● 「開いたり閉じたり不安定なD・ホールがある。たまたまはじき出された生物を次開くまでの短い時間、監視というか一緒に遊んであげるのが仕事」 もふってみない? と、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が、いつもの無表情で両手を広げて立っている。 「例えるならば。羽毛状の毛がふわっふわ」 「もふるだけ?」 「もふるだけ。目の前にいるのを、向こうが飽きるまでそりゃもう、もふるだけ」 「探したりとか――」 「しなくていい」 「変な臭いがするとか――」 「それもない」 「芸を要求するとか――」 「そりゃ、気持ちのいい撫で方されれば、より嬉しいだろうけど、心がこもってればいいんじゃない?」 「それじゃ、食べ物とか――」 「事前に、サボテンをたんと食べさせておくから大丈夫」 はい? サボテン? 「この世界の近似種の主食はサボテンだから、出してみたら気に入ったみたい」 よかったよかった。と、イヴは明るい無表情。 一部のリベリスタ――特に爬虫類型ビーストハーフの顔色が変わる。 「という訳で、映像」 モニター、ドン。 赤、白、黄色、青。 カラフルな、極彩色の羽毛を全身にまとった、なにこのごついの。 でかいよ? サイくらいあるよ? 「この次元の生物で言うなら、角竜類」 もっとわかりやすく。 「トリケラトプス的な」 恐竜かよ!? 「もふもふ」 だけどね。 「もふもふに貴賎はないはず」 だけどね。 「草食。敵意を見せなければ、おとなしい。というか、リベリスタなら自分の身は自分で護ってしかるべき」 だけどね。 「かわいそうに。異郷でさびしくて鳴いてるのに。発作的に市街地に向かって行ったらどうしよう。そんなことのないように誰かが見守ってあげなくちゃ」 ここまで、いつもの無表情でお送りしております。 「リベリスタの出番ですか」 「出番」 ――わかりました。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年05月12日(土)23:00 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 『仁狼』武蔵・吾郎(BNE002461)は、首をかしげていた。 (サイくらいの大きさのトリケラトプスって言われてもあんまりわからん) しかも羽毛的にもふもふなのだ。想像の埒外だ。 (とりあえずサイサイズのもふもふってこったな。ようし最近忙しかったしビーストラブ奥義そのいち【モフり愛】を見せてやるぜ!) あるの?そんな奥義、しかもその2以降もあるの? 『臆病ワンコ』金原・文(BNE000833)は、にこにこほわわんだった。 (わたしたちが来たからもう寂しくないよ。ぎゅっとしてあげる……!) 未だ見えぬアザーバイト「コンゴウ」にすでに心は飛んでいる。 『BlackBlackFist』付喪 モノマ(BNE001658)は、脳内シュプレヒコール中だった。 (トリケラトプスっぽいもふもふ! コンゴウ可愛いよコンゴウ!) シェイクフィストがつかないのは、成人の分別だろうか。 友好的なもふもふに対しては非常に友好的で人懐こいことで定評のあるモノマは、もふもふしたい欲求を何とか押し留めていた。 『ソリッドガール』アンナ・クロストン(BNE001816)は、青い目を目いっぱいに見開き、ビームを放ちかけていた。 (ぶさかわっ!) ぶさいくで、かわいい。もしくは、ぶさいくだけど、かわいい。という、独特の形容表現である。 (倒したりしなくても良く! 思う存分モフれるぶさかわが来たと聞いて!) たとえ可愛いもふもふでも、倒さなくてはならないケースが多い。 今回は、貴重なレアケースなのだ。 『自堕落教師』ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329)は、真のもふにすとを自認している。 ゆえに、欲望全快の一同に教師らしく教育的指導。 生徒混じってるし。 「コンゴウを満足させるお仕事よ。私たちが満足するためのお仕事じゃないの。わすれちゃだめよー? 真のもふにすとは相手を満足させ、自分も満足するものなのよ」 びし。 は~い。と、素直な返事。 やるな、そらせん。 (もふもふね。巨大なもふもふ。これはあれね。バケツプリンとかバケツ茶碗蒸し的な。普通の何倍もの量を楽しんじゃうという。大丈夫。私は食べ飽きたこととかないから。好きなものをずっと食べ続けられるタイプの人間) そんなもふる気満々の人々から一歩引いた物憂げなモッズガイ、『fib or grief』坂本 ミカサ(BNE000314) が、実は脳内キャッキャウフフ状態なのに気づいている者はどのくらいいるだろうか。 (今日ばかりは運命に感謝だね。手の甲にキスでもして差し上げたい位だよ。手の甲があるのか知らないけれど) いや、結構知られているかもしれない。 スタイリッシュな言動のあちこちに、彼のもふ好きがにじみ出ているのだから。 (しかもメンツまでもふだらけじゃないか) 彼の言う、「もふ」とは、獣形のビーストハーフを指す。 実際にもふらせてくれなくても構わない。 そういう存在がいると思うだけで、ミカサの胸は満たされる。 そらせんでさえ、彼にかかれば「髪の毛」が「もふ」なのだ。 (ここは楽園か何かなの。だけれど俺は大人だからはしゃがない) 言葉通り、はしゃいでいるようには全然見えない。 大人って、ずるい。 (穏便に解決出来るならそれに越した事は無いし、寂しがって市街地に行かれても困るしね) 「野原のどの辺りにいるかな」 正しく大人、『正義の味方を目指す者』祭雅・疾風(BNE001656)は鷹揚に微笑み、遥香遠くまで見通す目で、もふもふトリケラトプス『コンゴウ』を探す。 「必要な算段で下地を作った上でこそ思う存分モフれるのです!」 『夜翔け鳩』犬束・うさぎ(BNE000189)は、無表情のまま拳を振り上げ力説した。 顔面の筋肉の仕事しなさっぷりとは裏腹の声にこもった熱情が、まったりとしてこくがありかといってしつこくない。 リベリスタ達は一様に頷いた。 「先ず危険の分散。一番危ない正面は常に1人。後は、側面の左右や背面等に各2人まで、3人以上隣接しない」 携帯ホワイトボード(アーク貸与)にキコキコとかかれるフォーメーション。 食い入るように見つめるリベリスタ。 真剣だ。 何しろ、数トンあるコンゴウにじゃれ付かれ、立ち上がれなければ心優しい獣であるコンゴウにトラウマが残ってしまう。 全員元気でお見送りが合言葉だ。 「はみ出た人や怪我が深い人は一歩離れて休憩&様子見。動きの注視とモフり中の仲間への警告。これと超反射神経等を頼りに危険へ備えます」 ぐりんとうさぎの首が動く。 「初期配置は坂本さんが正面、後は速い順に一周」 サングラスの下のミカサの瞳にハイライト。 (俺だってさ。やっ……いや、はしゃいでない) ぎゅっと握りかけた拳を強制弛緩。大人だから。 (……ミカサさんいいなぁ……) 文、歯噛み。まだ子供だもん。 「後は最長1分かダメージを目安にローテーション。但し怪我の深い人は優先的に一歩離れた位置へ避難。治療完了までモフるの我慢!」 血まみれもふもふ、もってのほか。 血の臭いでコンゴウが傷ついたり、毛皮汚しちゃだめ、絶対。 「万一ですが」 相手の体重はトン単位だ。 「押し潰されて出れない人が出た場合、全員がかりでコンゴウさんを動かして救出」 大丈夫。リベリスタだから。 「この際、イヤイヤする様なら超幻影で偽コンゴウさんを10m先に出して気を引きます。必要ならゲートへの誘導時にも」 うさぎは目玉だけを動かす。 「何か、ご質問は?」 ない。 気分は、遠足の諸注意を現地で聞いている小学生。 さあ、号令を掛けろ。 速く、俺達をここから解き放て。 最高の働きをしてやろう。 さあ、可及的速やかに! 「思ったよりデカイな。周囲に人影が無さそうなのは助かるね」 遠くを見ていた疾風がそう言った。 そっちか! 全員の目が異様にきらめく。 しかし、リベリスタ、慌てず騒がす、まず十秒。 自らの肉体能力の底上げを忘れずに。 待ってて、コンゴウちゃん。 俺たちが、幸せにしてやらあ! ● 角竜類。 ひらひらとしたフリルにふわふわとした柔毛が生えている。 赤、青、黄、白の羽毛が異界の獣を彩っている。 舞える緑の野原に、ぽつんとたたずむ極彩色。 目と目が合った瞬間、アンナのハートがっちりキャッチ。 「……そうそうこういうの……こういうのでいいのよ……うふぁ……」 アンナさん、しっかり。 (いやいかんいかん。意識を失ってる場合ではない) ぶんぶんと頭を振って、アンナは現世に帰ってくる。 (寂しく無いようにきちんとモフいや見守モフもとい見守らないと!遊ばないと!) 「小さい目も角も色味も素敵だね」 コンゴウに話しかけるミカサは、リベリスタの期待を一身に背負っていた。 この先の幸せなもふタイムは、ミカサの薄い色付きレンズ越しの眼力にかかっている。 単純な勘が全てもふることだけに集中する。 (……そうだね。首の振り方、鼻息や呼吸の仕方だったり、目の輝きが増して興奮し出したら危険かも) 見えぬものさえ見通す観察眼は、すでに常軌を逸している。 触ると喜ぶポイントと、嫌がるポイントが手に取るように分かる。 駆け出しプロアデプトがひれ伏す論理戦闘者でもあるのだ。 (言葉なんて無駄だろうけど、君の力はとても強いから、ゆっくり遊ぼう……って、声を掛けたい) 言葉の意味は分からなくても、顎下をわしゃわしゃとくすぐる指が何よりも雄弁だ。 コンゴウは、ミカサの指に嬉しそうに目を細めた。 「くうっ」 もふっているミカサだけでなく、側面をもふっていたうさぎのハートを鷲掴み。 (私には反応が大事! 仕草! 表情! 可愛いですね、たまりませんね) そういう訳で、うさぎ、コンゴウが少しでも気持ち良い様全身全霊で試行錯誤、工夫し続け細心の注意と集中を払って丁寧に撫でたり掻いたりモフったり。 はふううぅと気持ちよさげな吐息が、もふリストへの最高の報酬。 正面でもふる一分は、蜜月のよう。 (角とか危ないし、もふる時は特に注意する) 愛玩動物ではないということを忘れない。 ミカサは、きちんと距離感を読んだ。 「はい、交代。とってもいいこだよね」 ミカサは大人なので、時間をごまかしたりしない。 はい、皆で位置交換ですよ。 そのとき、文に何かからの啓示が降りた。 (配置は目安で要は一箇所に固まらない、背中に乗ったりするのもアリってなったんだけど……えっ、つまり背中に乗るのも早い者勝ち?!) 「こんにちは……コンゴウさん。触ってもいいかな……? 撫でさせて、ほしいんだ……」 大丈夫かな、大丈夫だよね。 じゃんぷ、あんど、だいぶ。 もふん。 コンゴウのおせなに登頂成功。 (どういう風に撫でるのが気持ちいいのかな……むしろわたしが気持ちいい……♪) ぎゅっと抱きつくと、コンゴウは体をゆすゆす揺らした。 ぎゅっ、気に入ったらしい。 適度な重みもいい感じらしい。 ソラせんは、頭の中で何度も繰り返していた。 『人の振り見て我が振り直せ』 (猫や犬相手に赤ちゃん言葉で話しかけるのとか恥ずかしいわよね。本人はともかくみてる人間が。もふもふに必死になってる人間とか見てられないわ。私はきっと傍から見ても威厳を保ったもふりかたをしてるはずよ。うん。間違いないわ。立派な教師ですもの) じりじりとコンゴウに近寄り、ソラせんもダイブ。 「もふーもふーもふもふもふもふ。もふもっふもふ」 先生、それ赤ちゃん語の斜め上行くオノマトペ。 それまでニヨニヨ見ていたモノマ、女子を押しのける無粋は働かない。 (お腹の方はどんなんかの?) もぞもぞもぞ。 踏まれないように注意しつつ、もぐりこむ。 ふんわりもふもふしたまっしろいぽんぽんが! 「ふっ、やや小さめの体がこんな所で活きるとはな!」 これにへばりつかずにいられるか!? (もふもふ、ぽんぽん!) ● コンゴウはご機嫌だった。ぎゅっと抱っこされるのは大好きだ。 こいつら、力強くて、ぎゅっと感がいい感じ。 ついでにご陽気だった。 文とソラを載せ、ぽんぽんにモノマをくっつけたたまま、左右に体を揺らし、ステップを踏む。 機敏だ。 しかし、トン単位の生き物がご陽気にステップを踏んだりすると。 地面が揺れる。 疾風が、コンゴウに足を踏まれた。 コンゴウ、そのポジションが気に入ったのか、足を動かそうとしない。 状況に気がついたリベリスタの目が、ちらちらと疾風を見る。 湧き上がる緊張感。 コンゴウに悟られてはならないが、仲間の足の甲も気にかかる。 疾風は、大きく呼吸した。 正しく呼吸すれば、治る。 覇界闘士、神秘。 しかし、コンゴウが足を動かさない限り、痛みは持続中。 それでも、疾風は笑顔でコンゴウのブラッシングを続行。 「どの辺をもふると喜ぶのかな?」 と、にこやかに仲間と会話を続行しようとする。 漢だ……! 顔で笑って、心で泣いて。 疾風、あんた、本物のヒーローだよ! コンゴウは、体の全側面からなでなでもふもふされて、おねむが来た。 あ。と思ったときは、コンゴウは全ての足を折って地面に座り込んだ。 そして、モノマが、おなかのもふもふの向こうに沈んだ。 視界からロスト。 ぷぎゅる。 (((ぎゃあああああっ!))) リベリスタ、声にならない悲鳴。 万一の事態が起きてしまった。 モノマが、肉せんべいになってしまっていたらどうしよう。 真っ青になりながらも、笑顔キープのまま、文とソラせんせ、背中から離脱。 「はい、みんなでだっこ。たかいたか~い」 あくまで遊びの一環ですよ~と、リベリスタがコンゴウのおなかの下に手をもぐりこませた。 「『リベリスタの皆さんなら楽勝な荷物です』 だと信じる。信じさせろ!」 吾郎の唸るような言葉に、一同は大きく頷いた。 常人をはるかに越える膂力を持ち合わせたリベリスタが七人がかりでどっこいしょすればトリケラトプスだって持ち上がるんだぜというか火事場のクソ力若干入ってるかもしれませんもうなに言ってんだかわかんないけどとにかく持ち上げてみないことにはモノマの安否もわかんないし視界に入らなきゃそもそも回復詠唱の対象外なんだよ見えるの大事超大事無事でいてくれモノマ主に君の今後の人生もさることながらコンゴウの精神的健康もかかってる! 恐る恐るコンゴウの腹の下をのぞいてみると。 「――よお」 コンゴウにぷぎゅるされたモノマ、覇界闘士特有の呼吸法をしていた。 ――コンゴウとのもふもふ密着度堪能していた訳じゃない。決して。 生存確認! 「怪我はさせないし、しない! 己の重心をずらしコンゴウの力を一部受け流す事によって素手でも俺は受け止めたのだ! あい・ほーるど・こんごう・たいと!」 はかいとーしはすごいなあ。ぼくにはとてもできない。 とにかく、引きずり出せ、引きずり出せ。 今の内、上腕の筋繊維ぶちぶち言ってるのを聞きながら、ブランコ~とかしてる内に引きずり出せ。 コンゴウに、モノマの窮地を悟られちゃいけない。 コンゴウに、リベリスタの引き千切れそうな腕の痛みを悟られちゃいけない。 アンナは、一、二、と、怪我人指差し確認。 うむ。今こそ、治療のとき。 「皆、ちょっと疲れたね。元気になぁれのおまじないするねっ」 子供番組のお姉さん風アンナに、人となりを知っている若干名が若干金縛り。 アンナさんの目が言ってる。 (いいか。全てコンゴウのためだ! 怪我の治療じゃない。元気になるおまじないだ! コンゴウに気づかせたら許さないからね) ほーりーめいがすはすごいなぁ。ぼくにはとてもできない。 ● ずしーん。 「だいじょうぶへいきへいき。このくらい、どってことない」 どどどどど。 「ギリギリまで引きつけて回避だ。盾もあるぞ。こっちにどしんと来るか?」 よじよじ。 「うおー、恐竜っぽいものの背中! 一度は恐竜っぽいのの背中に乗ってみたいよな!」 よじよじ二号。 「背中乗りたいよね。もう、大きい挙句にもふもふとかどういう事なんだよ」 しゅっしゅっ。 「非常に人懐っこいけど、向こう側だとペットだったりするんだろうか。」 すりすり。 「コンゴウさん、にこーっ。頬ずり、頬ずりっ♪」 もふもふ。 「もふ……もふもふ。もっふもふ。もふもふ」 情報交換。 「皆で協力してコンゴウさんをモフられ天国(ヘブン)に誘うのです! ……いや、その方が効率が良いからって意図もちゃんとありますよ? 1%くらい」 ● 楽しかったひと時が、今はもう過ぎていく。 それまで何もなかった空間に、ぱっくりとD・ホールが開いたとき、遊びの時間が終わったことに皆が気がついた。 吾郎は持ってきたスカーフをコンゴウの首に巻いた。 「楽しかったぜ、ありがとうな。元の世界でも元気に生きろよ」 モノマはサボテンの包みを角にくくりつけた。 「土産兼弁当だ。お腹が減ったら食べるといいぜ!」 「コンゴウが楽しい気持ちで帰る事が出来たら俺も嬉しい」 そんなミカサの頭に、コンゴウは鼻先をすりつけた。 ミカサの灰色の髪にコンゴウの羽が何枚か止まるのを誰も指摘しない。 「じゃ、またね。元気にね。」 疾風が穴の中への誘導を始めた。 もふもふトリケラトプスはD・ホールの向こうに消えていく。 「ばいばーい、またねー!」 アンナが腕をぶんぶん振り回して叫ぶのに、リベリスタ達の幾人かは目を見張る。 その視線に、アンナはぼそりと呟いた。 「私だって……りふれっしゅしたいときぐらいは……ある……」 そういうあんなの頬はばら色だ。 リフレッシュ、成功。 「……ふう」 それまで息をつめて興奮の坩堝の真っ只中にいたうさぎが、小さく息をつく。 そして、はたと気がついた。 「あ」 「はい、みんなー。ブレイクゲートするまでがお仕事よ」 ソラ先生は、黒々と開いたままのD・ホールを指差した。 「……ブレイクゲート、しなきゃ駄目……?」 文は、聞かずもが名のことを口に出した。 開いてれば、またコンゴウが来るかもしれない。 リベリスタ達は、しなきゃだめ。と言った。 アークのリベリスタだから。 「うー、分かった、します!」 文は、ぐすんと鼻を鳴らした。 皆でD・ホールを壊すと、辺りは日暮れの野原。 ソラ先生は、満足げに暮れなずむ空を見上げる。 (珍しくいっぱい働いたわ。私えらい。帰ったら自分にご褒美。明日、学校休んでもいいですか?) だめです。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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