●進化する竜 三ツ池公園、東のエリア。そこに、地を裂き大地を砕きながら進む竜がいた。 アザーバイド、グランドドラゴン。リベリスタと戦ったことで傷ついた、この巨大なトカゲのような竜は足を引きずるようにして這い回っていた。前回、リベリスタたちが足を吹き飛ばしたことで体全体のバランスがおかしくなり、うまく体を動かすことができなくなっているらしい。その上、退化した翼は空を飛ぶこともできず、大型化した体は鈍重だ。 その為、進行はゆっくりだった。とはいえ、楽観視はできない。自身の体を再生させる能力を持つこのグランドドラゴンは吹き飛ばされた足も再生させているのだ。 しかも、再生する際にこの竜は自らの身体も変質させていた。この世界の環境や敵の攻撃に合わせて変わっていたのである。それは強烈な進化とも言えるだろう。 当然、この敵というのはこの竜にダメージを負わせたリベリスタのことだ。この竜は、傷ついた体を癒しながら再びあの人間たちと戦うことを想定しているのである。 カレイドシステムによれば、この竜は自らの身体を変化し終えた後に三ツ池公園の封鎖を突破。街に出て何かを探し求めるように暴れまわるという。 倒すのならば、変化の途中だ。街に出て、被害を出す前にアークはこれを叩くことを提案した。 リベリスタたちは、再び竜に挑む。 ●竜再戦 変質していく竜の様子をモニターで確認しながら、リベリスタたちを集めた『運命演算者』天凛・乃亜(nBNE000214)は解説をしていく。 「前に戦ったみんなが持ち帰った資料から、グランドドラゴンの解析は終了しているわ。このアザーバイドの正体は、細菌みたいなものみたいよ」 細菌、という言葉を受けてリベリスタたちは首を傾げる。今まで様々なアザーバイドがこの世界に出現したアザーバイドと戦ってきたリベリスタであるが、そのようなタイプは聞いたことがない。 「ええ、詳しくは省くんだけど、感染した生き物を竜みたいに変えてしまう性質を持っているみたい。……ええ、この世界にやってきたそのアザーバイドはたぶん、この生き物を竜に変えたのね」 モニター上に公園近くで逃げ出したというトカゲの資料が映る。一部の爬虫類好きがペットに使うという普通のトカゲで、大きさも足元でちょろちょろする程度の小型種だ。これがアザーバイドによって変質させられ、グランドドラゴンになったという。 「拾ってもらった細胞で実験をした結果、感染力がさほど強くないことが判明したわ。とはいえ、ちょっとほうっておく訳にはいかない相手ね。体の自己進化も促すみたいだから、叩ける今のうちに叩かないといけないのは確かよ」 続けてモニターにシミュレーターの映像が映る。それによれば、ちょっとした接触や空気によって感染する確率はほぼない。だが、長く時間をかければ周囲のものも変質させ始めてしまうようだ。 「さて、この竜の能力を説明するわね。前回の時とは異なっている点もあるからよく聞いて戦い方を選択して」 乃亜はプラスティックの棒を使って、ホワイトボードに注目を集めさせる。 「最大の特徴は再生能力ね。今は進化のためにその力を使っているから、再生能力は若干落ちているみたい。少しは戦いやすくなっているわ」 加えて、吹き飛ばされた足はまだ再生の途中。動きが鈍くなっている。 「だけど、安心は速いわよ。様々な状況や不調に対応できる力を手に入れたみたい」 自身の体をある程度切り捨てることで、不調を直すという豪快な力だ。元がトカゲであり、本体が細菌のようなアザーバイドだから、そういう芸当もできるようになったのだろう。 「攻撃方法は前回と変わらないわ。石の雨と地面を割る攻撃がメインね。どちらも非常に強力だから気をつけて」 加えて、強力な爪と鉄球攻撃もある。油断ならない相手だろう。 「みんなにとっては、前回の雪辱を晴らす絶好のチャンスね。私も応援しているわ、がんばって」 両手を広げ、何が起きても受け入れるような体勢を乃亜は作った。大きな胸が強調されて、リベリスタたちは少し目を逸らす。……大きな胸は母性の象徴とも言われるが、恐らく乃亜は何が起きてもこの胸の中で受け入れよう、と暗に言っているのだろう。 「大丈夫よ。きっとうまくいくわ」 笑顔を見せる乃亜。きっと、リベリスタたちを和ませようとしているのだろう。 そんな風に柔らかな様子を見せる乃亜に対して、リベリスタたちは……。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:HARD | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2012年03月13日(火)23:45 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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●竜よ、私はここだ。ここにいる 整備されていた公園の道は見るも無残に崩れ落ちており、街灯は衝撃をまともに受けて折れていた。まるで、怪獣映画の1シーン。怪獣が通りがかった後の道のようだ。 その怪物の名はグランドドラゴン。大地に愛されし竜であり、リベリスタを一度退けた実力を持つアザーバイドだ。 リベリスタたちは再びこの竜と対決するため、この地に足を踏み入れていた。 「リベンジマッチだね。雪辱を晴らす機会を得れた事は本当に嬉しいよ」 腕を頭の後ろに回し、横にひょこっと出ているポニーをいじる『いつも元気な』ウェスティア・ウォルカニス(BNE000360)は、前回この竜と戦ったリベリスタの一人だ。それ故に、再戦にも意気揚々……というわけでもなく、その表情は複雑そうである。 「嬉しいんだけど……。でも、少しだけ迷ってる。だって、この子帰りたいって言ってたんだよね……?」 その理由は、竜の正体。それと、竜が持っていた帰郷の気持ち。細菌型のアザーバイドによって変質させられたとはいえ、その気持ちは理解できてしまう。 「でも、倒すしか無いんだよね……」 首元のチョーカーに指先で触れて、眼を閉じる。色々な思いがぐるぐるとウェスティアの頭で渦巻いているけれども、それを視界と一緒に閉じた。 それから、ゆっくりと目を見開いて世界を見た。そこには、気合を入れてグランドドラゴンの下へ向かう仲間達の姿と破壊された公園の惨状。 「もう二度と負けないよ。絶対誰も倒れさせたりしないの……!」 ぐっと腕を握って、ウェスティアは決意する。どんな相手だろうと、今は戦って止めないといけない。それは変わらないからだ。 「竜退治なんて、リベリスタになってからも御伽噺の中だけのものみたいな気分だったけど……。そんな気分じゃ駄目だね。相手は手負いでも、一度討ち漏らした程の強大な竜」 鞘に手を携えて、『禍を斬る剣の道』絢堂・霧香(BNE000618)は深呼吸。ふわりと女の子らしいポニーテールが揺れてから、目には凛々しき戦士が宿る。ここにいるのは戦士、竜を殺すため自らの刀に心血を注ぐ者。 「それに、手負いの獣は厄介なものって聞くし。気を引き締めていかなきゃ、ね」 負けたくないという気持ちが、心の中で蓄積していく。いざとなればの覚悟も芽生えてくる。 手のひらに汗がにじむ。 「でも。生きて帰って、借りを返さないとね」 自らの意識を刀と一体化させながら、霧香は苛烈な攻撃を思い出す。あれをくぐり抜けて奴に一太刀浴びせなければいけないのだ、緊張もする。 「一度敗走をしている相手だ。強敵だが、これ以上負けを重ねるわけにはいかないのだ」 相手を高く評価し、いざとなればを考えているのは『T-34』ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)も同様だ。軍帽を深くかぶり直す。いつもの軍帽であるが、なぜだか落ち着かないような気もする。 「任務を開始する」 しかし、そんな内面の不安や恐れをまるで見せないように、ウラジミールは淡々と任務へと向かう。 戦うことに対して何も怖くない。勝つことが仕事だ。 「かっこいいなぁ~♪」 そんなウラジミールを見て、目を輝かせる『おじさま好きな少女』アリステア・ショーゼット(BNE000313)だった。 「手負いの相手が危険な事は、全ての生き物において共通の事でしょう」 手を口元に持って行ってくすり。怪しく笑うのは『残念な』山田・珍粘(BNE002078)だ。その表情は仮面のようであり、内面を窺い知ることは難しい。 「ましてや相手は仮にも竜の名を冠する者。一筋縄では行きそうにないですね。でも、自分の力が何処まで通用するのか。楽しみで仕方なくもあるんですよ」 これから起こる戦いに対する愉しさを見出しながらも竜を評価する。怪しくも美しいこの少女の内面が残念であるということは内緒だ。 「ふふ、ふふふふ」 一目散に駆け抜けていく珍粘。もとい那由他、またはなゆなゆ。仲間にはそう読んで欲しいと思っている。いわゆる魂の名前、という奴だ。 「うム。やはり竜は良い」 体が震え、口元が緩む。竜という強敵と戦えることを、『レッドキャップ』マリー・ゴールド(BNE002518)は悦んでいた。 無愛想に、しかし興奮して突撃をしているマリーは、体中に突き刺さるプレッシャーを心地よく思う。この先に行かせまいとする無言のオーラ、というものがグランドドラゴンのいる方角からは見えてきているのだ。 「この脅威を経て、私は何を得られるだろう」 それをたやすく乗り越え、目指すは敵だけ。倒すことができれば、当然何かよいことが自らの身に起こるだろうとマリーは信じている。 それが心の中で燃え上がる闘争心というものだ。 「ドラゴンすら出てくる穴、か。あの大戦の傷は本当に大きく、しかも酷くなりつつあるな」 この公園に出現するアザーバイドやエリューションと戦うことになる度に、リベリスタはジャック一味やジャック本人との激闘を思い返さざるを得ない。何故ならば、ここには世界に空いた大穴という証拠が残っているからである。 だから、『ピンポイント』廬原 碧衣(BNE002820)は髪を流しながらも目を細めた。大穴以外にも戦いの跡はどこにでもある。 「と、ぼやいても仕方ないか。リベンジをしたい者も多かっただろうが、それを押しのけてまで志願したんだ。その分しっかり仕事をしてみせるさ」 両頬を手の平で軽く叩いて、碧衣は気合を入れ直す。呆けている場合でも、思い出に浸っている場合でもない。戦いの時だ。 「行こうか」 この瓦礫で作られた道の先に居るのがどんな強敵であろうとも、碧衣はクールに振る舞うだろう。 「進化を促す極最小の異界存在。前回、読心が読み取ったのはこの世界で生きた命の思いか」 剣を構え、近くに感じられるプレッシャーに備えているのは『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)だ。スレンダーで中性的な肉体を持つアストラールだが、騎士らしく真っ直ぐ前を見つめた眼光は竜のプレッシャー相手に一歩も引いていない。 「アザーバイトと共生するフェイト無きエリューションですか」 しかし、相手の気持ちや正体を考えると凛としている顔も曇りがちになってしまう。性根が優しいためだ。 「すまない、救える段階にはもう居ない、今度は倒させて貰う」 優しいアストラールだからこそ、救うために戦うことを選ぶ。もう一度戦い、倒す。それが救いになると思うから、アストラールは向かっていく。 目指すは巨体。地を這う暴竜だ。 ●猛攻対猛攻 暴竜の姿は前回よりも禍々しかった。切り落とされた足を再生途中という歪な形もあるが、それ以上に内面からにじみ出ている凶暴性が禍々しいオーラとなってグランドドラゴンを囲っていたのである。 リベリスタたちは、この凶悪な竜に対してフォーメーションを組んで立ち向かうことにした。3手に別れ、敵の攻撃を逸らすという目的がある。 「……潰す」 その作戦の先頭に立ち、グランドドラゴンに対して真っ先に切り込んでいった『神速疾駆』司馬 鷲祐(BNE000288)はリベンジに燃えていた。前回は足を切り落とすだけに終わったが、今回こそ決着をつけようと鷲祐は考えているのである。 まずはトップスピードによって速度を上げ、攻撃を命中させることに集中。矢面に立つ形になるが、この竜は正面だけに攻撃するような奴ではないということを鷲祐は体感的に知っている。 「気をつけろ! 来るぞ!」 だから、グランドドラゴンの動き始めに合わせて味方に声をかける。 「貴様の相手は自分がしよう」 その前に立ちブロックを仕掛けたのはウラジミールだ。そんなウラジミールに対して、グランドドラゴンは鉄球を飛ばしてウラジミールの体を吹き飛ばす。ウラジミールはバックラーでうまくダメージを受け流せたが、吹き飛ばされるという結果は残ってしまった。 グランドドラゴンの攻撃は一度で終わらない。アリステアの翼の加護を受け、飛行しながら迫ってくるリベリスタを感知したグランドドラゴンはそちらに石の雨を降らせ、リベリスタたちを巻き込んでいく。これによって背面からのリベリスタたちは大きなダメージを受けて地面に叩き落とされるが、それでも攻撃を分散させることには成功した。 「堅ければ堅いほど……」 その攻撃を行なっている隙にマリーが接近し、腕を巨大な脚に叩きこんでいく。土砕掌によって感触を確かめているのだ。 大きな音と共に掌底を何度も叩きこむものの、まだまだ大きなダメージに至ってはいない。 「なるほど。倒し甲斐があるというものだ」 「こんな怪物相手に正面から挑むなんて正気じゃないですよ。じゃあ、何故やるのか。血が滾るからですよ、とても」 そこにもう一撃。那由他(珍粘)によるソニックエッジである。 相手の猛攻を見てもくすりとした薄笑いは崩さずに、冷静に叩きこまれたその一撃はクリーンヒットとなり後ろ足のバランスを少しだけ崩させる。 「あたしの剣で、今できる事を」 更にもう一撃、風の刃。霧香が懐に潜り込んで、居合をするように足を切り飛ばす。 ドスン。切り落とされた足が、肉塊となって地面に叩き落とされる。 これによって竜の巨体はぐらつき、隙が生まれる。……だが、グランドドラゴンはすぐに再生をし始め、攻撃のチャンスを潰そうと反撃まで仕掛けてくる。 「……危ない!」 それに反応したのは、アラストールだ。味方に声を掛け、ウェスティアを庇いにいく。 「石雨を打ち落とし、爪を迎え撃ち、尾を退ける盾となろう」 盾を使い、降ってきた石雨を叩き落としていくアストラールは、竜のプレッシャーに対して不敵に笑っていた。戦いの生命線を守ることができたからだ。 ただ、石の雨はアストラールの側だけに降ったわけではない。背面にも正面にも等しく降り注いで来たのである。 「相手が竜だろうと、折れる訳にはいかない。負けない!」 「まだ終るには早いです。折角両手に剣があるのに、もっと斬らないと勿体無いじゃないですか」 この猛攻を前に、先に攻撃を仕掛けていた霧香と那由他(珍粘)は一度倒れてしまう。だが、血を流しながらも歯を食いしばってフェイトによる復活を行い、立ち上がる。何度も再生する相手に、気持ちで負けていられない。 「前回は負けたけど、今回はそうは行かないよ。この公園から出すわけには行かない。ここで倒す!」 同じくフェイトを使って立ち上がった『ガントレット』設楽 悠里(BNE001610)は、石の雨の中を駆け抜けて壱式迅雷を仕掛けていく。それはグランドドラゴンの体を雷電の如き一撃によって痺れさせる。 「……トカゲだとしても、寄生細菌だとしても、帰りたいなど己を省みてからほざけ」 「同時に仕掛けます、司馬さん」 鷲祐と『朧蛇』アンリエッタ・アン・アナン(BNE001934)による二重の閃光――ソニックエッジはグランドドラゴンの体を傷つけ、その体の動きにバグを生じさせて止めてみせる。 「攻め手を勤めさせて頂く事は少ないので、不慣れですが宜しくお願い致します」 「貴様は潰える。この俺が斬り断つッ!!」 グランドドラゴンの体に、鷲祐は自分の意地を切り刻んでいく。一度敗れたものの、再び竜を倒そうとする自らの名を刻み付けるように。 だが、グランドドラゴンは麻痺した体を即座に切り捨て再び動き出した。 「私にはコレしかないから、だから今度こそ私の全力を……!」 しかし、そこにウェスティアは低く飛び上がりながら刻まれた傷に向けて力を全開まで込めた葬操曲・黒を放つ。 放たれた黒の魔弾から避けようとするグランドドラゴンだが、傷つき足を飛ばされた体は魔弾を避けきることができずに大きなダメージを負う。麻痺を回避するために体を切り捨てたことがダメージを蓄積させる結果になったようだ。 「ガァァァァァ!!」 「私は再戦を期す皆様のお手伝いを。この竜退治、いかなる結末になるか神のみぞ知るというところでしょうか」 グランドドラゴンの叫び声に怯まず、碧衣と『無何有』ジョン・ドー(BNE002836)のピンポイント・スペシャリティがグランドドラゴンの体内に叩き込まれる。 「やれやれ……。ままならないものだな、その体は」 体内に叩きこまれた精密な糸は、体中の肉を引き裂き切り抜いていく。致命的な一撃だ。 しかし、それでもグランドドラゴンは動く。再生しながら、石の雨を叩き込み地面を割って連続攻撃を仕掛けてくる。 「痛いだろうに。だが、すまない。竜は退治されなければならない定めだ……」 「この程度で怯んでいる場合ではないぞ!」 それに対応したのはアストラールとウラジミール、それにアリステアだ。アリステアは回復を、アストラールはそんなアリステアを守り、ウラジミールは前に出て皆の攻撃をブロックした。 「そうだ。お前は強くあるべきだ」 「まだまだ……仕事はしないとな」 それでも、攻撃はマリーと碧衣を倒れさせ、フェイトの力を使わせた。 竜は未だ健在。……とはいえ、明らかに傷の量に対して再生が間に合っていなかった。 ●果たされるもの グランドドラゴンの背に飛び乗った者が二名居る。マリーと那由他(珍粘)だ。二人は特攻的な精神で飛び込んで行ったのだが、これが案外うまくいった。グランドドラゴンはこの二人に対して振り払うことしかできなかったのである。 「驚きました? ドラゴンさん」 「お前、背中が痒い時はどう掻くのだ?」 この位置がグランドドラゴンにとって死角となっていたのだ。 「ただ斬り裂くのみ――!」 「私でお役に立てるなら……!」 そんな二人に気を取られている隙に、鷲祐は竜の正面まで駆け抜けてとにかく斬りつける。アンリエッタも同時にソニックエッジで斬りつけ、ダメージを蓄積させる。 「あたしは……まだ未熟だ。だけど、折れない……! もう……負けたくないから!」 続いて、霧香の剣が体を切り裂き大量の血を流させる。返り血で霧香の顔も着物も刀も紅く染まるが、今はそんなことを気にしている余裕もない。 「大切なものを守る為に!」 悠里も雷を纏って突撃。雷は体を穿ち、竜に悲鳴をあげさせる。 「弱点さえわかれば、こっちのものですね」 「畳み掛けよう」 高く飛び上がってからのピンポイント・スペシャリティは体の上部を狙って放たれ、その身に直撃させることに成功する。冷静に敵を見続けた碧衣とジョンの成果だ。 「楽しい時間を有り難うドラゴンさん。もう休んでも良いんですよ?」 そして、背中に飛び乗っていたマリーと那由他(珍粘)の二人は頭まで登り上がり、それぞれ二刀の剣と銀の棒を構える。 「成程、お前から見ればちっぽけなものばかりだ」 巨体の頭から見れば、世界など小さいものだ。そんな小さな世界を彷徨って何を探していたのかは分からない。だけれども、 「ここで終わり、です」 土砕掌と幻影剣が、頭を砕いていく。 残った体細胞も粉々に砕かれ、ここに戦いは終了した。残ったのは、リベリスタの勝利という結果だ。 「あ、これ……」 グランドドラゴンの残骸の中から、小さな首輪を見つけたウェスティアがそれを土の中に埋めて祈る。 どんな強敵であっても、アザーバイドによって運命を狂わされた被害者であることには変わりない。だから、チョーカーを握ってウェスティアはその魂の救済を願った。 「たとえ正体がトカゲであったとしても、あなたは私にとって強大な竜だった」 アラストールも巨大な剣を地面に突き刺して、祈りを捧げる。 「さらばだ」 ウラジミールはその場に一礼して、去っていく。それに続いて、リベリスタたちも次々に去っていった。 「おやすみなさい」 巨大な剣を墓標代わりに、竜はこの地に眠る。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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