●水を産み続ける者 局地的に降り続ける雨は途絶えることがなく、三ツ池公園をじわりじわりと水が侵略していく。それを止めることは、できていない。 雨を降らせているのは池の中に潜む水竜のアザーバイド“ウォータードラゴン”。その名の通り、水を操る力を持ち、一度はリベリスタも撃退した強敵だ。 そのウォータードラゴンは、三ツ池公園に出現した他のアザーバイドやエリューションを打ち倒しながら公園内で自らの勢力を拡大していた。 水を操る力は強大で、アザーバイドの力によって変質した体は十分な体力も持っている。微量ながらも時を操る能力も持つこのウォータードラゴンを止められるものは、いなかったのだ。 そもそもこのウォータードラゴンは何をしようとしているのか、自分の領地ともいえる水源を増やしてどうしたいのか、それは誰も分からなかった。確かなのは、このウォータードラゴンの正体は細菌型のアザーバイドによって変質させられた水中生物というだけだ。 それでも、このウォータードラゴンの行為は脅威だということは間違いないだろう。このまま水が増え続ければ、都市部にも水害が及ぶかもしれない。実際、カレイドシステムが見せた未来の中には、ウォータードラゴンによって呼び出された水が都市を溺れさせるというものもあった。 だから、アークは再びこのウォータードラゴンにリベリスタたちを挑ませる。――今度は、タイミングを見計らって。 ●生き残った方が、人類の敵だ ウォータードラゴンが住む池の様子を映しだした映像で見えるのは、ウォータードラゴンだけではなかった。巨大な爬虫類とも言える不気味なアザーバイドも居たのである。 「これは。やっぱり感染者をドラゴンのような体に変える細菌型のアザーバイドによって変質させられた池の生物ね」 大きな胸を自慢気に張りながら説明をする『運命演算者』天凛・乃亜(nBNE000214)言われてみれば、どこか竜のような気もする。爬虫類特有ののっぺりとした顔は、巨大なトカゲと言った方が近いのだけれど。 「それで、大事なことなんだけど……」 ブリーフィングルームのモニターが違う映像を映し出す。ウォータードラゴンと巨大なトカゲの怪物が取っ組み合い、お互いを攻撃し合っている。まるで怪獣映画のような光景だ。 「同じ細菌型のアザーバイドから発生した生物だけど、二匹の仲はよくないみたいね。お互いに縄張りを争って戦っているわ」 ウォータードラゴンが感染元であるという調査結果は出ている。それでも争っているのは、元々の細菌型アザーバイドがそういう性質だからだろう。 「だけど、先に育ったウォータードラゴンの方が一枚上手。この戦いは十中八九ウォータードラゴンが勝つことが予想されるわね」 モニターの映像でも、巨大なトカゲの方は水の中に叩き落されて大きな水しぶきを上げている。 「と、そこであなたたちの出番なのよ。ウォータードラゴンとこの巨大トカゲ――“オオトカゲドラゴン”っていう名前なんだけどね。この“オオトカゲドラゴン”とウォータードラゴンの戦いに乱入して、うまく立ち回って両方倒して欲しいのよ」 続いてオオトカゲドラゴンのデータがモニターに表示される。大きな体をゆっくりと動かしながらの殴り合いと、口から吐く熱線攻撃が特徴らしい。 「うん、もちろんウォータードラゴンは強大な敵よ。前にリベリスタも負けたことがあるわ。このオオトカゲドラゴンだって弱くはないわね。……だけど、この場面はチャンスがあると思わない?」 オオトカゲドラゴンは優先的にウォータードラゴンを狙うという性質があるらしい。王者は一体で十分、という思想なのだろうか? そのメンタルの詳しいことは分からないが、戦場の要素のひとつとして利用できるだろう。 「とはいえ、アザーバイドが二体。ウォータードラゴンは強敵。難しい依頼になるわ。……みんな、がんばってね」 乃亜はリベリスタたちにそう言って、激励をするようにその肩を軽く叩いてにこりと笑った。 「あ、水着も用意してあるわ。必ず水中戦になるだろうからね」 そして取り出したのは水中戦用にアークが用意した水着。……なぜか、スクール水着型やビキニ型、トランクス型その他諸々があるのはご愛嬌。 「自由に選んでね」 これも無茶ぶりなんだろうか、と思うリベリスタたちであった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2012年05月08日(火)23:57 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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●沈んだ公園 変わってしまった道、腰までの水をかき分けゆっくりと歩きながらリベリスタたちはそれぞれ戦いのために思う。 「前回は地で、今回は水ですか。うん、とっても手強そうですね。倒すの大変そうだー、ふふふふ」 大地の竜が割った大地に水が流れこんでいく。自然の力を操る竜は強敵だろうと『残念な』山田・珍粘(BNE002078)は思う。これは前回地の竜の強さを間近で見たためであり、決して家庭菜園をやっているから自然の力を身近に感じているが故の発言ではない。 「そんな相手を倒してこそ、強くなった実感が得られると言うものですよね! では決戦、始めましょうか?」 両手に持ったブロードソードで地面と水を軽く叩きながら、珍粘は病的なまでに虚ろな目を浮かべ、くすりと笑う。その傷だらけの肌を包むのは慎ましい露出の少ない水着。と、書けば浮世離れした感じなのだが、その水着が土で汚れてもえんやこらと進むその姿はどこかたくましく、かつ庶民的に思える。 「私の肌なんて傷だらけですから、見ても楽しいものじゃないですよ? 見られて困るものではありませんが。気を使われるのは困ります」 それでも、ペルソナの力もあって神秘的な雰囲気も同時に併せ持っている。二面性があるのだ、珍粘もといエカテリーナには。 「人んチ水浸しにした落とし前、つけさせてもらうぜ」 タトゥーが目立つ傷だらけな引き締まった体がよく見えるビキニパンツ姿で水没した道を進んでいる桐生 武臣(BNE002824)もまた、たくましい。顔が無表情なので、少し怖いが。 その口には火の付いた煙草。手には携帯灰皿。足元にはヒレ。 「さてと命がけの水遊びだな。……窒息死より、撲殺・圧殺の可能性が高いってのは、妙な気分だ」 胸辺りまで水が増えてきたので、泳ぎ始めながら武臣は皮肉っぽく言う。この水遊戯は、ハードな戦いになるだろう、だけど、武臣は子供たちのためにも負けられない。 「マリーの記憶には二頭の竜が居たわ。そしてこれが三頭目。ミリーにだって出来る……出来ないはずがないわ!」 名札付きのスクール水着(探していた競技用がなかった)を着て、泥を付けながらも泳ぎながら記憶の糸を辿る『クレマツィオーネ』ミリー・ゴールド(BNE003737)は、確かに記憶の中で竜に突撃する姉の姿を見た。血に濡れていたが、それはそれで美しい姿だったと、ミリーは思う。 姉にできたことなのだから、自分もできるはずだとミリーは言い聞かせる。それは自己暗示めいていたが、だけどミリーは例え血に塗られようとも姉の思いを感じたかった。 「待ちに待った、雪辱戦。心躍る、ね」 ぼそぼそと喋る『無軌道の戦鬼(ゼログラヴィティ』星川・天乃(BNE000016)は、口から上だけを水面に出して泳いでいた。水温も立てずにすいすいと進んでいるのは、忍者由来の泳法があるからだろうか。 「そういえば……スクール水着? まあ、いいか……動きやすそうだし、ね」 マニアックな体系をしているだけに、天乃にスクール水着はよく似合う。胸元に平仮名であまのと書かれているだけに、無暗に犯罪臭も醸し出している。だけど、天乃は20歳だ。 「それに、もう一匹。こっちも忘れちゃ、いけない……厄介な、敵。竜が二体、ふふ……本当に、楽しい闘い、になりそう」 無表情なので顔の動きからは分からないが、おそらくこの状況を楽しんでいるのだろう。修行を重ねた自分の力がどこまで通用するのかを試すチャンスであるし、戦い自体も楽しめる性格だからだ。 「二匹かぁ……めんどいなぁ。でも……前回はぬかったが、今度こそこの外道龍が水龍を仕留める! 首を洗って待っておれ!」 今回は早速戦闘モードに切り替えて、『外道龍』遠野 御龍(BNE000865)は煙草を銜えながら大剣を取り出して構える。御龍にとって戦いは楽しめるものだし、どんなに激しい戦いの中でも冷酷に冷静にそれを楽しめる自信がある。そして、やはり大きな敵との戦いは格別だと思う。この辺りは天乃と同じだ。 そんな御龍は水の中でも相変わらずの巫女服……っぽい水着であるが、その泳ぎは水飛沫を上げながらも素早い。派手好きの江戸っ子らしい泳ぎ方である。大剣を構えながらもスピードはまるで変わらない。 「酸素ボンベ装備。水着も着たしで、もう俺をとめられるものはいない……。女性陣の水着とか……ハァハァ……」 一方、でれでれとした顔で皆の姿を見ていた『合縁奇縁』結城 竜一(BNE000210)は水中でハァハァとしていた。 そんな竜一であるが、この水竜との戦いで重要なのは位置取り、空間を生かした戦いだと考えている。二匹の竜が取っ組み合いの戦いをしているのだから、うまくそれを生かして相手の攻撃を受けないようにしなければ、と。 「うーん、今日は魅惑で危険なロリボディが多い。でもダイナマイトな巫女水着も素晴らしい……」 こうやってでれでれはしているが、頭の中ではしっかりと戦いのプランが練られているのである。 さて、そうやって移動をしていると、巨大な二つの影が見えてくる。その二つは明らかにお互いを威嚇し合っており、今にも戦いが始まりそうであった。 「おー、スゲェな。こんな怪獣も相手にすんのかよ。互いに争う2匹の怪獣、その足元で逃げ惑う人類! みたいな感じか映画だとなァ」 その迫力のある光景を豪快に笑い飛ばし、ふんどしと羽織の『華娑原組』華娑原 甚之助(BNE003734)は二本のドス風ナイフを構える。本当にふんどし以外の装備がないのは、ある意味豪胆だ。 「話には聞いていましたけど、やっぱりドラゴンを間近で見ると迫力が違いますねえ……。コンピューターゲームや映画の中に入っているような感覚です。どちらにしろ、良いデータが取れそうなのは間違いありませんね」 水中でも使えるペンでメモを取りながら『極北からの識者』チャイカ・ユーリエヴナ・テレシコワ(BNE003669)はその光景を簡単にスケッチする。研究者気質があるため、こういうことはやっておきたいのだ。 幼い体はやっぱりスクール水着で包み込まれており、胸元には当然平仮名で名前が書かれている。ある意味ロリの嗜みだと、竜一は思う。同時に、スクール水着多くね? とも思う。 「始まりましたね。私たちも行きましょう」 髪を整え、ペンとメモ用紙をしまい、チャイカは戦いの準備を終える。その目の前では、オオトカゲドラゴンがウォータードラゴンと戦いを始めた。 「再び戦う機会に合えるとは。今度こそ倒します」 「前回の借りは変えさせてもらう」 巨乳とスレンダー、それぞれ対照的な水着姿の『鋼鉄の戦巫女』村上 真琴(BNE002654)とアルトリア・ロード・バルトロメイ(BNE003425)も、泳いで戦いに向かう。二人は以前ウォータードラゴンに敗れたこともあり、その雪辱を晴らすことができることを喜んでいた。 こうして、リベリスタたちはフォーメーションを組んで戦いに挑む。その結果は、果たして。 ●戦うフォーメーション 周りの物を巻き込みながら、二つの竜はお互いを攻撃し始める。それぞれお構いなしだ。 そこに巻き込まれないよう気をつけながら、リベリスタたちはその戦いに乱入を始めた。狙いは強力な能力を持つウォータードラゴンからだ。 「所謂、漁夫の利ですね。正面対決でないのが少し残念ですけど……。これも作戦ですので、悪く思わないで下さいね?」 「雑魚は魚群で動いてデカイヤツを威嚇するっていうが……。固まってると一気にバックリいかれそうだしな」 その作戦に際し、リベリスタたちが取った陣形は、上下左右に散った前衛と回復役を後衛の配置という水中戦ならではの戦法かつ効果的な散らばり方だ。珍粘は上を、武臣は下を担当している。大きな網のイメージだ。 「私は右側。さて、行くわよ!」 まず、特攻好きなマリーが戦いに手を出す。手のひらに全快の炎を集めて、水中だろうとお構いなしに集めた炎の力をウォータードラゴンにぶつける。 「全力・全開・フルバースト! 水中だろうが焼き尽くす!」 ウォータードラゴンは水の勢いを操作することで水流の障壁を張ってこれに対応するが、炎の力はウォータードラゴンの体を遠慮なく焼いていく。 「何気に難しい気もするが、上下に移動できるのは此方も同じだ。空間戦闘というものを見せてやるぜ、この俺が!」 大胆にも、竜一は上下左右のうち真ん中に居座っている。そこから自在に泳いで、両手の双剣を使いウォータードラゴンに向けてデッドオアアライブの一撃を与えていく。 「怪獣なら、竜ならこの程度では終わらねぇだろ」 プロテクションを超えて十字傷を与え、手ごたえを感じたものの、まだまだ相手は元気だと竜一は思う。同じ竜だ、タフでなければ困る。 「闇の力……受けよ、ドラゴン!」 左側を担当していたアルトリアはスケフィントンの娘を使ってウォータードラゴンを攻撃し、 「止ま、れ」 下からは、天乃が行く。天乃はすいすいとウォータードラゴンの体に巻きつくようにして周囲を回り、糸を仕掛けた。この糸は天乃のデッドリー・ギャロップであり、その体を封じ込めることに成功する。 「……そろそろ、来る、ね」 だけど、その糸と竜一が与えた傷は自らを癒す水の力によって解除されてしまう。 「あれで一割か」 甚之助の推測によれば、その上でダメージを一割回復した。そしてウォータードラゴンは、オオトカゲドラゴンだけでなくリベリスタたちも標的に動き始める。攻撃されて黙っている竜ではないのだろう。 「ぬぁっ!?」 まず放たれたのは、水の波による一撃。しかし、これはうまく上下左右に散らばっていたため、オオトカゲドラゴンと竜一だけが巻き込まれる。 「だが、まだまだ!」 行動は阻害されたが、それでも味方の壁になれたことに竜一は喜んで笑う。決してマゾだからではない。 「んぐっ!? ……竜ってのはタフじゃなきゃやってられないよな、お互い!」 しかし、向かいから更にオオトカゲドラゴンの一撃が加わり、竜一の体はフェイトを使用せざるを得ないところまで追い込まれる。ウォータードラゴンへの熱線攻撃に巻き込まれた形だ。 「水の中でも息できるって段々人間離れしてきたな私。まぁいいや。今日も回復頑張るぞー!」 その瀕死の体を癒すのは、スクール水着の『おじさま好きな少女』アリステア・ショーゼット(BNE000313)。いつものように回復に専念と宣言した彼女の天使の歌が、竜一を癒していく。 「平穏を取り戻すために、私も協力しますよ」 仮面の男『子煩悩パパ』高木・京一(BNE003179)も、竜一の体を癒すために協力をする。これで瀕死から竜一は立ち直ることができた。 「ドラゴンでも生物です、叩けば痛いし倒せば倒れるものですよー!」 ピンポイントの一撃で口元を狙ったチャイカの一撃は、うまく命中せずに傷を与えるだけとなったが、確実にダメージを与えることができた。 「くくく皆殺しじゃぁ! そのダメージを更に加速させるように、御龍は愛用の月龍丸を振り下ろしてウォータードラゴンの体を剥いでいこうとする。しかし、この瞬間にウォータードラゴンは動いた。時に干渉する力、オーバークロックだ。 そしてウォータードラゴンは止まった時の中で雨を何度も降らし、リベリスタたちの体を傷つけていく。 「がぁぁぁぁ! それがどうしたぁッ!」 しかし、御龍は傷を負っても止まらない。多少の傷など関係ない、むしろ楽しむ要素だと笑いながら、月龍丸を振りおろした。 その一撃はウォータードラゴンにとって予想外であり、大きなダメージとなる。 「ふふ、良いですね。もっと私の……いえ、私たちの強さの糧になってください」 体を刺す雨によって、フェイトの力を使った珍粘も止まらない。水中を進む速度を増して、水を切り裂く風の刃となったソニックエッジによってウォータードラゴンの体を削っていった。 「誰が主役なのか教えてやるよ。ケッヒャッヒャ!」 リベリスタたちは止まらない。やはりフェイトの力を使いながら水中に突撃してきた甚之助がドスを構えアル・シャンパーニュで特攻をし、真琴は雨を防いだ重盾を振りおろす魔落の鉄槌によって攻撃する。 その刃と重量はウォータードラゴンの障壁を突き破り、体を薙ぐ。 「相変わらず、の強さ。さすが、竜……だね。もっと、やろう?」 天乃もフェイトを使ってまで戦える相手がいることを喜びながら、攻撃を続行。更にダメージを与えた。 それぞれ、確かな手ごたえを感じる。……この戦い、勝てるかもしれない。 「明日は要らねぇ……欲しいのは、てめぇとの決着だけだ」 バウンティショットで背ビレを奪う武臣も、確かなものを感じていた。いける。 ●決着、ウォータードラゴン スコールを受けて傷ついた体をアリステアと京一が癒していく。戦いは佳境に入ったが、分散と回復手のアステリアと京一がいることで、うまくダメージをコントロールできていた。そのアステリアにも雨は飛んだが、大きなダメージになる前に武臣がかばうことで、大事には至らない。 「間に合ったな」 「皆を怪我なくアークに返すのが私の役目。痛いのは全部治すよ!」 しかし、 「寒いのは得意だけど、雨は……つらいですね」 体力の少ないチャイカはその雨の攻撃によってフェイトを使わなければいけなかった。立ちあがりながらも、ピンポイントを使って攻撃の手を緩めることはない。 「さあ、お返しですよ! 身を切り刻まれる気分はどうですか!」 ウォータードラゴンに抵抗する間も与えず、チャイカが笑顔で切り刻んでいく。 「闇に堕ちしこの力でも、守れる仲間がいる!」 そしてピンポントと共にアルトリアのスケフィントンの娘が、ウォータードラゴンの体を不調に変える。こうしてウォータードラゴンにトータルヒーリングを使わせて攻撃の手を緩めているのも、ダメージコントロールの大きな要素だった。 「この前のようにはいかんぞ? アークをなめるなよ?」 トータルヒーリングで癒されたばかりの体に御龍のデッドアライブが叩き込まれて、ダメージは再び蓄積される。いくら回復と障壁があっても、何度も殴られればダメージは大きくなる。 「あんたが水増やすってんならミリーが全部蒸発させてやるわよ!」 それを体現するように、何度も何度も炎の拳で殴り付けるのが、ミリーだ。水中であろうとも、お構いなしに何度も殴る。 「……爆ぜろ」 次いで、ハイアンドロウによってウォータードラゴンの体は爆発していく。相変わらずの無表情であったが、天乃は戦闘を楽しんでいる。だから、笑っているようにも見えた。 「そろそろクライマックスかァ!?」 そうして切り刻まれた傷をえぐるように、アル・シャンパーニュを狙っていく。その狙いは成功し、何度も切り刻まれたウォータードラゴンの体は、悲鳴をあげていた。 「オマエさんみたいなのがいちゃ。……カタギのガキ共が水辺で呑気にはしゃぐ事もできゃしねぇ。此処は……てめぇのモンじゃねぇんだよ!!!」 「また楽しい時間を有り難うドラゴンさん。どうぞ、ゆっくりお休み下さい。ふふふふ」 連続攻撃が傷ついたウォータードラゴンの体を襲う。武臣のバウンティショットはヒレを破壊してその動きを封じ、珍粘が作り出した風の刃はウォータードラゴンの体を引き裂いていった。水の中でも見事に動く二人のコンビネーションは見事なもので、ウォータードラゴンも反応しきれない。 「細菌だろうが、その存在に刻み込んでやるぜ! この世界にはすでに、俺という竜がいるって事をな!フゥーハハァー!」 そして、喉元に突き刺さった竜一の刃が決着となった。ウォータードラゴンの体は水中に沈んでいき、力を失っていく。様々な力を持つ水の竜も、連続攻撃の前には太刀打ちできなかったのだ。 「……この世界の水ん中じゃ寝心地わるいだろうがな。……勘弁してくれや」 沈んでいく竜の体から力が抜けていくのを見ながらリベリスタは確信する。自分たちは竜に勝利したのだ、と。 ウォータードラゴンが倒れたのを確認した後、オオトカゲドラゴンを倒そうと動いたリベリスタだが、その姿が見えないことに気付いた。 オオトカゲドラゴンはでかい図体でのろい動きであったが、狡猾にもウォータードラゴンに攻撃が集中している間に泳いで逃げてしまったらしい。水場はウォータードラゴンのせいで増えてしまっているので、探すのも骨が折れるだろう。 「ふふふ、まだ楽しませてくれるのですね」 とはいえ、目的のウォータードラゴンは倒すことができた。リベリスタ達の勝利と言えよう。 「プールは足の着く所が一番ね」 公園の水も雨を降らせ続けたウォータードラゴンが倒れたことによって引いていくだろう。オオトカゲドラゴンだっていつか出てくるはずだ。 その時は、また戦えばいい。そう思う。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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