●永遠闘争 それはたった一つの事が原因だった。 ブリーフィングルーム。その机の上に置かれていたのは二つの箱。 それが、そんな物があったから“こんな事”が起こっているのだ。 「うぉぉぉおぉ死ねやぁ――!」 「くたばるのはテメェだ裏切り者ォ――!」 つい先ほどまで仲間であった筈のリベリスタとリベリスタ。 彼らが血を流して争う程の原因。 それは遥か昔から続けられているある意味での、永遠闘争。 人はその闘争……いや、戦争の名をこう言う。 K I N O T A K E ・ W A R ! ●ヒャッハ――! キノコとタケノコだ――! 「あ、ちなみに机の上にKINOKOとTAKENOKOを置いたのは私だ」 そんな訳でだいたいコイツ(『ただの詐欺師』睦蔵・八雲(nBNE000203))の所為であるが――まぁ楽しんだ者勝ちである。 さぁ楽しい楽しい血みどろお茶会の時間ですよ――! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:茶零四 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年06月20日(水)23:53 |
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●ROUND1 ファイッ! それは三高平公園のど真ん中での出来事だった。 「諸君、私はTAKENOKOが好きだ。 諸君、私はTAKENOKOが好きだ。 諸君、私はTAKENOKOが大好きだ。 プレーンが好きだ。 バナナ味が好きだ。 クッキー&クリームが好きだ。 苺味が好きだ。 ティラミス味が好きだ。 宇治抹茶味が好きだ。 平原で 街道で 草原で 公園で 家庭で 学校で 職場で 車上で 海上で 空中で この地上で食べられるありとあらゆるTAKENOKOが大好きだ」 故に、 「第二次ターケノコォー作戦、状況を開始せよ――征くぞ諸君」 と言う訳で初っ端からセレアのテンションMAXの演説が鳴り響いた! 何コレどういう事なの教えて少佐殿。 「つまり、今この戦場で生き残っていいのはKINOKO派だけって事よ」 声はTAKENOKO派とは真逆、KINOKO派陣地後方。烏頭森である。 これからの闘いの凄まじさを想像すれば祈る様に、あるいは挑発する様に十字を切って、 「懺悔し、後悔しなさい。おぞましきTAKENOKO崇拝の異端共――アーンダースタァーン!♪」 リズムを刻んで銃弾を乱射した。 神速の連射が響けば、同時に阿鼻叫喚。開戦の号砲。何でもいいがとにかく酷い! 「なんだと優希!? どうしてだ、どうして分からないんだ!」 その中の一角。優希と対峙する翔太はKINOKOを片手に装備して、 「TAKENOKOはチョコ部分が少ないじゃないか、KINOKOの良さはこのチョコの多さだろ! それなのにTAKENOKOとは――血迷ったか!?」 「ハッ、全く解っておらんな翔太は! TAKENOKOのほのかに甘いしっとりとしたクッキーと薄く絡めたチョコの連携が菓子としての質を圧倒的に高めている。チョコが若干多い程度のKINOKOとは違うのだよ! KINOKOとは!」 普段は友同士である彼らも今は敵同士。 互いに譲れぬ一線と言うのはあるのだ。それは信念、意地とでも言うべき程の物である。 ただしお菓子の話だが! 「――ぬ、ぐ……確かにそういった面もあるかもしれんが……分かった。TAKENOKOの良さも認めよう」 やがて翔太の方が折れたのか、妥協の姿勢を見せ始めて。 「だが良く見ろ……この依頼のタイトルを!」 翔太がどこぞを指差す先、そこにあるのは【KINOTAKE WAR】の文字である。 これが一体何を意味しているのかと言えば、 「KINOTAKE WAR……KINOが先に来ている! つまり、KINOKOが優勢で無ければ、勝っていなければおかしいんだ! これは……世界の概念レベルで確 定 的 に 明 ら か !」 「な、なんだと!? クッ、これは盲点だった……KINOKOの文字が先とは、既に優劣が付けられている……! これは、これは何かの陰謀では無いのか!?」 KINOKOの良さに関しては優希も認めていない訳ではない。 されどそれでも――TAKENOKOこそ至高と思っている。TAKENOKOこそ、王者であると。 実際に闘いは若干だがTAKENOKO優勢に働いている。その理由はごく単純。数が勝っているからである。 「数に任せた蹂躙しかできねーんだなTAKENOKO軍は流石汚ぇ! 教えてやんよ、物量なんて吹き飛ばすワールドスタンダードKINOKOの力!」 その時だ。TAKENOKO本陣に突撃するは創太と夏栖斗。 双方ともに勿論KINOKO派だ。数の優劣如きひっくり返してみせるとばかりに駆ければ、 「底辺が、最上級にィ――」 もう一つの影がTAKENOKO派から出撃する。 「突っかかってんじゃ――ねぇよ!」 ――火車である。炎を纏った拳と共に、夏栖斗を迎撃せんとすれば言葉を放つ。 「KINOKOなんてなぁ、テキトーに小麦粉固めたモノにチョコ塗りたくってるだけだろうが! 海外の人気はマーベラスだろうが、ここは日本、そしてオレはジャパン! 日本人だコラアアアア!」 「残念、僕はクォーターだから関係ないね! あと日本人ってジャパニーズじゃね!? それだと火車きゅん=日本にならね!? 火車きゅん国じゃね!?」 「んな細かい事どっちでもいいんだよォ――! その場凌ぎのオフザケ菓子如きが日本の雅たるTAKENOKOに僅かでも勝てるとか馬鹿な事思ってんなら、日本から立ち去りやがれ!」 二撃目が放たれる。狙いは腹だ。腹パンだ。 某悪魔の如きフェイトを削る腹パンではないが、それでも当たれば強力な一撃である。故に夏栖斗は、 「お前のきのこを見せつけろ! 創太バリアァ――!」 「テメェ、この御厨ァァァ! ぐあああああ!!」 射線に無理やり創太を割り込ませ、肉壁を作り上げた。 直後に響くは腹パン音。鈍い、鈍い音である! 「こ、この野郎……! くらえ、秘儀! EX・御厨アタック――!」 対して創太は片膝つこうとする体を無理やり立て直し、夏栖斗の首根っこを掴み取る。 そうして電撃纏いしEX・御厨アタック(*ギガクラッシュ)を近場の火車に投げて叩きつければ、 「ウェールカーム、カズト。オラァ! さっさと腹出せやァアアア!」 「ちょ、ま、火車きゅん目が本気じゃね?! あ、遊びに本気になるのは僕どうかと、ああ、ちょっと、マジ! マジやばい! そこ駄目えぇえええ!」 ダメージを負いつつも投げられた武器(カズト)を全力で受け止めて今度こそ腹パン連打を開始した。マウントポジション的な位置で、君がッ! 泣くまで! 殴るのを止めないッ! 「南無阿弥陀仏! 南無阿弥陀仏――! 成仏しろぉ――!」 「死亡前提で唱えるのやめてんくんないマジで!? って、もご、もごごごご――!?」 そしてフツが抑えられている夏栖斗の口に詰めるはKINOKO。 抗議の声も知らぬ、とばかりに問答無用で口に詰め込んで行く。あの、同派閥…… 「派閥じゃない! 俺は今回、御厨と新田にKINOKOをぶち込んでやれればそれで良いんだ――!」 「あ、あれ? なんでこっちに矛先向いてんの!?」 フツの狙いは夏栖斗と、お茶会席の方に居る快である。 唐突に向けられた狩りの視線に戸惑いはあるが、しかし動じない。なぜなら、 「KINOKOとTKANOKOに分かれて闘いに明け暮れている彼らには分からないだろうけど……HPTNこそ、ハピたんこそが最高だよ!」 そう、彼はハピたん派。いわゆるhappyがturnしてくるアレである。 残念な事にハピたん派は彼と――もう一人しか今回いないのだが、ハピたんの威力自体は凄まじい。何せ付いている粉が劇薬だ。指に付いた粉を、袋に残った粉を舐めた経験の人物も恐らく多いのではないだろうか。誰だってそーする。快だってそーしてる。 「まぁ最近はハピたん最大の特徴たる粉が対象にされた“特定製菓類付属の粉末状調味料単独摂取に関する法律”が法案提出されそうなのがネックだけどね……ま、確かにこの粉の出力を考えれば無理からぬ話かもしれないけれど。だって250%だよ! 250%! これはアレだね、一個食べれば2.5個食べたって事で良いよね!」 いわゆる“幸せの白い粉”の事であり、つまりどう聞いても麻薬のキャッチフレーズですどうも有難うございました! そんなハピたん中毒(末期症状)のBSに掛っている快はともかく、お茶会席の方は比較的穏健な雰囲気が―― 「ギャアアアアア――!」 ……訪れてたら良かったなぁ。 ●お茶会ルーム! 事の発端は数分前に遡る。 「八雲さん、こんにちはぁ~♪」 お茶会席の一角で紅茶を飲んでいた八雲の膝に、とらが笑顔で飛びこんで来た。 何故だかその笑顔に若干の不安を抱くも、首に腕を回されている為逃げられない。そしてそのままの体勢でとらはKINOKOを八雲の口へと近付ければ、 「お茶会楽しいねぇ、はい、KINOKOアーン☆」 「ハハハそうだな。たまにはこんな平和でも、」 「KINOKOおいしいねぇ、はい、もう一つアーン☆」 「ハ、ハハ。KINOKOも中々美味しいな、だがちょっと待てまだ噛めてな、」 「KINOKO最高だよねぇ、八雲さんもそう思うでしょぉ? まだまだ沢山あるんだからねぇ?☆」 「ちょ、ま、」 反論するより早くとらはKINOKOを詰め込んで行く。 噛む暇が無い? そんな事は知らない。口の中の隙間と言う隙間に息するよりも早く詰め込んで行く。八雲が逃げようとすれば椅子ごと押し倒してそのままマウントポジションで。 「あれれ~? なんで八雲さん、マウント状態でKINOKO詰められるの?」 言葉の主は壱也。やけにニッコリとした笑顔で八雲を見下ろしている。 その左手にはTAKENOKOが握られていて、 「TAKENOKO派なんだよね? それじゃあ食べたKINOKOの量よりTAKENOKOをさらに食べないといけないよね! 口が塞がってるみたいだけど“穴”があれば大丈夫だよね~? まぁ安心して。まずは口から行くからまずは」 「もが?!」 “まずは”という言葉に絶対的な不安を感じたが時すでに遅し。とらにKINOKOを詰められ、壱也にTAKENOKOを強引に咥えさせられるというなんだ、この、なんだ! 二人とも結託してるコレ! 「フッ……まぁ我々はゆっくりとお茶をしようじゃないか…… 同志“アル FOR TO”派としてな……」 「ええそうですね。至高はKINOKOでもTAKENOKOでも無い……“R4-to”です」 若干表記は違うが、意味は同じ。零二とシエルは“R4T”派なのだ。 チョコレートの裏にビスケットが付いている菓子勢品。それをシエルが用意したテーブルの上で食している。中央の花瓶には季節の花が添えられ、実に穏やかな空気が流れれば、 「珈琲です。どうぞ……」 「あぁ、有難う。お礼に私も珈琲を入れよう。我流だが……飲んでみてくれ」 静かに差し出された珈琲の礼に、零二は珈琲豆を挽く。 まずは荒く挽いた豆を用意して、その後に細かく挽いた豆をブレンドだ。湯を注げば周囲に珈琲特有の香ばしい匂いが広がる。 「午後の一時にはやはりR4-toですね……」 甘いチョコレートとビスケットの組み合わせに、ほろよい苦みを持つ珈琲の組み合わせ。 争いが激化する最中において、実に緩やかな空気がR4T派には流れていた。 「ですが……KOEDAも負けていませんよ」 言うはカイ。手に持つは某棒状チョコレートとして有名なKOEDAだ。 「KOEDAは食感がとても美味しく…… クッキーでチョコの量を誤魔化したりなどしない程潔く…… そしてバリエーションもKOEDAミルク・ホワイトKOEDA・White Big Tree KOEDAと豊富……正しく王者として君臨するに相応しい!」 「その通り! やはり小枝こそが頂点ですよね」 賛同する京一もKOEDA派だ。 と言っても彼は戦争しに来た訳では無い。故、争う訳でなくKOEDAが好きと言うだけである。いざとなったら逃亡準備もバッチリだ。 「フフフ、KINOKOとTAKENOKOの二大勢力の時代もここまで…… 今こそKINOTAKE WARに横合いから殴りつける時ッ! KOEDAの天下が始まるのです! ――まぁやる事は傍観なんですけれども!」 血みどろの争いを横目に、むしろそれを高みの見物状態でKOEDAを優雅に食べる。 負傷していく二大勢力をマトモに相手する必要などないのだ……戦わずして勝つ。それが、それこそがカイの作戦なのだ! 「ま、そんなこんなで珈琲どうぞ。ミルクやホット・アイスはお好みで」 近場の参加者に珈琲をふるまうカイ。参加者全員分用意した上にお好みでホットやアイスも選べるとは実にサービスが行き届いている。――その中で、 「KINOKO? R4T? KOEDA? ハハハ。ま、いいんじゃないかな」 落ち着いている様子の終だ。彼は、どこか悟っているかのような口ぶりで、 「誰が何を好きかなんて完全に好みさ……それに、どうせ最後にはTAKENOKOこそが至高と気付くんだ。途中の道の誤りなんて些細な事だよ――ね、八雲さん?」 「ゲホッ、ゴホッ……え? な、なん……ゲホッ、だって……?」 終の問いかけは疲労困憊気味の八雲へと。先のとら達の攻勢から無理やりに逃げだせた様だが、肩で息をしている辺りかなり苦戦したみたいだ。遠くから、逃がさないよー! という不吉な声が聞こえるが気のせいだと思いたい。 「ああ、うん。つまりその頭をTAKENOKOヘアーにしようって話で、ハハハ! どこに行こうっていうんだい八雲さん! オレから逃げると思うのかい職的に!」 「止めろ、離せ! TAKENOKOヘアーは拷問ではないか! な、何をするだ――!」 ハ、ハイスピードまで使って全力で終は追って来た。やだ怖い! 「ハーレールーヤ――!★」 ギャアアアアア――! 「戦争……どうでもいいなぁ。もうお互いチョコだけ食べてれば良いのに……」 そんな中で弐升は椅子に座ってゆったりとしていた。闘いに加わろうとせず、下らないなぁ、などと思考しながら、時折紅茶を口に運んで。 それでもなお、戦争はまだ始まったばかり。 激化するのはこれからであった―― ●ROUND6 ファイッ! お茶会にR4TやKOEDA派が居たように、 戦場にもKINOKOとTAKENOKO以外の勢力は存在する。 その名をSARADA・PRETZ!! しかしその派閥はとうに滅亡した。なぜならば、 「いっけぇー突撃ですっ! ランディ、れっぷーじんで敵陣を全てなぎはらうのです。 TAKENOKOを守るため死力を尽くすのよ、例えその身が朽ち果てようとも!」 「えっ、あの……ニニ、さん? 争い事は好きではないといつも――あ、は、はい! なんでもないです! 烈風陣ですね!? 撃ちます! …………よーしTAKENOKO最高だ――!」 SARADAPRETZ派であったランディは恋人たるニニギアの属するTAKENOKO派に鞍替えしたからだ。その間実に0.2秒ッッッ! まさに即効ッ! これが愛の力で(略) 「うぉぉぉぉおおおおお! 皆ウェハースチョコを食べろぉォ! 異論は認めん、食べろぉオ! そしておまけを寄こせえええ!!」 ラシャが往く。その両手に、四角いウェハースチョコを握りしめて目に付くリベリスタの口の中に放りこんで行けば、オマケだけは回収して。 そう、彼女はウェハースチョコ派。さらに言うとオマケのレア狙いである。 「何を言っていやがる……TAKENOKOこそが唯一無二にして絶対のKingだ!」 その瞬間、現れたのはモノマだ。 「鋭さを魅せる円錐状のBody! Hardな歯応え! Chocoleteの甘さ! 厳しさの中に優しさを垣間見せるHardboiled御菓子! 荒んだHeartを癒してくれるTAKENOKO! 大人も子供も男も女も楽しめるGreatest One! それがTAKENOKOだぁ――!」 NOBUかお前は――! だがモノマの叫びはTAKENOKOを愛するが故にこそ。熱意はしっかりと響き渡った。 「KINOKOとか何なの! 生地はボソボソしてるし、形の崩れたポッ【ZAP ZAP ZAP】ーかよ! R4Tもでかいだけだろ! よく分からないけど船の絵が描いてあるからって気取ってんじゃねぇぇ――! その点T0PP0ってすげぇよな、最後までチョコたっぷ……違ったぁー!」 さらに追撃する形でツァインが言葉を挟む。 ちなみに発音したのはトッ●では無い。T0(ゼロ)PP0(ゼロ)である。オーじゃない。オーじゃないから問題ない! 何も問題ない! 「と、とにかく! TAKENOKOのあのクッキー生地! サクッとホロッと口の中でチョコと蕩けるは正に脳髄へのシンフォニィィ~! お前等も今日から蝋人形、じゃない、TAKENOKO派にしてやるよぉー!」 と、言う訳なので…… 「睦蔵さん何やってんの――TAKENOKO派の首領としてドンと前に立ってくれよ!」 「えっ いつの間に私が首領に、というかソレは首領とドンを掛けて」 「何を安全地帯に居るんだあんたはああああ! さぁ最前線に行くぞ! 徹底抗戦だ!」 「待て! わ、私はTAKENOKOヘアーを直すのに必死で、ぐああああ!」 終によって弄られた髪の毛を何とかしようとしていた八雲に、ツァインは“筍愛羅武勇”“茸仏恥義理”という二つの旗、いや幟を括りつけて戦場へと引き摺って行く。抵抗する力はモノマが業火を帯びた効き腕で殴りつけて黙らせた。やだ鬼畜! 「TAKENOKO派とか、基本的にマジ野蛮だからな。 暴力に訴えるとは思っていたぜ……他のお菓子を貶める辺り下劣畜生だよな!」 「そ、そう思うなら私に腹パンするのを止めたまえ!」 うるせぇ元凶! と、竜一の拳が八雲の腹に抉りこむ。 「反省しろ世界の歪みィィィ! 俺が、俺達が、KINOKOだぁ――!」 「そして私がウェハースチョコ派だぁ――!」 「俺がTAKENOKO武闘派だぁ――!」 「君達総出でフルボッコしにくるんじゃな――い!」 サシャはウェハースチョコを三枚ほど一気に口の中に詰め込ませ、ツァインは某ジ●ガーさんの如くTAKENOKOを、そぉい! すれば、 「TAKENOKO、TAKENOKO、TAKENOKO! 勝ったらきっと増産ね! 沢山食べるわよ――!」 「ニ、ニニ! あんまり興奮して本気出すな、俺にも当たる! 痛、痛い痛い! くそう烈風陣、烈風陣! うぉおおお!」 KINOKOへの攻勢をニニギアがやたら張りきって強めていた。あんまりにもテンションだだ上がり中の所為か、魔力で作りだした矢が旧サラプリ派のランディにも当たっている。 しかしそれでも止まらない。止まる訳にはいかないのだ。必ず勝って、御褒美の増産TAKENOKOを食べる為に! でもそんな増産予定は無いのだったッ! 御免ね! 「バランスと言いながら裏で悪質なテロを行うTAKENOKO派こそが平和を乱しているんだっ! KINOKOこそ正義!!」 「あ~らごめんなさぁ~い! ゴミかと思って撃ち抜いちゃったわぁ~!」 語尾に“www”という(笑)がネット上だったら付きそうな口調で、烏頭森がKINOKO以外の菓子を穿って行く。特にTAKENOKOを。TAKENOKOを! そしてその動きに守夜が連動する。飛び交う銃弾の隙間を縫って足を蹴り上げればカマイタチが発生し、TAKENOKO派を容赦なく襲っていけば、 「おのれKINOKO風情が! ここは貴様ら程度の下等存在が踏み込んで良い土地では無い! 大人しく、森へお帰りッ! あと山にも!」 何時の間にやら参戦していた壱也が銃弾を薙ぐ。 空を切り裂く形の軌道を描けば短く金属の衝突音が鳴り響いて、直後に勢い失いし銃弾が地に落下した。 「御厨、TAKENOKO如きに負けんじゃ……って何倒れてやがる――!」 創太の視線の先。そこには口にKINOKOを山ほど詰められ倒れ伏していた夏栖斗の姿だった。大体フツの所為である。 「クッ、だが一人二人敗退した程度で挫けてたまるか! ALL For KINOKO! 我等TAKENOKOを滅ぼす為に! KINOKOに栄光あれ――!」 特攻する創太。例えフェイトを使い果たしてでも、やらねばならぬ時があるのだ。 KINOKOは負けぬ、KINOKOは何度でも蘇る。故に彼は行った。KINOKOの勝利の為に。 そんなこんなでどこまでも、どこまでも続く闘争(*お菓子の話です)。 リベリスタとして仲間であった筈の者達が今もなお争っている(*お菓子の話ry)。 終わりが見えない、もはや意地と言っても良い状態だ(*お菓子ry)。 ――その時、 「KINOKOのチョコの量が1.792gに対して、 TAKENOKOのチョコの量は1.273g……KINOKOの方が少しばかりチョコの量が多いのは確かのようだね」 だが、と言葉を続けるのは禅次郎だ。 「チョコの量は問題じゃない。それなら100%の板チョコでも食べれば良い話だ……あるいは最後までチョコたっぷりのT0PP0でも良い。重要なのは……そう、バランスなんだ」 バランス。 どこぞのフィクサードが聞いたら歓喜しそうなキーワードだが、禅次郎は説く。 量、および形のバランスが整っているTAKENOKOこそが良いと――なんかKINOKOも同じ理由で反論できそうだが。ともかく、 「俺達はKINOKO派を赦そう。真なる敵はHPTやCTMM、ALFD、KBK揚げ……この世には外敵が多すぎる。今こそ、大連立を結成し、これに立ち向かうべきなんだ。そう――」 「かつて存在したSUGINOKOという仲介役の悲劇を繰り返さない為にもね」 言葉を繋いだのはティアリアだ。 ――SUGINOKO。 それは遥か昔に存在した幻の勢力。山と里の仲介役として立ちあげられた筈が、双方の激しい戦禍の渦に巻き込まれ消滅してしまったと言う逸話のある一品だ。 「き、聞いた事があるのです……かつて某ヨーロッパ地方でKINO派とTAKE派に更地にされた村があったと……そ、それの事なのですか!?」 「ええ、そうよ。里と山の希望を繋ぐ村として生まれたSUGINOKOが、その在任期間からいまや存在をネタ……黒歴史にされ今では別な名前にされているのよ。そんな捻じ曲げられ、虐げられている歴史をわたくしは正したい。……さあ、貴方達全員SUGINOKOを認め仲良くしなさい」 そあらの問いに答えつつ、これ以上の闘争は無駄だと。つまりはそう言うことだ。 しかしそう言われて納得できる者など何人いると言うのか。もはや、一度始まった以上は止まらないのだ。 「ふっー……仕方ないわね。とりあえず八雲。 首謀者兼生贄として、無用な争いを引き起こした大罪。その身で購いなさい」 「ス、スケープゴートではないかねソレは! あ、何をする、どこに連れて行くつもりだ!」 無駄に長い髪の毛を引っ掴んでどこぞへと連れて行くティアリア。 さっきからボコボコにされっぱなしの八雲だが、まぁ首謀者なので別に良いか。フェードアウトした男の今後はともかく―― 「うぉおぉ――! ハピたん! ハピた――ん!!」 「いかん! 新田の症状が悪化したぞ! 早くKINOKOを食べさせるんだ!」 ……もう一回お茶会席の方に視点を移してみよう! ●ハピた――ん!! 快のハピたん病が発症した瞬間。フツはテーブルの上にあったKINOKOを手に取った……筈だった。 しかし、その時彼は気付いたのだ。 ――すり替えられている。 手に取った筈のKINOKOはKINOKOでなく、TAKENOKOだったのだ! これは、一体、 「……何時になれば人類はこの円環の理から抜け出す事が出来るんだろう? 悲しいねアニキ」 背後より発せられし声はシメオンの物だ。 彼はTAKENOKO派。そんな彼は“争いを無くす方法”を思いついたのだ。終わらない戦争の輪を終わらせる為にはどうすれば良いのか。考えて見れば簡単な事だった。そう、 「KINOKOとTAKENOKOは双方が存在するからこそ争いが起こっている。 なら……凡てのKINOKOが駆逐され、無くなってしまえば争いは無くなる。 つまりKINOKOの虐殺によって平和が訪れるんだよアニキ!」 「いや その りくつ は おかしい」 思わずツッコミ入れるフツだが、時既に遅し。シメオンはお茶会席を走り抜けて次々とKINOKOをTAKENOKOと入れ替えて行く。実にスムーズな動きだ。執念か。 「おおっと、待ってくれよシメオン君。全部のKINOKOを取っちゃ困るな」 声をかけるのはターシャ。 シメオンの動きを阻むように前面へと立ち塞がれば。 「KINOKO分離原理主義過激派のボクはKINOKOの傘の部分だけを食べたり、舐めたりするのが好きなんだ! 全部取られちゃ困る!」 「……それって行儀ちょっと悪い気が」 「知った事かー! なんでもかんでも、美味しければ問題ないんだ! 御令嬢らしくなくてもね!」 「まぁまぁ。全てのお菓子は神の下、平等に素晴らしいのです。ええ――キット●ット美味しいです。」 Kittoのcutをeatしながらリリは言う。 彼女自体は一応TAKENOKO派だ。とはいえそれはあくまで立場的な物。気持ち的にはほとんど中立の様なものである。 「ふふ、KINOTAKEはもう古いのです……! これからはAPLOの時代なのです! 特にいちご、いちごなのです! いちごのAPLOの逆転版は夢やロマンが詰まっているのです!」 そあらの言う“逆転アポロ”とはピンクとブラックの部分が逆に製造されている、レア物である。それをハッケーンしたらラッキーな事が起こったり“恋”が叶うとも言われている。大体そあらの目的が分かったね! 「あ! APLOなのです! 逆転APLOを見つけたのです! さおりんに渡す為に大事に取っておくのです……! 溶けちゃ、やー! なのです!」 最近夏に近付いている所為か熱い気温が続く。 果たして室長に渡すまで持つのかどうか――それは神とそあらのみぞ知る所であろう。 「はー、いやしかし、日本のお菓子が美味しいのは常々実感するばかりですけど……まさかそれを巡ってこうも日常的に紛争が勃発してるのは初耳です。 先進国の中でも突き抜けているイメージのあるこの国で、どうして途上国のような問題があるのでしょうか。疑問は尽きません」 「まぁ逆に先進国であるからこそのこんな遊びがあるんでしょうけど――正直どん引きです……」 ロシアで生まれたチャイカはこんな日本の特殊文化に慣れていないらしい。流石日本。変態であるッ。 ちなみに彼女が現状をWebカメラで記録している真っ最中に食しているのは、粉が本体と言っても過言ではないハピたんである。現在進行形で依存症を発症中の者一名。 そして綾乃は――どん引き中であった。 古来より続くKINOTAKEの争いを取材しようと思って来たら想像以上の泥沼。 「いや、まぁ、うん。神秘の秘匿考えないで良いですけど、これもう喧嘩の域じゃないですかね。お菓子一つ二つに熱いですよねぇ……」 ま、いいか。と思考を切り替えれば隅の方でゆっくりとお茶タイム―― の、眼前を。 「喰らえ! TAKENOKO派であるむっつりーに!」 「ええいむっつりーに! これはKINOKOの分。そしてこれはTAKENOKOの分だ! 喰らえぇ――!」 翔太と優希のダブルキックが通りぬけた。 その被害を受けたのは勿論、 「ぐ、ぉあああ――! き、今日何度目のダメージだ! コレ戦闘依頼では無いぞ!?」 「うるさい! これも全て八雲(むっつりーに)の所為だ! これは天罰だ!」 「そうだ、八雲()が悪いんだ! もう()表記もめんどいわ!」 メタメタァ! なのはともかく、ティアリアに連行された後に何やら放心状態で戻ってきた八雲にダブルキック叩き込んだ二人。やくもくんふっとばされた! 「うわ、わ! は、はじめましてなの。わたしといっしょにティータイム、なの」 そこへ紅茶を持って現れる桜。 所持するは自前のティーセット。温かい紅茶を注げば、八雲に差し出して、 「おかしには、紅茶が一番なの。みんなで仲良く飲んで、ほっこりまったり過ごすのが一番なのよ」 「……今回初めて人の優しさに触れた気がする……この子の優しさに泣けてきた」 「元はと言えば誰の所為だと思ってるのよ誰の」 言うは翠華。桜の優しさに若干マジ泣きしてる八雲の隣に座れば、 「皆無駄に争わずに、自分の好きな物を食べてれば良いのにね? 例えばキッ【コメントカット】…………ま、お茶会自体は別に良いけど……ちゃんと、責任は取ってきなさいよ?」 「え、責任とはなんのだ?」 ――駄目だコイツ早く討伐しないと。 翠華は心の底で密かに殴ろうと思い、いや、決心を固めつつ。 「ところで――君は何をしているのかね?」 「あぁ、いえお気になさらず。ちょっと監視、もとい引き渡しの準備の為に居るだけですので」 麻衣へと声を傾ける。ある目的の為に彼女は八雲付近で待機している真っ最中である。 しかしそんな中で彼女は思う。どうしてKINOKOとTAKENOKOに人は分かれるのだろうかと。一体何が原因でそんな事態に成っているのだろうかと。 「……もしかして人体構造的な意味での類似物特定部位の所為なんでしょうか……」 視線が八雲の【特定部位】に集中する。おい、どこを見ている。どこを見ている!? 「フッ――そりゃあ見る場所なんて決まってるじゃないか……なぁ?」 「今 す ぐ お 前 は 帰 れ」 突如として背後に高和が現れた。 両手でしっかりと肩を握られていて八雲派逃亡不可状態だ。しかも何故か麻衣にまで抑えられている。なんだ、どうしてこうなった。 「つれねぇなぁ。俺の森の茂みにたくさんのKINOKOとTAKENOKOを埋めようぜ! 二人が仲良くするのが一番だ! さぁ、分かり合おうじゃないの!」 「や、止めろ。近付くな! 来るなアッ――!」 無理やりに茂みの中に連れて行かれれば、そこより聞こえてくる声。 何をしているかって? 知らない、分からない。強いて言うなら【全年齢タイム】 「ふぉぉぉぉおおお! 八雲! YAKUMO! 出すぞ! KINOKOTAKENOKOをバック……パックから出すぞ! おアアーッ!!」 アッ――! 只今【全年齢タイム】をお届けしております。暫くお待ちください。 「うん……やっぱり……面白そうな事が……起こると思った……」 その場面をエリスが撮影中。やめて!? 十六連射で撮影するの止めて!? ……閑話休題! 「うめー! KINOKOとR4Tうめー! 第三勢力マジうめ――! 普通にいけるわコレ!」 TAKENOKO派のタヱだが、それも全て数分前の話。 お茶会で配られた第三勢力らの菓子の美味しさ……それに触れるや否や戦争終了。 美味しいのがいけないんだ! 「反抗だ、革命だ! レジスタンスだ! レボリューションだ! 世界を真っ赤に――違う、KINOKOに染め上げるのだ!」 一方で、KINOKO派のベルカはKINOKOだけを食していた。 まず傘のチョコを舐め取り、その後にビスケット部分だけを噛み砕いていく。一気に全て食べないのはこうするのが“楽しい”からだ。TAKENOKOとはここが違う。 「妾の胃は伸縮自在にしてブラックホール。誰にも止められはせぬ! 菓子を寄こせ、そうだ、全てだ! 争いの火種になる様な菓子は全て喰らい尽くしてくれるわッ!」 カービry ではないが、シェリーは目に付く菓子類を片っ端から口へと運んでいた。 「フッ……なんだこの程度ならば別腹を出すまでも無いな。妾の胃には敵う菓子など存在せぬか……」 そして自身の周囲の菓子を食べ尽くせば、箸休めとばかりに紅茶を手に取る。 たまには優雅さを見せるのは大事なのだ――誰に見せるか? さて、誰にだろうか。 「良かったらTAKENOKOをどうぞ。とても美味しいですよ! 沢山あるから遠慮せずに食べてね――!」 追加でセラフィーナがテーブルに大量のTAKENOKOをばら撒く。 それはダンボール一箱にギッチリと詰まった量だ。この為に買い占めたのだろう。 「やっぱりTAKENOKO派ですわぁ! 味のバランスに置いてTAKENOKOに勝てうる勢力の皆無……これこそTAKENOKO頂点の理由ですもの! 大体KINOKOなんて形が大層卑猥で……」 KINOKOを貶める撫那だが、彼女は純粋なTAKENOKO派と言う訳ではない。その理由は、 「うるさいわTAKENOKO如きが……KINOKOでも食べてなさい!」 「ああ! ちょ、無理やり食べさせるのは止め……ら、らめぇ! 心はTAKENOKOに捧げたのに、体が、舌がKINOKOを求めて! 美味しいですわ、たまりませんわぁ悔しいですわぁ……ビクンビクンッ」 彼女がただ単に――喰わず嫌いの面があったと言う訳だ。 烏頭森にKINOKOを叩き込まれれば舌が勝手にKINOKOを求める。コアラやR4Tが近寄ってくればその誘惑に抗う事が出来ず……以下無限ループである! 「人はどうして……これほどまでに悲しいのでしょうか…… 人は皆、KINOKOを愛する為に生れて来たというのに……!」 しかしそういうエリエリが手にしているのはTAKENOKOだ――と、思いきや、違う。 エリエリはTAKENOKOのチョコを溶かし、そしてクッキー部分は砕いて小麦粉を加えて再度固めているのだ。そう、KINOKOの形へと。これは、まさか、 「そう……これぞ死霊術。TAKENOKOは今こそKINOKOへと転生し、その存在を昇華させるのです! あぁ、こうなるとTAKENOKOも美味し…………」 今TAKENOKOが美味しいって、 「ち、違う! 違いますよ! KINOKOに生まれ変わっているからこれはノーカウント! ノーカウントです! 浮気ではないんです――!」 「R4T美味しいのです。紅茶も美味しいのです……!」 そんな叫びもなんとやら。聖はテーブルの上に散りばめられた数多のお菓子に若干目が輝いていた。特にR4Tがお気に入りらしい。紅茶と共にゆったり楽しんでいる。 「ええ、全く……お菓子なんて全部同じでしょ? 甘い物好きなら砂糖でも必死に舐めていれば良いのに、こんな紛争……おめでたい事です。 ホント、くだらない くだらない くだらない くだらない くだらない くだらない くだらない くだらない くだらない くだらない くだらない くだらない…………チョコ……」 呪詛の様に言葉を呟く沙希だが、その口元には僅かばかりチョコが付着していた。 誰か、誰か鏡を持ってきて! あとお菓子系も! 「はい、ランディお疲れ様のあ~ん♪ 美味しい?」 「ああ。ニニからの物ならなんでも美味いさ」 さてこちら、いきなり熱いニニギアとランディの二人である。 やけにランディの負傷具合が酷いが、何故だろう。最前線にいたからか、後ろからの矢が厳しかったか。 ともあれ感謝の証に、菓子をランディの口へと渡らせた――瞬間に彼の頬へ唇を触れさせる。数秒か、それぐらいで再び顔を見合わせれば、 「……本当にお疲れ様。今日は有難う、ね」 「そうだな……あぁ、俺はNINI派でいいさ。ニニが一番――大切だ」 そうしてランディは彼女を抱き寄せ、頬に口づけをすれば――末永く爆発おめでとうございます。 「分かったかぁ坊主……これが! これこそが! 日本の素晴らしい技術の結晶だ! ……って、おお?! カズト気絶してやがる!? おい、茶ぐらい飲ませてやるから起きろぉ!」 「う、うわあああ! ウェハースのレア物が、レア物が取られたぁ――!」 「ハピた――ん!」 「……ん……狂気が面白い……記録……記録……」 あちこちから喧騒が聞こえる。どこもかしこも楽しくやかましく――しかしもうすぐ日が暮れる時刻。 喧嘩に疲れてきたメンバーも段々と(負傷して)戻ってくれば、そろそろ片付けだ。 お菓子は甘い。その魅力に取りつかれた人々は今日までに幾人も存在する。 甘く蕩けて魅了するお菓子――あなたはどのお菓子が、好きですか? |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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