●爆走機械 街で話されている噂の中に、こういう都市伝説がある。誰もいない夜中の山道を走っていると、後ろからやってきた何かが隣に付いてこちらを覗いてくるのだという。 何かと思って覗き返して見れば、そこにいたのはスクラップ寸前のオンボロ車で、中の運転手を見てみれば……焼け爛れた男。 思わずアクセルを踏んで逃げようとすると、その車はどんなに速度を上げても追い付いて来て……。というのが、噂の概要だ。 よくある話。と言われればそれまでだが、この噂は実際に体験した者が何人も居るという。 ということで調査をしてみれば、どうも神秘が関連しているようだ。噂のオンボロ車も超高速で山道を走る車のエリューション・ゴーレムであり、その部下のように付き従うバイクのエリューション・ゴーレムが存在するらしい。 そのエリューション・ゴーレムは目の前を走るものが気に食わないらしく、自分の前を走っているか横を走っていると目を付けてきて接近、そのまま戦闘に入ることがあるという。実際、カレイドシステムが見せた未来によれば、縄張りにしている山道で大事故を起こしてしまうとか。 しかし、同時に厄介なことも分かった。このエリューション・ゴーレムは遅いものには目もくれないらしい。こちらもある程度スピードを出さなければ、戦わず走り去ってしまうようだ。これは、エリューション・ゴーレムの配下も同じとか。 つまり、リベリスタが戦うには何らかの乗り物が必要。しかも、険しく複雑な山道で複数の敵相手に戦えるだけのスペックが求められる。 そういうわけで、開発に取り掛かったのは開発部と『運命演算者』天凛・乃亜(nBNE000214)だ。 とはいえ、その開発にはどうしても時間がかかってしまい、エリューションはフェーズ3まで育ってしまっていた。部下も凶悪だ。 それでも、なんとか被害が出る前に乗り物を作ることができたのは僥倖といえよう。 ●乃亜特製の乗り物 並べられたバイクやローラーボードの写真を眺めながら、これはなんだろうとリベリスタたちは首を傾げていた。すると、乃亜はリベリスタたちの前に出てきて、解説を始める。 「結構なスピードが出て、ある程度の安全が確保されているリベリスタ専用マシンよ。試作品で製作費もかかるから、十台しか用意できなかったけど、一回の依頼程度なら持つわね」 ということは、こうした乗り物に乗って戦わなければいけないようである。 古来、馬に乗って行われた騎乗戦闘は今の時代バイクやこうしたローラーボートを使うものになったということらしい。それをしないといけないのだから、リベリスタは大変だ。 「バイクが得意ならこっちのバイクを、そうじゃないならこのボードを使うといいわね」 ざっくりとした注意をする乃亜。得意な方を選んでくれ、ということらしい。 「さて、本題に入るわね。このマシンを使って戦わないといけないのは、夜中の山道に出現するエリューション・ゴーレムの群れよ。どうやら、走り屋みたいなことをやっているみたいね」 モニターを操作すると、山道のカメラに映像が切り替わる。本来は山から下りてきた危険な野生動物を監視するためのカメラなのだが、これに映ったのは車をベースにした恐ろしい機械の群れであった。 「見ての通り、オンボロ車をベースにしたエリューション・ゴーレムだけど多くの兵器を持っているわ。火炎放射にニードルガン、スパイクタイヤを使った体当たりなんかをしてくるわね」 一目見ただけで、その装備と凶悪さはよくわかる造形。明らかに攻撃の意思があると見て間違いないだろう。部下のバイクもそれぞれ同じような装備をしており、こちらも油断ならない。 「相手の攻撃の基本はヒットアンドアウェイ。高速で走って、緩急をつけて襲ってくるわね。……急なカーブなんかも利用するみたいだから、事故には気をつけて」 バイク事故なんて、リベリスタであってもシャレにならない自体だ。運転には細心の注意が必要だろう。 「色々と難しい事件で、ハードな仕事だけど……。やってくれると私は信じているわ。がんばってね」 そう言いきると乃亜は白衣を脱いで、ツナギを羽織った。どうも、これからバイクやローラーボードの整備を行うようだ。 そうしたサポートに応えるためにも、リベリスタたちは頷いてみせた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2012年05月27日(日)00:43 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
■サポート参加者 2人■ | |||||
|
|
●疾走する者たち 頬を撫でるような勢いだった風が、スピードに乗れば愛撫から寒気、痛みへと変わっていく。この瞬間を乗り越えれば、やがて気持ちよさへと変わっていくだろう。 バイクという乗り物は、そういうことを感じさせてくれる。 「俺ぁバイクで走るのが好きであって戦うのは経験無いが面白い」 支給された戦闘用のバイクを乗り回しつつ、『悪夢と歩む者』ランディ・益母(BNE001403)は身を倒してカーブを決めてみせる。まだ戦闘ではないので危険のないような走りをしているが、それでもこのバイクの性能を感じてランディは舌を巻いていた。 「しかしコイツはスゲェな、個人的に乗り回したい位だ」 バイクの姿勢を戻してから、AFに手を突っ込んで二つの獲物を取り出して背中に付ける。こんな無茶も平気で出来るのだ。 趣味でバイクもやっているが、さすがはアークの用意したものだとランディは納得する。これならもし戦闘を行っても不自由なく乗り回せるだろう。その分コストがかかっているらしいので、量産品ではないが。 「道はだいたい把握した。さすがに危険なコースってわけだ」 まずはバイクを自分の体に慣らすために、軽いテストランをしていた『リベリスタ見習い』高橋 禅次郎(BNE003527)が走っているリベリスタ集団の後ろに追いつく。傭兵の慎重さを持つ禅次郎は、アウェーだということを意識して地図を読み込みある程度慣らしてきたのだ。 「よっと……。バイクは趣味でやってるが、まさか乗って戦うことになるなんてな」 一見クールなようで熱さを捨てきれない禅次郎の性格をよく現した走行である。しかし、マスタードライブの力もあるから、その動きは大胆ながらも華麗だ。 「伝説の駿馬も手綱の握り手次第……か。やってやろう」 だけど、そうやってふっと笑う禅次郎。イケメンでバイクが似合っているがちょっと痛々しかった。 「自分より前を走るものが許せない、か……。まったく、スピード狂というのはエゴイスティックな者が多いものだな」 もう一人、禅次郎の後ろからやって来たバイク乗りは『つぶつぶ』津布理 瞑(BNE003104)だ。彼女が遅れた理由は禅次郎と同じく地図を読み込み昼間のうちにバイクを回していたからだ。 「まあ、走るしかないな。今宵は長そうだ」 禅次郎と並走する形になって、ふっと笑う瞑。オッドアイが輝いて、金の髪が流れる瞑の姿はスピードの中にあっても非常に映えるものであった。今は水着に包まれている脱ぐとすごい体も、バイクとよく似合う。 これで中身が残念でなければ。 「たまに噂になる程度で満足してもらいたいんだけどね」 禅次郎たちの前を走る形で、『レーテイア』彩歌・D・ヴェイル(BNE000877)はバイクを走らせていた。こちらも禅次郎と同じくマスタードライブの力を持って、バイクと一体化したような走りをしている。 「ナイトメア・ドライブ、何か速度に関する材料にデキソウダ……狩るカ」 一方、バイクに乗りながらも、頭の後ろで手を組んであくびをしているのは眠そうな顔の『光狐』リュミエール・ノルティア・ユーティライネン(BNE000659)だ。ビーストハーフということもあり、かわいらしい顔が眠そうにぼうっとしているのは非常に和む光景なのだが、今回ばかりは他のリベリスタをハラハラさせていた。 「ツーカ支給品のコノバイク私より速く……ネーナキット」 バイクのアクセルは押しっぱなしに調整している。だから手放しで運転をしているわけだが、それでもオセーナーと思うリュミエールである。彼女は自身がとても早いから、そう思っていたのだが――、 「マ、イイカ」 少しずつスピードが伸びていくことに満足感を覚え、スピードが増すごとににやけていくリュミエールだった。 支給されたものはそうしたバイクだけではない。エンジンを付けたローラーボードもリベリスタの足となっていた。 「乗り物に乗っての高速戦闘とは面白そうですね。このボード欲しいなぁ」 体を起こしたり倒したりと試してみながら、雪白 桐(BNE000185)は指を咥える。バランスも取りやすく、スピードも出しやすいこのローラーボードをすっかりと気に入った様子である。 「よろしくお願いしますね」 そんな桐は少しスピードを落として、禅次郎の後ろに付く。うまい走り手の後ろに付くのは乗り物の基本ともいえる行動だ。 首をかしげ、にこりと笑う姿はどこか微笑ましい。 「これ、返却しなきゃダメ……?」 ローラーボードの上で少し楽しそうにしながら、『K2』小雪・綺沙羅(BNE003284)は桐と同じように指を咥えている。少年探偵の装備っぽくてお気に入りなのだが、この戦いが終わったら返却しなければならないだろう。それが少し悲しかった。 「うう、仕方ない……」 長く広いスカートが風とスピードに振り回されていくので、それを抑えつつも綺沙羅はうまくバランスを取っていた。バランス感覚には自信がある。 「ともかく、今回は私の指示に従ってよね!」 それに、道も覚えてきた。インカムを使って仲間に危機を知らせる準備もオッケーだ。高圧的な物言いになっちゃうのは性分なので、仕方ない。 「バイクでもいいが……軽めのこっちでいこう」 自分の足とワイヤーで結ばれているローラーボードを見つめつつ、『虚実の車輪』シルフィア・イアリティッケ・カレード(BNE001082)はつぶやく。 「騎乗戦闘か……。流鏑馬ならやったことあるのだが、今回は動く的……」 体を反らし、大きな胸を揺らしてシルフィアは笑う。一般的な車の速度を超え始めたローラーボードのスピードは戦闘時の緊張を思い出させ、シルフィアの人格を変えていたのだ。 「まぁ、纏めて吹き飛ばせばいいか」 シルフィアが不敵な顔で髪をかきあげれば、胸元で揺れていた宝石型のAFが煌めく。 「闇夜を駆ける爆走の徒。害なくば別ですが、あるならば論外」 強結界を張っていた『Lawful Chaotic』黒乃・エンルーレ・紗理(BNE003329)もローラーボードで合流する。暗視スコープも用意し、夜戦の準備もばっちりだ。 「意して破壊させて頂きます」 ローラーボードを加速させながら、カトラスを抜いて切っ先を道の先へ突き付ける。その動きに合わせるように長髪が風に揺れて、後ろに靡いた。 凛としたその声は大人びていて、ローラーボードという少女らしい装備と合わせて見ると少しアンバランスな光景を作り出している。 ともかく、黒乃の宣言が爆走するエリューション軍団への宣誓となった。 「子供のお土産……には少し危険ですね。はは」 やはりローラーボードでやってきた『子煩悩パパ』高木・京一(BNE003179)はそれだけ言うと仮面を付けて感情を隠していき、シルフィアは完全に人格が切り替わる。 バイクとローラーボードの群れは速度を上げて、夜の帳が本格的に下りてきた。 「さあ、いつでもきやがれ!」 風の中で、ランディが叫ぶ。 遠くから、エンジン音が聞こえてくる。 ●スピードワールド エンジン音に続いて、エリューションたちの姿が見えてくる。綺麗な編隊を組んでおり、統率されているという印象をリベリスタたちに与えた。これが、走り屋にとっての“悪夢(ナイトメア)”なのだろうか。 の群れは一気に速度を上げて、速度を上げたとはいえまだ常識的なスピードに留まっていたリベリスタたちを次々に追い抜いていく。 「流石の速さですね……ですが、負けてはいられません!」 そのため、リベリスタたちは速度を上げて、ナイトメアの群れを追いかける形で戦闘に入った。 エリューションたちはかなりの速度を維持しているのか、前方のナイトメア・バイク群との距離は中々縮まらない。とはいえ向こう側はこちらの存在はすでに認識しているらしく……ナイトメア・バイクは動き始めた。 「攻撃来るよ! 気を付けて!」 その間にこちらから攻撃をしようとしていた綺沙羅やシルフィアの速度を上回り、敵の攻撃が始まる。 「乃亜や技術者の想いが篭った機体を破壊させる訳にはいかない!」 2連射された火炎放射は炎の中にリベリスタたちを巻き込んで炎によるダメージを作り出し、残り2体が行ったスパイクによる体当たりはシルフィアと黒乃を狙った。 「くっ……好き勝手して!」 「暴徒の好きにされるとは――!」 質量と速度をぶつけてくる体当たりによってローラーボードはスピンを起こし、黒乃とシルフィアはバランスを崩して倒される。……が、その瞬間にフェイトの力を使い、なんとか二人は体勢を立て直す。 「気を付けてください。この炎は体に纏わり付きます!」 道路を焼いていた燃え盛る炎から抜けて、京一は天使の歌でリベリスタたちを回復していく。まだ体やローラーボードを焼く炎を消せてはいないが、ひとまずは回復が最優先だ。 「お返し! これで一網打尽……だよ!」 「ジャンクにしてやろう!」 味方を巻き込まないよう、後方で火炎放射を発していたナイトメア・バイクに向けてフラッシュバンを放つ綺沙羅と、全体を巻き込むようにシルフィアがチェインライトニングを放つ。光と雷が合わさり、巻き込まれたナイトメア・バイクたちは光の中に消えていく……。 「やったの?」 光が収まると、そこにはコントロールを失って谷底に落ちていく1台のナイトメア・バイクの姿があった。 つまり、3台は無事――! リベリスタたちの前を走り、更に前方を走っているナイトメア・ドライブに近づけさせないようにしている! 「貴方方は相手にしていないのです」 「前は任せた、落ちんなよ!」 桐のメガクラッシュ、そしてランディの疾風居合い斬りのサポートを受けて、禅次郎はバイクたちの合間を抜けてナイトメア・バイクの前方を陣取る。 「わかっている!」 ナイトメア・バイクとナイトメア・ドライブ。両方の動きを阻害し、うまくコンビネーションをさせないようにする狙いだ。 「まあ、サポートするよ。これで遅くなるといいね」 「よぉ、テメェはまだ遅ぇダッテ私からミリャソウナンダカラナ」 彩歌のピンポイント・スペシャリティがタイヤに直撃し、よれよれになったナイトメア・バイクの横に付けてこう言っていたのはリュミエールだ。大胆にも走行する自身のバイクの上に立って、両手を組んでだるそうにしている。 「ヤルカー」 その体勢からナイトメア・バイクに飛び移ったリュミエールはアル・シャンパーニュを華麗に決めて、それから元のバイクに戻る。まるで曲芸だ。 「ここでオワリ。ナンダナ」 そして、その動きに魅了されたバイクは行き先を見失って、スピードの中……転がり落ちていく。 「なかなかのスピードですが、まだまだ遅いです!」 アル・シャンパーニュを使うのは黒乃も同じだ。すれ違いざまに二刀のカトラスをXを描くようにして振り回し、その字をバイクに刻印していく。 「ちょっと……いや、凄く無茶するかも知れないけど、今夜だけはうちと一緒に最後まで走ってくれる?」 そこに、瞑が割り込むようにしてバイクを潜り込ませる。ブレーキも踏まずに行ったその機動に軋むタイヤと散る火花! しかし、それでもバイクは瞑の操縦に付いて行く! 「でぇぇぇい!」 勢いを乗せたソニックエッジがナイトメア・バイクを切り刻み、そのまま切り刻んだ相手を蹴ってヒット・アンド・アウェイ! くるりとバイクを一回転させて、決めポーズ! ナイトメア・バイク爆散! 「派手に落ちなァ!」 カーブが見えてきた所で加速し、ナイトメア・バイクの内側に入ってきたのはランディだ。アクセルを握りしめたまま獲物を取り出し、派手に振り回してナイトメア・バイクを谷底に叩き落とす! メガクラッシュ! 「へっ……。走りが甘いんだよ」 こうして悪夢のバイクたちは皆倒すことができた。残るは、先から戦闘を走り続けているナイトメア・ドライブ! ●走り続けたその先に ナイトメア・ドライブの攻撃は苛烈なものだった。 後部から連続発射された火炎放射はひたすらにリベリスタたちの体力を奪い、そこにスパイクの体当たりで谷底に叩き落とそうとするというラフプレイ。 「こいつ……!」 「マシンは無事か……よかった」 「しゃーなしダナー」 綺沙羅と瞑、そしてアクロバットで回避しようとしたリュミエールも直撃し、フェイトを使わざるを得なかった。特に火炎放射の炎はその身を焼き、一心同体の乗り物も傷つけている。その攻撃の隙間を縫った禅次郎が前に抜けた為、ナイトメア・ドライブの注目はそちらに向かったが……それでも、この攻撃は厄介だ。特に、 「ちっ……!」 炎が視界さえも遮っていた。火炎放射によって発生した炎の壁だ! しかし、その炎を抜けた先には急激なカーブが! ナイトメア・ドライブの仕掛けた罠だ! 「今は見えないけど……前方に大きなカーブ!」 「それなら……フライエンジェならではの走り方を見せてやる……!」」 綺沙羅のナビゲートと傷癒術を受けて、シルフィアと桐の二人は大胆にもローラーボードを加速してジャンプ! それぞれガードレールを使いウォールライド! 「動力があるとトリック決め易いですね」 二人はカーブでの減速を始めたナイトメア・ドライブに肉薄! そのままギガクラッシュとマジックミサイルが放たれて直撃! 「スピードキングもいずれは破れ記憶の中の存在となるのですよ、今貴方もそうなる時なのです」 その二連撃によって吹き飛んだナイトメア・ドライブはバランスを崩してスリップしかけるも、悪魔的なドライビングで立て直し、再び加速! しかし、リベリスタたちには立て直しの際に発生した数秒の減速で十分だった。 傾けたバイクをナイトメア・ドライブよりも内側に滑りこませ、ランディと瞑がやってくる! 挟み込んだ! 「化け車は地獄で火車でも引いてるんだな、お似合いだぜ!」 「もう少しだけ、付き合ってもらうよ!」 フルスロットルからのメガクラッシュとソニックエッジがナイトメア・ドライブの装甲に食い込み、大きなダメージとなった。 「回復は万全です。行けますよ!」 「じゃあ、回復記念ということで……狙わせてもらうわ」 更に、京一の回復を受けてから再び走り出したリュミエールは、彩歌が放つピンポイント・スペシャリティの隙間を縫うようにしつつナイトメア・ドライブの背中に張り付く。 これに対して、糸に絡まったナイトメア・ドライブはリュミエールに対処しようと火炎放射を放った! 「オセェ。ダケドナー……そのエンジン、私の糧トナレ」 しかし、バイクを持ち上げるようにしてバイクごとにジャンプすることで、リュミエールは火炎を回避! そして、落ちる勢いを乗せたハイスピードアタックが、ナイトメア・ドライブを突き刺さる! そして、そのリュミエールの一撃でふらついてしまったナイトメア・ドライブの正面から見えてくるものがある……それは、エンジン音と共にやって来て―ー、 「無理をさせてすまない、もう少しだけ付き合ってくれ」 銃剣を手に、真正面から突撃してくる禅次郎。ナイトメア・ドライブを追い抜いた後に加速をし、距離をとってから反転して来たのだ。なんという狂気! これが、彼のペインキラーだ! 「運命よ。俺たちに従え!」 そして、すれ違う一瞬。刃は悪夢を切り裂いた。 「お前の敗因は一つ。テクニックでは無く武器に頼った事だ」 ブレーキを掛けて止まりつつ、禅次郎は微笑んだ。 すべての処理が終わった後、リベリスタたちは自分たちを支えてくれた乗り物に感謝をしていた。 「お疲れ様っ」 「うー、やっぱり返さないとダメー?」 「欲しいですよねぇ……」 瞑は抱きつき、綺沙羅と桐は別れを惜しんでいた。あくまでこれは試作品。いつか日の目を見る時もあるかもしれないが、今はまだ……。 「お前はゴキゲンな奴だったよ。ありがとよ、相棒」 最後のひとっ走り。スピードと風の中でランディはバイクに語りかけていた。 言ってしまえば今回用意された同型なのだが、一心同体となり共に駆け抜けたバイクに同じものは存在しない。“こいつ”と共にまた戦える日を夢想しながら、ランディはアクセルを踏んだ。 「また会おうぜ」 登り始めた朝日が照らしていく。リベリスタと、その相棒を。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|