●ラヴリンス 「ひ、ひぃいい――! 助けてくれぇ――!!」 そこは異質な空間だった。 まず目に入るのは通路だ。おおよそ横2m程の感覚で通路が作られており、それがどこまでもどこまでも迷路の様に続いている。 いや、実際に迷路なのだろう。事実として、男はかれこれ十数分走り続けているのだが一向に終わりが見えない。行き止まりには何度かぶち当たったもののそれが終着点と言う訳ではなく、ただ行き止まりがあっただけだ。どこかに出口があるとは思うのだが。 「どこだ……どこなんだよ出口はぁ――?!」 上を見上げれば10m程壁がそり立っている先に、空では無く、斑模様の気分的に不快になる色彩が存在していた。その光景は一般人であろうが神秘に携わる者であろうが瞬時に分かる。 ここは、マトモな場所では無いと。 「――!」 そして、男を追う一つの影があった。 それは異形。人の体に牛の頭を持つ伝説上の生物。 ――ミノタウロス。 「ひ、ひぃぃあああ――?!」 やばいやばいやばいアレはやばい。 逃げなくては、逃げなくてはならない。アレに捕まってはならない。 絶対に、捕まっては――! 「無駄だ」 声が聞こえた。男の声では、無い。 肩に手を乗せられている。誰のだ? いや、そんな問いは愚問だろう。この場には己と奴しかいないのだから、答えはおのずと出る。 ミノタウロスが口を開く。耳に、囁くかのように言葉を綴れば―― 「や ら な い か ?」 アッ――! ●ホモタウロス! 『……ていうアザーバイドがそっちにいるみたい』 早く言ってよ、そう言う事はァ――! AFの通信機能の先から聞こえる声、『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)に文句を言うはリベリスタ達御一行様。 なんでそんなアザーバイドがいるのだ。自分達はそう言う奴がいるとは知らず、 『とにかく早くそこから逃げて。そのアザーバイドは自分に有利な空間を作って相手を取り込むみたいだから、体勢整えないとかなりキツイ筈』 「――そう言わずにゆっくりしていったらどうだね?」 背後から声が聞こえた。何時の間に――そう思うリベリスタ達だったが、悠長にしている暇は無い。後ろを向かず、ただ前へと走り抜けば、 「フフフ逃がさんよ!」 嫌な気配を感じた。何か、巨大な力が収束している様なそんな気配だ。 まずいまずいまずい、なんかよく分からんがとにかくまずい! 『皆、よく聞いて。相手の詳細データはAFに送るからそれを見て欲しい。あと一応生贄、もとい援軍は今すぐ送るから』 え、今なんて言った生贄!? 『ま、待ちまたえイヴ! これはどういう事かね!?』 なんか変な声が聞こえた。『ただの詐欺師』睦蔵・八雲(nBNE000203)の声だ。 まさか援軍、もとい生贄とは貴様か。 『だって彼らをここに向かわせたの貴方だし。その責任はとらないと、ね』 『あんなアザーバイドが現れるとか知らんぞ私は! 元々の依頼はフィクサード共の退治であって、その説明を私は受け持っただけで……あ、コラ、君達何をする!』 大人しくしなさい八雲君、犠牲者は君で確定です。とか、いい加減腹決めろにゃははは――! とかなんか色んな声がAFから聞こえてくる。そんな声をBGMにして、 『……じゃ、人身御供は送るから――皆頑張ってね?』 イヴちゃん怖いお…… って、後ろからなんか変な空間が迫ってきてる――!? 「Welcome to my world!!」 嫌だ――! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:茶零四 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2012年04月23日(月)23:56 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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●ニゲーロ! 走っていた。 とにもかくにも走っていた。 何故かなどと今更問うな。危険はすぐそこだ。逃げねば、逃げねばならぬのだ。 「そうだ! こんな異常者共の空間にいつまでも居られるか! 俺は一人でも脱出させてもらうぞ!」 と、まぁ『塵喰憎器』救慈 冥真(BNE002380)のフラグが開始いきなり豪快に立った所でだ。鬼ごっこは今の時点において、特に確たる流れはまだ無かった。 出口たる木製の扉は流石にそう簡単には見つからぬし、ホモタウロスの方もまだリベリスタを見つけていない。とは言え、その内直ぐに事態は動くだろう。それがどちらにとって良い流れなのかは分からないが―― 「フフ……じたばたしてもしょうがねぇぜ。男は度胸! むしろ捕まえる側に回る勢いのノリでいかねぇとな! お前もそう思わねぇか冥真?」 道中。少々広めの空間に出たと思ったら『いい男♂』阿部・高和(BNE002103)がどこから出したのか青いベンチに腰掛けていた。 その表情には追われる側の焦燥感などありはしない。むしろ心待ちにしているかのような余裕溢れるOTOKOらしいオーラを携えている。いい男だから仕方ないね! 「……阿部さん、その、何をして?」 「おいおい今更何を言ってるんだ――ナニを待ってるに決まってるだろうが」 「何をだぁ――!?」 いかん、ツッコミ入れてる暇は無い。というかここに居たら襲われる。仲間に。 「ん、なんだもう行っちまうのか? 俺はここにいるからその気になったらいつでも来いよ!」 「その気は絶対に起きる筈も無いが……あぁそう言えば“アイツ”は阿部さんと趣味が合うよな? だから、アレだ、二人で睦まじくしてくれればいいんじゃないかと思うんだ俺。そうしてくれると大分俺が嬉しい。見返りとかそんなんは無いけど、とにかく嬉しいんで、頼む!」 言い放ち、冥真は駆ける。これで高和の対象が“アイツ”に向けられれば万々歳だ。色んな意味で。 ともあれ出口を目指さねばならない。早く、早く逃げねば恐ろしい事が起きる気がするのだ。全年齢だけど! ●別地点 そんな二人の地点からは少し離れた場所。 そこにいるのは『おとこの娘くのいち』北条 真(BNE003646)だ。耳を研ぎ澄ませながら彼女……もとい彼は道を突き進む。ただし顔は何故か真っ青であり、その原因は、 「男色は……男色は御免でござる……!」 うわ言の様に呟き続けていたソレである。 彼は今回の任務に当たって“ほも”なる言葉を調べていた。いや、調べてしまったのだ。 そこで知るは数々の男色、衆道――つまりはそう言う系。なぜ調べてしまった! 「と、とにかくだめでござる……男女の色恋沙汰ですら早いと言うのに、男と男の絡み合いなど拙者には難易度が数段階飛び抜けているでござる……! 数百年前の日本ならまだしも現代では御法度でござるよ――!」 しかし叫んで事態が変わるでも無し。出口を見つける為にあちらこちらへと走り抜けていた。 と、その時だ。彼の少々前方に何者かの影が映った。それは、 「ふぅむ、これで何とか辿り付ければ良いんじゃがのう」 『眼鏡っ虎』岩月 虎吾郎(BNE000686)である。彼は右手を壁に添えて、道なりに突き進んでいる。 これはいわゆる“右手法”だ。迷路の特性上、端の壁際のどこかに出口があるならばこの方法で確実に辿りつく事が出来る。もっとも今回のラヴリンスで言えば必ず通じるとは言えない方法だが、 「ま、やる価値はあろうてな。無理でも他の者がなんとかしてくれるかもしれんし……おや?」 「これは虎吾郎殿! ご無事でござりましたか! ――っと、祢子殿も!」 「ひぅ!? あ、お二方でしたか……ビックリしました」 十字路において虎吾郎、真、そして『名乗る名はない』七篠・祢子(BNE003736)が三方より出会う形と成った。男性に対して免疫の無い祢子は少々驚きに補正が掛る勢いだが。 「おお二人か。どうじゃ? 何か発見はあったかえ?」 「いや拙者はまだ――分かれ道を見つけては進んだ方向に五穀米を置いて来ているではござるが」 「あ、それ……似たようなの私もしましたよ」 五穀米を置いているのはこの道は既に通ったと、分かりやすく示す為だ。 無駄に扉の捜索をしてしまうのを避けたいが故に。そしてそう言った行動を行っていたのは真だけでは無い。ここまで進んで来た祢子も同じで、 「えっとですね。こうしておけば忘れないだろうと、トランプを置いて――」 「――ほう? トランプとはこれの事かな?」 祢子の背後で何か、紙が舞い落ちる音がした。 同時にするは嫌な予感だ。こんな声は知らない。今回の参加者達の声では無いのは確かである。 で、あるとすれば―― 「逃、げろォ――!」 三者が一斉に駆け出した。祢子は真正面に、真は来た道を逆走してだ。 だが虎吾郎だけは別だった。なぜか彼は逃げず、ホモタウロスのいる方向へと突き進み、 「逃げる……と見せかけてのスライディングじゃ――!」 身を低くし、床を滑る様に虎吾郎は行った。 狙うは足元だ。唐突な行動に驚きを隠せないホモタウロスの一瞬を突いて、脛に当たる快音が鳴り響けば牛の体が揺らいだ。 チャンスだ。これ幸いとばかりに虎吾郎はすぐさま立ち上がり、牛を超えて走り抜けて行く。が、 「NO・GA・SA・N!」 体勢を崩しながらも牛が虎吾郎に手を伸ばした。その手は真っすぐに服の背元を掴み―― 「ふんぬらばぁ! 秘儀・身代わりの術ゥ!」 掛け声一つ。同時に起こるは、某お笑い芸人よろしくの服が破ける現象である! こんな事もあろうかと虎吾郎は千切れ易い素材で作られている服に着替えていたのだ。え、どんなタイミングでそんな服を用意する暇があったかって? こまけぇこたぁ良いんだよ! ともあれ、こうして一度は魔の手を逃れた虎吾郎だが。流石に二度目は無い。時間は稼げたものの追われれば逃げ切れず。 「おおぅ……なんと、捕まってしまったか。となると罰ゲームなのかのう?」 「あぁ安心なされよ御老体……私は誰に対しても優しいぞ?」 何に対してだ。 「そうか。なら仕方ないのう……お手柔らかに頼むぞ?」 「承ったァ!」 B(ビースト)L(ラヴ)R(リターンズ)! 番組の途中ですが、安心と信頼の全年齢タイムをアーク放送局がお知らせ致します。 しかしてその様子を―― 「えへ……えへへへへこの角度はたまらないね……!」 通路の曲がり角より『すもーる くらっしゃー』羽柴 壱也(BNE002639)がこっそりとカメラを回していた! ●盗撮は駄目よ>< 「えへへへへ! これだからBLは止めれないよね! えへへ――おっと鼻血が……」 「駄目だ、腐っている……遅すぎたんだ。壱也、とにかくさっさと逃げるぞ……」 カメラを回す壱也のすぐ後ろには『やる気のない男』上沢 翔太(BNE000943)と『ただの詐欺師』睦蔵・八雲(nBNE000203)の二人がいた。言葉を紡ぐは翔太で。 「分かってるよ~適度な所で切り上げるつも」 その時だ。カメラを覗いた壱也の目に映ったのは、カメラ目線でいる牛顔の姿だった。 つまり、これは、あれだ……えーと、その…… 「……ごめん、見つかっちゃった★」 同時に男二人はダッシュ。 振り返らない。大体光景は分かる。飢えた牛がこっちに突っ込んできているに違いない! 「ホモタウロスさーん、男子が貴方に会いたくて探してるんだって。わたしなんかに構ってる場合じゃなくて、男の子捜した方がよくない? ほら、例えばこの青髪ロングの子とか!」 あれ? ちょっと待て、青髪ロングってこの中では一人しか、 「ふぅむ! 成るほどこれは女に構っている場合では無いな! 情報感謝するぞ――!」 「い、壱也、貴様ァ――!」 対象にされ泣きながら走る八雲。 しかし牛が早い。とにかく早い。やはり地の利があるからだろうか。それともこれがホモの力か!? ともあれこのままではすぐにでも捕まってしまう。 そんなどうすれば良いか悩むべきタイミングで。 「大丈夫だ! 俺に任せろ――必殺・腹パン!」 横道より冥真が現れ、すかさず八雲に腹パン。 そして、悶絶しかけの詐欺師の意識がはっきりする前に、翔太が八雲に飛び蹴りかませば。 「八雲さん、貴方の勇敢さは忘れない! 忘れないので後は任せた! 俺達の未来の為に!」 「そうだ……これが俺の、俺達の八雲(むっつりーに)シールドだ!」 「き、君達今度会った時は覚悟しておけよ、アッ――?!」 正に生贄! 悲痛な叫びを背後に、冥真と翔太は迷路の奥へと駆けて行く。 ……の、一方で。 「えへへ! 次々映像に収めることが出来るなんて眼福だね――!」 いかん、この女子出口探す気が無い! ●生命神秘 「……行ったか。はぁ、めんどうくさいな……」 そして先程ホモタウロスが追いかけている道の近くには、気配を極力遮断しながら出口を探すのは『日常の中の非日常』杉原・友哉(BNE002761)がいた。 牛に見つからない様に慎重に歩を進めており、先の騒動もあってなんとか見つからずに済んだ彼であるが、いつまで見つからないで行けるかは不明だ。早めに出口を見つけたいものだが、 「さっき阿部さんにも会ったし……はぁ、襲われる前になんとかしたい……」 や ら な い か ? と言われたが無視して逃げてきたのだ。誰だってそーする。牛以外は。 「……こっちの道通ったっけ? ……って、ん。あれは――」 友哉が視線を向けた先、ホモタウロスが通りぬけた道を誰かが走っていた。 牛では無い。人だった。一瞬しか見えなかったが、ランスを持つあれは―― ………… …… 「ふぅ……」 ホモタウロスが【全年齢タイム!】を終えた所で立ち上がった。 視線を正面に見据えれば思考を統一させる。無論、誰を食おうかと言う意味である―― 正にその思考した瞬間。 「どーん! でござりまする――!」 「ぐあぁぁアッ――?!」 背後より衝撃が走った。『サムライガール』一番合戦 姫乃(BNE002163)による“背後からのランス一撃”である! 背後からの一撃! そう、背後から! どことは言わないよ!? 「アザーバイドさんとの交流は大好きでござりますが……男の方にしか“ホらあなたも、モうとりこ”しないそうでありますから倒すのはいた仕方ない事でござるですね!」 ホモの意味を何か致命的に勘違いしているようだが、相談の際にその様に教えられたのでそれが真実なのだろう。うん、これ全年齢だし! 「お、おのれぇ……私が私の後ろを男以外に許すとは……! 許さんぞ小娘!」 「怒ったのでござるか?! わらわにもホモしてくれるのでありますか!?」 「何を言っているのだお前は!? 女に出来るかァ!」 「ならわらわがホモするでござる! ホモしたいでござるですぅ――!」 「何 を 言 っ て い る の だ お 前 は !?」 閑話休題。鬼ごっこ開始! 逃げる姫乃。薙ぎ払わんとする牛。 そんな両者の鬼ごっこの最中に―― 「おいおい良いのかい? ここをそんなホイホイ通りぬけようとしてよ」 阿 部 が 現 れ た 。 「さ、俺のケツに80倍 つ か ま え た しなよ。 男は度胸って言うだろ? ……これ以上、言葉はいらねぇな―― や ら な い か ?」 「うほ……この人間、いい男……!」 そうして二人は折り重なって――あ、やばいやばいやばい! ちょ、待って、全年齢! 全年齢タイム、アッ――! カメラ止めろ! 早、 【現在映像が乱れております。恐れ入りますがチャンネルはそのままにしばらくお待ちください】 「こ、これが……これがホモタウロスさんの異文化交流でござるのですね! いわゆる生命の神秘! でも非生産的な気がするのは気の所為で――」 音声も止めろォ――! ●放送事故なんて無かったんだよ! 「回避力は素晴らしい様だが、サポートなので描写は割愛だァ――!」 「メ、メッタメタアッ――!」 場面を戻せば翔太が鎧袖一触。時間は稼いだ様だが描写は略! 続いて追うのは必死に逃げる真だ。 捕まりたくない。その一心で逃げ続ける彼を――牛は行き止まりへと追い詰める。 「ま、待つでござる!」 絶望の壁を背に、真が叫ぶ。 じりじりと詰めよってくる牛へと涙ながらに言葉を綴れば、 「牛男どのも、ほら、もっと男らしいほうが好みでござろう? 拙者は、その、」 「勘違いするな。私はな……オスだったらなんでもいいんだぜ? むしろその容姿はその容姿でそそる!」 「さ、最悪でござるよこの御仁――?! あ、ちょ、なんで圧し掛かって来て、ぼ、ぼくは美味しくないから! やめて! やめ、誰か助け」 その時。思わず“ぼく”口調になった真の視界の隅に映ったのは祢子だ。通路の曲がり角で、覗きこむ様にこちらを見ている。助けて――と手を伸ばすが、 「えっと、その……頑張ってくださいねっ!」 真にEP回復を施して、撤退した! いや、彼女が参戦してもどの道結末は同じなのでむしろ出口を探しに行った彼女の判断は実に正しいのだが! そして番組の途中ですが、安心と信頼の全年齢タイムをアーク放送局がお知らせ致します。 「く、くそう! 早く出口見つけないと俺も【全年齢タイム!】されるじゃねーか! こえーよ!」 男性陣の中の生き残りは残り二名。冥真と友哉だ。 その内の冥真は、壱也と姫乃そして小鳥遊・茉莉(BNE002647)と共に行動していた。が、何はともあれ出口を早く見つけねば、 「出口? ああ、それならそこを左右左右直進直進左とみせかけて右、左左行った所にあるよ?」 「私も確認したので間違いないでござるですよ!」 「マジでその進み方であるの!? ……っていうか何で確認したのに出てないの?」 「え、何で出るの?」「そうでござるよ。何で出るんでござるか?」 「えっ?」 「えっ?」 …………えっ? 「まぁとにかくアレですね。そろそろ出ないと本格的にまずい気が」 「――だからゆっくりして行きたまえと言っているではないか」 茉莉の言葉に被せる形で、背後で気配がしている。 あぁもはや気配だけで分かる。この感じ……牛だ! 「うぅ……カレー食べたい……メンドくさ……い……」 そして牛の右手には気絶している友哉が引き摺られていた。 気配は遮断出来ていても、臭いや歩いた際に出る音などで勘づかれたのだろう。牛、恐るべし。 「うーん。誰か一人囮に成るべき展開かなコレ。出来ればカメラに納めたいな……!」 「そうですね……ここは、冥真シールドで……」 「なんで俺の名前が即座に出たのか詳しく」 「だって男の方でござりますし!」 壱也に茉莉、冥真そして姫乃の順に発言するが、もはや未来は確定的に明らか。 どっちみっち一人だけ男がいるのだ。と、なれば生贄は、 「……えーっと。『だらしねぇな』? って言えば良いのかこの場合? やってやるよ畜生め!」 冥真の覚悟が完了する! 女性メンバーは出口へと走り出し、冥真は魔法陣を展開する。 即座に穿つは魔力の矢で、牛の顔面へと直撃コースを辿るが、 「フンッ!」 しかし魔力の塊たる矢。それに対してホモタウロスは左手を無造作に繰り出し、握り潰す。風船が割れるかのような音が鳴り響けば魔力が消失した――何コイツ怖い。 「その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやる……! へへへ、来いよホモタウロス! ホモなんて捨ててかかってこい! どうしたベネ、ホモタウロス! 俺が怖いのか!?」 「面白い奴だな……気に入った。ホモるのは最後にしてやる――と思ったが、よく考えてみれば後はお前しか(男は)残って無かったな。すまない、最後にしてやると言ったな?」 一息。 「――あれは嘘だ」 「畜生ォォォ!! アッ――!」 安心と信頼の全年齢タイムをry そしてこの後、ラヴリンスは脱出者が出た事により崩壊する。 逆襲タイム、はーじまーるよー! ●ボッコボコタイム そこからは酷かった。出た瞬間に牛に一斉攻撃。エリアルから大鎌の一閃が繰り出され、魔力の弾丸が牛の顔面を執拗に穿ち続ければ、矢が突き刺さる。そして落ちてきた所をまっすぐ行って殴って、全身のエネルギーを溜めた一撃で薙ぎ払えば再びエリアルの無限ループだ。何コレ酷い。 ともあれ牛を瞬殺し、ようやくリベリスタ達は平穏を手に入れた―― 「ふふふ、鬼ごっこは楽しかったのう。次の機会にはわしが鬼になりたいもんじゃ」 「俺はケツに土砕掌を打ち込んでただけだぜ。まぁフェイト復活で色々パンパンだったがな!」 虎吾郎に高和。いやぁ 実に 全年齢 でしたね! 「えーデータ配っちゃダメなのー? 全年齢だよ!?」 「駄目で御座る……記録は確実に消滅させるで御座る……!」 こちらでは壱也がデータ配布しようとしたのを真が必死に止めている。 自身の醜態と思える映像が流れるのは嫌なのだろう。忍びの名に掛けて、真は止めるつもりである! ただし壱也がバックアップを取っていたかどうかは……定かではない。 「“アークではよくある簡単な仕事”……成るほど、今後もこんな変態さんと闘う事になるんですね……!」 違うから! もっと真面目な依頼沢山あるから! そんなこんなで今回もアークの依頼は全年齢でした。まる! 「あ、この世界にはまた来るからその時は宜しくな!」 来るなァ――! |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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