● 彼の前に道はない。彼の後ろに道が出来る。 彼の前にあるのは、栄光の門のみだ。彼はそれに向かって歩く。 一直線に歩く。脇目も振らず歩く。 ただひたすらに。 喜びを以て。 大きな障害も小さな障害も関係ない。彼はただひたすら直進する。 それこそが彼に課せられた使命。 三千世界に彼の足跡を遺すべく。 彼は歩き続ける。 聖者が町にやってきた。 ● 「……このシーズンのこんな所に現れられると、すごく困る」 そこは見渡す限りの芝生。 和やかな家族連れが立錐の余地もなくレジャーシートを敷き詰め、お弁当食べたり、エンジン君でバレーボールしたり、恋人たちがうれしはずかし膝枕なんかしてたりするレジャースポットだ。 「そんなところを、こんなパワフリャ系聖者の行進されたらすごく大惨事」 モニター、ドン。 なに、このやたらと精気に満ち溢れた巨人族。 ――顔は結構ハンサムだけど、直立したサイ? アメフト選手? 逆三角形体型とはこのことだ。彼なら徒歩で地球一周できる。海の上も歩けそうだ。 「アザーバイド。識別名『栄光の聖者』 彼が通るのは過去に悲しいことがあった場所。そこを彼が通ることで清められ、聖別される。だから――」 くっと喉を鳴らして、イヴは横を向いた。 「彼の進行経路の変更は不可能……っ! 彼は、いかなる障害も省みず、ただまっすぐ次の次元門に向かって歩き続ける!」 うわ~い。すごく迷惑だぞ~ぉ。 「彼は聖者だから、生きとし生ける者に暴力を振るったりしない。微妙に浮いて草も踏まないし、ありが通るなら通り過ぎるのを町、子供が通るなら、子供が通り過ぎるのを待ち……」 いい奴じゃないか。 「行楽客がいれば、自愛の笑みを浮かべつつ、退くまで待つ。いつまでも待つ。百年だって待つ」 やっぱり迷惑だ。 「障害物があれば、丁寧に脇に避ける。通った後、元に戻す。乗用車とか」 ああ、担げそうですね。 「神秘は秘匿すべきもの。今日結界でもごまかしきれない。ならば、見せながらごまかすべき」 モニター、更にドン。 『仮装行列』 「日本人ならば、祭りの行列に遭遇すれば、端に避ける。遊園地のパレードがくれば、端によける。そこに乱入しようなんて、誰も思わない。幸い、聖者の出現位置、彼の目的地点は分かっている。後はその直線を……」 イヴは無表情だ。 無表情ったら無表情だ。 こみ上げた笑いを押し殺してなどいない。 「GWのイベントのパレード用地として前日から確保し、聖者の出現に備えてこれから通るのは仮装ですよと準備し、現れたら彼の異様さを緩和するべく自分たちも仮装し、起きる全ての障害を代わりに排除し、とっとと通過してもらって次の次元に行ってもらう!」 今回のお仕事は、イベントの企画、運営です。 アザーバイドの違和感を、お祭りの非日常とすりかえるのです。 「この公園には、イベント開催許可は出した。とびっきり楽しい『聖者の行進』を一丁」 あ。と、イヴは言葉を切った。 「聖者の出現予定時間、明日午後0時30分。準備、がんばって」 現在午後三時。 ラーメンを出前を取る口調で無理難題を突きつける女子高校生、マジエンジェル。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2012年05月11日(金)00:05 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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● 遺された時間は、一日足らず。 聖者の行進を日常に埋没させる手段としてリベリスタが選んだ手段は、 「伝え聞く日本の古き宣伝方法」 「なつかしの」 「パチンコ屋の前なんかでよく見ると噂の」 「見なくなってから、随分経つ」 「見たこと無い」 ――チンドン屋だった。 ● 『水底乃蒼石』汐崎・沙希(BNE001579)は、スケッチブックを差し出した。 『スケッチばかりしてるヒッキーだからそういうのは得意ですよ? 残り20時間あれば何処ぞの漫画家より上手くやれます……多分』 その文を見た全員が、大きく一つ頷いた。 『新緑の梓巫女』神宮寺・遥香(BNE001988)も、 「中学生の同人絵だけど看板&ポスターを手描きできるよ♪」 と、挙手した。 「両店のサービス券付きチラシは、パソコンの作成ソフトを使えば簡単だよね。プリンタやコピー機他は本部事務室を借りて……」 てきぱきと支度を始める中学生が頼もしい。 しゃこーん、しゃこーん、しゃこーん。 機械から軽快に吐き出されるビラを袋につめる。 『三高平の肝っ玉母さん』丸田 富子(BNE001946)経営、丸富食堂のサービス券つきチラシ。 遥香が所属する中古CD・レコードショップ◎ディスクロアの宣伝チラシ。 「しっかし、時間がねーのな。ま、やってやれないことはないか」 『フレイムランチャー』瀬乃 冬彦(BNE003781)はビラの束をまとめると、背後を振り返った。 「あぁでも女性陣、きつかったら適当に仮眠取っていいぜ? フォローできるもんは、みんなお互いにやってくしよ」 チラシ・ビラ班の誰も動かない。 なぜならば。 「紅茶と甘いクッキーを用意しましたよ」 『節制なる癒し手』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650) が姿を現すと、一気に空気が和んだ。 「美味しい差し入れも大歓迎♪」 富子に、ビラのデザインの確認をしていた遥香は、もろ手を挙げて大歓迎だ。 「あ、手伝うわ」 冬彦が、お盆の上からティーカップを取り上げて配り始めた。 厚生係がオーバーワークとストップ掛けに来る程度のワーカホリックのシエルは知っている。 ある種の仕事において、夜食はリベリスタの心のオアシスだということを。 聖者がやってくる。 問答無用で、容赦なく、あふれんばかりの祝福を携えて、ただただ前に進む信念と善意のアザーバイドがやってくる。 どうか、彼が、何にも知らない人たちからひどいことをされたりしませんように。 彼のちょっとこの世界のルールからずれた行動で泣いてしまう人がいませんように。 この楽しい連休が楽しいままで終わりますように。 リベリスタよ、ディメンションカルチャーギャップという深くて暗い渓谷を、その努力と根性と創意工夫で埋め立てろ。 ちなみに君らに残された時間は、夜が明けたので、あと4時間と28分だ。 (あさひがまぶしいです。きょうはせいてんですね。ひのひかりってこんなにめにいたかったのね。たいようさんきびしいなあ……うふふ……きっとツンデレなのね) 沙希は、小さく笑みを浮かべた。 ● 他の班が遊んでいた訳ではない。 すでに現地入りしているのだ。 「会場設営は日雇いバイトの定番。プロフェッショナルなフリーターの腕の見せ所ッス!」 『レッツゴー!インヤンマスター』九曜 計都(BNE003026)は、赤いカラーコーンとロープを積載した軽トラで公園に乗り付けていた。 「こんなこともリベリスタの仕事なのか……。まあ、仕方あるまい。出来ることをしよう」 自らを軍神の生まれ変わりとと目する、軍服を纏ったオッドアイの男――リオン・リーベン(BNE003779)は、夜の公園で自己の矜持と折り合いをつける。 「割と、よくあるッスよ?」 計都は脳裏をよぎる「こんなこと」を列挙するのはやめておいた。 リベリスタには、仕事を選ぶ権利がある。 白いスーツに白コートを着たオールバックの長髪、右の目を眼帯で覆った男――『The Bouncer』入江 省一(BNE003644)は言う。 「事前準備のお手伝いはしっかりとさせていただきます。当日慌てる事の無いように」 帽子とサングラスを欠かさないアルフォンソ・フェルナンテ(BNE003792)は、夜間の作業で安心していた。 日差しが強い中での外出は出来れば避けたい。 「皆さんと共に遺漏なく行いたいと思います。言葉、片言ですが、よろしく、願います」 アルフォンソが「ニホンの礼儀」と、深々と頭を下げるのに、計都は慌てて頭を下げる。 日本人である。 「こちらこそ、よろしくッス」 「やるからには、しっかりやる」 「せいぜい給料分の働きはしましょうか」 円滑な作業は、きちんとした挨拶から。 「まずはそこだな、そこから次は南へ10歩程度……そこで良いだろう」 夜が明ける前には、美しいほどきっちりとしたパレード経路が出来上がっていた。 ● ビラとポスターを抱えたチンドン屋班が公園入りしたのは、会場設営班が束の間の仮眠から目覚めた頃だった。 「設営、お疲れ様でした! 時間、大丈夫だよね? 現場への遅刻は厳禁だからね!」 遥香のチェックは厳しい。 すでに、スパッツ+ミニ浴衣の扮装に着替えている。 (衣装等は皆さんと合わせておかないといけませんね) 『おとなこども』石動 麻衣(BNE003692)は、見た目は小学生だが、26歳である。 (私自身、他の人から見ると『子供』にしか見えないのが不満なのですが、この際、それを我慢して『子供らしく』振舞おうと思います) 大人の対応です。麻衣さん。 悲しくなるほどお似合いです。 遥香とおそろいの、ミニ浴衣。 「は、鼻眼鏡は勘弁してください……っ! どなたか成人に見える方、一緒に公園事務所に付き合ってください。申請していた許可証貰ってきます! それと、告知用看板出してきます!」 差し出された鼻眼鏡は、固辞した。 だって。見えなくても、もうオトナだもん。 赤いカラーコーンと細いロープ。 その向こうには、どこまでも続く立錐の余地もないほどの色とりどりのレジャーシート。 その上に、それぞれのご家族ご一行様が、ジオラマのようにちょこんと乗っている。 行楽地だ。 入らないで下さいね~。と張られた、ロープのこちら側にまもなく現れる真打をいまや遅しと待ち構えている水色の髪と紫の髪とオレンジの髪の和服美人。 十代で時間が止まってしまった清楚なシエルと沙希に、横笛を吹く仕草も着崩した着物も婀娜なアナスタシア。 「チンドン屋……はふっ! あたしまだ生で一度も見たコトないんだよねぃ、。調べてみたら衣装はかなりフリーダムみたい……ケド、ここはあえて王道で!」 アナスタシアは、くるりと回って見せた。 「紫色の髪をした翼がある和服。もう充分に仮装の領域かと……」 あえて幻視なしで挑むシエルだ。 『普通にいつも通りで良いでしょ?――水色の髪をした女性が和服を着て普通に歩いていたら十分パレードかと――』 沙希は、着ろというならカーニバル衣装でも、ねこの気ぐるみでもというが、ぜひとも和服でと押し留められた。 本人達は気づいているだろうか。三人は、同い年なのだ。二月と年は離れていない。 これから少しずつ更に開きが出てくるであろう、革醒者としてのそれぞれの有り様が、それぞれの影をほんの少し濃くする。 ロープのあちら側とこちら側。 生き物としての有り様さえも変わっていることに、向こう側の人たちは気づけない。 だから、向こう側にい続けられる。 だが、そんなことも五月の陽光の下で、しばし忘れよう。 これからここで行われるのは、正真正銘、聖者の行進。 一般人も、革醒者も、あまねく世界を渡り歩く聖者様は区別なんかしない。 願うのは、たった一つだ。 みんなに、一握の喜びを。 聖者さまがおいでになった。 ● 富子さんは、意外とコスチュームがお好きだ。 「いいねぇ!一度やってみたかったんだよあの格好! 最近とんと見なくなったし古き良き時代の再来ってね。それにアタシャ笛も吹きながらにぎやかに行こうじゃないかっ。気合入れて化粧と着替えするかねぇ」 丸髷、三味線を下げた辰巳芸者風の扮装に、別働班が今回はトップレスじゃない。強制退出させなくてすむと、胸をなでおろしたのは内緒だ。 「さぁさ、よってらっしゃいみてらっしゃい、丸富食堂&ディスクロア、GW大感謝祭だよ~!」 高らかに声を出す富子さんの上に、ふっと陰がさした。 振り返った富子さんは、はらぁと声を上げた。 「しかし、アンタでっかいねぇ……」 (歩くんじゃなくて、もっと他にその体の大きさを生かす手段があるんじゃないかねえ……) 富子は、ちらとそんなことも考えたが、いや、と思い直した。 「まぁアンタにはアンタの「道」があってそのゴール目指して今は歩いてるんだろう。だから止めやしない。むしろ応援するさっ」 アナスタシアは、おずおずと特注サイズの橙色のちゃんちゃんこを広げて見せた。 「はふぅん……。これ着てもらえると、歩くの楽になるんだけど……」 聖者は、なんとなく事態を察したらしい。 アナスタシアが着せ掛けやすいように膝を折り、背中に掛けられた衣装に袖を通す。 「あっ、被り笠もあるんだよぅ。よかったらどうかな……?」 手渡されたそれを、見よう見まねで頭に載せる。 シエルは、目を潤ませて、頬が朱に染まっている。 (正直、やや興奮です…聖者様ですよ? 癒し手として最大限尊敬の眼差し……本当は……一緒について行きたい……) 困ります。この次元で身を粉にして働いてください。 「……二度とこういう機会は無い気もするんでな。サインくれ」 『足らずの』晦 烏(BNE002858)が、 すっと聖者に差し出す大きめの色紙とペン。 (三千世界に奇蹟を起こすってのもすげぇもんなぁ) 皮肉でもなんでもない。純粋な感動だ。 金のために戦ってる男でも、そういうのは素直にすげえと思うんだよ。 さらさらと書かれた文字は読めなかったが、聖者のサインゲットだぜ。 「さあ、先頭切らせてもらうぜ!」 鼻口を覆う覆面に、スーツ。 それなんてギャング? と問いかけたくなる格好がデフォルトの烏が、チンドン太鼓を軽快に鳴らす。 音は、背中の再生装置からだが、こまけえ事はいいんだよ。 冬彦の生演奏のクラリネットが重なる。 (高校ん時ずっと吹いてたし、お手のものだよ) 着流しに、頭に布を巻いて、冬彦が踏み出す。 「んじゃま、盛り上げていこうぜ! 笑顔は大事。見物客もオレらも楽しめるようなイベントじゃねーとなっ」 「毎度お騒がせしま~す♪ 昔懐かしチンドン屋さんのお通りだよ」 「さぁさ、よってらっしゃいみてらっしゃい、丸富食堂&ディスクロア、GW大感謝祭だよ~!」 ロープ越しにビラをまきながら、富子と遥香が声を出す。 軽快な音楽に人々の目が集まり、巨大な聖者に歓声が上がる。 「おっきー!!」 「本物~!?」 「こわ~い!!」 「まま~っ、うえ~ん、まま~!!」 泣き出す子供たちに、はっとシエルは聖者を振り返る。 (万華鏡では聖者様……子供達に怖がられるのが切ないとの由……喜怒哀楽はあっても惑わされずあるがまま……故の聖者様だと思うから……) うわぁ~っと、聖者を見上げる子供に声をかける。 「あの人は強面だけど、とっても優しくて子供好きなの……もし良かったらお姉さんも手伝うから肩車、どうですか?」 特別先着五名様のみ。 聖者の行に支障なきようというシエルの配慮だったのだが、そう言われると、日本人とは我も我もと手を上げる民族である。 聖者様の頭に捕まってはしゃぐ子供達の声があたりに響いた。 徐々にチンドン屋の列は進んでいく。 「良いお休みをねぃ!」 ロープをくぐって向こうに行こうとしている男に、アナスタシアがチラシを配る。 誰も見てないと思うから悪さも出来るのだ。 男は、慌てて聖者に道を譲る。 麻衣や富子が、ロープ越しに子供にあめを配る。 会場設営班の四人がそのまま、ロープの幅を必死で護っている。 確保せねば、聖者様が通れない。 聖者様は、ニコニコしながらゆっくりと歩を進めている。 遥香は気がついた。 ほんとに、ほんの少しだけ浮いている。 (幻獣の麒麟みたいな聖者さんだね……見た目はともかく) そんな聖者様がここに来た理由と思われる事件を、遥香はアークのデータベースで調べていた。 この場所でかつて、大規模な山火事があったこと。 それに遠足に来ていた子供たちが巻き込まれたこと。 この公園には、慰霊碑があること。 その慰霊碑は、ちょうどD・ホールの有る小高い丘の上にある。 聖者は歩く。 ただ、歩く。 人々は何も知らないまでもその背を見送り、また幸せな日常に戻っていく。 それが、聖者の願いである。 ● 「お疲れさま、聖者殿。次の世界でも頑張ってねぃ!」 アナスタシアは、にっこり笑った。 衣装や小物はそのままプレゼントにした。 (長い時間の間に風化してしまうだろうけれど、少しの間でも他の世界で聖者殿が子供に好かれる手助けになればイイな) 視線が落ち着かない様子の烏は、歩く聖者に沸きあがってくる感動を抑え切れなかった。 (次元門に到達した所で聖別の為に態々訪れてくれた事にせめてもの感謝の気持ちだ) 「――らしくはねぇ贈り物じゃあるとは自覚しているがね」 折り紙とボンドで拵えた王冠をさしだした。 「ここをゴールしてもまた次の目指すべき場所があるんだろう? さぁ、いっといで!」 富子が手を振る。 『さようなら聖者。今度は数人連れで行にきても良いわよ?』 沙希が、念話で語りかける。 輝かしい光のゲートをくぐり、数々のお土産を携えて、栄光の聖者は次の世界に。 「じゃあな、聖者。なんだかんだで楽しめたぜっ!次のチャンネルでも、気ぃ付けろよな。グッドラック」 冬彦も、手を振った。 「さよならは言わないね。行ってらっしゃい……気をつけて」 はしってきたシエルが、ようやくプリントできた写真を聖者に渡した。 先ほど撮ったのだ。 聖者様の頭に捕まって笑う子供の写真。 「行の詳しいことは判りませんが……貴方様が在るがままなれば……思い出は物欲でも執着でもなく……自然に貴方様の一部になるかと……」 どこかの世界に、あなたの型で笑った子供がいたことを覚えていてほしいのだ。 他でもないシエルが。 聖者は、大きな手を振る。 リベリスタ達に。 この世界の人々に。 遥香は、金色に輝くゲートの向こうに大きな大きな背中が見えなくなるまで見送った。 「ワン、ツー、スリー!」 いかにも、これはショーでございますといわんばかりに。 神秘は秘匿されなくてはいけない。 ほんとは、大きなおじさんはこの世界の人ではないのだけれど、小さな幸せを振りまきに来たのだけれど、それは普通に生きていく人たちは気がつかない方がいいことなのだ。 だって、世界は崩れかけのパンケーキみたいで、今にも崩れそうだから。 遥香はゲートを破壊した。 金色の光は収束し、後には、慰霊碑が立っているだけ。 「大きなおじさん」はどこにもいない。 「はい、イリュージョンでした! 拍手~」 沸きあがる拍手。 この場にいる人は、聖者が消えたのはイリュージョンだと思っている。 それで構わない。神秘は秘匿されるべきだ。 シエルは祈る。 (此処にいる全ての人に祝福よ、在れ) |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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