●別れ別れの体 街から車で一時間半。曲がりくねった道や、不親切な道路を抜けてようやくたどり着くことができる小高い丘。そこには、悲惨な過去を忘れてはならないと刻まれた石と、共同墓地があった。 何十年前、街で起こった大量バラバラ殺人事件。この共同墓地は、その被害者たちを弔うために作られた場所だ。 しかし、今では草も生い茂り、世話が十分に行き届いていない場所でもある。交通の便が悪いため、ここに人が訪れることは滅多にない。 だから、夜な夜な起こっていたその異変に、誰も気付けなかった。 異変からしばらく後の事。ひとりの老人が共同墓地に黙祷を捧げながら、ふと視線を移した地面におかしなものがあると気付く。 「ありゃ? 地面が掘り返されておる。罰当たりな奴もいるもんじゃのう」 老人がそう思ったのも無理もない。それは地面の“中”から掘り返されたものだと気付かなかったことにも、それが連日連夜続いたことに気付かなかったのも、当然だ。そんなことが、あるわけがない。 真実はこうだ。エリューション化という人智を超えた力によって復活した死体が、動き出したのだ。その死体は今まさに掘り返された穴の中で動いており、まるで獲物を待ち構えるように蠢いていていた。 「まったく……。中身は大丈夫かの?」 よせばいいのに、老人は身を乗り出して穴の中身を覗き込んでしまった。 まるで瓶の中入れられた虫のように動きまわる“それ”。人智を超えた何か。死体が動くという矛盾。 それに気付き、老人の顔は引き攣った。あまりの出来事に笑うことも、叫ぶことも、泣くこともできない。ただ、理解できない何かがいる、という認識しかできない。 腕たちは老人の足と腕を掴み、凄まじい力で穴の中まで引っ張り込む。 抵抗など、できるはずもなかった。 「俺はどこ?」 「僕はどこ?」 「私はどこ?」 「キミはどこ?」 「これか? この体が俺か? それとも僕なのか?」 腕たちは穴の中で老人の体を好き勝手に引っ張り合いながら、意味の分からない討論を呪文のように続けている。その間にも、老人の体に込められた力は大きく膨らんでいく。 「や、やめてくれ! や、やめ――」 老人は声を上げた。だけど、もう遅い。老人の体は、引き裂かれてしまったからだ。 「この体、違う。私じゃない。キミじゃない」 腕たちは、五体バラバラになった老人の体を穴の中に入れる。それから、新しい体……つまりは人間を求め、それぞれ動きだした。 かさかさかさ。 地面を這いまわる手、手、手、手、手。 かさかさかさ。 真っ暗な墓地に、腕たちは蠢く。まだ見つからない、自分の体を探して。 ●気味の悪い敵 アーク本部のブリーフィングルーム。リベリスタたちはそれぞれ自分たちの腕やら爪やら、指やらを見たり触ったりしては確かめていた。何しろ、あんな未来を見てしまったのだから。 エリューション・アンデッドとして現れた気味の悪い手。リベリスタたちは身震いする。 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、目をパチパチと閉じたり開いたりしている。寝不足を思わせる動きだ。 どうしたのだろうと、リベリスタたちがその顔を覗き込むと、うさぎのポーチを抱き締めながら真白イヴは返した。 「怖くて、眠れなかった」 子供らしい理由。しかし、それもまた仕方がないよな……。リベリスタたちはモニターに視線を移しながら思う。そこに映っているのは、倒すべき敵、動き出した死体ことエリューション・アンデッド。腐敗しながらも、消えていく定めを跳ね除けた肉がエリューション化によって動き出したもの。そんなものだから、生理的嫌悪感を与えるものも少なくない。そして、今回はその生理的嫌悪感を与える類のものだった。 見えない足をかさかさと虫のように動かし、地面を這い回る腕。しかも複数で群れているのだから、余計に虫のような印象を与える。 これにはリベリスタたちも顔をしかめる。戦うのにも厄介そうだ。 「ちょっと、嫌な相手。だけど、“これから起こる未来”で被害が出る以上、放ってはおけない」 少し腫れた目元が目立つ顔を軽く振って、力強い表情に切り替えてから真白イヴは続ける。 「お願い」 このお願いに対する、リベリスタたちの答えは――。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年05月11日(水)22:48 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●祈りを武器に乗せて 共同墓地へと至る道を行く者たち。その者たちの腰や手にはランプや懐中電灯がある。星の光しか届かない夜の闇の中で、そのランプや懐中電灯の光は彼らの行く先を少しずつ照らしていた。そうした淡い光と、彼らの耳に届いた虫の声、それに腰ほどの高さまで生えきった草が合わさって、どこか哀愁を感じさせる。 だけど、そんな気持ちになってばかりはいられない。闇は恐ろしいものだ。だから、彼ら――異常と戦う異能者であるリベリスタは、警戒して辺りを見回していた。それに、今日の敵はホラーであると啓示をうけているのも警戒の理由だ。 「自身の元の体を求めて彷徨われる……手、手、手……。正直怖いけれど…頑張ります」 彼らリベリスタが戦う定めにある相手――動く死体、エリューション・アンデッドの概略を口にしながら、決意も唇から出したのは『節制なる癒し手』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)。着物の袖に隠れているが、彼女の手には死者を弔うための武器であるクロスと、この地で起こったというバラバラ殺人の資料、そしてこの場所の地図があった。「故人を知るのも弔いのカタチですから」とは彼女の言であり、その資料は読み込んで来ている。残忍で、無残な事件であった。 「バラバラ殺人の被害者たぁ何とも気の毒だがな……」 同じく、集めてきた資料に目を通した『悪夢の忘れ物』ランディ・益母(BNE001403)が言う。あまり気分のいい事件ではなかったが、これから戦う相手のことを知りたいという気持ちが勝った。 ところで、そんな彼の足元はヌメヌメとしていた。もちろん、敵の攻撃に対する対策として用意したものであるが、どの程度の効果があるのかは分からない。なので、おまじないなようなものだな、と彼は自嘲している。 「ワックスでのぬるぬる作戦……。ぬるぬるして気持ち悪いったらありゃしないわよん」 と言いつつ、目を細めたり眉を吊り上げたりして髭の顔を表情豊かに変えているのは『居場所無き根無し草』レナード・カーマイン(BNE002226)だ。どうも、ぬるぬるに耐えているらしい。そんな風に、一見いい加減そうに見える彼だが、そのジャッカルのような目は冷静に獲物を探して動いている。暗視の力のある目だけに注目すれば、少しの異常でも見逃さないという意気込みがすぐに理解できるだろう。 (墓場に幽霊はツキモノであるが。ホラー、ましてやエリューション・アンデッドはお呼びではない。速やかにお返り願おうか) そう心の中で言い切るのは、怪談スポットな場所を警戒している『T-34』ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)だ。軍服に銃剣を持つ、ストイックなリベリスタである彼は、自らと仲間の位置、陣形を気にしながら涼しい顔で行軍をしている。また、彼が事前に結界を張っておいたので、ここに人が来ることはないだろう。忘れられた地とはいえ、尋ねる者が居ないとは限らない。 ウラジミールの指示を受けながら、リベリスタたちが行軍を進めていくと、共同墓地、墓石の群れが見えてきた。ここで陰惨な事件があったことを示す石碑も。 「石碑とかってこう。じっくり読む機会とか無いよね。でもきっと直ぐに忘れられる事の無い大切な事が書いてあるんだろうけど。たいへんな事件にあって、石碑までたって、それでも忘れられちゃうのは。それは例えば、身体の一部を失くした気がするくらい寂しいんだろうね」 制服姿の間宵火・香雅李(BNE002096)は、その日常的な服飾とは不似合いな物を取り出す。それは、異形を倒すための武器、メイジスタッフ。それを香雅李はバトンのように中指でくるりと回して、胸元にあるランタンが動きに合わせてゆらゆらと揺れた。 「今日もよい行いをするよ!」 ポジティブは伝染する。明るく決めて見せた香雅李に、仲間のリベリスタ達の顔にも笑みが浮かんだ。笑うということは、生きているという証だ。そして、生きているものができることは、死者を弔うことである。 ●祈る者たち 香雅李の熱感知、それとレナードの暗視とイーグルアイ、シエルの飛行能力、そして『不動心への道程』早瀬 直樹(BNE000116)の猟犬と『誰が為の力』新城・拓真(BNE000644)の超直観によって、ターゲットはすぐに見つかった。 懐中電灯とランプの光がそれを照らし、リベリスタたちの目にもはっきりと見えた。ホラーな光景。足のない腕が集団で歩き回っているという、アンデッドのパレード。異質さは気持ち悪さを生み、軽いめまいと吐き気をリベリスタは感じる。 「うわー……体を探してる。まだ怪談には早過ぎる季節だよ。可哀想だけどそのままじゃ逆に辛いだろうし、お帰り願おう。今度墓掃除に来るから許せ……祟らないでください」 それらを照らしてしまった懐中電灯を持ちながら、『傷顔』真咲・菫(BNE002278)は思わず口にする。隻眼の彼女にも、カサカサと動き回るその姿がよく見える。想像以上に動き回っているからだ。 「速やかに作戦行動開始」 「ということで、一斉攻撃の……一発目だよ!」 ウラジミールの号令を聞き、菫は闇の中で緑色に光っていた切れ長の目を細める。目によるロックオンが完了したら、ヘビーボウガンを勢い良く胸の前に叩きつけるようにして、セットする。こういうものは、勢いが大事。だから、やっぱり勢い良く、形のいい胸を揺らすほどにトリガーを叩きつけた。 「いっけー!」 そして、空から降る矢は流れ星のようになって、スターライトシュートに変わる。接敵一番に放たれた星降る矢はエリューション・アンデッドの群れへとと落ちていき、全体的にダメージを与えていく。集団で行動するという、虫腕の習性がリベリスタたちの戦略によって突かれたのだ。 そして、攻撃は続く。 (大量バラバラ殺人事件の被害者、か。……今は目の前のものに集中しよう。俺達は彼らは救えない。だけど、一人救えるかも知れないのだから) 直樹も引き締まった体を張って弓を振り絞り、矢じりを空へと向けている。エリューション・アンデッドがそれに気付き、無残に当たるよりは避けてしまおうと動き出す。が、既に遅い。放たれた二発目のスターライトシュートは、アンデッドに逃げ場などないと思わせるほど、面全体を攻撃していった。面をカバーできるほどのとてつもない量の矢を発射できたのは、彼らを想う直樹の集中力があったからだ。 (俺は戦い続ける。それを無意味にしないために) 鋭い眼光で矢が降り注ぐ場を見つめる。あれだけの矢を一気に受ければ、異形の怪物といえども無傷ではすまないはずだ……。 かさかさかさ。 しかし、音がした。会った時と変わらない音が。まだ動いているのは確かなようである。一度死んでいるだけあって、タフなのだろう。 「さ~て……。卑怯なんて言ってくれるなよ、アンデッドちゃん♪」 そこに温度を感知した香雅李と、タイミングを合わせたレナードのフレアバーストが放たれたが、それでも五体の腕は動いていたことからも、タフさが分かる。しかも、ただタフなだけではなく、範囲攻撃を何度か避けている様子でもあった。先ほどから鳴らしているかさかさという音は、素早い動きの証明なのだろう。 エリューション・アンデッドの腕は、そうした素早い動きで、範囲攻撃を潜り抜けてリベリスタたちの足元へと滑りこんでくる。 かさかさかさ、かさかさ。がしっ。 前に出ていた拓真の足が掴まれた。その手は力強く、離すのにも一苦労だと感じ取れる。これは執着の力か、執念の力か、それとも生者に対する恨みの力なのだろうか。 「実際に目の前にすると、さらに醜悪だな……」 そして、もう一体、もう一体と次々に拓真へと飛び込んできたのだ。だが、それは拓真にとっては願ってもいない攻撃だった。なぜかと言えば、彼は二刀のブロードソードを縦に構えた防御態勢をとっており、仲間に攻撃が行かないこと、特に先ほど範囲攻撃を連発した後衛たちの無事に安堵していたからだ。 「悪いが、お前達の相手はこちらだ……ッ!」 体を掴まれても、ひたすらに受けようとするその姿は、拓真自身のスタイルの良さも合わさって、一枚の絵のようでもある。 「体……これ?」 「これは……私? あなた?」 「僕は、この体?」 ただ、そのジャンルはホラーだ。掴んだ腕はそれぞれ力を込めていき、拓真の体をバラバラに引き裂こうとする。だから、防御していた彼の体も限界が近いと悲鳴を上げるのも、時間の問題だった。恐ろしい連続攻撃である。 「癒しにのみ特化した我が身……。幾度でも癒しましょう……」 「作戦遂行中だ。気を抜くなよ」 翼をはためかせそこに飛来したシエルは天使の息を使い、そしてウラジミールのブレイクフィアーが使われる。この力によって体は完全に持ち直し、引き裂かれる前に振り払うことができた。 「身体が見つからないのかい……。痛ましい事件だったね。でも、事件はもうお終いなんだ。バラバラ殺人は、もう起きないんだよ」 香雅李の祈るような言葉が投げかけられる。それでも、腕たちは虫のようにうねうねと動き、自らを求める気味の悪い声だけを出していた。香雅李はその反応を見て、ぎゅっと、胸元で手を握った。たぶん、殺されたときの彼らの体も痛かっただろうから。 「廻って……。私の円環」 シエルもまた、薄い胸に手を添えて祈る。 「皆様、お願いします」 相手がどんな気持ちであろうとも、敵は敵だ。ここは倒さねばならない。未来のために。 ●祈りの光 接敵時の範囲攻撃が効いたのか、エリューション・アンデッドの腕は弱り始め、何本かは拓真の体から引き剥がすことができた。しかし、拓真の体に絡み付いている腕はまだ三本残っている。残っている腕は引き剥がされるものかと力を強め、ぬるっとした足元に渾身の攻撃を行った。再び引き裂かれるほどの痛みが拓真を襲う。 「ぐっ! 俺の可能性は終わっちゃいない!」 しかし、フェイトを使って耐え切る。体が引き裂かれるという運命は訪れない。負けないという可能性は、まだあるはずだ。 他の二本も、それぞれ前衛のレナードとランディの前に躍り出て、足元を掴んで攻撃していく。 「屍風情が汚ねぇ手で俺様に触れないでくれるかねぇ……」 前衛のレナードとランディはそれぞれ、足元にヌルヌルとした細工をしていたので、それなりに攻撃は回避し易くなっていた。だからか、レナードは一度だけ攻撃を回避することができた。 「っと。ジョークのつもりが意外と役に立つものなんだな」 ランディはそう口にしながらメガクラッシュで足元のアンデッドを吹き飛ばし、味方へ激を飛ばす。 「さぁ、お前たちの強さを魅せてみな!」 その言葉には今がチャンスだ、という意味も含まれている。 拓真はそれに頷き、吹き飛ばされてきた腕に二刀の刃を同時に振り下ろす。Xの字に切り裂かれた腕はその勢いで更に吹き飛びながら、体を崩壊させ、散っていく。 「次こそは、苦しまぬ眠りへと……」 流れるように防御の姿勢へと戻りながら。剣を十字に構え、呟く。 「さ~て、アンデッドちゃんここからは通行止めだよん♪」 レナードのマジックミサイルが、自分を掴もうと何度か開いたり閉じたりとしている腕へと放たれていく。温厚を自称する彼の怒りを乗せたそれは、エリューション・アンデッドへと向けられ、その腕だけの体を穴だらけにして沈める。二体目の撃破だ。 「まるでウィリアム・テルのようですね。……さて、行きますよ」 そう宣言しながら直樹は、ランプの明るさを頼りに拓真の体を引っ張っているアンデッドへと矢じりを向ける。そして、ゆっくりとロングボウを引き絞ると、1$シュートを放って見事アンデッドだけを撃ちぬき破壊した。 「こっちもそんな気分だよ。当たったらごめんなさいだね」 更に、菫のピアッシングシュートがもう一体のアンデッドを掠めながら、勢いよくその体を引っ張る。弱っていたアンデッドの体は、矢によって墓石に縫いつけられ、そのまま動かなくなった。 そして最後のエリューション・アンデッドは、接近したウラジミールが銃剣を振り上げ、上空へと飛ばす。ヘビースマッシュの一撃であり、上空へと吹き飛ばされた腕は無防備にゆっくりと落ちてくる。ウラジミールは軍服をたなびかせ、髭が特徴的な口元に笑みを浮かべながら、味方を振り返った。 「今だ、間宵火嬢」 「はいっ。ボク、がんばります!」 名前を呼ばれた香雅李はゆっくりとステップを踏み、メイジスタッフを媒介に魔術を奏で始める。四色で構成された魔は、光となって空へと向かい、エリューション・アンデッドの体を撃ちぬいた。 「任務完了だ」 四色の光が夜空に消えて、戦闘は終わる。 ●祈りは地へと捧げられる 戦闘が終わった後、リベリスタたちは墓石に花を捧げ、線香をあげていた。その心には、先刻まで戦っていた相手への鎮魂の意がある。 「この程度しか出来ないが許して欲しい。日が昇れば貴方達の事を忘れていない人が来てくれるはずだから」 彼らが開けた穴を埋め終え、直樹は線香を前に手を合わせる。拓真もそれに協力し、墓地の掃除をしてから手を合わせる。 「殺された挙句殺風景なままに忘れて置かれるのも哀れな話さ」 事件を書いている石碑の記憶を読み取りつつ、ランディはしかめっ面をした。その記憶の物語は見ていて気分が良くなるものではなかったが、考えさせられるものであったのだ。 人々が彼らを忘れてしまった。だから彼らも自分を、自分の体を見失ったという。それだけの話。 ……ひとまずは手を合わせて合掌。 「あ~あ……体中ぬるぬるで気持ち悪いったらありゃしないわよん」 そんなランディを見ながら、レナードがため息をつく。確かに少しは有効だった戦法だったが、体中に広がったワックスは今すぐにでもシャワーを浴びたいような気分にさせる。あー……、とランディも頭をかいている。 「ま、ひとまずは祈りましょう。彼女たちみたいにね」 レナードが指し示した先には、率先して前に出て花を添えている香雅李と、数珠を手に犠牲者の名前を優しく呼びかけているシエルの姿があった。 「この静かで寂しいお墓には、キミたちの探すものは無い。向こうで探しておいで」 「安らかなる眠りが得られますように」 ふたりは手を合わせ、墓石へ真摯に向き合っている。 空には星があり、そんなふたりを優しい光で包み込んでいた。ふと、風がリベリスタたちを撫でる。優しい風だな、と感じられる風だった。 きっと、誰かが返事をしてくれたのだろう。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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