● 書かなきゃ書かなきゃあああまた吹き出した書かなきゃ書かなきゃいけないのは分かってるんだけど何を書いたらいいかさっぱり思いつきやしないというか甘みとかうまみとか渋みとかのバランスがそもそも材料が足りないもっと内分泌系をいじらないと材料が何もないところから何かを生み出すなんて無理なんでこんなばらばらなのかなそこのなにかがなければ舌触りが悪くなっててなにかが書けないじゃないかと言うよりそもそも書くべきことを言及しなくちゃいけないんだからつぶつぶ具合がふぞろいでちゃんと実験して検証して考察して仮説を立てて再実験して再検証しなくちゃいけないじゃないかこれも我らが王のためひとつ積んでは王のため二つ積んでは王のためだからきちんと最終採集経過観察回収回収回収回収……。 ● 今日はやたらと寒い。 コートの前をきっちり合わせてどこにも隙間がないように。 夜道に座り込んでいた女の子は……夏用セーラー服? こっちの顔を見ると、輝くばかりの笑顔と人懐っこさでずんずん近づいてくる。 おかしい人かな。 こまった。この辺わき道ってないんだよ。 コンビニに戻って、迎えに来てもらおうかな……。 なるべく不自然じゃないように、引き返して……。 首が急に絞まった。 セーラー服が人の襟首に無造作に手を突っ込んできた。 頭蓋骨のねっこ辺りがやたらと熱い。 声がでない。 セーラー服が、人のコートの下のスカートを無造作に捲り上げて、その下のストッキングを引き裂いて、人の腹に断りもなくぺたぺた触って……助けて、痴女! セーラー吹くの痴女! 通り魔! 通り魔だ! 指先がポケットの防犯ベルを探り当てて鳴らそうとしたとたん、セーラー服がそれをぺしょんと指二本で粉砕してしまった。 かわいい顔してるけど、無表情。 じっとこっちを見下ろしている。 その指の先が赤黒いのは、のはのはのはのは、考えない。今、考えない。ずっと考えない! 逃げなきゃ、逃げなきゃ。とにかく、どこでもいいから、逃げなきゃ。 この辺のおうちの呼び鈴押して、警察と救急車呼んでもらわなきゃ。 だって、なんか首からだらだら暖かいものが流れてんだもん、怖くて見られないけど、これなんか命に関わることされた。 なんだって、みんな電気ついてないのよおぉ!? 声がでない。喉からは呼吸音と引きつれたしゃくり声しか出ない。 あれ? なんかハンパなくおなか痛い……。 しゃがみこまざるをえない。 おなか痛いよ、すごく痛いよ。 おなかの中で、びちびちぶちぶちって音がするよ。 目の前が暗くなる。 いたいたいたいたいたいいたいたいたいたいたいぃぃぃっ!! 体をくの字にすることも出来なくなった。 壮絶な痛みに、ビンと緊張した体。 泣き叫んだら痛いから、顔の筋肉も硬直している。 たすけたすけたすけたすけ……誰か助けてたすけてよおおおおおぉぉぉ!!! それが、最後のまともな思考。 大きく見開かれた目から粒にならないな涙が滴り、口から突き出される舌。 ぶつぶつぶつと体の中から何かが引き千切れ、ちぎれ、ちぎれちぎちぎちぎちぎちぎち。 コートの上にぽつんと赤い染み。 ぼふんっ!! 爆発音がした。 文字通り、それは噴き出した。 コートのボタンが、女性の人としての尊厳を守った。 隙間からちらりと見える、赤黒いもの。 盛り上がり具合から行くと、腹の両脇から二房。 周辺に広がっていく赤い液体。 あああまた失敗しちゃったりしたら提出まにあわ実が潰れて卒論品質に問題がいかんせん耐久力がイマイチ……とにかく回収回収回収――。 ● 「……幸い、これは未来の話」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)の顔色が青い。 「アザーバイド。識別名『ランカク少女』の仕業。若い女性の内臓の未成熟な部分を全て成熟させようとしているみたい」 イヴの無表情の底に生物的嫌悪感と忌避感が漂う。 「自然ではありえない規模での成熟及び肥大化により、各臓器を圧迫。急性多臓器不全、出血性ショック死……なんて事態を放置する訳にはいかない」 モニターに、映し出される建売分譲住宅街。 「家はたくさん建ってるんだけど、まだ全然埋まってない。空き地もあちこちあるから、女子が一人で歩くのは危ないね」 そこを、『ランカク少女』出現予想時刻に十代から二十代の女子にあえて歩けとイヴは言う。 「おとり。この時間なら、巻き込まれそうな彼女が現れる前に戦闘が終わるはず。なお、万一のことがあるので、今回は四人動けなくなったら必ず即時撤退」 イヴは、後はチームに任せるといった。 「で、どの内臓か聞いてもいい?」 「……卵巣」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:田奈アガサ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 2人 |
■シナリオ終了日時 2012年01月20日(金)23:39 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
■サポート参加者 2人■ | |||||
|
|
● こんなに気持ちが悪いのに有効で大事にしなくてはいけない資源なので無体なことも出来なくて限りある資源を大切にしなくてはいけないから失敗は許されなくてでも熟し方にバラつきが出てせっかくの開発コンセプトに支障が出てあの子は着々とレポートあげてるのにどうして私はこうなのかなって考えるとこんな辺境で一人でサンプルの出現を待っている自分の存在意義とか王よ私は幸福です偉大な王の為に私のような矮小な者でもお役に立てているのであろうかと、遍く慈悲をお与え下されてるご恩に報いることができるのであろうかせめて今書いているレポートを充実させて少しでもまともにお仕えできるようになろうと邁進しているんでスがどうしてこの端末はこんなにも稼働率が悪いのかと――kkkkkkkgms:srjふぃあ:fk―― 夜道。 アスファルトの真ん中にべったりと座り込み。 ぽっかりと虚無のような高校をあけたまま。 ツインテールに夏服セーラー。 一目で、足が縫いとめられる異常さ。 一定の距離を詰めてはいけない異質さ。 世界と相容れない、来訪者。 「ランカク女学生」 包囲の網は徐々に狭められていった。 ● 建っている家の数はともかく、住んでいるのはまばらな新興住宅地。 空き地の横に止められた黒塗りのワンボックスカーの中に、リベリスタが待機していた。 車内には、緊張感。 初陣独特の不安感を身体中から放出している者がいる。 『柿園家側近一族の娘』小松 知世(BNE003443)だ。 (アークにきて初めての仕事。アークの人達はとても強力と聞く。そんな中に私達が入って役に立つのだろうか) 「家」から離れての初めての戦闘でもある。 (柿木園君を私が守っていても良いのだろうか。もしかしたらもっと他に有能な方が居るなら……) 二十代の半ばを過ぎても、片恋を抱いた心は未だあの日の少女のままで。 「いやぁ、俺の車に女の子がいっぱいで嬉しいねぇ! このままドライブ行きたいぜ。なんつって!」 柿木園 二二(BNE003444)は運転席から体を回して、後部座席の待機組の女子に手を振る。 屈託がない。 年は知世と同じだが、言動からかずいぶん子供じみて見えた。 「か、柿木園君……そんなに他の女の人の所……行っちゃ……嫌――」 助手席から伸ばされた知世の指が、二二の服のすそを遠慮がちにそっとつまんでひいた。 知世もすぐに心配には及ばないことに気がついた。 待機組のリベリスタ達に、二二の軽口は届いていなかった。 皆、現れた敵に叩きつける攻撃のために集中に没頭していた。 『夢見る乙女』樅山 多美(BNE003276)にとって、乙女の体を傷つける者は開く以外の何もでもない。 (人様の身体を使って実験ね……自分にも二つついているのを忘れているようですね) どうせなら、自分のを使えばいいのに。 ツインテールにセーラー服。 自分と似た姿をした化け物を叩き潰す算段を、頭の中で何度も繰り返した。 それに。 『夢に見る鳥』カイ・ル・リース(BNE002059)が、知世の視線を感じて顔を上げた。 「そんな顔しなくていいのだ。BS持っていないようだかラ、サクッと叩いて倒すのダ!」 インコ頭の人とかいるし。 うん。恋が芽生える雰囲気じゃない。 無防備を装っている囮役の『ディレイポイズン』倶利伽羅 おろち(BNE000382)に万一のことがあってはいけない。 ただの怪我ならともかく、「何か」されてからでは取り返しがつかない。 すぐ飛び出せるよう、潜伏に長けたリベリスタ達が待機していた。 おろちの上空30メートル。 翼を広げた『オブラートってなんですか?』紫野崎・結名(BNE002720)が滞空飛行をしていた。 「命を大事にしない人は嫌いです。しんじゃえばいいのに」 夜の闇に、断罪の言葉が氷の針のようにばら撒かれる。 生来の正直者で、感想がそのまま口に出る。 双眼鏡でのぞいてみるが、まるで見えない。 ゆっくりと降下し、接触予定地点の家の屋根の寄り添うようにして身を潜めた。 清廉潔白なリベリスタ様の中では息がしにくい。 (女子高生をすぐにバラすなんてとんでもない。ウリで使えなくなってからバラして売らんと儲けにならんでしょ……) 一条・玄弥(BNE003422)はそう一人ごちる。 それが女商売というものだ。 限りある資源は大切に。 金の卵を産む鶏も腹を割いたらそこでおじゃん。 道の反対側から聞こえてくるくけけっという耳障りな笑い声に、瞳孔の拡散した『ランカク女学生』が反応を示したが、視線が合うこともなかった。 それ以上考えると深みにはまる。 生死ぎりぎりのラインに他って落ちていく人間を山と見た元始末屋は、それ以上追及するのをやめた。 (こわいこわい) ヤニに火をつけようとしているライターを持つ手が震えていた。 更にその後方。 電信柱の影に気配を殺した『剣華人形』リンシード・フラックス(BNE002684)がいた。 (アザーバイド、ですか……しかも、殺し方が……かなり、特殊ですね……元の世界では、一体どんな狂気繰り広げられてるんでしょうか……本当、理解しがたい存在ですね……) 腰の半ばほど。地面につきそうなツインテール。 (見た目はこの世界でも通用する、普通の女学生ですが……その行為は到底、受け入れることはできません……) どろりと溶けたような目は、こちらの言葉など理解の範疇外だといわんばかりだ。 「排除させて貰います」 ● 信仰心について考えていなかった王に乙返し身を捧げることの喜びの元に育成しなくちゃよりおいしくはならないじゃない私の馬鹿いつまでたっても帰れない早く帰りたい帰りたい王の庇護と慈悲に蜜あふれた故郷に帰りたい。 サンプル、捕獲領域に侵入。速やかに捕獲実験再開。前回までの状況を鑑み、進行状況を補正。場合によって、事前の腹腔内競合器官切除、生命維持も同時進行。 全身前進とにかく漸進実験補正実験補正。 おろちの肉感的スプリットタンが、舌なめずりをしている。 「まぁ、アタシ達がブタさんとかウシさんとかにしてることと大体一緒よねん……うふ、もしかしたら惨たらしく自分がアレされるかと思ったら、ちょっぴり興奮しちゃったわん」 携帯電話の向こうの『薄明』東雲 未明(BNE000340)から返ってきたのは、微妙な沈黙だ。 コートの前をきっちり合わせて、夜道をオンナ一人で歩くとき程度の警戒感を演じている。 「そろそろ……あれかしらん? 道路の真ん中になんか白いのが……」 『それよ。後ろに一条さんとリンシード。屋根の上に結名。あたしたちもすぐ出れる』 「じゃ、いくわねぇ? どきどきしちゃうわん」 それまでどろりとした目をして座り込んでいたランカク女学生が、ぴょこんとばね仕掛けのように立ち上がった。 首が座っていないように不自然にかくかく動く。 なのに動きが早い。見る見る近づいてくる。 「くふふ、どう? アタシってオイシそう? でも『毒』があるから……取扱いには要注意よん」 はだけたコートの下は、刺で武装されている。 おろちの臨戦体勢を受けて、リベリスタ達は深夜の路上に躍り出た。 補正情報検索終了:毒のある卵巣はミソにつける。問題解決。 検討事項:ミソの入手方法。脳ミソでの代用は可能? ● おろちは見たかった。知りたかった。これから壊すアザーバイドの何もかもを知り尽くして、味わいつくしてから壊したかった。 (能力もだけど、敵の本質を見極めたい。ヤツの姿は『a)本来のもの』か、『b)一般人少女をのっとって動かしている』のか、『c)少女を装ったナニカを遠隔操作でもしている』のか) a)ではない。これは生来の姿ではない。b)でもない。一般人ではない。c)でもない。少女を装った何かを遠隔操作しているわけではない。 答えは、少女を装った何かそのものだ。 能力は、愚直に力が強い。 「させません……動かないでください」 リンシードが加速を上乗せした一撃を閃かせる。 かろうじて直撃を免れたランカク女学生の背中に赤い筋が刻まれる。 血も出さない。 筋繊維も血管も脂肪層も何もない、ただ赤い寒天の上に白い寒天が載せられたような酷く模式図的な人体もどきがぱっくりと割れたところからのぞいている。 そんなもので出来ているのに、人間そっくりに見えるのだ。 そのまま手が、おろちの首に向かって伸ばされる。 おろちは持ち前の反射神経で身をひねった。直撃は免れる。 屈強な体を持つおろちの首が、引っかかった指二本分抉れた。 ランカク女学生の指先に、抉られた小さな肉片。 無造作にその手を自分の腹の中に突き入れ、すぐ出す。 もう、肉片はどこにもない。 リンシードからは見えてしまった。 赤い寒天の中に、肉片が浮いている。 他にもなにか臓器が、同じ形をした別のモノが何個も何個も……。 それがなんであるのか理解してはいけない。叫びだしたくなる衝動を抑えなくてはいけない。 更に、もう一撃。 玄弥は自分の命をどす黒い瘴気に変えて、短い槍の先に溜め込むと、ランカク女学生に向けて叩きつけた。 「狩りを行う瞬間が命とりっていうっでしょ? くけけっ」 耳に残る笑い方だ。 挑発とも取れる玄弥の言葉にも、ランカク女学生は反応を示さない。 かくかくと据わらない首。 カタカタと止まらないあご。 ぷるぷると口の中で震える舌。 きときときとと震える黒目。 つられて、白目がゼリーのようにふるふる揺れている。 (ひどく似てるからこそ、違う部分が目立って気味が悪い) 未明は、ツインテールの夏服セーラー服を着たアザーバイドを見て、眉をしかめた。 (ロボットとかだったら、こういうの不気味の谷って言うんだっけ。けどこいつの場合は、それとも違う嫌悪感。ただ、単純に気持ち悪くて気味が悪い) こみ上げてくる嫌悪感。 「お互い交わす言葉も無いでしょ、全力でいくわ」 (言葉が通じたとしても、話が通じる相手だと到底思えないわね、これは) 未明が今までために溜めていた集中力をここぞとばかりに爆発させる。 分裂した未明が、ランカク女学生の肩に腕に腹に胸に頭に襲い掛かる。 ぐらりぐらりとランカク女学生の体がかしぐ。 「あの格好寒そう、寒くないの?」 気糸でランカク女学生の死角に罠を張り、絡めとった結名は思ったことを口にした。 ランカク女学生は答えない。 いや、舌が震えているし、何か音は発生しているようだが、よく聞こえない。 周波数が合っていないのかもしれない。 「実験? 卒論? レポートとか上手く書けないとちょっと焦りますよね。でも、それって、普段の勉強が足りないのだと思いますよ。私で良ければお手伝いしましょうか?」 ご近所でも、まじめで成績優秀なお嬢さんと評判の多美が言うと、理想論にも説得力が出る。 手にした鉄球に遠心力。 集中していた分、操作に正確性がでる。 「ほら、こういう具合に鉄球で突き突きすると、熟れた感じになりますよ」 例えるならば、ざくろのように。 肩からひじまでぱっくりと割れる腕の中。 赤い粒々が骨もない赤い寒天の中に。 ぶん。 割れた腕が、異様に伸びて、玄弥にむけて伸ばされ、その首をぎりぎりと締め上げる。 まともに食らったのど輪に、玄弥の意識が飛ぶ。 (ちいっ。化け物の大切なもん壊したり、嬢ちゃんらのケツなでたり、やりてえことはまだあったのによ……) 薄れていく意識。 ぽいっと、無造作に、ランカク女学生は玄弥をアスファルトに落とした。 懸念事項:野生種からの襲撃。(一般種より頑強? 改良効率期待大) サンプル保管部位に損傷。 対応策:野生種の捕獲、新方式採用。捕獲。雄個体は年齢超過。廃棄。 慈悲ブカキ王よ。新たなる可能性をありがとうございます。このお恵みに感謝します。 ● 『十徳彼女』渡・アプリコット・鈴(BNE002310)の巡らせた結界により、空気はリベリスタに味方している。 当たる。 当たる。当たる。当たっている。 不調も効いている。 なのに、何で倒れないの? 「よぉ! そこの女学生チャン、俺達と遊ぼうぜェ!」 ランカク女学生に隙が解除されなかったのを確かめると、二二はチェーンソーを手に走り出す。 射程範囲外に出来るだけいようとしていた知世が、「あ……」とか細い声を上げた。 ドドドドド……と腹に響く作動音をさせながら、まがまがしい黒い光を帯びた回転する刃がランカク女学生の腹に食い込む。 びしびしっとランカク女学生の腹に亀裂が生じた。 止まったハエを叩き潰す無造作。 ランカク女学生が、大振りに手を二二に向かって振り下ろす。 まともに急所に入った。 (私が、柿木園君をまもらなあかんのに……!) 知世の喉の奥で悲鳴が凍った。 「俺痛いの嫌いなんだよね。女学生チャン、手加減してちょーだいッ!」 運命の恩寵は、望む者の上にもたらされる。 軽口を叩きながら、二二は再び立ち上がった。 「男に厳しいですよね」 結名が思いついたことを言う。 ということは。 「我輩、ピンチなのダ~!?」 カイが身も世もないインコ声を上げる。 しかし、ランカク女学生はカイを無視して、再び二二に向かって、手を振り回す。 「いけないのダ!」 カイがすかさず二二の上に覆いかぶさった。 「女の子かばいたかったけど、仕方ないのダ。でないと一人泣いちゃうのダ」 二二が目線をあげた先に、目を真っ赤にした知世がいた。 ● 懸念事項:端末の破損。保存中のサンプルへの影響。 対応:野生種サンプルの選別基準の変更による事態の早期収束。(幼体は放棄) リベリスタ達の命が削れていく。 結名の回復だけでは足りず、インコ声の福音詠唱も加わる。 ランカク女学生は、幼い結名は素材にならないと判断したようだ 伸ばされた腕が結名を捉えようとした。 その前に、鈴が飛び出す。 「ひゃあ、あぶない。紫野崎ちゃんは守らんといかんやろ」 きゅっと抱きとめられた鈴の腕からごっそりと肉が抉られている。 ランカク女学生はためつすがめつしていたが、その肉はアスファルトに捨てた。 そして再び結名へ。 その前に、リンシードが飛び出す。 「とある人と……約束も、しましたから……。紫野崎さんは絶対に、無事に返すと……」 ポツリポツリと言葉をつむぐ。 まともに腹に食らった。 それまでにやられていた傷とあわせて、リンシードの体が傾ぐ。 「ここで、倒れるわけには……いきませんっ……!」 リベリスタ達の攻撃は苛烈になっていく。 やらなければ、やられてしまう。やられてしまったら。 これを野に放ち続けることになってしまう。 誰かの腹が爆発することになっていまう。 それに伴って、とにかくこの生理的に耐えられない気色の悪いモノをどうにかしなくては、今日はまともに眠れそうになかった。 「そっちから見れば虚弱な生き物かもしれないけど、こっちも意地があるの」 アスファルトを蹴り、ブロック塀を蹴り、電信柱を蹴り、未明が目にも留まらぬ速さで三次元移動しながら、ランカク女学生を切り刻む。 想像はしていたけれど、脳もない。 多美の鉄球が、その頭を強打する。 ぶるぶるぶると目鼻立ちの輪郭が崩れる。 ひょっとしたらと思っていたけれど、やっぱり骨がない。 知世が溜め込んだどろどろした瘴気を放つと、ランカク女学生の両膝から下がもげた。 ずるっと、ツインテールの長さが増し、地面にぺたりとつき、それで「立った」 もう、我慢できなかった。 リベリスタ達は、蹂躙した。破壊の限りを尽くした。 とにかく、その存在を許すことが出来なかった。 おろちの放つ黒い光が直撃する。 頭がもげる腕が飛び散る。ごろりところがる胴体がばくりと割れた。 ぐるんと反転する。 割れた肉の奥に黒い穴。 そこに吸い込まれていく赤い寒天白い寒天その中に吸い込まれていく粒々。 遠く離れた所にまで飛んだ頭も腕も足もすべてを飲み込み、穴が閉じた。 リンシードは、ゲートを破壊した。完膚なきまでに破壊した。 「……みなさん、お疲れ様、でした……」 剣をしまう。 もう、何もないのに、気持ち悪さが手に残っている。 ただただ気持ちが悪い。 「知世。無事かな?」 二二が唐突に言う。 「は、はい!」 知世はあわてて返事をした。 「女の子達が無事であれば、俺何でもいいや! 乙さん! 帰ろうぜ!」 乗って乗ってと促され、なにより一刻も早くそこから離れたくて。 リベリスタで満載のワンボックスカーは現場を離れていく。 ● によによと。 細いものが唐突に空気に生えた。 バサッバサッと量が増え、ずるりとそれが這い出してくる。 少女だった。 ぐっしょりと粘液にまみれ、素足でアスファルトの上に立つ。 大量に流し込まれる作業のための情報を縦糸に、更に熱く書き込まれる信仰心を横糸に。 最後に、書きかけのレポート。添削されて、更に提案された部分が上書き。 慈悲ブカキ王よ、このお導きに感謝します。 王がため王がため欧のため世界は世界はくる狂食うr来るくうるくるくるkる閏るるう――――― |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|