし~。 気が抜けていては負けるかも知れませんから~、気合を入れていきましょ~。ゆるゆる~」 「ああ。女の子を虐めるのにいたいけな少女や小動物を使うだなんて何て良い趣味しやが……間違えた、何て残虐なフィクサードなんだ!」 ……実際の所。個人的には些か問題のある『マスカレイドスコープ』尖月・零(BNE003152)の性的嗜好はさて置いて。情報を極めてピュアに受け取ったならばユーフォリア・エアリテーゼ(BNE002672)やそれに応えた彼の見せた反応が本来プレーンなものと言えるだろう。少なくとも『大阪で幼女をかどわかしかけているしょっぱいチンピラをバロックナイツの一員であるかのように語り、トマホークミサイルでも持ち出しそうな気合を見せる』一部リベリスタの皆さんよりは。 (な、何だろうな。この空気……でも、幼女は国の宝だから守るべしってあーちゃんにも言われたし……) 好きな子から受けた激励の一言を思い出す零である。 状況は単純で情報は確かだ。要するにつまり。本部『ストーリーテラー一覧』を見ればんがんぐ。おかしいのは空気の方で彼では無い。 「じゃ~、そろそろ行きましょうか~」 のんびりとユーフォリアが言う。 「まずはカズトに逃げて貰おう。 きっとらるとが追いかけるはず、うん、なんかこの光景どこかで見た気がするわ。どこか解らないけど!」 「だから、やだってば!!!」 久嶺と夏栖斗がじゃれている。 ●らると 「ああ、らるとん先輩! 怖いです!」 「大丈夫、大丈夫。でも眼球舐めたい」 そして現れたらるととしいな……シーナである。 「その手を離せ、チンピラがぁ!」 見得を切るようにたっぷり溜めて決め台詞を放ったのはドン、とこの場に割って入った天以下無駄に戦力充実な十四人のリベリスタ達である。 (今、僕は禁断の呪文を唱えたよ!) ※危険なのでチンピラにチンピラと言ってはいけません。 「怖いおじちゃんに襲われて大変だったねー? でも大丈夫、もういじめられないで済むからね」 フォルティアさんマジオアシス。 「可愛い子はいじめちゃだめだよね。よし、僕が歌を歌ってあげるから――」 ――おおきい蜘蛛は退治しちゃえ はなよめきっとしあわせに 人形あそびはほどほどに やさしさの傷はおおきくて ぱすたのそーすはのうみそで ぐちゅぐちゅぐちゃぐちゃ、どんなあじ? ――よぉし、前言撤回だ! (でも、しいなの寝袋剥ぎたいわ) 危険な光を目に宿す久嶺もそーだがコイツも十分にアレである。 「……え、えーと。ところで僕なんでここに居るんですか? 世界線、交差してますか?」 各々武器を手にジリジリとにじり寄るリベリスタ達にうろたえるらると。 「どうして皆さん、そんなやる気たっぷりなんですか?」 「ロリコンは全力で退治します。生きる価値はありません、フルボッコです。変態に明日などありません」 (多分)まっとうな理由でらるとを断罪した『委員長』五十鈴・清美(BNE003605)が言い放ってビシと指差す。 「こんないたいけな幼女を毒牙にかけようとするなんて!」 「ちょっ、しいな幼女ですか!? 違いますよ!?」 「ルールを守れないのなら、鉄・拳・制・裁です!」 「聞いてないし!」 シーナが抗議の声を上げる。幼女(笑) 「動物の雄を大人しくさせる場合に、去勢するやり方があるらしいですね」 「弁護士呼んで貰っていいすか? きっと悪いのはヤミーさんですよ!」 「判決私刑。悪人に人権はありません!」 「大阪は中世暗黒時代に戻ってしまったのか!」 彼の人徳と愛され具合は素晴らしい。 彼女もそれ以外も理由様々に。目に燃える炎は見るも露骨に燃え上がり「君が泣いても許さない」と実に分かり易く伝えていた。 まさに届け、この拳(あい)! 「回復・援護に専念するのはホーリーメイガスにはままある事であって! 僕はまだ怨恨とか因縁とかそういうの無いし今後も無い方が良いなあとか。そんな保守的な理由ぢゃ無いんだヨ、本当ダヨ?」 思い切り腰が引けている天を誰が責める事が出来ようか! 「あさこ殺すです」 「ううう殺したく無い殺したくないうああああ! あさこ!!! 殺すって強いられている!」 「どうして!? あさこ、まだなにもしてない!」 「ピッピーしゃあああああん!」 「あ、はい。ぴぴ、です……」 「いつもみたいに照れて可愛い! いつもって何だろ、ルアわかんないっ」 「リス科のももんがなら頬は食べ物を沢山詰めれる位に伸びるはず。 たてたてよこよこま~るかいてちょんっ、ですよ~」 「あたしはのびないのだわ!」←天狗 かくて戦いは始まった。戦闘描写とかめんどいんでとばす。 ……じゃなかった。恐るべきフィクサードらるとと幼女リベリスタ海柘榴シーナ(鈴が怖い)を守るリベリスタ一行との戦いは激しいものになっていた! 「おい、あさこもしーなもあっちだぜ?」 夏栖斗が言った。 「お前の目的はしーなだろ?」 夏栖斗が言った。やたらに追いかけてくるらるとに言った。 「だから、どうして僕を追いかけてくるんだよ!」 「いや、追いかけないとかなって……」 「早速自己紹介だね☆ さあ出て来い! 御厨夏栖斗ー♪」 答えは甚内が持っていた。 「しねぇよ!」 「大ー丈ー夫ぃ☆ 御厨ちゃんは強い子!平成生まれのNewヒーロー! だから大丈ー夫! 骨は拾える筈だからー!」 「助けろよ!!!」←爆釣りの餌 エグい獅子身中の虫・甚内に夏栖斗が怒鳴る。 戦いは続く! 「さぁ、かかってきなさい、ピッピー! それにしても……少女なのにお酒飲んで大丈夫なのかしら? あ、いや、ごめんなさい、なんでもないわ。顔が赤くなった少女とか、よいものね! そもそも非実在少女(エリューション)だしね!」 それ以前に猫である。 「 アタシもユリユリするのは好きよ! お姉様限定だけどね!」 「きゃあ! きゃあ! ピッピーしゃん、かわいい! 大好きだよお!!!」 不健全な発言を堂々と飛ばすのは久嶺、相変わらずのテンションはルアである。 「ねむい。さけ」 「ふふ……猫、もふもふ。いつもお世話になってます。なんのことかしら? まあいいけれど」 もう眠いのか露骨に雑になってきた感があるピッピー。丁寧な挨拶をする糾華。 「ピッピーしゃんはいつも良い香りがするの。今日はシトラス系の香りなの。 もふもふ、すんすんってしたら、むぎゅーって。ほっぺ同士をむにーってするの。 ふふふ、パパのお気に入りのお酒を持ってきたの! イタリア産のお酒なの。種類はよく分からなかったわ。さあ、どうぞなの!」 駄目だこの子早く何とかしないと! 白い毛並みを撫で回す少女達の白魚のような指にピッピーのテンションは自ずと上がる。 「……ひゃん!? も、もう。おいたは、めっ! なんだから!」 「ゆり!」 「あ、ゆりとか、ならないから。ね? 数値管理をしっかりしていれば、ぴっぴーには遅れを取らないわ! たとえ猫でも、ももんがでも、美少女でも、エリューションは倒す。それだけよ!」 勇猛なのは糾華の声。 戦いは加速していく。 「何処を触っているのだわ!」 「今度はお腹や尻尾の番。ふわふわもこもこですよ~」 一体ももんがに何の戦闘力が期待出来ようか。 白い翼で飛翔し、フライももんがを素早くブロックしたユーフォリアはまさにやりたいようにやっていた。 「はぁ~。いい手触りです~。だけど梅子のお胸はぺったんこ~」 「梅子関係ないのだわ!1!!」 ――御覧の通りその全てをお見せ出来ないのが残念な大体単行本二十八巻、外伝スピンオフ三巻からなる死闘である。 「らると……私には貴方になんの恨みも因縁もないけれど、だけれど! これは、追いかけられて散ったカズト君の分! これも、なんだかいつもボロボロになってるカズト君の分! そしてこれが、無闇にひぎぃされて目のハイライトを消された雷音さんの分よ!」 糾華による謂れの無い(?)私怨が閃く。 「こんな中でフェードアウトとか嫌に決まってる!」 酷い流れの中でも清涼剤のように――非常に真面目に戦う零のバウンティショットがらるとのグラサンを弾き飛ばした。 激戦の末に遂に最高潮(クライマックス)を迎えた運命はリベリスタ達に――戦場に結末を望んでいた。 うつ伏せに大の字に倒れたまま最早ピクリとも動かないらるとは大量の過剰戦力を抱えたパーティの敵ではなく、彼は蹴散らされるばかりだったのだ。ならば何か。何がクライマックスなのか。それは―― 「ころさないで><。」 「あさこのほかーく。動けなくなったところをろーぷでぐるぐるまき。ごよーだ」 「つかまえてもいいからころさないで><。」 「んー? でも、すっごく殺意ある人? いるからすっごくなむーになっちゃいそ? 代わりにしーなほかーくしてお土産にすればおっけ?」 「しいなですか!?」 「幼女ktkr」←憑きチャイカ 飛び火したシーナの抗議は当然無視する事にして。冥華がそう言えばあさこが縋る蜘蛛の糸は完全にプツリと切れていた。 元より彼女はノーフェイス。この世界に住まう事は出来ない『例外』に成り果ててはいるのだが―― 「お祈りをするがいいのです」 ――とちおとめEX(バールのようなもの)を握り締めるそあらさんは心を鬼にして(笑)彼女をジリジリと追い詰めた。 「崩界を防ぐ為なら時には無情で非情になる事も必要なのです。 だからあさこ殺す。さおりんに渡すくらいならあさこ殺す。 シーナはリベリスタか……ちっ」 「ちょっ!」 シーナスルー。 そあらがとちおとめEX(凶器)を振りかぶる。ペタンと腰を抜かし怯えるあさこ。 しかし、まさに彼女が一撃を振り下ろさんとした瞬間――世界に奇跡が現われた! 天より降り注いだ柔らかな光が涙目のあさこを包む。キラキラと信じられない位に美しいその輝きはまさに運命が彼女を――世界が彼女を許し、受け入れた、たった一つの『意味』を示していた。 「……これからは、なかまですね!」 泣き笑いのあさこがぐす、と鼻を鳴らした。 さようなら! ノーフェイス・あさこ! そしてようこそ! リベリスタ・あさ―― 「――殺すです」 「……え?」 「あさこ、殺すです」 物騒な言葉が宙を舞う。とちおとめが血に飢えている。 「怖いよね。正直超怖いよね。僕は何も関係ないからいいんだけどね? だけどね?(せいしんむこう)」 フォルティアが全力で見ない振りをする。 フィクサード・そあらを止める為の新たなる戦いの幕が今開こうとしていた! 「まー、年に一回位ガス抜き必要だよねー☆」 「いぇあ!」 しみじみと甚内が言い、何故か天がテンション高く拳を突き上げる。 「変わった奴等ばっかだけど、アークは中々楽しい所だよ」 保護(?)されたシーナが零の言葉を即座に信じられずガタガタと震えていた。何時までも、何時までも。 ※当作品はフィクションです。実在のリベリスタ、フィクサード等とは一切ぱっぱらぴゅーぴらぴー。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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