●小さな命の叫び ぼくらは、あったかいおうちから、さむいおそとにつれてこられた。 ここは、とってもせまい、はこのなか。おかあさんもいないし、ごはんもない。 ぼくらきょうだいは、すこしでもさむくないように、みんなでくっついていた。 でも、やっぱりさむいし、おなかだってすく。 おかあさん、どうしていないんだろう。 ぼくのきょうだいは、いっぴき、またいっぴきと、めをとじてうごかなくなった。 からだはだんだんつめたくなっていったけど、ぼくはそれでもきょうだいにくっついていた。 はこのそとは、もっともっと、さむいから。 じっとしていたら、きょうだいがいきなり、めをさました。 でも、なんだかようすがおかしい。からだはつめたいままだし、めはぎらぎらしている。 ぼくはこわくなって、はこのそとににげた。 こわいよ。ぼくのきょうだいは、どうしちゃったの? おかあさんは、どうしてどこにもいないの? こわいよ。さむいよ。おなかがすいたよ。 ねえ、おかあさん。おかあさん――。 ●人の手がなした残酷 「人に捨てられて死んだ仔猫が、エリューション・アンデッドになった。フェーズ2の戦士級、数は四匹」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は、アーク本部のブリーフィングルームに集ったリベリスタ達に向けて任務の説明を始めた。 「エリューション・アンデッドは、毒の爪で引っ掻いたり、生き物を石化させる視線を使って攻撃してくる。見た目は普通の仔猫とあまり変わらないけど、戦闘力はそれなりに高い。油断はしないで」 正面のモニターに、エリューション・アンデッドの詳細なデータと、現場の地図が表示される。 「現場は小さな公園。仔猫たちはダンボール箱に入れられて、ここに捨てられてた。元は五匹いたんだけど、一匹だけどこかに逃げたみたい」 探してみれば、まだ近くにいるかもね、と付け加え、イヴはリベリスタ達の顔を見た。 「……みんななら、大丈夫だと思うけど。気を、つけてね」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:宮橋輝 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年02月02日(木)23:18 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●命の責任 真夜中の公園は、不気味に静まり返っていた。 外灯があるため、明るさの面であまり不自由はない。ただ、木々の下や陰になる部分はその限りではないだろう。リベリスタ達の中には暗闇を見通す目を持つ者もいたが、そうでない者も殆どが懐中電灯を手にしていた。 エリューション・アンデッドと化した四匹の仔猫がいるダンボール箱の場所は、事前に教えられている。それを探すのに苦労はしないだろう。問題は――そこから逃げてしまった、まだ生きていると思われる五匹目の仔猫だった。 「鳴き声でも上げてくれれば、直ぐに分かるんだけどねえ」 『イエローナイト』百舌鳥 付喪(BNE002443)が、懐中電灯で木の陰を照らしながら言う。暗闇を見通し、物質を透かし見ることの出来る『Lost Ray』椎名 影時(BNE003088)が周囲を見渡したが、目の届く範囲に生きた仔猫の姿は無いようだった。 影時の脳裏に、まだ見ぬ仔猫の愛らしい姿が浮かぶ。 「猫にゃんえへっ!」 思わず本音を零した後、彼女は「……なんでもないです」と誤魔化した。なにしろ、可愛いものが関わると黙っていられない性分である。 「まったく、生命を預かるってーのは、死んで墓に入れるまでが世話だろ? それもできねーで、生命預かるんじゃねぇよ」 『殴メイガス』闇蔵 銀次(BNE001180)が、男らしい眉を顰めつつ口を開いた。この世の中、捨て猫を拾ってくれるような善意を持つ人なんて、ほんの一握りしかいない。生命を安易に他人に任せるものではないと、彼は思う。 「ペットを飼うということは、命と向き合うことです」 自らも使い魔として動物を飼っている『下策士』門真 螢衣(BNE001036)は、凛とした口調でそう言った。捨てた者の事情もまったく分からないわけではない。だが、手放すにしても他に方法はあっただろう。これでは、仔猫たちをいたずらに苦しませるだけだ。 「捨て猫、か。憐れんではやる。だが、それだけだ」 公園に結界を張りつつ、『糾える縄』禍原 福松(BNE003517) が呟く。彼の隣で、『殺人鬼』熾喜多 葬識(BNE003492)が歌うように言った。 「たった一人で残されて、家族はいないひとりきり――」 家族と呼ぶべきものを殺した自分が、どうこう言えることではないのだろうが。 ただ、これからやる事は決まりきっている。死に損なった四匹の仔猫を殺すのだ。 「親と引き離され寒空の下に放りだされる……その辛さは判ります。わたくしもそうでしたから」 しかし、それとこれとは別なのです――と、『銀騎士』ノエル・ファイニング(BNE003301)が言う。生き残りの仔猫が見つからない以上、まずはエリューション・アンデッドの方から片付けるべきだろう。不意打ちを警戒し、リベリスタ達は明るい場所を選んでダンボール箱の方へと向かう。 木の下にひっそりと置かれたダンボール箱。それを透かして中の仔猫たちを見た影時が、思わず声を上げた。 「猫にゃん! 抱っこしたい!」 体長20cmほどの仔猫が四匹、声に反応して赤い瞳を向ける。警戒の眼差しに、影時は自らの気を引き締めた。……そうじゃない、エリューションは倒す。 五匹の仔猫が捨てられた段ボール箱を眺め、『ガントレット』設楽 悠里(BNE001610)は悲痛な表情で口を開いた。 「なんで簡単にペットを捨てるような真似が出来るんだろう。ひどいよ……」 生きている命なのに。この子たちだって、きっと幸せになれたはずなのに。仔猫を簡単に捨ててしまうような、心無い人間のもとに生まれたりしなければ。 「死んで蘇って、また殺されるってんだから難儀な一生だね、全く」 付喪が、顔を覆い隠す金色の兜の下から溜め息を漏らす。かくなる上は、せめて派手に逝かせてやるとしよう。 「――皆も、この子等に同情するのは良いけど、手加減なんてするんじゃないよ」 彼女の声に、ある者は唇を噛み締めながら、またある者は淡々と表情を変えずに頷く。想いはどうあれ、なすべきことは一つしかないと、皆が理解していた。 リベリスタ達は次々に力を開放し、自らの力を高めていく。 赤い目の仔猫たちが、低い唸り声を上げてダンボール箱から飛び出した。 ●為すべき使命 「こんにちは! 可愛い!」 飛び出した仔猫たちに駆け寄り、影時が声をかける。痩せていようが、毛並みが悪かろうが、仔猫は仔猫――充分に可愛い。思わず綻びそうになる表情を引き締め、彼女は全身からオーラの糸を放って仔猫の一匹を絡め取った。苦しいのは、すぐ終わらせる。 影時の周囲に群がる仔猫たちを見て、悠里が瞬く間に彼らとの距離を詰めた。攻防自在の構えから己の白い篭手に雷撃を纏わせ、仔猫たちへと打撃を浴びせていく。 「ごめんね。僕は守るものがあるから君たちを倒すよ。ごめんなさい……」 仔猫たちに接敵した前衛たちとの距離を測りつつ、螢衣は周囲に守護結界を展開した。 「猫たちの痛みが長続きしないように速く終わらせましょう」 そう口にした彼女の瞳は、真っ直ぐ仔猫たちへと向けられている。影時の気糸に捕らわれた一匹を除く三匹が、同時に動いた。 影時に一匹、悠里に二匹――仔猫たちは小さいながらも鋭い爪を立て、傷口から猛毒と不運の呪いを流し込む。全身に闘気を漲らせてその様子を眺めていたノエルは、彼らが後衛を集中して狙ってくる危険は薄いと判断した。 体内の魔力を活性化させた付喪の指が、真っ直ぐに仔猫たちを指す。そこから一条の雷が走り、四匹全てを巻き込んで荒れ狂った。 誇りを胸に運命を引き寄せ、福松がリボルバーを構える。確実に仕留めていくため、彼はじっくりと狙いを定めていった。 「――んじゃま、猫殺し。殺戮。博愛主義で動物愛護精神にあふるる俺様ちゃん、心が痛むね」 言葉とは裏腹に、葬識の口調は軽い。彼は己の生命力を暗黒の瘴気に変え、仔猫たちに向けて放った。纏わりつこうとする瘴気から素早く飛び退き、仔猫たちは直撃を避ける。 「お前のにーちゃんねーちゃんはやんちゃだな。腹減ってんのは分かるけどよ」 前衛たちに爪を立てた後、せわしなく動き回る仔猫たちを眺め、銀次はこの場にいないもう一匹の仔猫に向けて言葉を放った。今は、どこに隠れているのかわからないが――まずは、目の前の四匹を倒してからだ。仔猫たちの攻撃が届かない位置に立ち、彼は活性化させた魔力を己の拳に集中させていく。杖など、彼にとっては飾りにすぎない。 自力で拘束から逃れた仔猫を、影時の気糸が再び捕らえて締め上げる。 「あはは、さっさと死んで楽になれ」 可哀想だなんて思わない。この苦しみから解放するのが、自分の役割だから。 悠里の白い篭手が、雷光を映して蒼く輝く。捨てられた末に、こんなにも痩せ細って死んでしまった仔猫たち。彼らに拳を打つのは、とても辛いことだけれど――それでも、誰も犠牲にしたくないから。 その小さな爪が、誰かの命を奪ってしまう前に。 圧倒的な速力から放たれた悠里の拳が、気糸に縛られた仔猫を葬り去る。 ――あぁ、泣きそうだ。 毒に蝕まれ血を流す体よりも、心の方がずっと、痛い。石化の呪いを秘めた赤い瞳の視線を、彼は辛うじて避けた。続いて、仔猫たちの爪が襲い来る。駆け寄った螢衣が、癒しの符で悠里の傷を塞いだ。 今のところ攻撃は前衛に集中しているが、あまり打たれ強いといえない自分が狙われると厄介なことになる。そう判断した付喪は、狙いをつけさせないよう巧みに位置を変えながら魔力の雷を解き放った。万が一、近くに生き残りの仔猫がいたとしても、彼女がその位置を認識していない以上、巻き込む心配はない。 「その眼つき、気にいらねぇな」 爛々と輝く仔猫の赤い瞳を見て、福松が不快げに眉を寄せる。そこに狙いを定め、彼はリボルバーの引き金を絞った。集中により研ぎ澄まされた射撃が、正確に仔猫の片目を貫く。続いて接敵したノエルが雷撃を纏う一撃を繰り出すが、仔猫は辛くも直撃を避けた。 「ふふ、流石は元仔猫、という事ですか。面白い」 その俊敏な動きを見て、ノエルが不敵な笑みを浮かべる。ここは焦らず、命中率を高めていった方が良い――そう判断した葬識は、仲間達と攻撃のタイミングをずらし、集中を始めた。 「命はひとり一つきり、それを狩るのが殺人鬼」 ――なくなった命に興味はないけど、殺戮するのにはいい夜だ。 ●再び、還る 戦いの流れは、次第にリベリスタの側に傾きつつあった。仔猫たちは優れた回避力を誇るものの、耐久力はそこまで高くはない。集中を重ね、攻撃を確実に当てていけば、いずれは崩れる。 「――まとめて面倒みてやる」 充分に集中を高めた銀次が、仔猫たちを見据えて言い放つ。 彼は味方の立つ位置や、姿の見えないもう一匹が隠れていそうな場所を巧みに避け、拳に集めた魔力を一点に向けて炸裂させた。噴き上がる炎が仔猫たちを呑みこみ、その身を焦がす。そこに続けて、葬識が暗黒の瘴気を放った。 「どんな命でも貴賎はないよ。けれど、死んだ命が戻ってくるのは美しくないよねぇ」 片目を失った仔猫が、力尽きて地に崩れる。残りの二匹は、兄弟を殺された恨みをぶつけるように、呪いの視線をリベリスタ達に向けた。 抵抗及ばず、銀次の全身が石と化す。しかし、真正面から視線を受けたはずの影時は、何事もなかったかのように仔猫の前に立っていた。彼女に、呪いの類は通用しない。 毒は変わらず全身を蝕んではいたが、これが仔猫たちの痛みや苦しみであるなら――喜んで受けようと、影時は思う。 「――これが俺のしてやれることの精一杯なんです!」 傷ついた仔猫に、彼女の気糸が絡みつく。早く死んで。どうか、楽になって。 大技の連発で消耗した悠里が、その横から指で仔猫に触れ、血液とともに活力を奪う。自己満足とはわかっていても、仔猫に牙を突き立てることは出来ない。 螢衣が、毒に侵された影時を癒しの符で支える。一歩踏み込んで包囲を狭めたノエルが、仔猫達に向けて言葉を投げかけた。 「一体たりとも逃がしはしませんよ」 彼女のオーラが雷気を帯び、蒼白い火花を散らす。 “貫くもの”――信念の名を冠した白銀の騎士槍が、仔猫の姿をしたエリューション・アンデッドの小さな体へと繰り出された。 「世界に害為すモノよ、消えなさい」 激しい雷撃の中、胴を貫かれた仔猫が絶命する。 ただ一匹残された仔猫は、それでもなお戦いをやめようとしない。自分たちを捨てた人間への恨みか、それとも生への渇望か――低い唸り声を上げる仔猫と福松の視線が、一瞬交錯した。 「オレなら殺れると思ったか?」 そう言って、彼はリボルバーの引き金を絞る。前衛たちに阻まれ、思うように動けない仔猫の体を、弾丸が抉った。連携しようにも他の猫たちは既に倒され、飛び掛ろうにも移動範囲を激しく制限されている。後は、残る一匹に止めを刺すだけだ。 「――腐っても男銀次、魔術師っ! 呪いなんぞに負けてられっかよっ!」 石化で動きを封じられていた銀次が、自らの気迫で呪縛を打ち破る。螢衣が、符術で作り出した鴉の式神を仔猫に差し向けた。 「抵抗しても苦痛が増すだけです。大人しく終わってください」 嘴に傷つけられて悲鳴を上げる仔猫に、付喪が指を突きつける。 「さあて、私の雷で派手に散りな」 放たれた雷光は、どこまでも鮮やかに蒼く輝き――小さな命を、儚く散らした。 ●仔猫の行方 倒れた四匹の仔猫を、銀次は丁寧にタオルで包んでやった。軽く温めたミルクを、彼らの近くに供えてやる。このために、彼は“五匹分”のタオルとミルクを準備していたのだ。 「せめて、食ってから向こうに行けよ」 死ぬ前に飲ませてやることは叶わなかったが――彼の心遣いはきっと、仔猫たちにも届いたことだろう。 あとは、先に見つけられなかった生き残りの仔猫を捜すだけだ。この寒気では、そう何日も保たないだろう。このまま死んでしまえば、最悪、その仔もエリューション化してしまうかもしれない。 「寒空の下、兄弟の温もりも失い、お腹をすかせた子が行く場所といえば……」 そう言って、ノエルは考えをめぐらせる。仔猫とはいえ、生き物としての生存本能は持っているはずだ。となれば、人目を避けつつ、少しでも暖を取れる場所に隠れているのではないだろうか。推理に基き、悠里は持ち前の直観と夜目を活かして周囲に足跡などが残っていないかを捜す。葬識もまた、煮干しを手に童謡を口ずさみながら、ダンボール箱の周辺を懐中電灯で照らしていった。 やがて――リベリスタ達は、公園の隅、茂みの中に蹲る仔猫を発見した。 死んだ四匹ほどではないものの、やはり弱っているようだ。小さな体は、随分と痩せてしまっている。動物の言葉を解する螢衣が、そっと仔猫に呼びかけた。 「こっち、あったかいよ」 それを聞き、仔猫が僅かに顔を上げる。 「おちち、あるよ」 「こっち来て、飯食わねーか?」 螢衣と銀次に呼びかけられても、仔猫は動かない。怯えもあるかもしれないが、それ以上に消耗しきっているのだ。無理もない。空腹を抱えて、必死に逃げ回っていたのだから。 逃げられる心配はないと判断した葬識が仔猫に歩み寄り、その小さな体を抱え上げる。 リベリスタ達の持参した仔猫用のキャットフードと、人肌くらいに温めたミルクが、仔猫に振舞われた。悠里が持ってきた柔らかい布団の上で、仔猫が数日振りの食事にありつく。 「ゴメンね。君の兄弟を救えなくて」 慌てて食べて喉を詰まらせないように気をつけてやりながら、悠里は申し訳なさそうに仔猫に語りかけた。兄弟が殺されるところを見ずに済んだのは、不幸中の幸いだったと思う――影時の手が、仔猫の頭を優しく撫でた。 (せめて、貴方だけは生きてください) 言葉は通じずとも、思いが届くことを祈って。 「死にたくなけりゃ強くなれ。オレに出来るのはここまでだ」 仔猫がキャットフードとミルクを平らげたのを見届けた後、福松がそう言って立ち上がる。残る問題は、この仔猫を今後、どうするかということだ。 「僕は団地に住んでるからペットは飼えないんだ」 申し訳なさそうに言う悠里に続き、ノエルが軽く肩を竦めてみせる。 「……わたくしは引き取ってもロクな育て方ができぬでしょうからね」 アークに連れて行けば、良い里親が見つかるかもしれない。そういう意見がちらほらと出てくる中、ここまで沈黙を貫いていた付喪が口を開いた。 「まあ、面倒を見る人間が居ないなら引き取るけど。どうせ居るだろ? うちは人の良いのが多いからねえ」 そう言って、彼女は視線を銀次に向ける。 仔猫の傍らに座りこんだ銀次は、はっきりした口調で問いかけた。 「なぁ、お前、俺ン家来るか?」 もとより、全員まとめて面倒をみるつもりでここに来ている。 その誠意が通じたのか、仔猫は小さな瞳で銀次を見つめ、そして彼の手に頭をすり寄せた。 「飼い主、決まったみたいね?」 葬識はそう言って、大きく伸びをした。火傷の痕が残る端整な顔を向け、彼は銀次の手の中の仔猫を見る。 ――拾い上げた命はまだ喰らうときではないしね。 心の中で呟き、葬識は赤い色をした目を細めた。 影時が、最後に仔猫に向けて手を伸ばし、その頭を柔らかく撫でる。 「貴方は強く生きるべきです。この世界は一人でも生きていけるようですよ」 でも、周りの恩恵は忘れずに――俺みたいにね。 そう言って、彼女は仔猫をしばらく撫で続けていた。 倒された四匹の仔猫は、螢衣の手により手厚く葬られた。 「多分、これもわたしの自己満足でしょうね」 呟く彼女に、付喪が答える。 「死者に出来る事なんて、その死に意味を持たせる位だよ。他の子がエリューションになったから、この一匹を助けることが出来たってね――」 何が正しいのかは、きっと誰にもわかりはしない。 それでも今日、リベリスタ達は一つの小さな命を救った。 ――それだけは、確かだった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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