● 「心臓には枯れない薔薇。指先には桜貝。宝石の瞳と、真珠の歯。そんな素敵なもので、君は作られているんだね」 無邪気な芸術。 うっとりするほど、素敵な君。 ガラスケースの向こうの君は、なんて清らなのだろう。 「君を、ずっと大事にしてあげたいんだ」 ● 「『完璧な女の子』をフィクサードから守ってちょうだい」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)が、自分で言った台詞の衝撃に、頭をくらくらさせている。 「『完璧な女の子』というのは、この人形のタイトル」 等身大の人形だった。 まだウエストをマークしていないドレス。 レースの靴下。柔らかな革靴。 「女の子は何で出来ている? 砂糖とスパイス、素敵な何か。リボンにレース、フリルとピンタック。血の代わりに循環しているのは甘いお湯割りクリーム紅茶から抽出された粒子……」 イヴによる資料の音読が途中で途切れた。 さすがのイヴも、あまりの少女趣味に居心地が悪くなっているらしい。 「そういう暗喩と直喩を体一杯詰め込まれたお人形が、美術館から盗まれそうになっている。犯人は……」 イエス・アリス。ノー・ロリータ。パニッシュメント・イン・ロリババア。 幼女のためなら、世界なんか滅びちゃってもいいんじゃないかな。とか考えている、困った革醒者の集まり。 東に幼女っぽいアザーバイトがいれば行って怖がらなくていいと言い、西に幼女なフィクサードがいれば行ってその悪事の片棒を担ぐ。 人呼んで、LKK団。 「今回は『象徴学派』。現実の女の子には見切りをつけ、幼女や少女を表すものをコレクションしている。この人形をご本尊としたらしい」 気持ちはわからなくはないけど、やっぱりわかりたくない。と、イヴ。 「今から行けば、駐車場で取り押さえられる。とにかく貴重な美術品なので、傷つけられたらたまらない。連中が取り扱いを間違えて壊す可能性はない」 イヴは、リベリスタ達の顔を見回した。 「どっちかって言うと、みんなの扱いが悪くて壊れる方が心配。価値が理解できないのは仕方ない。でも、価値があると思っている人がいる以上、丁重に扱うように」 頷かざるを得ない迫力。 『完璧な女の子』の保護が第一。すっぽんみたいに放さないだろうから、心をへし折ればいいと思う」 念の為、と、人形を収める保護ケースが表示される。 「すごく頑丈だけど、すごく重いから、持ち歩くことは出来ない。つまり、これに入れてしまえば、LKK団も手が出せない。設置位置はここね。『LKK団』は、死なない程度にぼこってくれれば」 省略された部分に、どんな言葉が入るのか。 イヴのわずかに浮かんだ微笑から読み取るしかなかった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年03月02日(金)22:17 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 「貴方達はー、完全に、包囲されてますー……」 『剣華人形』リンシード・フラックス(BNE002684)、最後通牒。 懐中電灯の丸い光の輪。 駐車場に現れたアークのリベリスタを見たとき、LKK団象徴学派は叫んだ。 「アークは本気だっ!?」 「なに、この豪華キャスト。死刑の前のご馳走!?」 平均年齢十二歳強のお嬢さん達。 紳士にならざるを得ない。 和ロリ、ゴスロリ、ロリロリ、ロリロリ、ロリロリ、ロリロリ。 ゲシュタルト崩壊の危機。 「ん? 大人なのに人形あそび? でも、人のとっちゃだめ。悪いことするなら、だめーっておしおき。言うこときかないと、ずどーんて風穴」 『うさぎ型ちっちゃな狙撃主』舞 冥華(BNE000456) の手に、九九式狙撃銃。 (チームワークが勝利です。わーい、勝ったー) 『まだ本気を出す時じゃない』春津見・小梢(BNE000805)さん。 それ、未来を渇望しすぎ。 (え? まだですか? 鋼の信念とか厄介ですね、というかめんどくさいですね。程々にお仕事します。本気を出すのは明日から) 今日は昨日の明日じゃないのか。 「変態さんは嫌いです」 『ネガデレ少女』音更 鬱穂(BNE001949)、LKK団にはデレない。 AFの市松人形をしまいこむと、ターゲットの人形奪取に向かう。 「おなじプロアデプトだというのに、この差! 非常に悲しいです」 『磔刑バリアント』エリエリ・L・裁谷(BNE003177)ちゃん、どことどこの間の差かな? 「ぜったいにまけられない戦いがここにある!」 「理想を現実が凌駕する事は殆ど無い。理想の追求は共感できる。だけど、所詮これが人形の限界だね」 『K2』小雪・綺沙羅(BNE003284)は、鴉の符を用意する。 (LKK……昔……家出してたときに……世話になった……) 『梨音ちゃん、今日のおやつはパンケーキだよ。お風呂は薔薇のお風呂だよ』シルクのパジャマとコットンのネグリジェどっちにする?』 LKK団・「執事派」……お嬢さんの面倒が見たい、プリーズ・コールミー・セバスチャンな連中がちやほやしてくれたが、毎日薔薇のジャムばっか食べてられない。 (相変わらずの……ロリコン振り……立場が変わったからには……容赦しないのよ……) リベリスタだから? (だって……容赦しないほうが……向こうも喜ぶし……私も楽しい……WINWIN関係……) みんな幸せって大事だよねわれわれの業界ではご褒美です! 「うるせ-!! 現実の女の子なんて鬼だ悪魔だナオミだ男をもてあそぶ妖怪だ! 俺は、俺達は、ただただ純真無垢な存在を愛してるんだ。それが少女の容だってだけだ! 女のちっちゃいのを愛してるんじゃねえ! 少女的なものが好きなんだ。ごっちゃにすんなぁ!」 イエス・アリス。ノー・ロリータ。 LKK団は、少女の色香は好きではありません。 現実の女の子を相手にする対極っぽい「執事派」も、少女にエロさは求めてません。 ほんとに「LKK団」ってめんどくせえ奴らばっかりだなぁ。 でも、美術品強奪は普通に犯罪です。 ならば、強奪だ! なぜなら、アークが誇ってるわけじゃないけど、運命がお前らに決めたって言ってる邪悪ロリだからな。ふーはーはー。 ● 「冥華の銃はてーこくさいきょよ。ん、おしおき。悪いことする大人は風穴、風穴。ばんばーん」 悪いおじちゃんおにいちゃんには、おほしさまきらきらすたーらいとしゅーとでまとめてどかーん。 「でも、だいじょぶ。冥華の弾丸……今回みねうち? だから安心?」 模擬弾。峰打ち言いたいお年頃なのね。時代劇見たんだね、冥華ちゃん。 ああ、そうそう。と、冥華ちゃんは思い出した。 (わるい大人にはわるぐちって腹ぐろな人いってるから、冥華もがんばる) 「ん、人形あそびする大人って……なんか変」 さくっ。 言葉の刃がLKK団のハートに刺さる。 ロリロリ最速、リンシードが駆け込んでいく。 LKK団から「完璧な女の子」をもぎ取り、建物の中の防護ケースに入れてしまえばその超弩級重量で容易に動かせなくなり、事実上再度盗み出すことは不可能。 「返して、貰います……この人形さんが、泣いてます……」 リンシードはLKK団にずいっと手を出してみた。 ずずっと背後に引く。 「ホントに……女の子の手、握ったことないんですね……そんなに人形は強く握るのに……そんなだから、彼女もできないんですよ……」 ぶわあああっと盛り上がってくる涙。 「彼女なんかいらないって言ってるだろう!? 人のことを財布だの飯の種だとしか思ってないくせに!?」 それを聞きつけたタヱがふっと鼻で笑った。 (わかってるんじゃねえっすか) 「でもお金があるなら大切なおにいちゃんだよ☆」 「やっぱりそうだぁ! 現実の女の子なんてそんなもんだぁ~!」 辛いことがあったのね? 自分の顔を手で覆うLKK団・い。 すきありっと、リンシードは「完璧な女の子」確保。 柔らかな感触。 ふわっと人形から、薔薇とミルクのいい匂い。 ほんとに、変質……ごめん、誤字……偏執的気合をこめて作成されているのがありありと分かる。 百年くらい経ったらアーティファクトになるかもしんない。 「返してぇ! 現実の女の子に迷惑はかけないからぁ!」 走るリンシードに追いすがろうとするLKK団・ろ。 「良い歳して人形遊び? きしょい」 そんな奴の髪の毛はむしっちゃえ~っと、鴉をけしかける綺沙羅。 「うわあぁぁん、違うんだ。お人形遊びじゃないんだ。だって、女の子にお花あげたってすぐむしっちゃうじゃないかぁ!」 小学生女子は、最強生物。 そこに花があれば愛でるのではなく、ぶっちぎる。おもちゃにして、すぐ打ち捨てる。 現実の女の子は現実の女の子で、都合のいい「少女」の枠にとどまっていないし、それはそれでいいんだ。 「象徴派」は、ありえない「小女性」を愛でたい人々な訳で……。 「血と肉を持つ者を愛せないなんてなげかわしい。概念を愛するのなら偶像を崇めるものではありません!」 (邪悪ロリたるもの心を抉ってなんぼです) 動揺するLKK団の隙を突き、確実に心身の弱点をえぐるエリエリ。 「あなたたちのあいてなどこの両の手でじゅうぶん!」 冥華言うところの腹ぐろな人。 人、それを邪悪ロリという。 つまり、ロリロリであることを利用し利己的行動を繰り返す。合言葉はワールドイズマイン! にゃんこのひげを結ぼうと、ワンコの眉毛を梵天眉にしようと全て許される。 なぜなら、邪悪ロリだから! 「真のロリ(論理)戦闘者たるエリエリのアデプトアクションをくらえ!」 (狙うのは、急所ですよ。鳩尾とかまたのあいだとか) うん。ロリじゃなくなったら、そんなとこ狙っちゃダメだよ。 シャレになくなるからね。 邪悪ロリだから、まだ大目に見てもらえる攻撃だからね!? (とにかく行動不能にします。数の優位を得ればかちです!) 「ダメだ。走らないで。止まって、リンシードちゃあん!!」 リンシード、アークでは、最もLKK団に関わっている。 よって、LKK団にとって「アークのロリ筆頭」と言ったら、リンシードなのだ。 叫んで、リンシードの前に立ちはだかったLKK団・にの前に、ふらぁりと鬱穂が立った。 「なんですか幼女や少女を表すものをコレクションって。抵抗できない人形相手にあんなことやそんなことをしようとか考えてるんですか? 崇めて奉って眺めるだけ? 視姦ですか。コレクションを通して少女や幼女を見てるんですか? 妄想ですか? 本物を見て可愛いと思うならまだしもモノを通して妄想とか気持ち悪い通り越して存在価値疑いますよね。頭の中でどんな妄想をしているのか・・・考えただけで鳥肌が立ってきます」 プロアデプトなんかに革醒するもんじゃない。 じと目でぼそぼそっと早口での罵倒を一言一句聞き漏らすことなく聞き取れちゃうんだから。 「EXスキルも最低ですね。掴んだものを離さない。なんで抱き着く必要があるんですか? 掴むで踏みとどまればいいですよね。心変わりして象徴学派から普通に少女や幼女を愛でるLKK団に戻ったら少女や幼女に抱き着いて離さずそのまま誘拐ってことですよね。あなたたちの存在を抹消したくなりますね。同じ空気を吸っているのも不快です。やめてくださいさわらないでくださいちかよらないでください変態がうつる」 そんなこと言われたら、指一本触れられないじゃないかもうだめだぼくはゴミだダニだ。 膝からがくりとハートエイクショットくらったLKK団・にの脇を、合掌しながらLKK団・ほが走る。 その前に、小梢。 (とはいっても私はロリでもないし) ばいーんとした豊満なボディ。まぶしいよ、娘盛りのセブンティーン。 (邪悪でもないしなぁ) 人をののしる場合、その人の弱点を瞬時に見つけて、指摘しなくちゃいけないもんね。 そういうのって、ぼうっとしてると難しいよね。 「お前なんかカレーライスの横に乗っかっている花ラッキョウの汁ほどの価値もないんだー」 罵りが微妙。 「え!? カレーの横には福神漬けじゃないかな!?」 まさかの逆襲。 LKK団、ロリ相手じゃなければ、割と強い。 (こんなことならルーメリアさんあたりに罵り方を習ってくるんだった) どうしたらいいの。このいたたまれなさ、どうしたらいいの。 「そもそも、カレーに花ラッキョウとか載せて出すのってどうかと思うんだよね。あれこそお好みで、事前に押し付けられるのはどうか思うって言うか……、君、あの汁に価値とか見出してんの?」 「エーと……」 なんか、LKK団・ほ、カレーに一家言あるみたいだった。 (まあいいや) 足止めにはなってるし。 小梢は、持てるカレーについての全てを垂れ流してみることにした。 LKK団・へに、「ねーっ!?」と、冥華が声を張り上げた。 「んー。冥華と人形……どっちがかわいー?」 冥華にとっては、何気なく言った台詞である。 しかし、LKK団「象徴学派」にとって、これはある種究極の二択状況。 もしも、これがごく普通の設問ならこれらはこう答えるだろう。 『生きている少女より少女的なもの。人形だよ』 しかし、今、質問者は少女なのだ。 「象徴学派」としてではなく、一人のLKK団員として、少女を悲しませることは許されない。 一人のアリスのハートに、「人形にかわいさで負けた」なんてトラウマ植えつける訳には行かない……! 「き、君の方がかわいいよ……。お人形なんかより、冥華ちゃんの方が百万倍もかわいいよぉ……っ!!」 イエス・アリス。ノー・ロリータ。パニッシュメント・イン・ロリババア。 LKK団「象徴学派」・へ。 君は、一人の人間として正しい選択をしたんだ。 「象徴学派」として、大事なものをなくしてしまったとしても。 君の選択は、正しかったんだ。 ● (私は命中率が低いので多分人形持っちゃいけません。落とします、どっかぶつけます、これは失敗フラグになってしまいます。だから、絶対人形は持ちません) 「そういう訳でですね、カレーが最強です。君が立ち上がるのを止めるまで、殴るのを止めない!」 ぼっこぼっこ。 LKK団がほぼ唯一強気に出られる小梢が、『完璧な女の子』奪取に行かずにフォローに徹しているせいで、LKK団は必殺技が使えない。 だって、リンシードちゃんや梨音ちゃんに飛び掛ったら、二人が転んで、怪我しちゃうかもしれないじゃないか。 (意外と……筋金入り……。抱きついたら、『女の子に……抱きついて……ちょっと喜んだでしょ……』って、罵倒してやるつもりだったのに) 梨音は危なげなくリンシードからのパスを受けると、ゴールまでダッシュ。 「梨音ちゃん、お願い。お人形返して。返してよぉ~」 「……本物の……女の子に……触るのが……怖くて……お人形さんで……楽しんでる……負け犬……くすくす……」 「LKK団のモットーは、『イエス・アリス。ノー・タッチ』だよ! 幼女や少女は見守るものなんだ!」 そこらのペド野郎と一緒にしてもらっては困るというか、五十歩百歩だが。 それをリンシードがブロック。 「あぁ……人形の声が聞こえます……永遠に……こんな、残念の人達の慰み物にされるなんて……最悪です……」 ざくざく。 そんな人形にアフレコしながら、そんな辛辣な台詞はかないで下さい。 「へ、へんたいっ……触らないで、くださいっ……!」 少女からの拒絶のダメージ量、測定不能。 「お兄ちゃんたちが持つから、渡してよぉ~」 「称号に人形、とは付いてますが……私を持ち帰るのは、禁止です……」 「わたしたら、にげる? ん、おとなって……きたない」 LKK団の脳裏に一瞬走った、人形リンシード強奪ビジョンを読み取った冥華から、蔑みの視線。 「違うんだ、冥華ちゃん! 心を読まないでぇ!?」 情けない声を出しながら追いすがるLKK団の背を、邪悪ロリ達が踏みにじられる。 「アタシらの罵詈雑言はもはや武装! しかも考え付く数だけ装弾数は無限大! 最強! 邪悪ロリ・銭ゲバ派っすよ!」 タヱの咆哮が、それだけでLKK団のHPを削る。 「金が無いヤツは這いつくばりやがれ!」 「稼いでるもん! ちゃんと仕事してるもん!」 「年収は……?」 「(ぼそぼそ)」 「おにいちゃんはいいのよ。赦してあげる。心を入れ替えて、あたしに貢ぐといいよ。アンタの年収は、ウソ……低すぎ……!? 踏んでやるっすよ! おらおら、こういうのがイイんだろうが! 大人しくそこで転がってな!」 タヱの気糸がぐいぐいと拘束プレイ。 ダメだ。少女がプレイとか言っちゃ。 (敵によっちゃ、態度の豹変自体がダメージになるかもしれませんからねェ。特に今回の相手は「象徴学派」 対象に何がしかの理想を投影しているってこた、それと食い違う「理想と現実の差」には滅法弱いとみました! 罵倒は猫かぶりモードと使い分けて行きやすよ」 タヱのあまりにも的確な分析に、折れまくるLKK団の心。 「綺沙羅タン、ひどいよ、鴉ばっかりけしかけて。僕らの心を読むなんてひどいよ、ひどいよ、ひどいよ」 べそべそ泣きながら、綺沙羅の足に取りすがって泣き濡れるLKK団・は。 (一度喰らってみた方が覚えやすいかな。と、思ったんだが、石化しちゃったら試みられないじゃないか。まあ、口は利けるだけましか) 「DT触るな」 「うわぁん、DTじゃないもぉん」 「喋るな。息を吸うな。あんたが最後の一息で発していい言葉は『生まれてきてごめんなさい』だけだ」 「ひどい。現実の女の子はやっぱりひどいやぁ」 エリエリの拡声器越しの罵倒は、容赦ない。 「おにいちゃんたち、モテないの? こどもにさえかまってもらえず虚像に逃げるなんて……」 「違うんだ。僕らは、君たちに自分達の身勝手な少女性を押し付けないということで、より少女を崇拝しようと……」 「さわらないで汚らわしい! 作り物しか愛せないの? 目の前にあるロリを置いて? いくじなし!」 「だからって、さわりにいったら、怒るくせに!? というか、LKK団は『ノー・タッチ』を旨とする紳士の集まりだよ!?」 「そんなの、あたりまえですよ! なに偉そうにしてるんですか。身の程をしりなさい! あなたたちの存在が罪なんですよ、わかってますか?」 すでに地面に転がり、青息吐息のLKK団に顔を近づけ、エリエリ、肉声で一言。 「……なんでまだ息してるんです?」 それが、とどめだった。ぐはぁ。 ● リンシードは黙々と走り続けた。 ゴールの保護ケースに『完璧な女の子』を収め、くるりと振り向く。 屍累々。 ほぼ等間隔でLKK団がぴくぴくとひくついたり、泣き崩れたりしながら、倒れている。 鬱穂は満足そうな笑みを頬に浮かべている。 「ふぅ……言いたいことは言えた気がします」 やり遂げた少女の顔。 そんな美声でぼそぼそ攻撃にあったLKK団は、鬱穂の足元でひくひくと痙攣している。 綺沙羅は、ノートPCをぱかりと開けた。 .「お兄ちゃん達、大丈夫…?」 「現実より理想に逃げる気持ちは分からなくもない。そんなあんた達に朗報」 邪心を打ち砕くようなエンジェルヴォイス。 モニターの向こうにいるのは神が造ったかのような完璧な少女。 「神から授かった少女を育てるゲーム『アリス・メーカー』キサが作った最高傑作。近日DL販売開始。 今回はお試し版を無料でくれてやろう」 そういいながら、DVD-ROMを倒れたLKK団の手に握らせる綺沙羅。 「感想よろしく」 アーク気付で。 「こういうのが好きな人もいるんでしょうね、それはわかります」 罵詈雑言をたっぷりはいてきたエリエリがケースに収められた『完璧な女の子』を見上げる。 「けれど、変化をおそれてはいけないとシスターがいってました。永遠の少女は、ほんとうに価値があるのでしょうか?」 答えはない。 価値は人それぞれが決めるものだ。 こんな言葉もある。 かわいいは、絶対正義。 たくさんのどこかの誰かが価値を感じておるから、この世界の邪悪ロリには『光あれ』なのだ。 「回収、完了ですねー……お疲れ様です。ではでは、またお会いする日まで……もう一生会いたくないですけど……」 リンシードはそう言って、ぺこりと頭を下げた。 「あ、私をケースに入れないでください……」 間違いなく、今を生きている女の子なので。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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