● それは、割とこっそりと掲示されていた。 「VTSによる研修・アーティファクト編 *依頼ではありません。あくまで希望者のみ参加」 リベリスタに対する依頼一覧から外れるようにして、短い文。 後になって思えば、「希望者」の部分だけ、やけに念入りに太字だった。 なんで、あんなものみつけちゃったんだろう。 ● 「ウィルモフ・ペリーシュなんてビッグネーム出すまでもなく、アーティファクトというのはとても厄介」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、無表情だ。 というか、何かこみ上げてくるものを我慢しているようにも見える。 「アークは志願制をとっている関係上、アーティファクトが関係している案件とあまり出くわさない人もいると思う。やはり、ある程度はどういうものか分かっていてほしい」 イヴはモニターに三文字を表示する。 「Ⅴ・T・S」 経験不足を補うために使われた、ヴァーチャル・トレーニング・システム。 「今回も、効果が出たとき一番現場が混乱する、人心誘導系」 ふんふん。そういうのに対処する方法を探る上でも大事だよね。 「それを有効に使うため、とあるゴーレムの効果もプラス」 え。なんだろう。この既視感にも似たいやな感じ。 「例によって、今回も以前発生した事件の追体験をしてもらう。ちゃんと解決した案件だから。人数も大量に投入するから問題ない。発生した敵は一定時間経つと瓦解するから元に戻ることは確定済み」 なんか、きな臭い感じがする……。 今すぐこの背後のドアを開けて出て行った方がいいんじゃないかな、いいんじゃないかな。 「ちなみに、今回使う案件は、E・ゴーレム。識別名『とりかへばや……」 脳に走る冷たい感触。 『とりかへばやの鏡』 怪しい光線を照射し、対象の性別を反転。 本体を破壊しない限り、戦闘終了後五日間そのままという強効果。 その容姿は、本人の願望・恐れ等々を体現させ、外見年齢すら超越させる。 心に住まう人物に似通ってしまう事例まであり、あなたの心のひだお見通しになってしまうのだ。 現物は既に破壊されているが、そういうモンまで再現しましたか。 誰か、あの自称天才室長、死なない程度にシメてこい。 ろくでもない効果という点では、満場一致だ。 更に、体に傷がつくわけではない。 効果範囲も広い。 確かに実験にはもってこいだが。 心の傷はどうしてくれるの。 ここまで、リベリスタ的脳内処理。 「『……の鏡』の案件」 失礼しまっす! 背後にダッシュ。 ドアに手をかけるが、開かない。 何これ、電子ロック!? 「言っておくけど、『とりかへばや』は、あくまで補助。メインは……」 画面になんかエロい感じの少年の裸身をモチーフにした香水ビンが映し出された。 「『ヒュアキントス』」 それって、つけた男子に深刻にラヴしちゃう奴じゃないですか、やだー! 「「「開けて~!! ここ開けて~!!」」」 男性リベリスタ、扉に殺到。 「大体感づいたみたいだけど、改めて説明する。女性には『とりかへばや』で男性化した上、男性陣はその後に投入。『ヒュアキントス』をつけた対象と対峙してもらう。効力はある程度弱めるので、どのくらいの強制力がかかるものか、体感しほしい」 それって何の拷問? 「ちなみに、『ヒュアキントス』つけるのは、男性なら絶対に好きになりたくない人にすることにした。これなら、そう簡単に篭絡されることはないと思う」 まあ、本物じゃない、データ投影だけだけどね。と、イヴ。 「三高平で一番の女性の敵、沙織につけてもらう。それでも、よろめいちゃうかも。アーティファクト、怖い」 なんで? なんで、そんなひどいことするの? 「この間のアドーニスの実験、女性化した男性がかなりの比率で思考狭窄の上暴化、リベリスタ同士での戦闘勃発。VTSだったからよかったけど、実践だったらと思うと恐ろしい。これは、女性が男性化したときのデータも取っておくべき」 いや、それなら、女子だけでもいいじゃん。 「男子は、ちゃんと抵抗のための鍛錬。ファイト」 そう言って、拳を固める幼女、マジエンジェル。 だけどもさ。やっぱりさ。 「「「出して~!!!」」」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年04月10日(火)22:36 |
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■メイン参加者 13人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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