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2月3日の節分に

●豆まきと、恵方巻と
「ええと、すみません。ちょっと企画なんですけど」
 節分にアークで豆まきとかしませんか?
 そう言いながらマルガレーテ・マクスウェル(nBNE000216)はプリントを差し出した。
 2月3日は節分ですと大きく書かれたプリントには、恵方巻を食べたり豆まきをしませんかという言葉と共に地図や鬼の絵、恵方巻の写真などが載っている。
「豆も用意できましたし、恵方巻も何とかなりそうで」
 場所の方は三高平市にある市民会館に届出をして無事に借りることができた。
 豆まき用にホールを、恵方巻用に調理室と近くの飲食可能な広めの部屋を借りて。
 部屋の壁には、今年の恵方と言われる壬(みずのえ)の方角に目印らしきものが貼りつけられている。
 北北西と北の間くらい、やや北北西よりの方角。
 夜、そちらを向いて一言もしゃべらずに目を閉じて。
 願い事を思いうかべながら太巻きを丸かじりするのだそうだ。
「あ、や……そんなに真面目にやらなくても良いのかも知れませんけど、せっかくだし、私はキチンとしてみようかな……なんて」
 ちょっと気恥ずかしそうにそう言ってからマルガレーテは、恵方巻は注文できる品だけですけど色々と頼んでみましたと説明した。
 お店等に作ってもらう物から、コンビニ製、海鮮恵方やら神楽巻やら多種多様。
「あ、作ってみたいって人がいましたら……」
 アークの食堂などで働いているおばさん方に頼んだ結果、必要なら作り方を教えたり手伝ったりしてくれると約束してくれたそうである。
「豆まきの方は、ふつうに……あ、鬼役がいなそうなら私がやりますんで」

 ホールで豆まきをしたり、年の数だけ豆を食べたり。
 恵方巻を食べたり、作ってみたり。

「良かったらみなさんもいかがですか?」
 マルガレーテはそう言って、プリントを手渡しながら微笑んだ。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:メロス  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2012年02月17日(金)23:41
●このシナリオはイベントシナリオになります。
イベントシナリオについては本部利用マニュアルなどを御参照下さい。

オープニングを読んで頂きありがとうございます。
メロスと申します。
今回は節分に恵方巻を食べたり、豆まきをしたりしませんかというお誘いになります。


●豆まき
ホールは前の方が1mくらいの高い段になっている大きな体育館みたいなところです。
炒った豆がたくさん用意してあります。豆まきはこちらでどうぞ。
使われた豆は後で掃除で回収して野鳥のエサや実験等に利用されます。
豆を食べる方は、こちらでも飲食可能な部屋の方に退避して頂いても構いません。


●恵方巻
調理室と隣の飲食可能な部屋が用意されています。
恵方巻を食べたり作ったりするのにどうぞ。
様々な恵方巻が用意されており、材料等もある程度準備されています。
アークの食堂等で働いている方が作り方を教えてくれてたり手伝ってくれるので、作った事がない、初挑戦という方でも何とかなりそうです。
飲み物は白湯か緑茶くらいですが持ち込みは自由です。
食べ物の持ち込みは無しでお願いします。
ホールの方でも飲食は可能ですが、危険そうですのでお気をつけて。



●備考
・多人数の場合、内容を絞ったプレイングをかける事をお勧めします。
・特定の誰かと絡みたい場合は『時村沙織 (nBNE000500)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。
・グループでの参加の場合(絡みたい場合)は参加者全員【グループ名】というタグをプレイングに用意するようにして下さい。
(タグで括っている場合は個別のフルネームをIDつきで書く必要はありません)
・NPCに話しかける場合、ID等は必要ありません。

マルガレーテが係員の肩書でうろついてます。
他、ヤミィやシロ、アークの他のリベリスタたちや三高平市に住んでいるアーク協力者の一般の人とかもちょこちょこ参加してます。
御希望の方はそういった参加者と絡む描写をさせて頂きます。
(シロはR・ストマックをセットして恵方巻をキチンと食べる気満々らしいです)
特に何事もなければ、あるていど賑わっているという背景描写以外では登場しません。


それでは、興味を持って頂けましたら。
どうぞ宜しくお願いします。

参加NPC
マルガレーテ・マクスウェル (nBNE000216)
 


■メイン参加者 42人■
インヤンマスター
朱鷺島・雷音(BNE000003)
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
覇界闘士
テテロ ミーノ(BNE000011)
ホーリーメイガス
悠木 そあら(BNE000020)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
スターサジタリー
エナーシア・ガトリング(BNE000422)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
ナイトクリーク
源 カイ(BNE000446)
デュランダル
新城・拓真(BNE000644)
デュランダル
桜小路・静(BNE000915)
覇界闘士
宮藤・玲(BNE001008)
デュランダル
四門 零二(BNE001044)
インヤンマスター
焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)
マグメイガス
風宮 悠月(BNE001450)
ナイトクリーク
クリス・ハーシェル(BNE001882)
マグメイガス
丸田 富子(BNE001946)
マグメイガス
イーゼリット・イシュター(BNE001996)
デュランダル
イーリス・イシュター(BNE002051)
デュランダル
降魔 刃紅郎(BNE002093)
ホーリーメイガス
翡翠 あひる(BNE002166)
ナイトクリーク
三輪 大和(BNE002273)
覇界闘士
葛木 猛(BNE002455)
ソードミラージュ
リセリア・フォルン(BNE002511)
デュランダル
マリー・ゴールド(BNE002518)
覇界闘士
焔 優希(BNE002561)

逢乃 雫(BNE002602)
デュランダル
ディートリッヒ・ファーレンハイト(BNE002610)
クリミナルスタア
烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)
ホーリーメイガス
ティアリア・フォン・シュッツヒェン(BNE003064)
覇界闘士
霧谷 燕(BNE003278)
ソードミラージュ
ポルカ・ポレチュカ(BNE003296)
覇界闘士
クルト・ノイン(BNE003299)
ホーリーメイガス
氷河・凛子(BNE003330)
マグメイガス
明神 火流真(BNE003346)
ホーリーメイガス
明神 禾那香(BNE003348)
インヤンマスター
風宮 紫月(BNE003411)

アルトリア・ロード・バルトロメイ(BNE003425)
ダークナイト
ウィンヘヴン・ビューハート(BNE003432)
ダークナイト
蓬莱 惟(BNE003468)
ホーリーメイガス
弩島 太郎(BNE003470)
ダークナイト
熾喜多 葬識(BNE003492)

ルーク・J・シューマッハ(BNE003542)

●節分開始!
「よし! 手伝いはまかせておくのだ、マルガレーテ」
「ありがとうございます、朱鷺島先輩」
「ん、ボクは君の先輩だからな」
 ちょっとだけ得意気な表情の雷音を見て。
(らいよんちゃんがとっても張切ってるのです)
 愛らしい姿に笑みがこぼれたそあらを見て、雷音はこっそり彼女に話しかけた。
「……そあら、わらうな。たまにはボクだって先輩風を吹かせたい時があるのだ」
 彼女に先輩と呼ばれてすごく嬉しいとかないしょなのだぞ?
 同じようにそあらもこっそり応えると、お疲れさまですと話しかける。
「あたし達に出来ることがあれば何でも手伝うですよ」
 3人はさっそく見回りを開始する。
「ホント日本は色々行事が多いなぁ」
 ウィンヘヴンは皆を眺めながら呟いた。
 どうしようかと考えたのち、豆まきしてみようかという結論を出す。
 先に歳の分、豆をガッと口に放りこんで。
「後は、鬼はー外ー、福はー内ー! って言いながら豆を撒けば良いんだよね!」
(しかしリサイクル方法まで考えてるのは流石アークだね)
 そんな事を思いながら。
 ウィンヘヴンは威勢の良い掛け声で、掴んだ豆を元気に放る。
「節分とかのんきでいいよねーアーク」
(戦いの疲れはこうやって癒していくのは良きかなよきかな)
 そんな事を考えつつ葬識は、ひとりで遊んでいる子を発見して近付いていった。
「ちゃーっす、悪い子はいねーかー 殺人鬼が取ってくうぞー」
 あれ? こんなんじゃなかったっけ?
 首を傾げはしたものの、まあいいやと結論。
(こーゆーのはゆるーく楽しんだ者勝ちってねー)
 豆をまいてくる子供を見ながら……葬識は、ふと最近の事件を思いだした。
(そういえばリアルで鬼もでてきたんだっけ?)
「鬼退治なんて剣呑だよねぇ、猟られちゃう!」
 冗談とも本気ともつかない口調で、態度で言ってから。
 葬識は思考を止め子供たちの相手を続けていく。

●調理室にて
 七種類の具材を使い、太巻きを作る。
「七つなのは七福神由来から来ているものですね」
「はい、具材は一般的な太巻きに使われるものと関西では鰻も使うとの事なのでこれも加えます」
 凛子の言葉にカイは頷いた。
 かんぴょう、厚焼き卵、キュウリ、人参、三つ葉、かまぼこ、うなぎ。
 具材の仕込みは完璧。後は酢飯と海苔で巻いて完成である。
 酢飯を作る間に凛子が具材の用意を手伝い、準備は完了した。
 カイの説明を聞きながら、凛子は丁寧に太巻きを作り始める。
「こういう風に料理を作るのは楽しいですね」
 凛子の言葉にカイも笑顔で応じながら恵方巻を作り始める。
「恵方巻自分で作れんのか、よっし」
 なら作った事は無いから教えてもらうとすっかな。
 さっそく燕は恵方巻作りに挑戦する。
「教えてもらえるなら安心だぜ」
 話を聞きながら海苔をしき、酢飯をならし具をのせて……まきすを使って。
「うむ。自分で作ったモンはウマイものだからな」
 完成した恵方巻を眺めて呟く。
 あとは豆でも摘まみつつ適当にくつろごうとう心算だ。
「うーす。恵方巻というものを食べにきたぜ!」
 ディートリッヒも先ずは自分で作り方を覚えてだと、材料と道具を準備する。
 折角作り方を教えてもらえるのだから、習ってから食べるのがいいし、そのほうが面白い。
「よし、まずは定番の具材を使うぜ」
 椎茸、かんぴょう、卵焼き、きゅうり、桜でんぶ等。その後、色々と試してみる。
「中々こうしてやってみると面白いもんだな」
 自分で作って自分で食べる。手軽さが一番だ。
(そう言えば、犬のリベリスタ、確かシロとかいったか?)
「恵方巻を食いに来たというが流石に犬には作れないだろうから、代わりに作ってやるか」
 一方、あひるとフツの二人は恵方ロールに挑戦していた。
「あひる、お菓子作るの得意だから、任せてね……っ!」
 気分はお菓子作りの先生という様子の彼女に向かってフツがあひる先生と呼んでみれば、あひるはますます嬉しそうに。
 料理は大したことできねえから、あひるの言う通りに作ろう。
 手際良く福を呼ぶロールケーキを作っていくあひるを見ながら、フツも作業を進めていく。
 生地を作って焼いて。季節のフルーツを乗せて巻いて。
「恵方ロールの完成……!」
 あひるはフツに向かって、花が咲いたような笑顔で宣言した。

●笑顔の再会
「さあ、いくぞ、火流真、もふもふの準備は充分か?」
「何の準備だよ!? 恵方巻き食うんだろ!?」
「こほん、まあ、アレだ。シロはいるだろうか?」
「元気にやってっかな? 犬のリベリスタなんて珍しいから人気者になってるかもなー」
 シロの姿を思い浮かべ笑みをこぼす禾那香の隣で、火流真もきょろきょろと辺りを見回した。
 すぐにふたりはシロを見つけ、シロの方も二人に気付き。
「よっ、シロ! 元気にしてたか?」
 火流真の呼びかけにシロは嬉しそうに駆け寄ってくる。
「シロ、久しぶりだな。息災にしていたか? 変わりはないか? ……モフモフしても良いだろうか?」
「って禾那香、いきなりモフるのかよ! ……いや、別に止めはしねーけど、恵方巻き食う邪魔はすんなよ」
 もちろんと頷き、シロも頷き。禾那香は嬉しそうに真っ白わんこに手を伸ばす。
「あ、雷音ちゃん! そあらさんもどうもです~」
 ヤミィが笑顔で手を振れば雷音はこの前ぶりと話しかけ、そあらもお久しぶりなのですと挨拶する。
 雷音と先日のことを話したり、最近のいちごはどうですかと、そあらに尋ねたりしつつ……
 あと、と話の続きをしていた雷音は、不意に……びっくりさせるようにぎゅーっ! とヤミィを抱きしめた。
「前に驚かされたからな。でも、とてもうれしかったのだ」
 ボクも君が大好きなのだぞ。
 笑顔で言えば、ヤミィも雷音ちゃーんっとぎゅーっし返す。
 そこへさらに、ぎゅぅぅっー♪
「きゃふんっ!?」「わわっ!?」
 そあらはヤミィに抱きついた雷音ごと、ぎゅーっと抱きしめて。
 驚いたふたりと自分を収めるようにして、携帯のカメラをパシャり!
 珍しい表情がとれたのですとふたりに負けない笑顔を浮かべてみせた。

●その頃、全力鬼ごっこは
「これより! 魔滅撃ちの儀を執り行うのです!!」
 そう言い放ったイーリスは、続けて係員に声をかけた。
「ヤミィさん! マルガレーテさん! まざるのです!!」
「良かったら一緒にどうかな?」
 赤鬼の着ぐるみを用意し、お面屋で買ってきた丈夫な鬼の面を付けつつ快が誘う。
「あ、いえ、その……お心遣いはありがたいのですが……」
 マルガレーテはヤミィと顔を見合すと、ふたりの後ろを指さした。
 そこには武者鎧に身を包み愛馬に跨った逞しい一人の漢、刃紅郎の姿。そして……
「カズトが本気で来いって言うから、超本気装備で来た」
 クリスが対鬼用ショットガン『節分一号』を手に、ガシャコンと戦闘態勢を整える。
「おまえの本気受け取った! 僕も真剣に避けるから」
 あてれるもんならあててみろよ!
 手作りの鬼の面をつけた夏栖斗が、自信満々に言い放つ。
「見せてやろう、真の鬼の逃走というものを……!」
 縞々パンツな水着を着用し、鬼の面をかぶった竜一も自信ありげに宣言する。
「全力で逃げるという体験をするのも良いだろう」
 マリーは落ち着いたというか感情を表さぬ声で淡々と。
「面白そうな催しね。かなり歴史的なものなんでしょう?」
 興味深げに言ってからイーゼリットは似合う? と付けた角を撫でた。
「私? 鬼に決まってるでしょう?」
「かずととりゅーいちにはらぱんなのっ!!」
 テテロも自分的に思いっきりキリッとしつつ宣言。
 一方、エアガンにBB弾の代わりに小粒の豆を装填してみたハガルは、大丈夫かな? と不安げに銃身を眺めている。
「何せ全力だっ。頑張らないとねぇ」
 富子は豪快に笑いながら腕まくりし、気合と共に米俵ほどもある豆袋を担ぎあげた。
「鬼ごっこ……ねぇ」
 まあ、狙った獲物を逃がさない程度には頑張りましょう。
 ティアリアはそう言いながら笑みを浮かべた。
「鬼を狩ればいいのよね? ふふっ♪」
 エナーシアの浮かべた表情も近しいものがあったかも知れない。
 彼女は誰に言うでもなく、静かに呟いた。
「さあ狩りの時間だわ」

●過ぎた日と、迎える春
「激しい様相を呈している人達もいるようですが、私達はゆるりとやりましょうか」
 貰ってきた炒り豆を手渡しながら大和が口にする。
「そうだな。たまの休日だ、穏やかにいくとしようか」
 炒り豆を両手で丁重に受け取りながら優希が応える。
 節分。
 過ぎる冬に別れを告げて、来る春に祝福の願いを込める、そんな日。
(新たな気分で春を迎えるために、冬の間に溜まった厄を落としてしまいましょう!)
 大和はそんな風に思いながら。
「もう立春か。季節が巡るのは早いものだな」
 今日は戦いを忘れ、日常に浸ってみるのもいい。
 優希はそんな風に思いながら。
 互いに用意ができたふたりは、厄払い代わりの豆をふんわりとぶつけあう。
「いつもは外へ向かって豆を撒くだけでしたので、誰かに向かって豆を撒くなんて初めて」
 なんだかドキドキしちゃいますと笑顔で口にする大和。
 優希は昔を思い出す。
 兄妹とサバイバル豆撒きを行っていた、幼い自分。眩しく、懐かしい風景。
(だが、過去は過去だ。前を向いていかねばな)
「一人で撒くより、誰かと撒くほうが楽しいものだな」
 笑顔で大和にそう返して。
「鬼を打ち払い、邪気を寄せ付けぬよう。三輪がこの一年、無病息災であるように」
 優希が大和に豆をまき、大和も優希に豆を向ける。
 一投一投に込める大和の想いは、ただ一つだけ。
(目の前で微笑む優しい人が、今年一年も無病息災、大禍なく過ごせますように)

●豆撒きの体験
「なんでも、昔の人は季節の変わり目には鬼が生まれる……なんて、考えてたらしくてな」
 猛は豆を手にしながら、節分について自分で知っている範囲内でリセリアに説明する。
「んで、それを追い払う為に今日みたいに豆を撒いてそれを追い払おうとしたんだと。鬼は外、福は内……ってな感じで」
 説明しながら実際に豆を一掴みすると、掛け声と一緒に豆を撒いて。
「鬼は外、福は内……豆が『魔滅』に通じて、炒った豆を日本の禍たる鬼にぶつけて邪気を祓い福を呼び込む……と。成程……」
 リセリアは猛の説明を聞いて、彼が豆を撒くのを見て。
「鬼との関わり方とか、面白いですね……それに、そう言う風習が今になっても広く残っているなんて」
 事前にちょっと調べた内容とあわせてうんうんと、頷いて。
「良し、リセリアもやってみな? 何事も挑戦、挑戦」
 彼女の様子を見た猛は、そういって笑顔で勧めながら、一緒にやってみようと自分も豆をつかむ。
 猛の様子を見て真似をするようにリセリアも豆を一掴みして。
――ふたりは一緒に、掛け声を合わせて豆を撒く。
「ふふ、結構楽しいですね」
 笑顔のリセリアを見て、猛は少し安心した気持になる。
(なんだかんで俺が引きずり回してる気がすっけど……)
 ちょっとでも楽しんで貰えてるんなら、良いんだけどな。
 楽しそうに豆を撒きながら、ありがとうございますと、猛に笑顔で言ってから。
「……はらわれる鬼には悪いですけどね」
 リセリアは小さく呟いた。

●その頃、全力鬼ごっこは その2
\ちょあーーーっ!!/
 誰よりも早く動いたテテロがいっきに接近するもののっ!!
「くっそさむいのに水着とか着てるんだ! 僕は本気でよける」
 夏栖斗はもうホンっトに、大人気ないってくらいに全力でテテロのはらぱんを回避して、そのまま逃走に入る。
 マリーも鬼サイドに翼の加護を使用すると全力で逃走を開始した。
 対して快は、豆まきをする者たちの前で仁王立ちである。
「豆をぶつけられても退かぬ! 避けぬ!」
(なぜなら俺は鉄壁だから。守護神に撤退は無いのだ)
「今日は鬼だけど」
 それに意表を突かれた者もいるだろうが、これ幸いと盾(スケープゴート)にして逃げる者もいる。
「ヒャッハァー! 遠慮なく逃げるぜェー! 真面目に闘争なんかするかボケェー!」
 超狙ったような叫びを発しながら、竜一も全力で逃走する。
「ぜんりょくぜんかい!」
 きなこ的な感じなのですとイーリスが豆砕戦気(爆砕戦気)を発動させる。
「あはは! 人間達! 退きなさい!」
 私、鬼なの。食べちゃうから!
 イーゼリットが鬼らしく脅かすようにそう言った刹那。
「どぉぉぉぉっせぇぇぇぇいいっ!!!」
 富子が全力で放った豆の嵐が、彼女を巻き込んで炸裂した。
「痛っ! え、ま、まっ……!?」
(まってなんて、言えない。私、強い鬼なのに!)
「や、やめっ、豆、硬いじゃない!」
 それにどうしよう。これって防戦一方じゃない
(何とかならないの? ねえ、鬼ってこういう役回りなの?)
「ははは、そんな豆鉄砲ではこの鬼は倒せないぜ。倒せない、倒せ……痛い痛いいたいちょっとタンマ!」
 皆容赦なさすぎあばばばば。
 劣勢の快に追い打ちをかけるようにエナーシアがハンドポケットで接近する。
 もっとも、彼女が狙うのは鬼の面だ。
(生身に当てて怪我させちゃうようだと悪いじゃない)
「そういうわけで外したほうが危険なのだから避けないでね?」
 早撃ちで、指弾の要領で豆を弾く。そのうちの一発が……面を撃ちぬいた。
 あれ?
「……避けたほうが危険とか言ったかしら?」
 間があった。
「すまないけどあれは嘘だったのだわ」
 無理だ絶対と、快が逃げ出そうとした刹那。
「逃がさないわよ、覚悟なさい」
 ティアリアの奥義、サタナキアの微笑(はらぱん)が炸裂した。
 カウンター気味に入ったそれに快がくの字になるものの、一撃で落としたかった本人はどこか不満げな表情を浮かべている。
「……これ、ちょっ……豆まきと、違う……の、で……?」
「……え? ちゃんと豆は握ってるから問題ないわよ?」
 そう言って開いたティアリアの手から、炒った豆が零れ落ちた。

●恵方巻を、みなで
 アークへ出向してからの、初の節分。
「折角ですから、私も楽しませていただくとしましょうか」
 先ずはと紫月はマルガレーテとヤミィを探し挨拶する。笑顔で先日のことを話し合って。
「こういった行事は、そういえばお二人は初めてなのでしょうか……お二人とも、外国の方……ですよね?」
 恵方巻について話し、一緒につくろうかという話しになっていったところでふと、紫月は思ったことを質問してみる。
「あ、私の方は両親がそれぞれハーフってだけで」
 四分の一ずつ独と米が入ってるだけで、こういう名前ですけど半分は日本なんですと笑顔でマルガレーテは答え、ヤミィは両親は外国出身だったけど自分は生まれも育ちも日本でと苦笑いしつつ。
「……あっ、普通に太巻きの太さで作ってしまった……仕方ない、食べ易く切りましょう」
 だって、丸かぶりなんて僕に言わせるとお行儀が悪いし顎が外れるかも知れないし、特に……
 カイは包丁で丁寧に太巻きを食べやすいサイズに切り分けていく。
「良ければお一つどうぞ」
「ありがとうございます~」
 凛子にお礼を言ったマルガレーテが笑顔で恵方巻を受け取って。
「……シロに至っては犬ですし……あっ、シロおいでおいでーたくさん作ったからたんと召し上がれー」
 カイは笑顔でシロに呼びかけてから、ヤミィとマルガレーテにも気軽に食べて下さいねとお皿に盛りつけた太巻きを差し出した。
「皆で楽しく賑やかに美味しく頂く、それが何よりも大事なのです」
 その言葉を聞きながら、凛子が温めに淹れた御茶を、皆にどうぞと配って。
「いや、すまん、テンションが上がってしまった……ん? どうした火流真?」
 我に返った禾那香が怪訝そうな顔をする。
「べ、別にっ! 俺もモフモフしたいなんて思ってないからなっ!?」
 慌ててそう言ってから火流真は恵方巻き食うかと口にし、禾那香もそれに応じたところで。
「ふむ……火流真、こっちから食べるか?」
「……な、ななな、何言い出してんだ禾那香!?」
 火流真が真っ赤になれば、禾那香は真に受けるなと笑顔を見せる。
 何か複雑な顔の火流真と、笑顔で言いながらも微かに舌打ちをする禾那香。
 ふたりの様子を見ていたシロが、クーンと鳴きながら首を傾げた。

●その頃、全力鬼ごっこは その3
「いざとなれば、夏栖斗だろうが新田だろうが盾にして俺だけは生き残ってみせる!」
 ダンボールを被って気配遮断した状態で竜一は力強く断言した。
(世の中なんてなァー! 他人を利用尽くしたやつが勝ち残るように出来てんだよォー!)
「こちとら鬼だからな!」
 そんな時、聞き覚えのある声が聞こえてきて彼は声を潜める。
「鬼に恨みは無いが、節分なら仕方ないな!」
 低空飛行で夏栖斗を追いかけるクリスの足元から意志を持った影が伸びた。
「ふふ……それ、それっ!」
 上空と足元からの二重攻撃を、夏栖斗は移動をあきらめ全力の防御で転がるように回避する。
 それに続くようにして刃紅郎が馬上から放った一塊が……夏栖斗をかすめて床を打ち、嫌な音を立てた。
「おいまてそれ豆じゃねーだろっ!?」
 詰め寄る夏栖斗に対して刃紅郎が指させば、その先……穿たれた床に散らばるのは、粉々になった……豆、豆豆。
 そう。リベリスタの強力な握力により握られ撃ち出される無数の豆は、収束し一つの砲弾となって……鬼の心臓をぶち抜かんとするのだ!
「ってナレーションこんな感じで良いでしょうか? 刃紅郎先輩」
 御苦労と係員を労うと、刃紅郎は再び豆を握りしめた。
「鬼 は そーーーとォオオオオオオオ!!」
 放たれた豆を夏栖斗は懸命に回避し、豆塊は……そこにあったダンボールを貫いた。
 呻き声らしきものと共にダンボールがびくんと揺れる。
 クリスは念のために豆ショットガンを撃ちこんだ。
 ゲブゥッとかいう悲鳴と後にダンボールをどけ、竜一が現れる。
「あ、いや、その、すんませんでした……縞々パン一丁だから開放感が」
 そこにティアリアEXが炸裂する。
「ゴフゥッ!? いえ、その、腹パンとかは、もう……」
 そんな竜一に向かって。
\ちょあーーーっ!!/
 ぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちと、あんまし効果の無さそうな可愛らしい音を響かせて。
 テテロがはらぱんを開始した。

●たくさんの願い
「はいフツ、あーん……だよ」
 一口サイズに切られた恵方ロールをほお張ったフツは、お返しとばかりにあーんと言いながらあひるに恵方ロールをさしだす。
 微笑むあひるに、笑顔を返して。
 そのまま暫し、ふたりの時間を楽しんだ後で。
「頬にクリームがついてるぜ、あひる。オレが取ってやるからじっとしてな」
 そう言ったフツは指でクリームを取って、あひるの頬にくっつけてから……舌でぺろっ。
 真っ赤になったあひるに向かって、いたずらっぽくニヒヒと笑う。
「嘘はついてねえよな?」
「う、嘘じゃないけど……今、わざと付けたでしょ……っ」
 お返し、しちゃうもんねと同じようにクリームをフツのほっぺにつけて、ぺろっ。
「えへへ……フツが一番、甘くておいしい。ごちそうさまっ」
 お互いまた、笑顔になって。ふたりはあーんと言いながら恵方ロールを差し出しあう。
 玲の手を引いて豆だらけのホールから逃げてきた静は、部屋の方へと辿りつくとさっそく緑茶と恵方巻を準備して玲を招いた。
「さ、一緒に食べよ。今年一年の健康を願って、丸かぶりだぜっ!」
 二人で一緒に恵方巻を持って、北北西に向かって一緒にもぐもぐしつつ……静はチラリと横目で玲の方を見る。
 一生懸命たべている姿が、可愛い。
 そんなことを思いつつ、目が合ったらにっこり笑ってアイコンタクト。
 去年もこうやって一緒に食べた。また今年も隣りあわせ。
 来年も、きっとこうやって二人で笑って食べてるねと。
 玲も気持ちは同じ。
(今年も静さんと一緒で嬉しいな)
 食べ尽くしたらお茶を飲んで一息。
「頬に米がついてるぞっ」
 静はそう言って玲の頬に付いた一粒を、指先でとってパクリと。
 二人が今年も健康で幸せでありますように。
 ふたりのお祈りは、きっと同じ。
「三高平には慣れただろうか? これも最近来たばかりだが」
 惟は街に来てからの出来事などをシロに向かって話していた。
 先日はエリューション化した恵方巻を食べた時の事、その時は恵方等気にする余裕など全く無かったこと等も。
(せっかくなので今度は作法に則ってみよう)
 なんとなく海鮮恵方巻を選ぶ。
「願い事か……これの願い事は決まっている」
 まだ、これが描いた理想には遠く及ばない。
「故に……」
 作法通りに、静かに恵方をほお張る。
 福を呼び込む恵方巻き。
(西の方の習慣とは聞き及ぶが……)
「では、いただこう」
 零二も今年の恵方を向くと静かに口を開き、恵方巻を食し始めた。
 己だけでなく、皆に福が来ることを願いながら。
 静かな食を、行っていく。
 そのまましきたり通りに頬張り終え……
「……御馳走様」
 ふっと息を吐いた後、零二は感謝するように口にした。

●その頃、全力鬼ごっこは その4
 追手は執拗だった。
(仕方ないね。それに、鬼が逃げてばかりじゃ豆まきにならない)
 快は再び、胸を張って仁王立ちになる。
「さあ来い! 全部受けきってやる!」
 宣言した直後、マリーと夏栖斗がその後ろに隠れようとする。
「みたか! 三高平のいろんな意味で鉄壁シールド! メイン盾きた!」
 ぐわー相変わらず皆容赦なさすぎあばばばば。
 それでも守護神は崩れ落ちることなく豆攻撃に耐え続ける。
 一方でクリスはその陰から覗く夏栖斗を狙い続けた。
 理由は、なんか撃って欲しいオーラが出てるから。
「そこの人! 鬼の足止めを頼む!」
 その言葉に元気に応えたハガルは、鬼たちの一人を標的に定めた。
「狙い撃ちますよー、あははははっはははhh」
 仁義上等とかカマしていた彼女は、そのまま凄く嬉しそうに急所を狙ってトリガーを引く。
「あっははははははははははははっはははははは……あれ?」
 激しい豆の雨が変な音と共に止まり、エアガンが揺れ……試しにトリガーを引いても不安をかき立てる発射音と共に銃身がゆれるだけの切ない状況。
 ジャムった代わりに弱点とか探そうとするハガルと代わるように、エナーシアが追いついてくる。
「全力で避けると良いのだわ、避け切らせてなんてあげられないけど」
 それでも何とか被害を最小限に抑えようとする夏栖斗。
(やはり狙うは夏栖斗ね。トップランカーを落とせなくては話にならないもの)
 その様子を虎視眈々と窺っていたティアリアが……動いた。
 夏栖斗は快や竜一と同じような……なんか、すごい……しぼられたような声を発する。
 それでも立っていた夏栖斗に、彼の腹部に、刃紅郎が一撃を放つ。
「なんとなくだ」
 それでも立っていた夏栖斗に。
\ちょあーーーっ!!/
 ぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちと、テテロがはらぱんを開始した少し後で。
 救急箱を持った凛子が、鬼たちの手当てに到着した。

●かさなる想い
「そういえば、悠月は何か願い事の様な物はあるのか?」
 恵方巻きを準備しながら、拓真は悠月へと声を掛けた。
(俺も今回は少しばかり願ってみるか……)
 そんな風に思えた自分を不思議に思う。
 以前なら、願う気すら起きなかったのだが……これも、悠月と関わってこその変化なのだろう。
「俺は……毎回、何もないではあれだしな……また、来年もこうして過ごせる様に、かな」
 自分以外の誰かの事であれば、素直に願う気にもなるのだが。
(事、自分の事となると……難しい物だ)
 恵方巻を準備しながら紡がれる言葉。
 それを聞きながら悠月は以前の自分を思い返した。
 去年までは、今ほどの心のゆとりは無かったという事に……今更ながらに気づく自分。
「私の願い事は……」
(節分を、節分としてきちんと過ごすなんて、本当に何時振りになるのでしょうね……)
 なら今年は……いえ、今年からは――
「――これからの日々を、今日のように穏やかに過ごせますよう」
 拓真の瞳を見て、静かに答える。
 願に掛ける……神頼みは好きではないのだけれども
(……拓真さんと出会ってからの日々のおかげ、なのでしょうね)
 互いに言葉にはせずとも、よく似た想いを抱きながら。
「……さて、恵方巻きも完成したことだし、いただくとしようか」
 拓真は心の中で悠月への感謝を抱き。
「はい、いただきましょう」
 悠月は、そっと微笑んで。
 願いを心の中に。言葉として、浮かべながら。
 ふたりは同時に、恵方巻を頬張った。

●その頃、全力鬼ごっこは……その後
「まめラッシュ! まめクラッシュ!」
 一気にいっぱい投げたり、一粒をちから強く投げたり。
「信じられない。覚えてなさい!! くー!」
 イーリスの攻撃からイーゼリットはひたすら逃げ回る。
「来年は化けて出るから!」
 そんな事を言いつつ、ようやくその豆まきは終了して。
「なんと! じつは! せつぶんて」
 なにをするのか! よくしらないのです……そんなイーリスに富子が節分について説明する。
「ふぅ~がんばったの~」
 テテロはそういって汗をぬぐうと、あそんでくれてありがと~なの~とにぱっと笑顔でお礼をいった。
 他の皆の手当てを終えた凛子がイケメンの手当てに入る。
「みんな今年は北北西だよっ! 一本丸々食べ終わるまでしゃべっちゃぁいけないよ」
 富子が恵方巻を配っていく。
「さぁみんな食べて今年一年も元気に過ごしておくれっ」
 満面の笑みを浮かべてから、富子はホールの彼方、その先に目を向けた。
(……みてるかい、花子。みんな元気だよっ)
 まだまだそっちにはいけないけれど、見守っていておくれよ。
 口には出さない。心の中で叫ぶようにして。
 富子は皆に言ったように、自分も無言で恵方巻にかぶりついた。

●たくさんの、豆をまいて
(………、……。鬼はそと、と言うけれど)
 鬼の役の人に豆を投げ投げしつつ、ポルカは考えた。
 もしかしたら鬼のなかにも、優しい鬼っているんじゃないかしら。
 素敵な鬼のえほんも、あった気がするし。すごくじんわりするお話よね。
(それにほら、鬼は爪が長いから、みかんをむいてくれるかもしれない)
「どうしたんですか? ポルカ先輩?」
「………あ、いえ。なんでもないの」
 不思議そうに尋ねてくる係員の少女に、ポルカは言った。
 鬼の気持ちを考えて、少し寂しくなっただけ。
「これから色々、素敵なほうへ進むといいわよ、ね」
 そんな願いを込めて。
 鬼さんには申し訳ないけれど。
 ポルカは再び豆をにぎると、かけ声と共に鬼役へ手を振りかぶる。
「なまはげ、だったっけ? あんな感じの格好するのも面白そうだしね」
 豆を投げる方にも興味あるけれど、鬼役が足りてないなら鬼役でもいい。
 そんな風に考え会場内を見回した結果、クルトは不足してるように見えた鬼の役を引き受けた。
「そう簡単に大人しく当たると思うなよ!」
 但し、流水の構えを取ったり全力で防御態勢を整えたりして避ける気満々である。
 もちろん、一切反撃しない。
(どのような環境であっても、こういった季節の行事は大切にしたいものだ)
 改造して作った鬼の面をつけた太郎も、ホール内を闊歩しつつ豆を持った参加者たちに襲いかかるフリをする。
「ぬぉー」「がおー」「ふんがー」
 どうにも棒読み感は否めないものの、会場に来ていた子供たちにとっては立派に、 というのも変だが充分に鬼らしい鬼だったらしい。
 豆まきする子供と一緒に映しても良いだろうかとカメラを持った親に頼まれたりしつつ、豆を当てられたら程良くのけぞって後ずさったり。
 そんなこんなで鬼役を続けていた太郎は、頃合いをみて……ホールから退場した。
 たくさんの人々でにぎわっている会場に、依頼の時とはまた違った満たされる気持ちを抱きつつ。
 まつりは……もう少し、続きそうだ。


■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
御参加、どうもありがとうございました。
すべてはリプレイに全力で詰め込ませて頂きました。
参加した皆様が好き時を過ごせたと少しでも思って頂ければ嬉しいです。

繰り返しになりますが、ありがとうございました。
また御縁ありましたら、どうぞ宜しくお願いします。