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天狗が駆ける

●闇夜の天狗
「きゃあぁぁぁ――!」
 住宅街の一角に存在する公園地域。既に日は落ち、各住宅の生活の光が辺りを僅かに明るくしている時間帯に女性の悲鳴が響き渡った。
 それと同時、女性の付近から一つの影が走る。――人だ。
「……!」
 その人影は女性から離れるように、真夜中の住宅街の道を駆け抜ける。その様子はまるで、目的はもう達成したから一刻も早くこの場を離れようとしているようで。
「誰か! 誰か助けてぇ――!」
 一方の女性は悲鳴を挙げながら、走り去っていく人影とは真逆の方向に駆けていく。
 いや、先程の人影から逃げていると言った方が正しいだろう。女性は必至の形相だ。その眼には、怯えの感情が混じっている。
 既に原因の人物は自分と逆の方向に逃げているのだが――慌てているためか、気付いている様子は無い。むしろ恐怖のあまり、追われているような錯覚を得ているのだろう。
 女性は叫ぶ。自分が見た物をありのままに。自分が見た、あの恐ろしい光景を――。
「――股間と顔に天狗のお面を付けた全裸の変態が出たぁ――!」

●天狗と言うか、露出魔だった
「なんじゃそりゃああ――!!」
 一人のリベリスタが思わず叫んだ。それは悲痛と言うか、ここにちゃぶ台があったらひっくり返している心境で。
「……気持ちは分からないでも無い。でもこれが現実。いや、正確に言うと未来」
「いや、分かってるんだけどさ!? でもさ、でもさ、何と言うか――何その最悪な未来!?」
「私に聞かれても困る」
 この一件について報告した『リンク・カレイド』真白イヴ(ID:nBNE000001)に、思わずリベリスタが詰め寄った。
 先程のまでの事はイヴが『万華鏡』を使用し、得た一つの未来だ。とある住宅街で起こる事件の一部始終……というか、露出魔の犯行の一部始終。
 唐突に歩いている人の前に現れ、己の肉体を晒し、そして帰っていく天狗。それ以外に特に危害を加えられる訳で無い理由は、露出したいだけなのだろうか。多分、きっとそうだろう。最悪だ。
「……とにかく、言いたい事は分かるよね? この変態の討伐が今回の任務だよ」
「い、いやちょっと待ってくれ」
 話を無理やりに切り上げようとしていたイヴに、困ったように頭を抱えながらリベリスタが言葉を紡ぐ。
「そんな変態が出るのは良いとしても……いや、良くは無いけど……とにかく、そんなの警察に任せればいいじゃないか。何も、俺たちが出るような事件じゃ――」
「……この変態は、フィクサードだよ」
 淡々と告げられたその言葉に先程までとは打って変わり、皆の表情が引き締まったものに変化する。
「言い忘れたね、この人の名前は園原浩一郎。つい最近フェイトを得た人みたいで、その力を犯行の後の素早い逃亡に活かしているみたいだよ。特性から考えた結果、ジーニアスのソードミラジュって事が分かってる」
「ジーニアスとソードミラージュって俺と一緒かよ――!!」
 集まっていたリベリスタ達の後方で一人が、わっ、と泣きだした。周囲の人物がすかさずフォローに入っているが、そんなに変態と被ったのがショックだったのか。
 まぁともあれ――だ。
「……皆頑張ってね?油断していると逃げられる可能性もあるから――決して、気を抜かないように。後、出来れば捕縛してね。無駄かもしれないけど……更生させてみるから」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:茶零四  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年04月17日(日)02:32
 イヴちゃん本当にごめんなさいこんな未来見せて……。
 控え目なシナリオ出そうと思ったのにどうしてこうなった。

 敵は一人なのですが、捕縛が条件です。
 なお、戦い方として出現場所の公園で待ち伏せか、あるいは逃げる天狗を追いかけながら戦闘するという手段もあります。追撃戦闘を行う場合、住宅街を走りまわる事に成ります。地形はほとんど平坦です。夜中ですので、人とすれ違う確率はかなり低く、今回の場合は無い物と考えていただいて結構です。

【場所】
 天狗が出没するのは住宅街の一角、公園地帯となります。時間は日の沈んだ夜中です。
 周辺住宅には僅かに人が住んでいるものの、長時間の戦闘にならなければ気付かれる心配はありません。
 ただ、天狗出現の為には誰か囮になる必要があります。男女問わず。

【ステータス】
 オープニングにも書きましたが、分類はジーニアスのソードミラージュとなります。
 リベリスタ達が居るのに気付くと、ハイスピードを活用してとにかく逃げの一手を使用してきますので、逃亡されないように気を付けてください。
 スピードは比較的速い方ですが、それ以外の能力に関しては平均か少し上程度です。戦闘になったらどこからともなくナイフを出してきます。

【園原浩一郎】
 男性。20代前半。股間と顔に天狗の仮面を身につけている。あと、一応褌も穿いている。
 露出が犯罪だと自覚しているが、性癖を抑えられない様子。でも捕まりたくは無いのでリベリスタ達には必死に抵抗する。露出癖のために、見られると興奮する。

 基本的に雰囲気はギャグ調で進みます。戦闘自体は真面目だと思いますが。
 この変態に何か言いたい事があったら言ってください。かなり高い確率でギャグが返ってきますが……。


参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
覇界闘士
アナスタシア・カシミィル(BNE000102)
クロスイージス
神崎 隼人(BNE000545)
ナイトクリーク
アッサムード・アールグ(BNE000580)
ナイトクリーク
金原・文(BNE000833)
デュランダル
卜部 冬路(BNE000992)
覇界闘士
陽渡・守夜(BNE001348)
ホーリーメイガス
霧野 楓理(BNE001827)
ソードミラージュ
蘇芳 菊之助(BNE001941)

●Vサイン邂逅
 薄暗い夜の公園。
 周辺には僅かに外灯が存在しているものの、その光は非常に頼りない。
 そんな中――
「結構遅くまで遊んじゃったねぃ、お母さん怒ってるかな?」
 公園内に訪れる二つの人影。その内の一つ、『蜥蜴の嫁』アナスタシア・カシミィル(ID:BNE000102)が言葉を紡いだ。
「うーん、どうだろう……でも、お姉ちゃんと遊べて楽しかった!」
 そして言葉を返すのは『臆病ワンコ』金原・文(ID:BNE000833)。彼女達はまるで本当の姉妹のように話をしながら公園の中央部へと歩を進める。
 公園に人気は無い。彼女達二人の姿があるのみで、人はおろか動物の動く様子さえ無い静けさを持っている。
 ただし、
「うぅ……枝がチクチクするよぉ……」
「我慢、我慢だぜ。もうすぐ出てくるだろ」
 動かずとも潜んでいる者達はいるものだ。
 公園の生垣に潜んでいるのは『リトルダディ』蘇芳 菊之助(ID:BNE001941)で、体に枝や葉を付けて迷彩効果を高めている。が、流石に迷彩には慣れていないのか、枝が皮膚に薄く刺さっているようだ。
 その菊之助の隣。木の陰で身を隠している『羽ばたき続ける翼』神崎 隼人(ID:BNE000545)は、菊之助を気遣いながら公園の様子を眺めている。
 目当ての奴はまだ現れないようだ。いや、目当てと言うほど見たい奴ではないだろうが――ともあれ、彼らが待っている者は、
「……天狗の面を被った露出狂……まさしく変態な奴だ」
 隼人達と共に潜んでいたもう一人、『血に目覚めた者』陽渡・守夜(ID:BNE001348)が小さく呟いた。
 暗視の技術を持って彼は周囲の索敵を行っている。……のだが、肝心の天狗は未だに現れる気配が無い。
「でも文と一緒に遊べて楽しかったよ♪ また行こうね!」
 やがて、アナスタシア達が公園の中央付近にまで到達した。周囲に潜む面々の警戒が非常に高まった――その時。
「うん、お姉ちゃん!また行――」
 返事を返そうとした文の声が急に途切れた。
 どうしてなのか。理由は単純明快。非常に簡単。
 彼女達の目の前に――
「き」
 ――指をVサイン状態にして現れた、全裸の天狗がいたからだ。
「きゃぁあああ――――!?」
 同時、文の悲鳴が公園に響き渡った。

●天狗だね! そうだね変態だね!
「きゃ――!? 何この人!?」
 大袈裟に驚いた様子を見せながら、注意を引くためにアナスタシアは声を響かせる。視線も天狗そのままに。
 一方の文は、いざ目にした現実に少々放心気味のようだ。……流石に全裸(に近い)存在がいきなり目の前に現れればある意味当然ともいえる反応だろう。
 だが、先程の文の悲鳴は味方への合図と成りえた。
「よっ、と!」
『七色蝙蝠』霧野 楓理(ID:BNE001827)は木の陰から飛び出すと、天狗の背中から飛び蹴りを行う。左足で地を蹴り、右足に体重を乗せてガラ空きの背中へと飛んでいく――が。
「むっ!」
 寸前で天狗が楓理の気配に気付いたようだ。
 身を捻り、肩を回して、蹴りの軌道から自身を逸らす。そして改めて体勢を整えれば、
「くっ、な、何者だお前ら! まさか……」
「そこまでじゃ! 大人しく投降せい!」
 天狗の瞳に『雪暮れ兎』卜部 冬路(ID:BNE000992)の姿が映る。
 いや、冬路だけでは無い。先程まで人の気配の無かった公園が、今では天狗を含めて総勢九人もの人影が出来ている。
「しまった! これは罠か!」
「今更気付いてももう遅い」
 天狗が叫ぶ。しかし、マントに身を包んだ『通りの翁』アッサムード・アールグ(ID:BNE000580)の言う通り、もう遅い。
 既に天狗は挟み込まれる形となっているのだ。
「くっ……だが、逃げれば良いだけの話!」
「逃げるだと!」
 天狗の言葉に守夜が言葉を。
「見せるほど自信があるなら逃げずに見せてみたらどうだ!」
「そうだよ、露出狂の癖に自信無いの? ふふふっ!」
「何ぃ?!」
 守夜に続いて菊之助も挑発を行った。
 その行為が、逃走に入ろうとしていた天狗の足を止める。
「うぉお! 露出狂舐めんなよテメェらぁ――!」
「っ! 皆、来るぞ!」
 隼人が注意を促すが早いか、あるいは同時くらいか。天狗はどこからともなく出したナイフを片手に、リベリスタ達に突撃を仕掛けた。
 天狗の狙いは――
「え、え、私!?」
 文だ。変態の現れたショックで放心状態に成っていたのを隙と見られたのだろう。
 天狗はみるみる内に距離を詰めつつある。
「来ないで変態ぃ――!」
 掛け声と共に、文は黒いオーラ――ブラックジャックを天狗に向かって放出した。
 それは、弧を描きながら天狗の顔面に向かって伸びていく。
「うぉっ!」
 天狗は迫りくるオーラに舌打ちを一つ。両足を踏ん張り、急ブレーキを掛けて体二つ分後ろへと後退する。
 直後に先程まで居た天狗の場所を黒いオーラが通過。なんとか攻撃をかわした天狗だった――が、
「これでもくらえっ!」
 そこに守夜の業炎撃が繰り出される。
 後退直後の場面を狙われた拳をかわす事は出来ない。守夜の拳は天狗の腹へと向かっていき、
「ぐぅ!」
 苦しむ声と共に、天狗の腹に拳がめり込む。
「さぁ――まだまだ行くぞ半端者」
「僕も行こうかしらねぇ!」
 声は二つ。アッサムードと楓理だ。
 アッサムードは近距離からギャロッププレイを、楓理は遠距離から魔方陣を展開し、マジックアローを放つ。
 まさに怒涛だ。怒涛の勢いで天狗を追い詰めている。
「う、ぉおあぁ!」
 天狗から思わず声が漏れる。面の下は、恐らく苦悶の表情で満ちているだろう。
 そしてさらにそこへ、
「投降せいと言っておろうが――!」
 冬路が銃剣を携えて天狗を狙う。
「ろ、露出狂を……」
 しかし天狗もやられっぱなしでは無い。
 ハイスピードを活用し、向かってくる銃剣をかわせば一言。
「舐めんなぁゴルァ――!!」
「ヒィッ!?」
 天狗……というか、変態の妙に凄みのある気迫に、冬路が一瞬気押される。
 そしてその一瞬を天狗は見逃さなかった。脚に力を入れ、冬路の横を思いっきり走り出す。
「待て!逃げるのか臆病者!」
 アッサムードの声が響く。続く言葉は、分かりやすい明らかな挑発で――
「中途半端に褌した上に天狗の面などをつけるような半端者め――私なんぞ、力を付ける前から脱いでいたぞ――!」
「それは誇って言う事なのかぁ――!?」
 ――しかし再び天狗の脚は止まる。

●変態の終焉
「君の性癖、共感はしないが理解はしている……だが、まだその二つのお面と褌で隠している……」
 アッサムードの挑発に続いて、言葉を紡ぐのは楓理だ。先程とは口調が変わり。
「君はまだ半端者だ! 捕まっても天狗の仕業にするつもりか!」
「私が半端だと……これで?!」
 言いながら顔と股間の面を差す。それに対しアッサムードが、ああ、と呟いて。
「半端だな。本当の脱ぐとはこういう事だ!」
 マントを勢いよく脱げば――何も無い、ように見える。
 周囲が暗いためだ。来ている服の色も保護色の様な物になって、非常に見えにくい。
 だからこそだろうか。天狗には彼が何も身につけていないように見えたのだ。
「そ、そんな馬鹿な――下は無だと!? そんな事が」
「隙ありぃ――!」
 声と同時。天狗の後頭部に激しい衝撃が加わる。
 ――隼人だ。サーベルの峰の部分で思いっきり叩きつけたようで。
「ぐぉお!? あ、頭がおぶぇ!?」
「さっきはよくも驚かしてくれたのう!」
 後半で天狗が奇声を挙げる。
 今度は冬路だ。ただし、攻撃は後頭部ではなく、股間の面に向けられた物で――天狗は悶絶している。面にヒビが入る勢いだったようだ。
「お主の気持ちは……ううん、分からぬが、親も泣いておろうに!」
「やめて……! 精神的な攻撃と股間に攻撃はやめて……!」
 現在進行形で涙を流しながら、天狗は立ち上がる。かなりやせ我慢しながら。
「だがまだ諦めない……! うぉお――!」
 天狗は再び走り出す。包囲の薄くなっている所へと。
「ここは通さない……!」
 しかしそこに守夜が立ち塞がる。
「邪魔をするな――!」
 天狗は吠える。ナイフを握りなおし、守夜に向かって振るう。振るい続ける。
 だが、守夜は腕を畳んで防御の姿勢。ナイフによっていくつか肌が裂かれるが――それだけだ。致命的なダメージでは無い。
「――ォオ!」
 やがて一瞬の隙を付いて、守夜が攻勢に出た。
 一歩、大きく踏み込んだ守夜は天狗の首に噛み付き、もとい吸血を行う。
 その時間は天狗の抵抗もあって、およそ一秒にも満たない物であったが、
「……不味い、もう一杯!!」
 某CMの様なコメントを言うだけの余裕は出来たようだ。
「く、くそう――! なら別の場所に……」
「そうはさせないよ!」
「逃げれると思った? 甘いよーぺろきゅんよりも甘いよ――!」
 他の逃走ルートを探そうとした天狗だが、その前には回り込んだアナスタシアと菊之助がいた。
 アナスタシアは牽制を目的とした業炎撃を放ちながら、人体の急所――顎や鳩尾も狙った攻撃を加えていく。
 そして菊之助も近くの遊具を足場として高速で跳躍し、鋭いレイピアの攻撃を天狗へと繰り出した。
 天狗は必死に抵抗するも、絶えず繰り出される攻撃に、防戦一方となるだけだった。
「変態に……天誅――!」
 そして、当初は放心していた文だったが、時が経てば冷静さを取り戻す。
 天狗の死角よりギャロッププレイによる攻撃を加えたのだ。全身から放たれた気糸が、天狗を包み込もうと。
「ま、まずい……! ああ、捕まる! 野外拘束プレイが始まる――!」
「違う――! 後半色々違うよ変態ぃ――!」
 必死にもがく天狗。手に持つナイフを振り回し、なんとか脱出に成功するが――
「な、んだ……か、体が……上手く……」
 手が震え、足が震える。――麻痺だ。ギャロッププレイの効果が発動したのだろう。
「――うむ、まぁ半端者にしては頑張った方だろう」
 そう言いながらアッサムードが痺れる天狗の前に立ち、続けざまに言い放つ。
「御褒美だ。存分に受け取りたまえ!」
「ち、ちょ、っと、待――」
 天狗の震える最後の言葉は続かない。
 アッサムードの股間より発せられたブラックジャックの光によって、天狗の顔面は飲み込まれたからだ。

 公園に、露出狂の絶叫が一つ響く。

●天狗は討たれた
「天誅! 天誅! 天誅なんだから――!」
「よくも気色の悪いモノ見せてくれたねぃ、夢に出たらメッするよぅ!」
 戦いは終わった――のだが、色々やはりこの変態に思うところはあるようで。
 文とアナスタシアの二人が気絶している天狗の頭部を殴りつけている。余程この変態は嫌だったらしい。
 既に顔に張り付けていた天狗の面は破砕していて、その素顔が明らかになっている。
 と言っても、その素顔は取り立てて特徴の無い、いわゆる普通の人の顔だったが。
「全く……こんな変態がフィクサードだなんて、世も末だよ……」
 公園のベンチに座りながら、菊之助が呟くように言葉を。その手にはガムテープとシーツが握られていて、拘束の準備をしているようだ。
「まぁ捕まったから良いんじゃない? ――あ、こっち緩いな。真結びしとこう。なぁ予備ロープのもうちょっと無いか? なるべく硬めの奴が良いな」
「こんな変態二度と世に出しちゃいけないな……もうちょっとキツく縛っとくか。あ、俺にもロープ下さい。なるべく硬めの奴」
 隼人と守夜は天狗の体を持ってきたロープで縛りつけていた。何度も縛りを確認し、厳重にしている。
「ねぇどーする? この股間のも取っちゃうー?」
 ヒビの入った股間の仮面を楓理が指で突きながら言葉を発した。突くたびにヒビが広がり、今にも壊れそうだ。それを見た冬路が苦笑いを浮かべながら、
「い、いやまぁ。それは外さなくても良いんじゃないか? 今にも壊れそうじゃし……」
「うーん、そう? でも褌穿いてるみたいだし、別に良くな――」
 い? と続けようとした楓理だったが、“今にも壊れそうな”仮面はまさしくその通り。
 たった今壊れた。
「あらら、結構簡単に壊れちゃったね」
「ついでに褌も取ってやればいい。それでようやく一人前だ」
 マントを羽織り直したアッサムードが天狗を見下ろす。
「我らは孤高、常に誰からも理解されることはない――」
「露出狂が誰かに理解される事あるんだろうか……ま、ともかく。後はこのシーツに包んで撤収だね!」
 しっかりとロープで天狗を拘束した後、菊之助の持っていたシーツで天狗を包む。
 さらにその上からロープを縛りつけ――いわゆる簀巻き状態である。もはや天狗の姿はシーツに包まれて見る事が出来ない。
 いや、今後この付近で見かけることすら出来なくなるだろう。はたしてこの天狗がマトモになるのかどうかは……神のみぞ知ると言う奴である。
 まぁともあれ、今夜の一件によってこの住宅街に変態の出ない平和が舞い戻ったのは言うまでも無い事だろう。
 ああ、今日も今日とて天狗ではなくリベリスタが世を駆ける。人に見られずとも、どこにでも、どこまでも。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 初シナリオでした。【天狗が駆ける】如何でしたでしょうか?

 皆様のおかげで天狗は見事、打ち倒されました。
 これで変態は一人、星になったのです……まぁ多分、引き渡されたこの変態はその内更生したと思います。……多分。

 ともあれ、参加された方々は有難うございました。
 【天狗が駆ける】これにて終了です。