● 繁華街の中央で、5人の男女が佇む。 此処で散った友を、最後まで彼らしさを貫き通した、5人にとっての誇りを、想って悼んで彼等は立ち尽くす。 そう、此処は『骨抜きカルビ』が息絶える戦場となった繁華街。 だが人通りの多い往来に在って彼等の姿は異様に浮いており、かつ非常に邪魔だ。 人目を気にすると言う事を何処かに置き去りにした5人を、道行く人々は関わり合いにならぬ様にと避けて歩く。 そう、それが正しい彼らに対する対応だ。 なのに、 「おう、お前等こんな所でぼーっとしてんじゃねえよ。邪魔なん……っんんんん?!」 ガラの悪い男が一人、彼等の一人にわざと肩がぶつかるように歩き、言い掛かりをつけて絡もうとする。 5人組の中には顔立ちの整った少女等もおり、恐らく男は其の少女に絡むのが目的だったのだろう。 だが男が最後まで言葉を発する事はかなわなかった。 「ふぅん、口は悪いけど舌は綺麗ね。はい、ちゅーっ」 大口を開けた男の舌をバチンと切り取り、黄泉ヶ辻に所属するフィクサード『情熱檸檬キャンディ』はレモン汁を振りかけて舐める。 「っ! きぁ…………」 常識を疑う光景に、道行く女子大生が悲鳴を上げようとするが、其の悲鳴は喉ごと声帯を抉られて掻き消されてしまう。 「お姉さん煩いよ。カルビさんが静かに眠れないじゃないか」 不機嫌そうにスプーンで女子大生の喉の肉を掬い取った少年は、同じくフィクサード『天才DHC』だ。 「あら、檸檬ちゃんも天才君もせっかちね。じゃあもう、はじめましょうか。ロマネちゃん、絶頂ちゃん、よろしくして良い?」 先走って人を殺めた2人のフィクサードの行動に『お鍋系アイドル煮え煮え』が全員にGoサインを出す。 「おおおおおおおろろろろろろろろろまねこんてぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 どうみても未成年と思われる少女『憧れロマネコンティ』が翳した酒瓶に、舌を切り取られた男と喉を抉られた女子大生の傷口から噴き出す鮮血が吸い取られて行き、危険を感じて逃げ出そうとした通行人たちは、 「君達にー、恨みは無いけれどー、こうしなきゃ俺達の気が済まないんだよねえ。でも君達は幸運さー。だって絞殺はあらゆる死に方でいーちばん、えきさいてぃーんできもちーんだぜ。えくすたしーぃぇあ!」 まるでアニメか何かの様に伸びて周囲に張り巡らされたロープに首を引っ掛けて囚われる。ロープの主『首絞め絶頂物語』がロープを一回弾くと、吊られ呼吸困難に陥っていた人々の首の骨が音を立てて圧し折れた。 平和な繁華街が突如として血と死に染まる。 「うん、貴女ね。貴女が良いわ。はい、りぴーとあふたーみー。OK? あーぶくたったにえたったー」 お鍋系アイドル煮え煮えの言葉に、恐怖に顔を真っ青にして立ちすくむ一人の女性からぼしゅうと水蒸気が上がる。 「にえたかどうだかたべてみよー。ハイ、出来上がり。皆ー、ご飯にしましょう」 煮え煮えの呼び掛けに殺戮に励むフィクサード達が手を休めて集う。 「あー、煮え煮えさん酷いよ。目まで煮えてるじゃないかー」 「そうねえ。煮えた舌は流石にセクシーじゃないわねえ」 口を尖らせ文句を並べるDHCと檸檬キャンディ。だが其れでも彼等が友人からの心づくしを拒否する事はない。 車座に座るフィクサード達。 「カルビちゃんは此処で死んだのね」 寂しげに呟く煮え煮え。 「カルビさんはミルクさんと一番仲が良かったから……。でも一言くらい言ってくれてれば、こんな事には」 血と死の中で、其れ等には無頓着に彼等は友の死を悼む。 彼らにとって大事なのは己と友のみ。 「アークは皆ロマネコンティにする」 「舌を切り取り」 「目を抉って」 「首を絞めて殺す」 故に其の友を奪われた怒りは深い。 「……駄目よ。殺しては駄目。カルビちゃんの望みはミルクちゃんを救う事。殺すんじゃなく、捕まえてミルクちゃんと交換しないと、……駄目」 だが同じ怒りを共有しながらも、煮え煮えは全員に釘を刺す。 そう、彼等の今回の目的は、もう一人の友である『お洒落ミルクセヰキ』を救い出す事。 「ロマネコンティにしたら駄目?」 「舌位なら駄目かしら?」 「目も駄目なの?」 「首は絞めても良いと思う」 口惜しげに、歯噛みするフィクサード達。 「それは良いわよ。寧ろそうしましょう。殺さなきゃ良いわ。一人は捕まえて、後は全員伊達にして返しましょう。……私だって煮殺してやりたいんだもの。せめて其れ位は、ね」 話と食事を終えたフィクサード達は、殺した死体から骨を抜いて集め始める。 彼等は彼の友程に骨の良し悪しは判らない。だからせめて数を集めるのだ。 たくさんたくさん集めれば、きっと一本くらいは彼も気に入ってくれるだろうから。 ● 「さて諸君、敵が現れた」 集まったリベリスタ達を前に『老兵』陽立・逆貫(nBNE000208)はシンプルに告げる。 「敵は黄泉ヶ辻のフィクサード5人。彼等は『お洒落ミルクセヰキ』の救出を目的とし、『骨抜きカルビ』を殺害処分した一件で諸君等に恨みを抱く、明確な敵だ」 一連の事件の発端は、『お洒落ミルクセヰキ』と言う名の女性の中身を吸い取り残った皮を着込むと言う変態嗜好を持つフィクサードをアークのリベリスタ達が捕らえた事。 そしてつい先日その友である『骨抜きカルビ』をやはりアークのリベリスタ達が激戦の末に撃破し、殺した。 「繁華街は既に血の海だ。其の血の海の中央で奴等は諸君を待っている。もし諸君等が現れねば、奴等は別の場所で同じ事をするだろう」 其の偏執的な妄執を注力した黄泉ヶ辻は、ある意味裏野部よりも破壊的で、始末に終えない。 「彼等は一人一人が『お洒落セヰキ』や『骨抜きカルビ』と同格だ。非常に厄介な手合いと化している」 資料 フィクサード1:情熱檸檬キャンディ 「情熱キッスは檸檬味♪」 他人の舌を切り抜き、レモン汁をかけて嘗め回す事をべろちゅーだと言い張るフィクサード。 舐め終わった舌はごっくんするらしい。 アーティファクト:舌切り雀 出血効果付きの鋏。口を開いた相手の舌を狙う際の部位攻撃にペナルティが掛からない。 EX:伊達男 近単物。非常に大きな威力を誇り、部位攻撃にペナルティが掛からない。出血と必殺付き。 フィクサード2:憧れロマネコンティ 「此れが! 此れこそが! ボクの求めたロマネコンティ!」 ロマネコンティとしか言い様が無い。未成年の残念な女性。 アーティファクト:黒々とした瓶 血を吸い集める瓶。手作りの『ろまねこんてぃ』と書かれたラベルが貼られている。 半径30m以内に出血状態の者が居た場合、其の者は通常の出血ダメージに加え100点追加でダメージを受ける。この追加ダメージ分の血液が瓶の中に蒐集され、所有者が瓶の中の液体を飲む事でその収集分のHPを回復する。 EX:ブラッドムーンフォークロア アーティファクトの力を借りて敵対者の血を噴出させ、空に深紅の月を作る。 遠全神、出血、不吉。 フィクサード3:首絞め絶頂物語 「首絞められるのってさいこーぅ! 超! えきさいてぃーん! 君も、締めたげるよ。うへへへ」 首を絞められてエレクトし、其のお返しに首を絞めるフィクサード。 自分自身も良く絞める。 アーティファクト:SM上級者用首絞めロープ 呼吸不要を持つ者がこのロープで首を絞められれば攻撃力分回復する。 呼吸不要を持たぬ者がこのロープで首を絞められれば、ダメージと共に呪縛を受ける。首を絞める際の命中判定にペナルティを受けない。 EX:首絞め絶頂物語 アーティファクト『SM上級者用首絞めロープ』を伸ばし、複数の人間の首を一気に吊り上げる大技。 遠複物、呪縛、必殺。 フィクサード4:天才DHC 「ほら、マグロの目玉とか頭に良いっていうじゃん? そんなんで頭良くなるなら人間の目玉はもっと頭良くなるんだよ。うん、僕様天才」 人の目玉を食べると頭が良くなると信じる子供の姿のフィクサード。実際の年齢はそれなり。 アーティファクト:僕様専用スプーン 肉をさくりと掬い取れるスプーン。出血効果付き。 EX:おすそ分けDHC 神味全付、命中大きく+。 フィクサード5:お鍋系アイドル煮え煮え 「あーぶくたったーにえたったー、にえたかどうだかたべてみよー。うん、おいしv」 黄泉ヶ辻限定のマイナーアイドル煮え煮え。 アーティファクト:超絶沸騰鍋掴み この鍋掴みで触れられると、触れられた物(者)の中の液体が沸騰する。お湯を沸かすのに超便利。 生物がこの鍋掴みで触れられるとこの世の物とは思えぬ苦痛と共に大きなダメージを受ける。必殺付き。 EX:おなべの歌 神遠味全。BS回復、HP回復。 「気持ちの悪い連中だ……。諸君等の健闘を祈る」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:らると | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年05月14日(月)23:20 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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