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エンドレスデストロイ

●鋼鉄の戦闘型()フォーチュナとヤが付く職業のデスペラードミスタ
「ときに蝮原様」
「何だ名古屋」
「手先は器用ですか?」
「は?」
「プチプチをプチプチするのはお得意ですか?」
「…… は?」
「まぁ、と言う訳で手伝って下さいな。包帯の予見士さんには早足で逃げられましたが蝮原様なら手伝って下さるって私信じとりますぞ」
「………  はァ?」

●ぷちぷちぷちぷちぷち
「ハイと言う訳でこんにちはですぞ皆々様、毎度お馴染みメルクリィと――」
「……蝮原だ」
 事務椅子をくるんと回して皆へ向いたのは『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)、そしてやや離れた位置にて葉巻を吹かしているのは『相模の蝮』蝮原 咬兵(nBNE000020)の姿であった。
 サテ、と皆を見渡すメルクリィの手には空気入りのビニールシート――プチプチ潰せるあのシートが一枚、あった。それだけではない。ダンボールにぎっしり詰められて至る所に存在していた。
「ここに気泡緩衝材――梱包等に使用される緩衝材の一つ、俗に言う『プチプチ』がありますよね?」
 プチンと潰して、説明を。
「端的に言うと大量のこれが覚醒したんですよね。で、社会に出回って増殖性革醒現象を引き起こすと色々不味いのでこれらの処分をお願い致しますぞ。
 処分の方法は至って簡単、この様に――」
 ぷちん。
「――と潰すだけでOKですぞ。ひとつ残らず。ね、簡単でしょ?」
 ぷちん。
「……燃やすとか、そういった処分法じゃ駄目なのか?」
「良い質問ですぞ蝮原様!」
 咬兵の問いにニコッと笑んだメルクリィが幻想纏いから取り出したのは――誕生日プレゼントにどこぞのリベリスタから貰ったというハンドアクス。それを笑顔のまま何の躊躇も無くプチプチシートへ叩き下ろした。
 が。
 気泡緩衝材には傷一つついていない。
「御覧の通り、これはおっそろしいほど耐久値があってですね……普通にぶん殴ったらこの有様なんです が!」
 ぷちん。
「この様にプチプチするのは何一つ問題無く行えるという不思議特性でして……」
「一つ一つ潰していくしかないってか」
「うーん、やろうとおもったら潰せると思いますが、プチプチする方が手っ取り早いかと」
 そんな訳でとメルクリィは面倒臭そうに息を吐いた咬兵からリベリスタへと視線を移す。
「そんなこんなで、プチプチするだけの簡単なお仕事です。一緒に頑張りましょうね!」
「……しかし何でそんな物が覚醒したんだ……」
「神のみぞ知るデスゾ」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:ガンマ  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年05月12日(土)22:59
●目標
 覚醒した気泡緩衝材の空気を全部潰す

●登場
気泡緩衝材
 この度覚醒してしまったプチプチできるあのビニールシート。ドッサリあります。
 空気を潰す事で『撃破』という事になる。
 異様に耐久値が高く普通に攻撃してもビクともしない。が、指でプチっと潰せばパツイチのコロイチ。
 一応、攻撃でも潰せますが物凄く手間がかかります。

『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ
 お馴染みのフォーチュナ。隅っちょで黙々とプチプチしてます。

『相模の蝮』蝮原 咬兵
 お馴染みの若頭。隅っこで葉巻吹かしてるだけです。

●場所
 アーク本部の広い一室。気泡緩衝材入りのダンボールがドッサリ。

●STより
 こんにちはガンマです。
 プチプチしたことない人って居るんでしょうか。
 宜しくお願い致します。
参加NPC
名古屋・T・メルクリィ (nBNE000209)
 
参加NPC
蝮原 咬兵 (nBNE000020)


■メイン参加者 66人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
ホーリーメイガス
悠木 そあら(BNE000020)
デュランダル
鬼蔭 虎鐵(BNE000034)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
ソードミラージュ
司馬 鷲祐(BNE000288)
スターサジタリー
エナーシア・ガトリング(BNE000422)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
プロアデプト
氷雨・那雪(BNE000463)
インヤンマスター
依代 椿(BNE000728)
ナイトクリーク
アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)
クロスイージス
春津見・小梢(BNE000805)
ソードミラージュ
戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)
ソードミラージュ
上沢 翔太(BNE000943)
ソードミラージュ
天風・亘(BNE001105)
スターサジタリー
リーゼロット・グランシール(BNE001266)
ホーリーメイガス
ニニギア・ドオレ(BNE001291)
覇界闘士
陽渡・守夜(BNE001348)
ソードミラージュ
ルア・ホワイト(BNE001372)
デュランダル
ランディ・益母(BNE001403)
覇界闘士
祭雅・疾風(BNE001656)
クロスイージス
ステイシー・スペイシー(BNE001776)
プロアデプト
銀咲 嶺(BNE002104)
ソードミラージュ
レイライン・エレアニック(BNE002137)
ソードミラージュ
鴉魔・終(BNE002283)
ホーリーメイガス
月杜・とら(BNE002285)
デュランダル
宵咲 美散(BNE002324)
スターサジタリー
坂東・仁太(BNE002354)
ホーリーメイガス
エリス・トワイニング(BNE002382)
デュランダル
ジース・ホワイト(BNE002417)
プロアデプト
レイチェル・ガーネット(BNE002439)
ソードミラージュ
ルカルカ・アンダーテイカー(BNE002495)
マグメイガス
ジズ・ゲルディーリ(BNE002638)
デュランダル
羽柴 壱也(BNE002639)
クリミナルスタア
古賀・源一郎(BNE002735)
クリミナルスタア
坂本 瀬恋(BNE002749)
マグメイガス
ラヴィアン・リファール(BNE002787)
ホーリーメイガス
エルヴィン・ガーネット(BNE002792)
クリミナルスタア
桐生 武臣(BNE002824)
クリミナルスタア
晦 烏(BNE002858)
デュランダル
結城・宗一(BNE002873)
デュランダル
飛鳥 零児(BNE003014)
クロスイージス
樅山 多美(BNE003276)
インヤンマスター
小雪・綺沙羅(BNE003284)
ナイトクリーク
フィネ・ファインベル(BNE003302)
ホーリーメイガス
氷河・凛子(BNE003330)
プロアデプト
プレインフェザー・オッフェンバッハ・ベルジュラック(BNE003341)
ダークナイト
アルトリア・ロード・バルトロメイ(BNE003425)
ダークナイト
ウィンヘヴン・ビューハート(BNE003432)
ダークナイト
赤翅 明(BNE003483)
ソードミラージュ
ルーク・J・シューマッハ(BNE003542)
マグメイガス
首藤・存人(BNE003547)
ダークナイト
一ノ瀬 すばる(BNE003641)
ダークナイト
スペード・オジェ・ルダノワ(BNE003654)
ホーリーメイガス
鈴木 楽(BNE003657)
プロアデプト
チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ(BNE003669)
クリミナルスタア
七篠・祢子(BNE003736)
ソードミラージュ
セラフィーナ・ハーシェル(BNE003738)
クリミナルスタア
式乃谷・バッドコック・雅(BNE003754)
レイザータクト
日逆・エクリ(BNE003769)
レイザータクト
ミリィ・トムソン(BNE003772)
レイザータクト
日暮 小路(BNE003778)
レイザータクト
アルフォンソ・フェルナンテ(BNE003792)
ナイトクリーク
不知火 有紗(BNE003805)
レイザータクト
恋宮寺 ゐろは(BNE003809)
レイザータクト
月姫・彩香(BNE003815)
ソードミラージュ
テトラ・テトラ(nBNE000003)

●ぷち
 広い室内中にはもう既に、空気の詰まったビニールがプチプチと爆ぜてゆく音が響きまくっていた。
「また妙なものが覚醒したものですね。まぁ、安全な敵で良かったでは無いですか」
 そう呟くリーゼロットは機械の如く精密な動作で顔色一つ変えずにプチプチプチプチ。流れ作業。クセになる何かがありますよね。これ。
「しかし、こんなことも仕事になるのだな。簡単な仕事ではあるから問題はないのだが」
 簡単な代わりに単調なのが疲れるところかとアルトリアも只管プチプチ。それにしても何でこれが覚醒したのだろうか。エリューション能力とかはどうなっているのだろうな。剣でつついても破れないというところがエリューション能力だろうか?
(まあ、これが能力を持って襲い掛かってこられても困るのだが)
 黙々。プチプチ。仕事ならば苦はない。それに単調な作業は嫌いではない。潰し漏れがあってもこまるしな、とまた一つプチン。
「ん? これをぷちっと潰せば良いの? よーし! 頑張って潰していこー」
 ウィンヘヴンもプチプチを手にプチプチ。それにしてもリベリスタがこれだけぷちぷちしてるのも凄い画だよね、と。
 そんなリベリスタの一人、疾風もストレス解消も兼ねてプチプチ。
「一旦プチプチやりだすと止まらなくなるよねえ。ハート型の粒を見つけるとプチラッキーらしいよ」
 なんて思いつつ、豪快に潰れると気持ち良いんだけどなあ。気泡緩衝材の束を雑巾絞りの要領で――駄目だ、兎も角最後までプチプチ潰し切るしかないらしい。
「8月8日が日本記念日協会認定の『プチプチの日』、プチプチが止まらないのは心理学でいう『アフォーダンス』の一種、某産業製のには一万個に一個の割合でハート型の粒があるらしいよ」
 と、雑談も挟みつつ。
「ドーはどーらごんのードー♪ レーはレックスのレー♪」
 一方で聞こえてくるのは快快としたラヴィアンの歌声であった。リズムに合わせて気分良く、一つ一つ丁寧にぷちっ、ぷちっ、ぷちっ。
「ぷちぷちって不思議だよなー。なんでこう単純なのに面白いんだろーな」
 ぷちぷちぷち。
「前から一度ぷちぷちをいっぱい潰してみたいと思っててさ。あれだよ、駄菓子を大人買いしてみたい、ってのと同じ感覚?」
 ぷっちんぷっちん。
「今日は1日中ぷちぷちして遊ぶぜ!」
 うきうきしながら、必殺☆4つ同時潰し!2連鎖!3連鎖ー!
「ふっ。またつまらぬものを潰してしまったぜ……」
 飽きずにぷちぷち、楽しげに。
 しかし宗一は苦笑交じりに気怠げに。
「なんつーか、なあ。これが仕事だって言われてもなあ? 拍子抜けっつーかなんつーか」
 まあやるしかないけどな。指でぷちぷちと潰していく。指でぷちぷち只管に。
「……何も考えなくていいのは良いことか悪いことか。変に考え事しちゃうと今までの色々を思い出してしまうしな」
 口を噤んでぷちぷちぷちぷち。何かこう、不思議な気分になる。
「よし、1枚終わり。……達成感はあるな。気は滅入りそうだが」
 が、残りはまだまだ。仕方ない、仕事なんだと溜息一つ。綺沙羅の溜息と重なった。
「何この地味な作業。プログラム組む作業は夢中でやれるのに……」
 ぷちぷちぷちぷち……ぷちぷちぷちぷち……これが好きな人間の気持ちが分からない。
「ストレス解消! ストレスは美肌の天敵です!」
 ぷちぷちぷちぷちッと彼女の近くで嶺が猛然とプチプチを潰している。
「鬼の対応の(ぷちぷち)オペレートとか(ぷちぷち)今まで忙しかったですし(ぷちぷちぷち)ここいらで(ぷちぷち)一気にストレス解消しないとお肌に悪いですしね(ぷちぷち)それにしても!(ぷちっ)有給が!(ぷちッ)全然!(ぷちッッ)取れないんですけど!(ぷぢィッ)」
 熱中しすぎて眉間にシワ。これ、指摘するとプチプチではない別のモノがプチッとなるんだろうなぁ、堪忍袋や指摘した人的な意味で。
 同じくとすばるも日ごろの鬱憤晴らし。
「ぷちぷちしとったら鬱憤はれそうやろ?(ぷちぷち)あたしには従兄妹がおるんやけど、そいつがほんまにゆうこと聞かんくてな……(ぷちぷち別に普段はええんけど……いや、よくないなぁ……(ぷちぷち)あたし無視されんの嫌いやしな……(ぷちぷち)飄々としてて、何考えとるかわからん時がある……むしろなんも考えてへんのかもしれんけど……(ぷちぷち)まぁ、それでも従兄妹やからほっとかれへんのやけど(ぷちぷち)世話になっとったんもほんまやし……(ぷちぷち)う、うわああああもうなんやねん! 結局あの能天気のことばっかやん!」
 ブチブチブチィィィ!←無残に引き千切られ割らるるプチプチの図
「うわ、思い切りやってもうた。い、いけるよなぁ? これ。まぁ、さっさと片付けてしまお……」
 ぷちぷち……ぷちぷち……ぷちぷち……
「………。陰陽・氷雨……!!」
 遂に耐えかねた綺沙羅が術の雨を降らしてみた。が、プチプチがヒンヤリしただけという結果に終わった……舌打ち一つ。
「やっぱりこの程度のダメージしか入れられないか……」
 雑巾絞りのアレも上手くいかない。もう、八つ当たりでメルクリィへヒンヤリした気泡緩衝材を投げ付けた。
「キサは、帰る……帰る……もうこの音やだ。この空間がやだ、やだ、やだ……」
 ふらふら、ぱたん。
 そんな様子を部屋の隅、座って眺めてルークはそっと気泡緩衝材を手に取った。
「……キミたち、覚醒しちゃったんだね。ごめんね、今からぷちぷち、するね」
 黙々、ぷちぷち。
「いつも、大事な荷物を保護してくれる(ぷちぷち)そんなキミ達を(ぷちぷち)こんな風にするなんて(ぷちぷち)」
 パチン!
「!? い、いますっごいイイ音がした……ま、まずいよオレ……」
 ドキドキ、高鳴る心臓。震える指先。
「す、すごく楽しくなってきちゃった。ご、ごめんよ!」
 …(ぷちぷち)…(ぷちパチン!)!?…(ぷちぷち)…
「あ、ああ……み、みんなが凄く楽しそうなのがとってもわかっちゃう。と、とまらない……!」
 ぷちぷちパチン!
「く、癖になりそうだなぁ……!」
 今ここにまた一人、ぷちぷちジャンキーが誕生した――

「こっ、こんな、こんな何気ない日常の一風景にまで神秘が侵食しているなんて!」
 許せない。許せないわ。エクリは気泡緩衝材を親の仇か何かの様に睨み付ける。潰してゆく。あたしの手で殲滅し尽くしてやるんだから。ぷちぷちぷちぷち。
(べ、別に子供の頃よくやったなーとか懐かしく思ったりしてないよ? 喜んでないし。楽しんでないし。こいつめ、こいつめ。にっくきエリューションめ。最近あたしの生活範囲じゃめっきり見掛けなくなった貴重なぷちぷちを何覚醒させてくれてるのよ。ご家庭の日常はあたしが守るよ。えい、えいっ)
 ……
 ……
 ……(熱中なう
(――はっ! ちちち、違う。別にあたしは楽しくて熱中してたわけじゃない! エリューションをぎゅーぎゅー睨んでただけよ!)
 心の中で叫びつつ百面相もかくやと悶えながらも、手は一心不乱にぷちぷちぷちぷち。
 とりあえず色々試してみて、一番楽s……効率の良い方法でも探してみるか。と、
プレインフェザーはシ-トを手に取った。先ずは雑巾絞りスタイル。
「やるよな?いっぱいプチプチって潰れる感じがキモチ良いの」
 が、ちょっとしか潰れない。なんだ、ちょっと残念。ならば次は床に敷いてみた。足で踏むとか。こう、足の下でプチプチする感じが。なんとも。この上で寝転がってゴロゴロするとか……こー一気にプチプチプチーっといかないかな、なんて……割と潰れないけど、悪くないかも……
「……別にプチプチにすっげえはしゃいでるワケじゃないぜ」
 ふっと誰とはなしに言ってみる。いや、傍から見たらそう見えるかもしんねえけどさ。ごろごろぷちぷち。ちょっと目が回って来たので大人しく胡坐をかいて、指でプチプチプチ。
「地味で根気の要る作業ですね」
 今回の私が為すべきこと。アルフォンソも適当な量を少しずつ潰していた――時間のかかる作業故に、沢山貰い過ぎると先の見えない状況で嫌になりそうだから。加減を気を付け時折息抜きも挟みつつ、作業を続ける。無事終えたら、肩の凝りでも解して……そして一杯のエスプレッソ・コーヒーが飲みたいところです。なんか死亡フラグっぽくなった。
「プチプチ……? そうか、これを……つぶせばいいのか」
 彩香は具にシートを見詰める。いや、べつに初仕事に張り切っていてこれだからちょっと気持ちが滑ったとかそういうことではない。うん、これも立派なリベリスタの仕事だ。喜んで受けよう。ぷちぷちぷちぷちぷち。
「……なんというか、時間の経過が長く感じるな……しかしあれだな、こんなものにまでエリューションに覚醒するものなのか。ふぅむ……見た目は普通……普通か? いやすこし違うようなそうでないような……」
 なんてブツブツ、ジロジロ、プチプチ。
 小梢の脳裏に過ぎるのは、つい先日に別のぷちぷちのエリューションにあっと言う間に重傷にさせられた事。思い返す度にハラワタが煮えくり返……るなんてことは別にないけれど。カレーが煮込まれているとお腹が空きますね。
「りべんぢだーうぉーうぉー」
 声だけならアレなのに、実際は全然やる気は出さずダラダラぷちぷちマイペース。2分後には完全にだらーん。
 そこへひょっこり顔を覗かせたのはマジシャン姿の祢子である。ぷちぷちを潰すのは嫌いじゃないけど、きっと途中で飽きる人が出てくると思うし(主に自分が)、と。
「そんな時こそ、マジシャンとしての本領を発揮するべきだと思うのです!」
 おらもうぷちぷちしたくねぇだ。現実逃避。新しいシートにマジック用の布を被せて3、2、1――パッと退ければそこにはプチプチ済みのシートが!
「これぞ秘技『一瞬で、ぷちぷちを潰すマジック』! 気合があれば、意外となんでも出来るものですよ? でも、押し付けられると困るので1度しかやりませんからね? まぁ、1日に1回しか出来ないんですけどね?」
 実際は掏り替えただけ。後ろ手に持った新しいシートがヒラリと揺れる……
「ぷーちーぷーちー。プチプチはニートの友なのです。何故ならばkonozamaさんが頻繁に商品を梱包して送りつけてくるのです。あたしは通販を活用するのでいっぱい部屋に転がっているのです。そしてニートは暇なときにそれを潰して遊ぶのです。だからあたしはプチプチを潰すのは得意。いや、むしろプロと言っても過言ではないですね」
 即ちプロニートイズプロプチプター――小路は自分で言っといて何言ってるか分かんなくなってきた。しかしこれだけあるならば、と遠慮無く身体にシートを巻いてごろごろぷりぷり、身体全体をつかったプチニック。
 ごろんごろん。
「……飽きた!」
 この間およそ7秒。
「もう寝るです。布団敷いて。布団の中でちまちまプチプチやりますよ。眠くなるまで」
 ぷちぷちぐー。
 されどプチプチの音は止む気配が無い。
「ひとつひとつ丁寧にぷちぷちと……」
 ぷちん、ぷちん、ぷちん……
「ってやってられるかなのです!」
 そあらはビタコーンと机にシートを叩き付けて。また手にとって。
「こんなぷちぷちシート、雑巾みたいにねじって絞り潰……もしかして、一粒ずつ丁寧にやらないと潰れないです?」
 お察しの通りである。仕方が無いのでぷち、ぷち、ぷち、ぷち、ぷち……
「せめて100個に1個変な音なったりしないかしら? 変な音じゃなくてこう、さおりんの声で『そあら、愛してるよ』とか言うと一気にやる気がでるのですけれど――やだ、恥ずかしい」
 ごろんごろんごろん><
 ………ふぅ。
「……引き受けた以上真面目にぷちぷちするのです。するのです……するの……です……する……の……さおりん……zzz」
 シートを枕に夢の中。
 そんな殺伐とした会場にエンジョイ鈴木が!
「潰し続ける体力!(フィジカル)正確に潰す技術!(テクニック)そして折れない心!(メンタル)今まさに、リベリスタとしての総合力が試される時! まぁやってることはぷちぷち潰してるだけなんですけど、ハッハッハッハッハ。えっキャパシティ? いやだなぁ別に何も思いつかなかったってわけじゃないんですよ、本当ですよ?」
 プチプチしつつハッハッハ。ぷちぷちを潰すこと自体は嫌いじゃないが、流石にこの量となると正直この仕事って実はなかなか辛い仕事だったんじゃないか、と思ってきたり。しかしここで楽しむのがエンジョイ鈴木流である。
「せっかくこんなにたくさんあるんですから、モチベーション維持の為に誰が一番多く潰せるかとか勝負してみませんか、第1回アークぷちぷち王決定戦! みたいな感じで!!」
(だらーん)←心ここにあらずの小梢
「ぐー」←お布団なうの小路
「さおりん……zzz」←以下略
「ハッハッハッハッハ 泣きたい!」
 頑張れエンジョイ。

●実際、複雑だぜ
 何で俺はこの部屋にいるんだろう。眉根を寄せて、天井に向けて紫煙の輪を吐く相模の蝮。ぷちぷちなんぞやってられない、頼まれはしたが了承した記憶は無い。が、この場で一人だけ退室するのは悪目立ちする上に気不味いもので。何とかならないものかと、
「咬兵咬兵!」
 思った瞬間に友人の声が聞こえて更に重い溜息を吐いた。
「葉巻を味わってる場合じゃないでござる! こ、このぷちぷちの良さが分からないなんて……咬兵はもったいないでござる! こうなったら拙者自らが教える他にないでござるな!」
「悪ィが全く理解が出来ん上に理解したくない」
 プチプチしながらにじり寄る虎鐡を黙したまま見遣る。来んな的な目線。
「ぷちぷち……堪らんでござるよ……? 咬兵も一回だけでいいからやってみるでござる! この楽しさというかストレスが解消される感じと言うかそういうのがでござる! 兎に角この楽しさを伝えたいのでござる!」
「……断る」
「ほら! まだぷちぷちはあるから潰すでござる! 日頃の鬱憤を出すでござるよ!」
「お前が千枚分潰し終えたら考えてやらん事も無いぜ」
「任せろでござるよー!」
 一心不乱にぷちぷちぷちぷち。全くと息を吐く、そんな咬兵へ椿が話しかけた。
「蝮さん、お疲……れしとるん? それって」
「……見ての通りだ」
 隣で只管プチプチしている虎鐡をちらと見遣る無頼に「そうか~」と苦笑を浮かべ、椿も反対側のお隣に。
「それにしても、雪花さんが羨ましいわぁ。いや、蝮さんが名代やっていうのがやね……」
 溜息吐きつつぷちぷちと。
「いや、確かに頼りになる時はなるけど……普段が普段やからな。まぁ、普段三枚目でいざという時頼りになる言うんは格好良い要素ではあるんやけど……」
 苦笑を浮かべ、空気を潰れる様を見て。
「まぁ、隣の芝はなんとやら……やろか? そっちと比べて、うちらはまだまだ駆け出しやしなぁ」
「紅椿は悪くない所だと思うぜ? それに、組の数だけ組の『色』ってモンがあるのさ。頑張んな、13代目」
「はは、ありがとぉ……って13代目やなくてやね……うん」
 閑話休題、手を止めて咬兵の顔を見た。
「ところで、つい最近うちがクリスタやないと知って驚いとったけど……あれ、どういう意味何やろな?」
 ニッコリ超笑顔。
「……まぁ、人は見かけによらねぇってこった」
「どうゆう事や……」
 ノーコメントで逸らされた咬兵の視線の先、そこには凄い形相で彼を睨み付けているゐろはの姿があった。ネイルつけたままプチったら見事に折れましたなのである。
「ないないないマジウザいチョーありえないんですけど!」
 八つ当たりの悪態を吐いて、視線を戻し忌々しげにネイルを毟り取る。
「はぁーもうマジ鬱なんだけど。つかあのオッサン誰だし。え、ていうかちょっと格好よくない? ねえねえ」
 エア隣人に話しかけ、先程の形相はどこ吹く風で話しかけてみた。
「オジサンさぁ、この場にいるのすっごいシュールだよね。つかオジサンもこれプチプチすんの? ウケんだけど! 可愛いー!」
「……」(虎鐡の事……だよな?)
 今どきの子は切り替えが早い&話も聞かない。
「ていうかマミィってさー」
 そして勝手に渾名もつける。実際、複雑だぜ。

「いつもプチプチで事が済むなら世の中少しは平和になるんでしょうけどね。それで終わらないのが世の常なのです」
 ミリィの物憂げな溜息、それにしてもこんなに沢山のプチプチを見るのは初めてだ。見ても1、2枚が殆どである。取り敢えず今はただ何も考えずプチプチを楽しもう、と、思わず視界に入ったのは葉巻を加えた蛇の無頼。じーっと見詰める。じーっと。ぷちぷちしないのですか。
「……何だ?」
「あ、すいません。ただボーっとしてるのも退屈なんじゃないか……って。だから蝮原さんも一緒にぷちぷちしませんか?」
「残念だが可愛いお嬢ちゃんの頼みでもYESたァ言えねぇな」
 ここでプチプチしたら、横で必死にプチプチしている虎の彼に負けた様な気がするので。
「そうですか……名乗り遅れました。私、アークの新米のミリィです。良ければ、これから宜しくお願いしますね」
「あぁ、宜しく頼む」
 ぺこりと一礼に、片手をヒラリ。
 そんな無頼の傍に有紗は腰をおろして。
「最近一気に名を売り出してる新興組織って聞いてたけど、なんともまぁ地味な仕事もあったもんね」
 とりあえず形だけでも仕事するかとプチプチやりつつ、
「なんせ長丁場だ、肩身の狭い私達は隅っこで固まってるのがお似合いさ。でも突然仲良く喋るってのもなんだかね」
「構わねぇさ、ぼちぼちやんな」」
 と言う訳で黙ってやる気なくプチプチ仕事。途中、咬兵が新しい葉巻を取り出すタイミングで黙って自分のを勧めてみる。
「こんな安物逆に失礼ってものかしらね」
「気にするな」
 息を吐く音。
「働かざるもの喰うべからず」
 そんな台詞、超笑顔の凛子が手渡すシート。
「穀潰しならぬ暇潰しですし……ね」
「……」
 受け取るだけ受け取った咬兵にお茶と煎餅を差し出し、クスリと笑んでから雑談でも。
「医者も極道もそれほど変らないでしょう。きったはったで生と死にも近いものですし……死への近さなら医者は極道よりも近いものかもしれませんね」
「それもそうだな。……実際、大したもんだと思うぜ?」
「ありがとうございます。立ち位置は戦場ですからね。あそこ以上に酷い場所もそうはないでしょう」
 それからと訊いてみるのは近況と最近のフィクサード界隈の話。そうだな、と一間開けてから咬兵は答えた。
「知っての通り『六道の兇姫』が怪しげな事をやってるな……それから『ハーオス』に『チャプスィ』、まだまだ表沙汰にゃなってねぇだけで牙を研いでる連中はごまんと居るだろうよ」
「成程……込み入ってきそうですから、またどこかでお力をお借りするでしょう」
「かもな」
 ふ、と吐かれる煙。結局凛子が咬兵に渡したシートは手つかずで、その一方で凛子は自分の分をきっちり潰し終えていて。新たなシートを取って来るべく「それではここで」と立ち去った。

「こんなに沢山、面倒だね……」
 大量のぷちぷちを前にアンジェリカはそんな事を呟いたが、どことなく楽しそうにそわそわしている様子までは隠し切れていない。そんな調子で咬兵の傍へ、黒外套をちょっと引っ張って振り向かせて。
「蝮原さんも一緒にやろう……?」
 差し出すシート。お誘い。少し頬を染め訴えるような目つき――最近練習したのだ。うん、ドキドキする。
「……」
 間。
 それから、
「……はぁ。一枚だけだからな」
 負けたよ、と言わんばかりの盛大な溜息であった。 
 先程凛子が置いて行った煎餅や、アンジェリカが持参した和菓子やお茶などでのんびりしつつ、ゆっくり作業。長丁場だからこそ。しかしただ黙々とやるのも何なので、アンジェリカは彼に問うてみた。それは、彼の子供の頃について。
「話す程のモンじゃねぇよ……どこにでもあるような下らない馬鹿な話さ」
 言葉の終わりに貰った煎餅を彼女の前へ押しやる。ここで『そっちはどうだったんだ』と訊かないのは、彼女の悲しい過去を知っているから。なので、近況を訊いたり他愛も無い話で時間を過ごしてゆく。

●ぼっちぷちぷち
「ぼっちです!」
 はい竜一くんダウト。
「というか、これは群れて何かする依頼じゃないよな……。というか、ひたすらにぷちぷちするだけか……。ぼっちには定評のある、この俺だ。真のぼっちの生き様を見せてやるさ」
 俺が、俺達が、ぷちリスタだ!
「って、ぷちリスタだっつってんのに、蝮! 働けやァー! ぷちぷちしろやァー! ダンディに葉巻吸ってんじゃねェー!」
「俺はフィクサードだ」
「都合のいい時にフィクサードになりやがって! 汚い流石フィクサード汚い! ったく、こまったやつだぜ……」
 仕方が無いのでレッツプチプチ。
 ぷちぷちぷちぷち。
「さあ、みんなでぼっちぷち! あれ? なんか矛盾してる?」
 それ以前に君ぼっちじゃないよね壱也さん。
「これいつまでプチプチすればいいの? 最初楽しそうだなーなって思って参加してみたけど……さすがにぷちぷちしすぎて手が痛いよ~」
 ぷちぷちぷちぷち。
「わたしの分まだあるの?」
 ぷちぷちぷちぷち。
「ぶええええええん終わらないよおおおお」
 もうやだよーとそんな時、視界の先に黙々とぷちぷちしている竜一の姿が……
(ん……竜一くんじゃないか。気付かずに必死にプチプチしているね……ふふふ、ラーメン同様、わたしの分もわけてあげようではないか……!)
 汚い?いやいや、これも立派な作戦のうちさ!
 と言う訳で夢中になってる間にササッ。
(さあ、いっぱい頑張るんだよ!)
「……(ぷちぷち)……(ぷちぷち)……(ぷちぷち)」
 頑張る竜一。なんか増えてる気がしない事も無いぜ。でも颯爽と気付かないぜ。
「……(ぷちぷち)……。………。…………」
 ――へんじがない、ただのぬけがらのようだ――
(わたしもこれ、何かを妄想しながら……ハッ。愛しい先輩の何かプチプチ……ボタンぷちぷち、おててプチプチ、おなかプチプチ……た、楽しくなってきたぁぁぁぁプチプチプチプチ!!)
 腐乱ダルこわい。

 一方で。

 ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぶちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち

「畜生やってられっか! 飲みに行くぞ!」
 快はガッターンと立ち上がり、
「ひたすら! ぷちぷちする物が無くなるまで! ぷちぷちする事を! やめない! 周囲でどんな事が起きようと例え爆風に巻き込まれようとも!」
 終は超集中、あれ?もう終わり?じゃあ次だと手を伸ばし。
「やるからにはイチバンなのだっ!!」
 そんなテトラは、プチプチプチプチもぐプチプチプチプチプチプチプチプチもぐプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチぱくプチプチプチプチプチプチもぐプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチぱくプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチぱくプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチぱくプチプチプチプチプチもぐプチプチプチプチプチプチププチプチプチプチプチプチプチもぐプチプチプチプチプチプチプチ。間食うまい。何故なら椿が横からお菓子をあげているから。
「そうそう、これは友達の友達が体験した話なんやけどな……」
 そして怪談を聞かせて怖がらせる。飴と鞭。13代目はダテじゃない!

●ですぞ
「うーん、山の様なプチプチ……素晴らしいのう! 子供の頃から思う存分プチってみたかったのじゃ!」
 それって50年ぐらいむかs 何でも無いです。
「さーて、プチプチーぷちぷちー……」
 潰し始めるレイライン、一方で雅は握り締めたシートをキッと睨みつける。
「どういう防御性能してんのよ! エリューションってホントに何でもありよね! ……まあいいわ、ぷちぷちだろうが何だろうが、あたしの前に立ちはだかるヤツは全部潰す!」
 と、意気込んでプチプチしてみたものの。
「ああしかし面倒ねホント! キリがないったらありゃしねぇ! 何かもっとこう、効率の良い感じのさくっと潰せるような専用の機械とか無いの!?」
 そこで視界にふと留まるメタフレフォーチュナ。そうだわ。アレのあの肩のあたりのトゲトゲとか丁度好さそうな感じじゃないかしら?軽く巻きつけて抑え付けたら一気に割れたりしないかしら?
「思いついたからには善は急げよ!」
「エッ 何事ですか!?」
「なに、攻撃じゃないからきっと割れるって! 痛いのも少しだけよ!」
「エッ 私の何を割る気ですか!?」
「っつーわけで肩を貸すのよ!」
「ワアアアア」

「……よく、わからないけれど……これ、ぷちって、すれば、いいのかしら……」
 ↑な騒動など露知らず、那雪はマイペースにきょとんと小首を傾げる。
「それにしても……なんで、E化したのか……ほんと、不思議、ね……意外とみんな、真剣なの……私も、がんば……」
 ぷちぷち、こっくり、ぷち、うとうと、……はっ。
「いけない……単純作業、ねむくなるの……まぁ、私は、いつだって……ねむねむ、だけれど……」
 とろんとした目でハーブティを一口、一服、はふ。美味しい。そこで聞こえたのは某エンジョイ鈴木さんの「第1回アークぷちぷち王決定戦!」であった。
「あぁ、誰が一番か、決めるの……? でも、これ……ぷちの数、数えるの、大変そうなの……」
 じっと見つめる――シートから758。
「これ、名古屋さんの、肩のそれで、プチってしたら、穴……あかないかしら」
「えええ那雪様まで!?」
(そわそわわくわくじー)
「何ですかその熱い眼差しはー!?」
「ためしてみても、いい、かしら……」
「らめぇぇ」
「何、戦闘型フォーチューナのあんたならば問題ないだろ? いざとなったらその肩にあるの破壊して一気にプチプチすれば問題ない」
 翔太も頷く。何か知らないが勢いで参加してて、なんか沢山エリューション化してたから、(プチプチってなんか懐かしいなぁ)とまぁ一つずつと手で潰してて、なんか落ち着くっというのがあるよな?なんて、プチプチしてたら2秒で飽きた←今ここ
「めんどくさくなった、後はよろしくそこの戦闘型()フォーチュナことメルクリィ」
「ちょっ 一個しか潰れてないんですけどこのシート せめてもうちょっとやりましょうよ!」
「断る。何故なら、そりゃ俺が俺だからだ。なんで俺がここに居るのかもわかってねぇし。まぁ、壊すのは他の人に任せる。後は全体でも見ているわ、任せとけ」
「何ですかその謎のサムズアップ!?」

「……飽きたのじゃ」
 遂にレイラインもグッタリ。一生分はプチったんじゃないじゃろうか。流石にもう指も痛い。
「うーむ、こうなったら他の潰し方を……雑巾潰し、はベタ過ぎるからのう……そうじゃ! 名古屋!!
「まさか貴方もッ!?」
「そのまさかじゃッ」
 ぷちーんぷちーん@トゲトゲ!
「うん、効率悪い!!」
「んもう人の体を良い様に弄ぶだけ弄んだらポイですか!」
 というメルクリィはさて置き、次は自分の体にシートを巻いて地面をごろごろーん!
「そーれぷちぷちぷちぃー!! ははは、これは楽じゃわー♪ ……ってちょ、ぶ、ぶつかるー!?」

 どごーん

   にゃぎゃー

 部屋の隅っこでばたんきゅう。
 イベントで暴れてはいけませんね!

 そんな様子やらを横目に眺めつつ、隅っこの烏はのんびりコーヒーブレイクでもしながらプチプチと。
「へーこりゃ、スゲェ。どうなってるんだかこれ」
 ぷちぷち。ラボにでも持ち込んでぷちぷちアーマーでも拵えてみると楽しそうだけれども。
「8月8日ってぷちぷちの日って制定されているらしいぜ、っと……」
 豆知識も一つ、咥え煙草で手は休めずに。
「しかし名古屋君あれよ、真白の親父さんの所で何とかならなかったわけ?
「ハハ……」
 見遣る先には、破れたシートの残骸をアンテナに引っ掛けてグッタリしているメルクリィ。お疲れさんと苦笑して――しかし、良いもんだわな。飽く事の無い、大いなる無駄な暇潰しってのはよ。

「簡単な仕事と聞いて☆」
 ひょっこりにっこり、現れたのはとら。
「このプチプチ……メリクリーさんの肩の真空管に似てるね? どんなに攻撃しても壊れにくいならぁ~……こーやって手ごろな大きさに切って、こうしてメリクリーさんの真空管にぐるぐる巻いて置けば、攻撃されてもきっと割れないよねっ♪」
 ジャーン☆
 メルクリィの真空管に気泡緩衝材が!
「わぁ潰されそうな危機に陥る危険性が二倍以上になった気がしますぞ」
「はっ!! これを防具として着ておけば、スゲー攻撃にも耐えられるんじゃない!!? しかも軽くて動きやすいかもっ! とら、あったまいい~♪」
 なんて言いつつ体にぐるぐる、そしてせくしーポージング☆
「ねぇ、モード?」
「お似合いですぞ」
「ありがとー♪ あ、ちゃんとお仕事しなきゃ……! 消化しちゃえばいいよね? R・ストマックないから栄養には出来ないけど」
「え?」
「じゃあ、いっただきま~す☆」
「ええええええ」
 ★覚悟完了★――そうか、その手があったかって今書きながらすげぇ思った。

 ぷちぷち。誰もが潰してゆく。
「最近はワレモノとかも買わんし縁がなかったけん久しぶりに潰させてもらうぜよ!」
 仁太もそんな一人で、普通の潰し方からお気に入りの雑巾スタイル、潰れなかったのをまたぷちぷちぷちぷち。
「そういや、このプチプチ見て思ったんぜよ。これをメルクリィの真空管に巻いとけば割られんで済むんやないかと。ワレモノを守る、っちゅう気泡緩衝材の本来の使い方やしな。危険人物がおる間は巻いといて損はないと思うで!」
 で、振り見遣ったメルクリィが既に装備済みで。
「……見た目がすっごい残念なことになっとるぅぅううう!!」
「ざざざざざ残念って言わないで下さいよー!!」

●受難
「なんかこの空気が抜ける感じと手触りがきもちいいよな」
「左利き訓練にちょうどよさそうだな」
 意気揚々と夏栖斗と零児はプチプチをその手に取った。潰し始めた。

 数分後

「れいじーやだーもうやだあきたー、これどんなけあるんだよーなんとかしろよーもうやだー」
「まだ始まったばかりじゃないか。てか潰すの好きで参加したんだろ? 昔は無限にプチプチするだけの玩具とかあったし……」
「うっせーめんどくせーだれだよ! こんなのに誘ったの! 僕かよ!」
 諌める零児に逆ギレて、夏栖斗はトンファーでぷちぷちをばしばし。どっさいどっさい。
「誘ったのはカズトだろ! 零児タックル!」
「ゴフッ! てめ! その攻撃力でたっくるとか! だが腹パン力では桃子様には勝てぬわ! 夏栖斗ハリケーン!」
「甘いな、プチプチガード!」
「うお! すげえ防御力! ダメージ通らないじゃん!」
「てかこれで防具作ればいいじゃん。そして素手ッドオアアライブ!!」
「グワァア」

 数時間後

「「………」」
 ダブルレイプ目。
 茫然とした表情でぐったりと固まる中、零児の無限機関である右目の炎だけが寂しくゆらゆら。
「あー。れいじーあそこにもなんかプチプチ残ってるぜー」
「そだなー、カズトの言う通り、プチプチ残ってんなー」
 半分錯乱、ぼんやりする目の先にはメルクリィ……の真空管。
「おっきーぷちぷちだー、こわそうぜーお前左なー」
「おっけー左は任せとけ」
「僕みぎー」
「「せーの!」」

 ぱーん!

「あべし!」
 凛子さんが治療してくれなかったら死んでいた、と後に758は語る。

●呪殺っ娘@部屋の隅っこ
「本当にぷちぷち以外ダメなのか実験だ!」
「あきらめたら試合終了と明様が言うので、呪殺ダメで実験です!」
「……え? えっ?? ところでマジカル呪殺っ娘って何ですか……?」
 明、フィネ、よく分かってないままついてきたスペード。実はフィネも良く分かってないらしく、コンセントレーションを施しつつ首を傾げた。
「え、マジカル呪殺っ娘ってな、に……?」
 まぁとりあえずついて来い、そう言わんばかりに明が一歩前へ。

「溢れる瘴気は正義の赤に染まり! ジュサツ・レッド!」
「マジカル呪殺っ娘☆プリティー☆トランプ。貴方のハートをマジカル、ぷちぷちッ!」
「忌まわしきを反転させるマジカル呪殺っ娘☆参上!」

 ウインク&ポーズ決め☆
 きらきらエフェクトなつもりで漆黒開放。明の攻勢導師服(真っ赤なふりふり服。こんなの初めて着た!by明)がしゃらんらと揺れる。そしてスペードが床に並べた気泡緩衝材目掛けて、暗黒!
「今だよ、ブルー! ブラホワ!」
「は、はずかし……っ な、名乗りって、ええと、フィネはホワイト、でしょうか? え? ブラホワ? 何それ、え、白黒だから? ど、どんな服でも浮いちゃう黒羽根、気にしているのです、よ……!? もうっ、もにもにさん、やっておしまい、です!」
 仔猫突進!同時にプチプチへバッドムーンフォークロア!
「猫突進!? ギャー! 萌え尽きるう!」
 明はもにもにさんとごろんごろん。
 そして散々呪殺ってみて、覗き込んだプチプチは――潰れてない。
「あー、やっぱだめかあ」
「……よく考えたら、依頼出す前に検証済な気、します」←飽きてぷちぷちの上で猫じゃらしふりふり
「けど、お友達と賑やかに過ごすのって、すごく楽しいですね。お誘い頂けた皆さんには感謝、です」←プチプチを集めて作った座布団に座って休憩中@クッキーと紅茶
「次何試す……って、早々に飽きてる!」
「あっ、つぶれた……! すごいですよ、もにもにさん、猫ぱんちでE退治する、すーぱー猫さん、です……っ」
「ちょ、そこせめてお残しやめよう!? 猫ぱんち可愛いけど!」
 もにもにさんの取り零しのプチプチを潰す明、その脇でプチプチで作った絨毯の上をコロコロわ~っと頃が手行くスペード。
 何はともあれ、楽しそうで何よりです。

●ほのぼの
 ぷち。ぷち。
「コーンやイクラのプチプチ感を思い出すわね……なんだかおなかがすいちゃうわ」
 苦笑を浮かべてニニギアは隣のジズへと見遣る。顔見知りの彼女。誘った時は気乗りしない様な顔だったけど、孤独にプチプチするより、ちょっと話し相手がほしかったのだ。
「……」
 ぷちぷちしましょうって言われて、ぷちぷちってなに?と聞きたかったのに聞きそびれて、不安いっぱいでジズはついてきた。なんだろう。ぷちぷち。おいしいものかな……そう思っていざ手に取ったそれ。気泡緩衝材。
「え、これがぷちぷち? これを、どうするの……つぶすの? 任務とはいえ、すごく、苦行っぽい……」
 うまく、できない。
 悪戦苦闘するジズ、ニニギアは目を丸くする。
「えっ、ジズちゃんぷちぷちするの初めてなの?」
「……うん」
「そうかぁー、こうして、ほら、こうすると…ね。ぷちってなるでしょ。鋏で切るとかでは、この爽快感は出ないのよね……」
 ぷち。ぷち。ぷち。ぷち。
(あ、れ……? なんだか、楽しい気がする……私おかしいのかな……)
 だんだん慣れてくれば不思議な心地。見回すと、潰しつつつ鼻歌を歌ったり割と皆、妙に楽しそうで。なんだたつられて、楽しくなってきて、調子よくぷちぷち。
「うん、上手になったねっ」
 微笑むニニギアもぷちぷちしつつ、近くにできたおいしいケーキ屋さんのこと、最近の依頼の事などを暢気に話しながら、せっせとぷちぷちぷち。
 ジズはそれに頷いたり答えたり、ほのぼの。楽しい時間。

●がーねっと
 なんというか、ちょっと無心になりたかったので。こういう単純作業は丁度いいかな、と。
 レイチェルは兄エルヴィンの隣で無心にぷちぷちを繰り返していた。何も考えず、目の前のぷちぷちをひたすら潰す。何も考えず、頭の中を真っ白に。
 一方のエルヴィンも妹の隣でのんびりぷちぷち。なんでまたコレ、と思わなくも無いが、可愛い妹からの誘いなのだ。兄ならば受けて当然だろう。シスコンの自覚はある。横目で妹を見遣る。さっきからずっと悶々としているみたいだが……
(とりあえずまだ救難信号は出てないし、そっとしておこうか)
「……」
「……」
 互いに無言。レイチェルは無心になれと己にずっと呼びかけている。が、それでも、どうしても脳裏に浮かんでくるのは、気になる彼の事。
「……はぁ、ぜんぜん無心になんてなれませんね」
 ぽろりと零れたため息と呟き。それを兄が聞き逃す筈が無く。ふむ。煮詰まってきたみたいだしそろそろ助け舟だしとくか。
「なんか無心になることに拘ってるみたいだけどさ。それって一種の現実逃避でもあるぜ? 一度正面から向き合って、とことん考えまくってみるのも良いんじゃねーか?」
 たいしたアドバイスじゃねーけど、と付け加え。だが、兄としてこのくらいはな。
「……、」
 レイチェルは無意識に兄の顔を見遣った。「そっか、」と視線を手元に戻し。彼の言葉を脳内リピート。
(私は心のどこかで、この気持ちと向き合うのを怖がってたのか。……よし、覚悟を決めよう)
 す、と呼吸を一つしてから、超頭脳演算。脳を活性化。
(最初は、兄さんと似た所に惹かれて。次第に、兄さんとは違った部分に興味を持って。そして、熱さの中に秘められた危うさから、目が離せなくなって)
 ああそうか。
 私は、彼の事が……
「――、」
「ん? なんだレイ」
「……何でもありませんよ」

●ですぞ2
「メルクリィさーん!!!」
「ルア様~♪」
 ルアは一直線にダッシュして、突撃どっかーん★いつもして貰う高い高いだけれども、いつも楽しい。が、降りた所に丁度あったシートに足を滑らせ、
「きゃわっ?!」
 すてころりーん。
「だっ大丈夫ですかーー!? 何処か痛い所はありませんか!?」
「うぅ~……プチプチのお陰で助かったのっ!」
 がばっと起き上がってキリッ。
 そしてそれらを拾い上げ、ちょこんと座るはメルクリィの膝の上。一緒にぷちぷち。
 ぷちぷち……ぷち、ぷちち、ぷっちぷち。リズムも付けて、一つ一つ。
「そういえば、メルクリィさんの小さい頃ってどんな感じだったの?」
「ん? そうですね~……私は物心ついた頃からリベリスタ組織にいましてね」
 親やその他の事は分からない。きっと、エリューション事件か何かに巻き込まれた生き残りか何かで、彼等に保護されたんでしょう、と語る。
「もうその時には未来視の力がございまして。で、表向きは雑技団のそのリベリスタ組織にお世話になりながら、彼らの活動のサポートをしていたのですよ」
 今みたいにね。
 では何故今もその組織に居ないのか――それは敢えて訊かないでおこう、とルアは思う。懐かしむ様な、しかし寂しげな声音だったから。
「ルア様は如何だったので?」
「……私はね、何も知らない幸せな子供だったよ。その分、弟が大変な事を全部引き受けてくれてたの」
 ずっと守ってもらってたの……思い返す沢山の思い出。昔話にほわほわして、トロンとなってきて。ちょっと堅いけど、メルクリィの膝の上はルアにとって心地良い。いつの間にかこくりこくりと舟を漕ぎ――いつしか小さな寝息を立てていた。
「重くないか?」
「あ、ドーモですぞジース様。いえ、大丈夫ですぞ」
「そっか」
 ルアの声を聞き、メルクリィの隣へやって来たジースは眠る姉を見て苦笑を浮かべる。ぷちぷち、潰して少し間を開け――ジースはルアのふわりとした髪をさらりと撫でた。
「……昔は俺と同じ赤色だったんだぜ。ルアの髪。覚醒した時に全部変わっちまった。髪も目も身長も」
 赤髪緑目、身長は今より10cmは高かった。
「何も知らない幸せを守ってきたのにな」
 慈しむ様に、優しく撫でる。
「だけど、フェイトを掴んでくれた事は嬉しい。……そうじゃなきゃ、ルアはここに居ねぇ。確実に『正義(ノーフェイス狩り)』に命を奪われてただろうしな」
「ルア様って、ノーフェイスだったのですか……?」
「あぁ、1ヶ月間ばかしな。ルアが未だに怖がりなのは、その辺があるからなんだろうな」
 幸せそうな寝顔にふっと微笑んだ。
「これからも護っていくから、前を向いて一緒に歩んで行こうな」

●修羅の国
「ふははははははははは」
 おやおや?感情のこもらない声で鷲祐さん(トップスピード発動中)が笑っているようです。

 Q:何故足が早いの?
 A:両足の筋肉が発達し更に爪先の先の先にまで自らの神経を通しコントロール出来るからだよ。

 というわけで、神速さんのよくわかるないプチプチ潰し講座 はっじまっるよー!

1:プチプチを床に敷きます。
2:服を脱ぎます。
3:靴を脱ぎます。
4:足の指の爪先(コモドオオトカゲネイル)で爪先立ちします。
5:服を着ます。
6:超高速で爪先立ちにて足踏みをします。
7:地味にプチプチを潰すために前後動します。
8:1~7を繰り返します。

※注意点
・走る要領で行う非常に高速の腿上げ運動となります。
・その場に留まるため、誰かの助けで床のプチプチ入れ替えがあるとモアベターです。
・ガイアが囁きます。

「パイレーツすらも食い殺すワイルドさ! ここからが俺の伊達ワルレジェンドのはじまり。愛に生き、愛に死ぬ。それが孤高のファンタジスタ――いつだって何かに逆らい生きてきた。来いよ、何処までもクレバーに抱きしめてやる。
 ガ イ ア が 俺 に も っ と 輝 け と 囁 い て い る !」
 服を脱いだり着たり脱いだり脱いだり着たりしながら目にも止まらぬ速度でズドドドドドド。アークの神速はダテじゃない!

 ぷちぷち――それは気泡緩衝材があればついやってしまう行為リラックス効果もあり、何より楽しい。だが今日は違う。亘はAuraを握り締めた。
「やらなければならない事があるのです」
 それは……アルシャンの無数の突きで芸術的に無駄なく連続でぷちぷちを潰せるか。はい、試したいだけ!でも自分にとってプチウォーズなんです!ただし迷惑かけない、器物破損しない!
 重ねる集中、無駄なく潰すイメージをして精神統一。準備は万端、全てを解き放つ!
 身体の限界を超えてもいい、無数の突きを制御しろ。ぷちぷち全てを理論的に絶妙な強さで潰し尽くせ!
「自分の全てを使い新たなる境地を……拓くんだ!」
 結果、駄目でした!
「……それでもいい、自分の限界を試せたのだから……さて、普通にぷちりますか」

 ぷちぷちぷちぷち。

 プチプチには潰す用途専用にカスタマイズされたものも存在するらしい。
「それだけプチプチ潰しが普遍的な暇つぶしの効能があるという証左だわ。でも、潰すより攻撃で壊すほうが難しいと言われるとそっちでいってみたくなるわね。ハニーコムガトリングなら全てのプチプチを同時に撃てるわけだし」
 対物ライフルをジャキンと構え、エナーシアはシートを見渡す。
 まずは試しにバウンティショットで一つ壊してみましょうか。
 ズドン。
「……CTなら気泡バリアも抜けるようだけど、抜いた後に追撃の連撃でシートの裏の物体に被害が出るわね」
 無残に開いた床の穴と立ち上る硝煙。
 では次はハニk……いや待てよ。
(数万の気泡にハニコするとこの部屋の壁がトッポジージョの好物みたいになって帳簿が真っ赤になりそうなのだわ)
 さおりんが頭を抱える姿が目に浮かぶ。
「……どうやら近道など無いようだわ、地道に潰しませう」
 と、さり気無く穴を隠しつつ。

「斬撃が効かぬと容易く屈するは、武門の恥。剣士の誇りをかけて……、叩き斬ってみせる!」
 戦太刀を上段に構え、舞姫は精神を統一する――極限まで心を研ぎ澄まし、全身全霊を刃に集中。剣我一体。
「戦場ヶ原が『武』の奥義、ここにあり。血肉も魂も、全てを燃やし尽くす。この一撃に、わたしの全てを込める……」

 斬ッ!!

「……無駄だってわかってましたよ、ガッデム!」
 ビターンと剣をシートに叩き付ける八つ当たり。うん途中まではイケると思った。
「嗚呼、プチプチすら切れないなんて、なんたる恥さらし。ご先祖様に顔向けできません……こうなったら、武者修行の旅に出ます。止めないでください」
「……ほほぅ 蝮原様さえ気まず過ぎて出るのが躊躇われるこの空間から、『たった一人だけ』逃げ出すと……?」
「えー、やっぱダメ? もう逃げられないの?」
「ですぞ☆」
 758のサムズアップ。手渡されるシート。仕方が無いので舞姫は隅っこで体育座りしながら、無力感に苛まれつつプチプチプチプチ……
「いいもんいいもん、わたしには剣の才能なんて無かったのよ……」
 涙で明日が見えない。

「戦闘型フォーチュナの一撃にすら耐える気泡緩衝材か――生半可な攻撃では傷一つ付かない頑丈さは寧ろ都合が良い。我が全身全霊の一撃を更に研ぎ澄ます為の礎となって貰うぞ」
 美散は禍月穿つ深紅の槍を壁に張り付けたシートへ向けた。槍の技を磨く為。左側を前にした半身に槍を構える。内包された空気を潰す威力と穂先程の的を狙う精密さが必要だ……前者だけならデッドオアアライブ、後者だけならオーララッシュだが、両立となると難しいところだ。
 だからこそ、この練磨には意味がある。
 敢えてスキルは使わず、総て通常物理攻撃で潰して行くとしよう
「己が力に使われるな、己で力を使いこなせ――婆さんの遺言でな!」
 鋭い突きで一つ一つ的確に精密に。
「ところで今『戦闘型フォーチュナ』って聞こえたんですが私非戦闘員なんですけd「ダウト」
 758へのツッコミだって忘れない。一息吐いて咬兵へと見遣った。
「暇を持て余しているようなら、一つ御教授願いたいんだが」
「……その調子で潰していってくれ」
 だそうです。

 仁義の赫がゆらりと靡く。
「いつも、思っていた……てめぇはスゲェ……大事なものを護る……自分の身を犠牲にして。
 何故……何故。覚醒なんて、しちまいやがったんだ……!!! エアーマット!!!!」
 武臣の眼差しがそれらを射抜いた。握り締めた拳が震えた。
「……やりたくなかった……てめぇとだけは……だが、こうなった以上、全力で、やるっ……!
 それがテメェにできるオレの全て……! とことん迄付き合うぜ……! 最後迄なぁっ……!
 オレの血の最後の一滴迄……そいつが、オレの掟(ルール)だ……!」
 激しく、狂おしく、ときに切なく、ときに慟哭き――無頼は覚悟をその身に決めた!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 パチンパチンパチンパチンパチンパチンパチン。
 背負うは魂、纏うは仁義――

「ぷちぷちぷちですね! 地味な作業、嫌いじゃないです。多美、頑張ります!」
 エイエイオーと多美は、なんかすごい世紀末な構えを取った。
「はぁーーーーーーーー!!!」

 ぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!!

 プチプチを数枚投げ上げ、空中で高速ぷちぷち。その姿はさながら秘孔を突くケンシ■ウ。
 最中、ふと我に返り。
(メルさまの滑らかな指の動き……ステキ……)
 ハッ!
「このプチプチで真空管をカバーしたらどうでしょう? 耐久性バッチリ、誰から叩かれても絶対に割れないわ! ほら、ね、こんな感じに……え、もうやってあるだなんてっ!?」
 えぇ、素晴らしい先駆者様片のお陰ですぞ。
 なんて、サムズアップしたメルクリィの首根っこをムンズっと掴む手があった。振り返ったそこに、ラ、ランディさん!
「名古屋よ、実に不甲斐無いぞ! 斧でプチプチが潰せない? ちょっと来いや、特訓だ!!」

 ―――教えてやろう、斧の使い方って奴を―――!

「まず素振り10万本!!」
「え いやあの私フォーチュナで非戦闘員でオフ会でも闇の人に『戦闘用フォーチュナは実装されない』って言わr「あ゛? お前何逃げようとしてンの? 地の果てまで追いかけて破壊出来るまで帰らせんぞ」
 ではいくぞ!
「1・2・3! 斧! 1・2・3! 殺!」
「1・2・3! 斧! 1・2・3! 殺!」
「声が小さァい!」
「すいませんんんんん!!!」
「いいか! 見てろ! ゆっくりと振り被り、無駄な力を抜く……そして破壊と殺意の意思を解放し一気に振り下ろす!」
 グレイヴディガーが轟と空を切る!
「1・2・3! 烈風陣!
 1・2・3! 一拍置いてェ!」

『ヘッドクラッシュデストロイヤーミンチスペシャルゥァァァ!!』

 略してH・K・D・M・S!
「       」
 絶句するメルクリィ、なんかもうグチャミソにぶっ壊された気泡緩衝材が余韻の風にヒラリと舞った。この人メチャクチャや。
 そんな機械男の肩に彼はポンっと手を乗せて、ニッと笑んで見せた。
「ホラ、簡単だろ? 何日でも付き合うからやり遂げるんだ! 俺もフェイト使うから頑張ろうな!」
「ええええええフェイト燃やすんですかぁああああッ!!?」
「フェイトは投げ捨てるもの!!」
 1・2・3! 斧! 1・2・3! 殺!

●ですぞ3&無頼
 なんか大事なモノが燃えちゃった気がする。と、ぐったりしているメルクリィの傍にルカルカがひょっこり現れた。
「ぷちぷち」
 遠慮無く彼に凭れて、一つずつぷちぷち。ぷちぷち。一緒にぷちぷち。
「今日ね、ルカおとなしいでしょ? 偉い?」
「えぇ、偉い偉い。いつもルカルカ様はお利口さんですけどね」
 凭れる体重を甘んじて、ニッコリ微笑む。ぷちぷち。
「おはなししながらやってたらいつのまにかになるでしょう?」
「そうですね、ではいっぱいお話しましょうか」
「うん、聞いて、あのね、ルカねこの前ね、頑張ってきたの。だからね、テバサキは褒めないとだめなのよ、なでて」
「承知致しましたぞ♪ お疲れ様です、いつもありがとうございますぞ」
 大きな機械の掌で、なでなで。よしよし。いいこいいこ。
「いっぱいルカにかまってくれないといやよ? 今日おとなしくプチプチするもの」
「はいはい、仰せの儘に」
「てばさき、あきた。遊んで」
「は、早いですな……何して遊びましょう?」
「テバサキのとげとげでプチプチつぶせないの?」
「出来ない事は無いですが」
「じゃあやるの」
 ぷちぷち。ぷちぷち。メルクリィのアンテナに気泡緩衝材を刺し込んでいく。だってもう飽きたのだもの。それも直ぐに飽きてしまえば、ぼふんと彼の膝の上へ。
「あきた。ねむい。テバサキの膝でお休みするの」
「全く貴方はフリーダムですな」
「羊は自由ないきものなのよ」
「そこがルカルカ様の魅力なのですよ。お休みなさいませ」
 ピンクの髪を優しく撫でた。

 の、一方で。
 源一郎のナイアガラバックスタブ、蒼穹の拳が強烈にシートへと叩き込まれていた。しかし結果は以下略である。
「やはり、戦闘用フォーチュナのメルクリィであっても突破できぬ耐久力なれば難しいか……」
「私は非戦闘員だっちゅーの」
 何とも言えぬ顔のメルクリィ、源一郎はその隣に座り、彼の横には瀬恋が座る。
「あー、ぷちぷちね。なんでぷちぷち……。やったことねーからやってみるのはいいけどさ」
 家があった時は一応お嬢扱いだったし潰されてからは、んな悠長な事してる暇はなかったしね、と手にしたシートをヒラヒラ。
「いやまぁ、確かにこれで金が貰えるんなら楽なもんだけどさ」
 息を吐き、黙ってひたすらプチプチ開始。
「普段は共に戦う事が出来ぬが、こうした作業ならば共に戦える。我には喜ばしい」
「えぇ、一緒に頑張りましょうねぇ~」
 めるめるぷちぷち。めるめるぷちぷち。
「ところで『めるめる』ってどゆことですか」
 考えるな、感じろって奴か。
 そんなこんなで源一郎はめるめるしつつも咬兵へと視線をやった。
「蝮原よ、葉巻を吸うばかりでなく暫し協力を願う。無頼たるもの仕事を選ばず。平穏な仕事も時には悪く無い」
 そう思わぬか、と振り見た瀬恋は――だらっとしていた。
「飽きた……いや、遊びでやるのはいいかもしれねーけど仕事だとこれきつくないかい?」
 なんて、暇潰しにメルクリィのアンテナでチクチク割りながら。だが、これもあっと言う間に飽きる。ので、立ち上がって咬兵へと。
「ぷちぷちもいいけどさ、オッサン暇なんだったら後でアタシと殴り合おうぜ。こんなせこせこした事した後なら暴れるのもわるかねぇだろ?」
「……俺は構わんが?」
「そりゃありがたいねぇ」
「窓ガラス割っちゃ駄目ですぞ~」
 そんな言葉を吐いて、メルクリィは「全く元気ですねぇ」と源一郎へ苦笑を向けた。
「時にメルクリィよ、真空管にぷちぷちを巻けば非常に頑丈な保護が成されると見た。故に試しに巻こう」
「えぇ、もう既に沢山巻いて頂いてもう何も怖くない状態ですぞ」
 息抜きと談笑も挟みつつ、のんびりと。

●ぷちぷち
 守夜は真面目にぷちぷちしていた。雑談やらお弁当タイムやらを挟みつつ。後で蝮原さんに焼酎をプレゼントしようかな、とか思い思い。

 ぷちぷち。

「有象無象もやさしく包み受け止め守りぬく為にいやらしい突起にを包む貴方はが愛おしいからぁ、ゆっくりと丁寧に壊してあ・げ・る・わよぉん♪」
 柔らかな突起の感触と反発を楽しむ様、ステイシーは僅かに力を込めた指先でをこね回し、なされるがままに蹂躙される其れに熱い吐息を吹きかける。徐々に力を強めるが決して壊さずに愛おしく撫で、時には爪を立てて破裂寸前のスリルを愉しむ。
「嗚呼、貴方の突起ってぇ思ったよりいい膨れ具合で素敵よぉん。まだなのまだ大丈夫なのぉもう自分を誘ってるのぉん? ……うふふふ、いいわぁん、そろそろ宴もたけなわよぉん。
 さぁさぁさぁさぁ来るのよ来ちゃうのよ派手に中身を撒き散らすがいいわぁん!」

 ぷちっ。(補足説明:突起=プチプチ)えろいこと想像した人は正座してなさい。

「……」
 やってみたい事があったので、とエリスは静かにぷちぷちしていた。
 ぷちぷち、ぷちぷち、少しずつ潰していくそれからは段々と何かが浮かび上がっていた。よく見れば、それはメルクリィと咬兵の似顔絵風で。
「……」
 出来上がったものを少しの間、自己満足で眺めてからデジカメで撮影し……全部潰して諸行無常。何か目的があるとやり甲斐があるから。
 そんな風にして楽しみつつ、最後までぷちぷちぷち。
 潰すだけ。
「ある意味単純な解決法で何よりです」
 存人の手には気泡緩衝材。雑巾スタイルのあの引き千切れるような音が好きなんだがアウトっぽいし、重ねて上から踏んだりも駄目っぽかったので、取り敢えずまぁ潰します。因みに流石に此れが並んだ目に見えるとか其処まで末期では無いです。単純に単純な作業が好きなだけです。手先が器用かまでは分かりませんが、不器用ではないです。真面目に潰しますよ?
 しかし、ところで、謎なんですが。
(あのフォーチュナの方はあの指でちゃんと潰せるんでしょうか……何ですかね、この世界の神秘を目にしている感)
 見遣る先にメルクリィ。潰しているのだから潰せるのだろうけど。器用なものだ。
「横になって上でごろごろ転がった方が潰せそうな、というのは駄目ですか。ええ」
「転がれないんですよ構造的に」
「そうですか……」
「そこ露骨にガッカリしない」

 過去形の事前準備。
「いいか、これは耐久戦だ。相手は攻撃の制限と物量で確実にこちらの時間を潰しにかかっている。どれだけ戦場に居られるかが問題だ。そこでチャイカさんは考えた。取り敢えず大量のお茶とバランス栄養食、この二本柱だな!」
 というわけ(?)で、いざチャイカさんが実戦ッ!
「えへへへへへへへへへへへへへへへへ」
 おぉっとチャイカさん早々にレイプ目だー!
 彼女は学者肌で天才肌故に一度没頭するとやめられない止まらない状態になってしまうのだ!多分日が昇って沈んでまた昇っても同じ調子でずっとプチプチしてると思われる感じだ!
 端的に言えば中毒です。ジャンキーです。危ないですね。誰かシナリオ終わったら止めて下さい。
「ぷちぷち……ぷちぷち……えへへ、潰すのです……たくさん、潰すのです……」
 PWP(ぷちぷちだぶるぴーす)。

「私もぷちぷちを潰しまくりだよ。ぷちぷちを潰し続けた事によって獲得した必殺技、とくとご覧あれ! ピンポイント・ウィング!」
 背中の翼を使って器用にぷちぷちを潰していくセラフィーナ。この技があれば、作業効率は2倍、手が4本あるようなもの。
「ふふふ……さあ、飛ばしていくよー。ぷっちぷちー!」
 そんな元気だったころが彼女にもありました。
「飽きた……もー。何でこんなのにすごい耐久力があるんだろう。絶対、覚醒するもの間違えてるよ!」
 ぐったり←今ここ
「あ、閃いた。これ防具にしよう。すっごい耐久力のぷちぷちプロテクター! きっと強いよ! 弱点は一粒ずつ潰される事だけだしね! 軽い、堅い、面白い! 最強防具の完成だと思わない? 購買に置いて貰えば、きっと飛ぶように売れるヒット商品になるよ!」
 力説するセラフィーナ。でも、それ、ださいとおもうの……。

●そんなこんなで
 最後の一粒がプチンと爆ぜて、リベリスタの勝利である。
「ふぅ、終わり。よくわからないけど、すっきりした」
「あれ、もう終わり?」
 息を吐くジズに、周りにある大量のぷちぷちの残骸に気が付いた烏。
「おつでーす」
 そんなこんなで初仕事を終えたゐろはも一言。

「一緒にやってくれてありがとう……。楽しかったです……」
 アンジェリカもまだ満面とまではいかないけど、横に戻って来た咬兵へ心からの微笑。そうか、と彼女の頭に武骨な手を置いた彼の顔は――珍しく柔く微笑んでいた、とか。
「終わったぁぁァぁっ、お疲れ様でしたぁっ!! よしお疲れ会しようお疲れ会!」
「俺は! 飲むぞ!!」
 守夜と快と、その他大勢もなんか盛り上がってたり。

 兎にも角にもお疲れ様である。



『了』

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
メルクリィ:
「お疲れ様ですぞ皆々様! 大変でしたね……。あと言っときますが私は非戦闘員ですからねっ!?」
咬兵:
「御苦労さん」

 だそうです。お疲れ様でした。
 如何だったでしょうか。
 これからの依頼も頑張って下さいね。
 お疲れ様でした、ご参加ありがとうございました!