● 「鬼道が動こうとしている」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、無表情だ。 「覚悟を決めて。作戦目標は鬼道の本拠地『鬼ノ城』の制圧及び鬼ノ王『温羅』の撃破。これをしくじれば、この間の惨劇、それ以上の惨劇が繰り返される」 モニターに映し出される概略図。 イヴが、手書きで矢印を書き込んでいく。 「『鬼ノ城』攻略は簡単な仕事にはならない」 手書きで書き込まれる「烏」の文字。 「まずはじめにアークの障害になるのは四天王『烏ヶ御前』率いる部隊。彼女と彼女の配下達は『鬼ノ城』に敵を寄せまいと積極的に迎撃体勢。彼女と彼女の部隊に対してどういう戦いを見せるかで城外周部における安全度が変わってくる。エリアを制圧する事が出来れば後方回復支援部隊による援護効率が向上し有利な状況を作りやすくなる」 「烏」の上にバツを書き、「回復支援↑」と書き込む。 「第二の難関は城門。ここの要は同じく四天王の『風鳴童子』。攻城戦において有利は常に守備側にある。地の利を持つ彼と彼の部隊はすごく抵抗するだろうね」 「風」と城門の上に書き込み。 「城門を突破しても安心は出来ない。御庭では鬼の官吏『鬼角』率いる精鋭近衛部隊が戦いの時を待っている」 庭に、「角」と書き込んだ。 「城門と御庭のエリアを制圧すれば鬼ノ城本丸への進撃が効率的になり、敵の強化が解除される」 「風」と「角」にバツをつけ、「進撃↑、強化↓」と書き込む。 「そして本丸下部の防御を受け持つのはあの『禍鬼』。何を考えているか分からないけど、手強い敵なのは間違いない」 「禍」と書き込むイヴの眉根がわずかによるのは、先ごろの鬼の暴虐非道を思い返しているからだろうか。 「『温羅』との決戦に臨む部隊の余力を温存出来るかどうかは各戦場での勝敗にかかってる。繰り返すようだけど、敵の本拠。難しい戦いになる」 モニターを見つめるリベリスタからは、しわぶき一つない。 「それから、大事なこと。『風鳴童子』、『鬼角』、『禍鬼』はそれぞれあの『逆棘の矢』を所有している。壊すことが出来ない弱点なら、捕られない所へ分散させといた方がいいもんね」 先ごろの作戦で、アークが確保したのは二本。 「彼等の撃破に成功すればこの矢を奪い取る事が出来るかも知れない。エリアの制圧と共に有意義な作戦目標」 「風」、「角」、「禍」の字の上に、それぞれ「矢」と書き、「切り札」と大きな丸をつける。 「ここまで概略。何か、質問ある?」 リベリスタが無言で頷くのに、イヴは別のモニターに作戦概略図を出す。 「みんなの担当は、城門。この隙間から鬼たちが飛礫を投げてくる。飛礫というより、岩。こんなのが、雨あられと降ってくる」 こんな。と、イヴは自分の頭より大きな丸を書く。 攻城戦で、上から射掛けられるのを覚悟していたが。 「やられたら、やり返す。みんなの仕事は、この飛礫部隊をつぶすこと。難しいよ。向こうは櫓の中だけど、こっちは向こうから丸見え。向こうは粘れるだけ粘る。回復役も居るだろうね」 イヴは、モニターに文字を出した。「狙撃」 「決行は、夜。奇襲になる。岩を投げるため姿を見せたときがチャンス。鬼を撃ち殺して。数は、十二。内、回復は二。女鬼だから、見分けはつきやすい。仲間に被害が広がる前に。可及的速やかに」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2012年04月09日(月)01:03 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 2人■ | |||||
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● 鞭声粛々、夜戦野を渡る。 彼の名将は河を渡ったが、鬼退治のリベリスタは静々と敵の城の櫓下にまでつけていた。 すでに互いの射程圏。 暗闇の中に潜むリベリスタの指は弓弦や激鉄にかかり、戦火の狼煙を挙げるのみ。 「まさか現代で城攻めをするとは夢にも思わなかったのじゃ」 『不誉れの弓』那須野・与市(BNE002759)の語尾は、知らず震えて響いた。 「わしも頑張ろうとは思うのじゃが…せ、精いっぱいはやるぞぇ? でも相手はしぶといらしいし、沢山おるのじゃったな……わ、わし大丈夫じゃろうか?」 『ナーサリィライムズ』アルトゥル・ティー・ルーヴェンドルフ(BNE003569) は、知らず早口だった。 「またもまたも鬼退治なのです! 狙撃なら、アルだってアルトゥルだって、負けません、です! 初めて鬼さんと対峙した時から、すこしだけすこしだけ、アルだって強くなりました。鬼さんにも譲れないものはたくさんあるのだと思うます。でもでも、アルだって譲れないもの、たくさんたーっくさん、あります! です! だから、アルは。アルトゥルは。落とします落としてやります、ぜったい!」 みんなに心配をかけないよう、前向きな態度で後ろ向きの発言をする少女射手。 緊張が、息継ぎなしで一気にまくし立てる口数の多さと、鬼に見つかってはならじと声を潜める様に如実に現れている少女射手。 幼い仲間を無事で返そうと、リベリスタ達がひそかに心に決める。 闇の向こう。そそり立つ櫓に穿たれた狭間から武者走りを行きかい、攻撃してくる鬼を狙撃しろ。 「は、はふ、高い位置から石を落とすか……原始的だケド受けるダメージが大きい攻撃方法だよねぃ」 『蜥蜴の嫁』アナスタシア・カシミィル(BNE000102)が、色っぽい吐息混じりに呟く。 「やれやれ、鬼との射撃合戦で腕比べをするとは思いませんでしたよ」 『デモンスリンガー』劉・星龍(BNE002481)の姿は、黒尽くめ。 闇に沈んで声ばかりが聞こえる。 「ですが、こちらにも意地があります。この後の戦いを考えますと、この戦いは絶対に負けられないですから」 この後に控えている大物との戦いを考えたら、リベリスタの損耗率を抑えることは最優先事項だ。 生きる砲台十二機、潰す。 「これまで受け手ばかりでしたが、僅かばかりですが事態の収拾への希望が出てきましたね」 「いよいよ反撃できるのですね」 『シスター』カルナ・ラレンティーナ(BNE000562)の呟きに、『銃火の猟犬』リーゼロット・グランシール(BNE001266) が頷く。 二人の長い髪を風がなぶる。 すでに戦の瘴気と血の匂いが漂い始めている。 鬼の血。それと同じくらい、仲間の血も流れているだろう。 それでも。 「鬼達の暴挙を看過は出来ません。この機を活かす為にも、まずはこの場の勝利で足がかりを」 「今まで好き放題やってくれた分以上に撃ちこんでやりましょう。アークの敵を撃ち倒し、アークに利益を」 二人は、共に信仰を持って生きている。 カルナは神を仰ぎ、リーゼロットはアークを仰いでいる。 「攻城戦とは大変厄介。定石なら、相手の五倍を超える戦力で攻めるしか無いが」 『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)は、闇の中暗視スコープをつけた仲間を見回す。 12体と予想された敵の数に対し、この作戦に従事するリベリスタは十人。 「……ならば、数の不足を此処の意思と力で五倍と埋めるしかあるまい」 アラストールの言に、リベリスタ達は笑みをこぼす。 「ヨシ、早めに鬼の癒し手を潰して黙らせるよぅ!」 頃やよし。 カルナが、密集した陣より更に後方に下がる。 彼女に背を預けて、リベリスタ達は自らの賦活に取り掛かる。 決して倒れぬための最後衛。 彼女のための護り手はつかない。 それは、彼女が望んだこと。 十本の戦火を束ねて、攻城槌とする戦いが始まった。 ● 先陣は、アナスタシアが切った。 壁や床を透かし見る目を、暗視ゴーグルがいくらか手助けする。 細部は分からない、だが大雑把な影の個体差を、脳裏に住み込み、間をおかず舌に載せる。 「はふぅん。正面五つの窓に二人組、交互に石投げる気だと思うよう。 重なるように影が見えたから、女鬼は絶えず移動しながら回復する気だ!」 今ンとこね! と付け加えつつ、褐色の美脚が宙を切り裂く。 精密な蹴りが、今見たばかりの影、鬼の腕を切り飛ばす。 とたんに降り注いでくる岩飛礫。 身を乗り出し、窓に脚をかけ大きくのけぞり、振り下ろされる。 膂力任せの岩は、重力の助けも借りて、一撃必殺の砲弾と化す。 たとえ直撃しなくても、密集した陣形を崩すには事足りた。 「大丈夫、羽柴さん。貴方は私が庇います」 『鋼鉄の戦巫女』村上 真琴(BNE002654)は、完全防御と自動治癒を自らに纏い、魔力賦活を済ませた羽柴・美鳥(BNE003191)への射線をふさぐ。 真琴の背中に感謝をしつつ、美鳥は闇の先に目を凝らす。 「女鬼が離れてるなら、男鬼を多く巻き込めるほうがいいですね……」 異界の業火が召喚される。 鬼の城、櫓の中の武者走り、鬼が一番多いところにだ。 一瞬火の手が辺りを赤々と染め上げた。 美鳥が放った炎を振り切れず、幾人かの鬼は炎を纏ったまま、一歩を踏み出す。 業火が映し出す、闇に浮かび上がる鬼の姿は、まさしく異界よりの到来者。 巨大な体躯。鋼の筋肉。焼け落ちた衣服が炭となり、消せない炎がその肉を焦がし、吐き気を催す臭気が風に乗って胸を悪くさせる。 地獄だ。 あそこに地獄がある。 目が。憎悪に燃える目が射すくめる。 殺意が。岩にこめられて、投擲される。 巨大な岩が途中で割れ、千に砕けた。。 それはさながら、五月雨のごとく。 雨が降ろうが槍が降ろうが。 まさしく槍の穂先が降ってきている。 どすどすと周囲の地面に、何よりリベリスタ自身に突き刺さるそれに、リベリスタ達は奥歯を噛み締める。 声を出したら、せっかく闇に身を潜めているのに、位置がばれる。 (射撃戦故、ブロックは出来ないが、騎士の仕事は守る事、最後まで守り戦い抜く事) ここが、動くべきとき。 アラストールは、陣から十分に離れた城門付近で照明に火を入れた。 紫の髪、白皙の姿が鬼の前にさらされ、鬼もまたアラストールの照明により、その姿をリベリスタにさらす。 (闇で光を直視すると相対的に目が眩む事、暗い場所が見え難くなる事等もある) 運が良ければ役立つかもと、祈るように光量が上げられる。 風にそよぎ、今にも切れそうな蜘蛛の糸も、縒り合わせれば強くなる。 目に付いた鬼から順に射抜いていく。 リーゼロットの巨大なライフルから打ち出される杭状の弾丸が、照らし出された全ての窓に抜けて放たれた。 杭がなまこ壁を穿って、鬼をえぐり、貫通し、背後の壁に血と臓腑をぶちまけさせ、蜂の巣状の穴を開ける。 詠唱される人の舌では出せぬ旋律。大規模な波動。 鬼が祈るは、いかなる神仏か。 切り飛ばされた腕も、穿たれた穴もぶくぶくと泡立つように鬼の傷が治っていく。 揺らめく影。女の鬼が、傷を舐り、膿を吸い出し、男の傷を癒している。 それでも生ける人間の呪いが、地獄の業火を未だその場に留め置く。 与一が下がる。 陣とカルナの中間点。 与一の腕を以てしても、神秘の技を通すにはぎりぎりの位置。 一心同体、技手の中から引き出される弓を引く指と目が完全に連動し、遥か向こう、火がくすぶる鬼の再生中の傷を目掛けて、ヒョウと射られる。 せわしない肉芽の動きも与一はすでに見切っていた。 可憐な少女の指から放たれた華奢な矢が、ふさがりかけた肉を分け、臓腑をえぐり骨に突き刺さる。 「見つけましたですよ。最優先です!」 傷つき崩れかける鬼の背を背中から抱きしめようとした女鬼の頭を、アルトゥルのライフル弾が吹き飛ばす。 少女ゆえ、情を知らぬゆえの、精密な銃撃。 幼いながら、二つの職能の称号を許された彼女もまた、深淵をのぞき見、それを操るのが本質だ。 「さあさあ、一気に畳み掛けましょうっ!」 アルトゥルが、生真面目に声を潜めながら味方を鼓舞する。 「数限定ですが、派手にいかせていただきますよ」 打ち出される全ての弾丸に炎が宿り、コマ送りと化した視界に入る全ての鬼を、焦熱地獄に叩き込む。 黒く焦げ、焼け果てる鬼の影。 闇に沈んだリベリスタから流れた血は、鬼たちからは見えない。 ただ戦場にそぐわない柔らかな波動が一瞬辺りを満たした。 燃え盛る炎の中、ゆらゆらとまだ岩をつかむ鬼の体の傷がふさがれていくのに、リベリスタ達は次の弓をつがえた。 ● 空中で割れる岩の槍が、リベリスタの体を切り刻む。 異界の業火が鬼を焼く。 岩の隙間を塗って、小さな石飛礫がリベリスタの急所目掛けて一直線に打ち込まれる。 アラストールと真琴から打ち出される十字光が少しずつ鬼達の攻撃をおのおのに拡散させる。 身構える体に叩きつけられる衝撃に、ぎしぎしと骨がきしむ。 (倒れればそれだけ味方が危険に晒される、倒れる事は許されぬ) 完全防護の加護により、わずかながら受けたダメージは鬼に戻る。 (この苛烈な戦いの中で皆の盾となり、剣となろう) そこにあり続けることが、仲間を危険から護り、敵を撃つ術になっていた。 『鋼脚のマスケティア』ミュゼーヌ・三条寺(BNE000589)の鋼鉄の脚が、投げ込まれ地面にめり込んだ岩の上、着実なステップを踏む。 「地べたに這いつくばりなさい!」 中折れ銃から叩き込まれる銃弾が岩を投げんと身を乗り出していた鬼の臓腑をえぐる。 狭間から岩ごと落下して、地面に巨大な血の池を作った。 リベリスタからの再三の攻撃で、櫓の壁は大きくえぐられた。 また、鬼の攻撃から、リベリスタの体もずたずただ。 飛んでくる岩は、確かに精度はなかったが、あたれば被害は大きい。 カルナの詠唱が時折より複雑なものに変わり、その酷使たるや体の底から湧き上がる魔力の泉も干上がらんばかり。 動こうにも辺りには投げつけられた岩が転がっていて、移動が非常にしづらくなっていた。 不用意に動けば、岩に足をとられて転ぶ。 底までは行かないまでも、手や足をぶつけて、集中力を欠く。 「むー、ごろごろごろごろ。痛いし怖いし、やーになっちゃうですよ?」 アルトゥルのあけすけな台詞は、全員の内心をそっくりそのまま代弁していた。 緊迫した状況だったが、全員笑いをかみ殺す。 余計な力が抜けた。 (でもでも。アルは退かないです撃ち抜くです負けないです。最後まで最後まで) 生真面目な暗黒騎士は、息を大きくはくと再び激鉄に指をかけた。 集中するため、アナスタシアが後方に下がった。 砕けた岩がかすった頬に裂傷が出来ている。 リーゼロットを、弾幕を張りつつ、後方に飛び退り、アナスタシアの脇に並んだ。 「後、男三体です。女鬼の場所、分かりますか?」 「はふぅん。ちょろちょろ動いて、わかりにくいねぃ。当たってんのは見たんだけど」 数が減った分、女鬼はより強力な治癒魔法を一体につぎ込んでいるようだ。 ぎりぎりでも生きてさえいれば、生命力賦活の呪文は無傷に等しい状態まで持っていける。 同時に、殺意と魔力で練り上げられた弾丸が鬼を穿つ。 星龍が放った一撃だ。 「あれのおかげで火で削れてきてるから、とにかくそいつらからやっつけるといいと思うよぅ」 時間がかかればかかるほど、リベリスタにとっては不利になっていた。 傷や燃え続けている見える鬼に向かってリベリスタ達の攻撃が集中する。 少しづつ鬼の数は減っていた。 『ここじゃよ』 闇の中、幼い少女の声が響いた。 ごしゃ。 あらぬ方向で何かが粉々に砕ける音がした。 一瞬、鬼からの反撃が途切れる。 鬼が飛礫をぶつけたのは、与一の声を再生した携帯電話。 「これで多少混乱してくれれば嬉しいのじゃが……。わしの思い付きじゃし、どうせダメじゃろうと思ったんだが、ひっかかってくれたようだの」 懐中電灯は潰されたからの。 成功した方より、失敗した方の印象を強く持っているのは、与一の与一たる由縁。 少しずつ、リベリスタの攻撃が、面から点に代わっていく。 鬼で残っているのは、たまたま回復量が多かったから。たまたまリベリスタの目に留まらなかったから。 もはや、運不運の問題でしかない。 彼らはすでに星龍に呪われている。 彼らの身に宿った業炎が、刻々とその命を削っていく。 狂ったような叫び声が、焼け爛れた鬼の表皮を癒すが、そこに美鳥の業火が召喚された。 見開かれる目。 喉の奥から搾り出される悲鳴。 眼窩から、鼻腔から、口腔から進入してくる、灼熱の炎。 燃える。 砦の中が。 女鬼が平等に均一に保っていた鬼の体力が、一気にこそげ落とされていく。 「みつけたよぉ。そこだねぃ!?」 最後まで隠れきっていた女鬼を、アナスタシアが捕捉した。 きりきりに引き絞られた集中力が、その蹴りの精度を跳ね上げた。 燃え盛る炎を両断し、風の刃が女鬼の体を真っ二つに立ち割った。 赤々と燃える砦に、リベリスタの銃弾が、矢が、五月雨のように途切れることなく、豪雨のように降り注ぐ。 叩き込むたび、影のようにのた打ち回る何かから飛んでくる石の数が減り。 いつの間にか、向こうからの飛礫がやんでいた。 ● アラストールは、城門の下。 照明器具は、風防が石で砕けて、光は点滅している。 アラストールは次々と鬼に十字光を浴びせかけていた。 鬼は炎を振り払えなかった。 そして、アラストールへの怒りを振り払うことも出来なかった。 結果。 もっとも鬼の飛礫を浴び続けたのは、アラストールとなっていた。 「生き……のびたか……」 満身創痍。 血と泥にまみれた微笑は、それでも美しい。 「埋めることが出来たかな……」 攻城戦に必要なのは、敵の五倍。 闇の中から、複数の人が立ち上がる気配。 砦から噴出す炎の舌が、仲間たちの背を照らしている。 カルナは、ようやく詠唱を終えた。 仲間から大きく離れた所から。 一瞬たりとも休む間もない、孤独な時間だった。 それが、報われるのは、こんなときだ。 仲間達が笑顔で、誰一人欠けることなく、駆け寄ってきてくれるとき。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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