● 暗闇の中で、じゅるじゅると、私は音を立てて其の液体を啜る。 ソラには冷たく輝く丸い月。 吸血鬼映画にでも出てきそうな最高のロケーションで、私は獲物の首から血を啜る。 温かい液体が喉を滑り落ち、それと引き換えにする様に獲物の身体は冷たくなっていく。 なのに、なのに、血を、啜っても啜っても、鉄錆の味しかしない。 沸き起こる吐き気は生理的反応。血を口にすれば当然起きる、嘔吐反応。 何故なら、私はヴァンパイアでは、吸血鬼では、ないからだ。 私はジーニアス。天才と呼ばれるカテゴリに分類される一人。 だが、私は天才でなくて良かった。ただ、ヴァンパイアに、吸血鬼に、なりたかった。 幼い頃に見た映画の、美女の首筋に顔を埋めた妖しくも美しい魔に、私はなりたかったのに。 力に目覚めた事で、私は更に乾いた。目の前にあるのに、手が届かない事を知ったから。 でも、けれども、私は血を啜る事をやめない。嘔吐きを堪え、喉を鳴らす。 啜って、啜って、啜り続ければ、何時かこの吐き気を催す液体が、小説に出て来る様な甘美な蜜の味として感じ取れる日が来るかも知れないではないか。 昔信じた常識は嘘だった。ならば、ジーニアスがヴァンパイアにはなれないという通説も、私は嘘にしてみせる。 私は諦めない。何人、何十人、何百人を飲み干そうと、私は私の憧れを実現するのだ。 ● 「一つ人の世の生き血を啜り……、とは言うが、実際に血を啜りたいと思う者はあまり居ないだろう」 集まったリベリスタ達を見回し、『老兵』陽立・逆貫(nBNE000208)が用件を切り出す。 少し、皮肉気に。 「無論ヴァンパイア達は別だろうけども。……つくづく人外へと堕ちた事を再認識させられるな。さて、今回はヴァンパイアではない『吸血鬼』が起こす事件に関してだ」 ばさりとテーブルの上に撒かれた資料の一番上には『黄泉ヶ辻』の名が記されていた。 「そう、今回の相手は日本に巣食うフィクサードの主流7派の中でも最も理解しがたい閉鎖主義者ども、『黄泉ヶ辻』に属する者が相手だ」 逆貫の口から溜息が漏れる。大きく、忌々しげに。 資料 フィクサード:『吸血症候群』血味・盲猟 閉鎖主義『黄泉ヶ辻』に所属するフィクサード。種族はジーニアス、ジョブはナイトクリーク。 吸血鬼に憧れ、他人の血を啜る若い男。映画に出てくる吸血鬼の様な格好(マント等)をしている。 狼と蝙蝠のフェーズ2のE・ビーストを何らかの手段で従えており、そちらの危険度も非常に高い。 超再生、ハイテレパス、面接着を使用。 所持アーティファクトはナイフ『牙』と、ナタ『ヴァンパイアキラー』。 所持EXはメルティキスを独自に発展させた『エンヴィーミー』。 ナイフ:牙 捻れた牙を思わせる形状のナイフ。この武器を用いての攻撃が命中した場合、対象に出血を付与する。 ナタ:ヴァンパイアキラー。 細かい装飾の施された、ヴァンパイアの首を切り落とす為のナタ。この武器を用いての攻撃が命中した場合、対象に失血を付与し、更に攻撃対象がヴァンパイアだった場合其の攻撃には必殺が付く。 EX:エンヴィーミー 呪いにより癒せない傷を作る事で血の匂いに酔い自身の体力を回復します。 物近単、流血、猛毒、致命、HP回復。 E・ビースト:Wempti(蝙蝠) 人を後ろ足で抱えて飛べるだけの、超巨大サイズを誇る蝙蝠のエリューション。翼を広げての体長は5mを軽く超える。 フェーズは2。 攻撃力は狼に比べると劣るが、遠距離範囲に混乱付きの命中の高い超音波攻撃を放ってくる。 動きが早く移動範囲も広い。またこのエリューションは混乱しない。高速再生相当の再生能力も所持。 E・ビースト:Uber(狼) 虎やライオンよりも巨躯の雌狼のエリューション。尾まで合わせれば4mを軽く超える。 フェーズは2。 近接単体攻撃しか所持しないが、其の攻撃力は非常に高く、其の爪や牙の鋭さは失血も招く。 動きが早く移動範囲も広い。またこのエリューションは背に人を乗せても移動範囲が低下しない。高速再生相当の再生能力も所持。 「諸君等には狂おしい程になりたい物があるだろうか? 届かぬ手に絶望した事はあるだろうか? 何れにせよ、今回の敵は厄介だ。全てを倒し切る事は非常に難しいだろう。撃退を目標としてくれ」 逆貫は何処か暗い瞳でリベリスタ達を、羨望と絶望を込めた瞳で見詰め、 「では私は、そうだな。諸君等の健闘を祈ろう」 リベリスタ達を送り出す。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:らると | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年07月06日(金)23:20 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 今宵も望んだ姿にはなれなかった。運命の恩寵はまたも彼の期待(おもい)を裏切った。闇夜に浮かぶ月は嗤うばかりで何も齎してはくれない。 ――嗚呼、何時になったら此の鉄錆は、月光よりも酔える美酒となり喉を潤してくれるのか。 謡う様に彼は呟く。 心持軽く、そして随分と冷たくなってしまった獲物の体を手放し、『吸血症候群』血味・盲猟はゆっくりと立ち上がる。 口元から血の雫が垂れ、硬いコンクリートの床に落ちた。 夜の空気が心を冴え冴えと、体の細胞の一つ一つに力を与えてくれるような、そう、まるで夜の眷属になったかのような、錯覚すら覚える。 なのに、 「本当に無粋だな。君たちは」 屋上への扉を開いて現れたのは、 「この様な月夜は、貴様らの様な存在を色濃く照らし出してくれる。……悪いが、それまでにして貰おう」 明確に敵意を向けて来る彼の敵、フィクサードにとっての敵、リベリスタ。 言葉と共に拳を真っ直ぐ盲猟へと向けるは『閃拳』義桜 葛葉(BNE003637)。 夜が、リベリスタとフィクサードが放つ闘気に揺らめき濁る。 「憧れは所詮憧れ」 闘気に呼ばれたかのように、風が吹く。 現れたリベリスタの一人、『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)の言葉に応じるように、盲猟は狩りの為の道具、ナイフ型アーティファクト『牙』を抜き構える。 「気分出したいならトマトジュースをお勧めするが。ヴァンパイアなんて、ゴキブリや下着に吸血する連中だぞ?」 まあそんな業の深いヴァンパイアはアークにしかいない。世間一般のヴァンパイア様に聞かれたら、ユーヌはダッシュで勢いつけて殴られても文句は言えないと思う。 「血を啜って満足する程度の性癖とは訳が違う。別物を目指して上手く行くはずがないだろう?」 故に、盲猟は其の言葉を、そして其の挑発染みた言葉の影で行われた、七布施・三千(BNE000346)の聖神の息吹、盲猟の願望の犠牲となった女性を救う為の一手を、馬鹿馬鹿しいとばかりに鼻を鳴らして笑う。 出血が止まり、頬に赤味が戻った女性。 女性から引き離さんと振るわれたランス、『逆襲者』カルラ・シュトロゼック(BNE003655)の一撃を、盲猟は大きく飛び退って回避する。 屋上と宙を遮る鉄柵の上に、ピタリと足を吸い付かせて盲猟は立つ。飛び去る様も、立つ様も、まるで映画のワンシーンの様に芝居がかって、其れが彼の余裕を窺わせる。 元より盲猟はもう女性に用は無い。例え人質にした所で、リベリスタ達は躊躇いはするかも知れないが、結局は女性ごと盲猟を貫いて来るに違いない。 フィクサードとリベリスタの差など、結局は己に酔うか、与えられた大義名分に酔うかの違いに過ぎないと、盲猟は思う。 どうせ既に中途半端に人間を止めてしまったのだから、人間のフリに、人間にしがみ付く事に何の意味があるのだろう? 故に最早女性には何の価値も無い。全く美味しくはなかったがご馳走様。ありがとう。 月に照らされ、二つの大きな影が舞う。 蝙蝠と狼。WemptiとUber。名付け手懐けた彼の友にして下僕。吸血鬼にならんとする彼の使い魔。 「Wempti、Uber、今夜はお前達にとっても良い夜だ。血の抜けた死体じゃない。今日のお前達の馳走は活きの良いリベリスタ。存分に嬲り、存分に喰らおう」 柵を蹴って軽く飛び、降り立った先は巨大狼の背。ぴたりと吸い付く足は、躍動する狼の背をも足場とする。 戦いの火蓋が切って落とされる。 ● 「首輪もせずに躾がなってないな? まぁ、待てが出来る程度には躾けてやろう」 舌から毒を撒き散らし、真っ先に狼の前に飛び出したのはユーヌ。最初から血味が其の背に乗った事は想定外であるが、それでもやる事は変わらない。 進路を塞いで狼を押さえ、仲間達が蝙蝠を仕留めるまでの時間を稼ぐ。 そんなユーヌの背後で、三千が翼の加護を仲間達に与え、リベリスタ達は空へと舞い上がった蝙蝠を仕留めるべく同じく空へと戦場を移す。 けれどそれは、狡猾に仕掛けられた盲猟の罠。 「君が抑える間に厄介なUberから落とす作戦か。賢いな。悪くない。アークは良い目を持っていると聞いたが、成る程。……良い手だ。私にとっての都合が良い、だがな」 解き放たれる呪力。空に浮かぶは創り出された赤の月。バッドムーンフォークロア。 赤光に貫かれたリベリスタ達の身を不運が縛る。地上に居り、ある程度の回避を持つユーヌならば兎も角、空へと飛び上がったリベリスタ達や、元より回避を不得手とする者に其れを避け切る事は難しい。 フィクサード、血味・盲猟の恐ろしさは身に帯びたアーティファクトやEX技・エンヴィーミーだけに非ず。寧ろ使い魔である狼や蝙蝠を足場に使うなら、エンヴィーミーは味方を巻き込むリスクが生じる。 故に蝙蝠や狼、混乱や失血を与える彼等と組んで真価を発揮するのは、目立つ其れ等では無くこのバッドムーンフォークロア。美しい血色に染まる、高貴な月。 だが盲猟の連携は、陶酔は、力によって砕かれ、驚愕によって塗り潰される。 振るわれた技はメガクラッシュ。何の変哲も無い、デュランダルならば誰しもが使える、神秘界隈でなら特に今更驚きを生もう筈の無い其の技。 技を振るうは『銀騎士』ノエル・ファイニング(BNE003301)。盲猟の放った赤光をまともに喰らい、更には動き出しも呆れるほどに遅かった、盲猟から見れば取るに足りないと断ずるに充分だった其の女の放った一撃は、ありえない威力を秘めていた。 正確に盲猟の防御を貫き、其の体を狼の背から弾いたメガクラッシュ。重すぎる威力に吹き飛ばされた盲猟のぶつかった鉄柵が千切れて破損する。 嗚呼、確かにノエルの操る白銀の騎士槍は巨大だ。だがそれにしてもこの威力はメガクラッシュではありえない。それに輪をかけるのは其の技の正確性。 「何かになりたいと思うのは結構。それが狂っているとも言いません」 其の破壊を生み出したばかりとは到底思えぬ涼やかな声で、ノエルは槍の穂先を盲猟へと向ける。 「ただわたくしは自身の信念に従ってあなたを討ち果たす。それだけの事です」 だがその声の奥底に秘めるは、信念と言う名の狂気、信仰、……狂信。 彼女の運命は世界の為に。彼女の槍は世界の敵に。盲猟に対しての怒りも憎しみも抱かずに、ただ世界の為に敵を討つ。 嗚呼、なんて気持ち悪いんだろう。そう言えば、組織の仲間に聞いた事がある。白銀の巨槍を携えるアークの騎士。フィクサードに、黄泉ヶ辻に仇なす銀騎士。 「……全く度し難い。無粋にも程がある。正義に狂った、正義に縋る、正義の威を借りた、破壊者め」 口から零れた血を拭い、立ち上がった盲猟が吐き捨てる。 ● 空を、幾つもの影が舞う。 「大きければいいってもんでもないですね」 蝙蝠が超音波を放とうとした其の瞬間、『熱血クールビューティー』佐々木・悠子(BNE002677)の全身から気糸が放たれ蝙蝠に向かって襲い掛かる。 巨大すぎて、醜悪ですらある蝙蝠。並の人間が其の姿を見れば感じるのは恐怖だろうが、悠子にとってはただ的が大きいだけに過ぎないらしい。 「受けよ、我が拳を!」 そんな悠子の攻撃に併せる様に葛葉の魔氷拳が、 「落ちろっ!」 漆黒解放で生み出した闇を纏うカルラの奪命剣が、次々に放たれる。 そう、彼等にとって蝙蝠は前座に過ぎない。本命はあくまで盲猟なのだ。 こんな所で手間取っている暇は無い。 悠子は思う。 夢見がちの怪物気取りに、怪物の地獄を見せようと。 この身が齎す苦労を、不便を、不幸を、哀しみを知りもせずに憧れ、他人を傷つける事を躊躇わない愚かなフィクサードに、己が牙を打ち立てようと。 勿論悠子も判ってる。そんなのは、唯の感傷に過ぎない事を。だがそれでも、血味・盲猟、このフィクサードだけは許せない。 葛葉は思う。 人でありながら血を啜り、更なる階位を求め願う、人の形をした化物。 成程。確かにこれは吸血鬼の類だと。 その存在が周囲を畏怖させる事が出来るのであれば、もう既に奴は吸血鬼に等しい存在だと。 故に、放置しておく事は許されない。是が非でも此処で討ち取らねばならないと。 そしてカルラは思う。 届かない事への絶望なら幾らでもして来た。 それでも届かせるための努力は今も、ずっと、現在進行形で、続いている。 そう、こんな周りの犠牲なんざ考えもしない奴を、根こそぎ砕けるような存在に、自分は成ると。 盲猟が伝説の吸血鬼を望むなら、カルラは其の吸血鬼すら討つ人間となろうと。 彼等の思いは強く、尊い。 しかし、だが、けれど、其れでも尚、届かない場所が其処に在る。 侮るなかれ。蝙蝠の名はUber。トルコ語で魔女を意味する其の名は決して伊達ではないのだ。 彼等の攻撃は外れこそしなかったものの、蝙蝠の身を掠めただけに終わってしまう。 生まれ出でた時より空を舞う力を持ち、夕闇の空を棲家とする蝙蝠に比べれば、彼等は圧倒的に空での戦いの経験に劣り、そして其の背に持つ翼、三千の翼の加護が与えた小さな翼は、彼等の想いを乗せるにはあまりにも小さすぎる。 彼等の想いを嘲笑うかのように旋回し、致命傷を避けた蝙蝠を、けれども其の回避行動で生まれた隙を逃さず矢が、気糸が貫く。 蝙蝠の回避行動を完全に見切り、魔の力を込めた矢を放ったは『不誉れの弓』那須野・与市(BNE002759)。 『どうせこれは当たらない』とネガティブに呟きながら矢を放った彼女だが、其の言葉とは裏腹にその命中精度は今回参加したメンバーの中では他の追従を許さないレベルを誇る。 更には攻撃後、即座に位置を変えてアーリースナイプの最大の強みである射程距離を活かす抜け目の無さも彼女は持ち合わせていた。なのに何故こんなに自信が無さそうなのだろう。 与市の矢と、『忠義の瞳』アルバート・ディーツェル(BNE003460)の気糸が、空を舞って戦う三人の攻撃に意味を与える。 空を飛んで接敵してくる三人に気を取られれば地上からの正確無比な攻撃に貫かれ、かといって地上の攻撃を警戒し過ぎれば、空戦に慣れた蝙蝠とて三人の前に其の優位を失う。 この状況を打開するには、そう、もっと高く、地上からの攻撃を避けてもっと高く舞えば良いのだが……、けれどそれをすれば主人である盲猟から離れすぎてしまうのだ。 放つ超音波のダメージも、三千の聖神の息吹の息吹の回復力の前には充分なダメージとはなりえない。 じわり、じわりと、追い詰められていく蝙蝠。 ● だが戦いの終わりは蝙蝠の限界よりも早く訪れた。 気糸に縛られ身動きの取れぬノエルを、エンヴィーミー、ある香水の名から取られた、嫉妬を其の中に含む、盲猟の必殺技が切り裂き沈める。 私を見て嫉妬せよ。そして我が嫉妬を知るが良い。 盲猟の複雑な想いの込められたその技を見、アルバートは思わず小さく舌を打つ。 其れは仲間であるノエルが倒されてしまった事以上に、エンヴィーミー、其の技の模倣が自分には決して不可能と悟ったが故に。 想い届かぬ。アルバートはあれ程までに切望できない。憧れ以上に、其の対象に使える忠義が心を占めるが故に。嫉妬で、彼の大事なお嬢様を燃やし殺せぬのなら、技に乗せられた想いに彼が真に共感する事など出来ようものか。 力も届かぬ。アルバートの中にあれを構成する要素が無い。エンヴィーミーの元となったメルティキスすら持たぬ彼に、どうして其れが再現出来ようか。 倒れたノエルを見下ろし、指笛を吹き鳴らす盲猟。 攻撃においては盲猟の心胆寒からしめた……或いはもっと単純な言い方をするならば恐怖させたノエルだが、しかし防御に回れば彼女には大きな穴がある。 其れは速度の遅さと回避の低さ。例えば彼女は、バッドステータスには弱い。 其の性能を攻撃に偏重させているノエルは、足止めに向いた人材とは言いがたいだろう。 指笛は撤退の合図。傷付いた蝙蝠はより高く空へ。ユーヌの呪縛に捕らわれていた狼は身を震わせて呪縛を引き千切り、大きく跳ねて屋上の外へと姿を消す。 「逃がすかよ!」 空より叫ぶカルラに、けれど盲猟は唇を歪め、 「逃げではないさ。彼女の健闘を称えての撤退と言わせて貰おうか。……今までは侮っていたが、リベリスタの狂気確かに味わったよ」 逃がすまいと迫るリベリスタ達も、先程まで別の相手と戦闘していた為に盲猟とは距離がある。 ふわりと、屋上の縁から身を躍らせる盲猟。其の落下先に待ち受けるは、Wempti。リトアニア語で飲むと名付けられた狼。 「では御機嫌よう。次に会う時は、本当の吸血鬼に成っている事を、君たちも願ってくれると私は嬉しい」 リベリスタ達が必死に放つ技がビルの屋上を抉り、宙を裂く。けれど、けれど、もう、彼には届かない。 生き血啜る人の姿をした悪鬼が去った屋上で、眠る女性を、救われた一つの命を、月は優しく見下ろしていた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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