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不倶戴天の激走(或いは激奏)

●衝天奇速・響天恫知
 速度は世界を破壊する。
 空間の認識を超えた速度は、やがて世界の破壊を齎すようになる。
 衝撃波(ソニックブーム)。追随に刃を向け、先行くそれに鎌をもたげるそれを回避するなら、確実無比に虚空の背後を抜けねばなるまい。
 急加速急転換急偏向、そして偏光。人智も陣地もうどうでもいい、圧倒速度が夜を駆ける。
 だから――その道程の神秘など蹴散らして。追いすがる神秘など食いつぶし、其れは夜の闇を駆ける。
 ひたすらに、何かを求めて。

●包帯男の日常
「あ――は、は」
 包帯越しに響く自分の声は随分とクリアで、その分、随分と更けてしまったものだ、と『無貌の予見士』月ヶ瀬 夜倉(nBNE000201)は嗤いを噛み殺した。
 余りに馬鹿げたビジョンだったが、万華鏡とのリンクが無かったが故にその解像度の低さは折り紙つきだ。
 だからこそ、その「異常」に寝起きの脳が耐え切ったのだろう。こんな時ぐらいしか、感謝できない事実だった。
「……伸暁君に押し付けちゃ駄目ですよねえ」
 駄目だろう、恐らく。

●加速装置の出番ですか?
 と、いうわけで。
「『七色』系統、通称『不倶戴天』のアザーバイドと同じチャンネルから、来訪者があります。無論、こちらにコンタクトがあったわけでもなし、かといって害意があるわけではない、というのが現在わかっている全てです。
 外見はゲジ――通称『ゲジゲジ』って呼ばれるアレです。確かに見た目はきっついかもしれませんけど、基本的には無害です。速度以外は」
 そんなわけで。
 お疲れ様でした。

「ああ、イヴ君も名古屋君もテラーナイトの一件で忙しいようですから、頼らないほうが身のためですよ?」
 押し付けたの俺ですけど、と小さく付け加えて、リベリスタ達の足を縫いとめる。コノヤロウ。

「残ってくれた方に手短に説明しましょう。アザーバイド『過速捕食者』は、七色系統の天敵に属する存在でして、まあつい最近までは闘争対象だったようです。しかしながら、彼らが尽く姿を消したのを勘ぐってこちらのチャンネルへ来訪。現在、調査に躍起になっている。そんなところでしょうか。
 ですが、彼の速度が尋常じゃない。常時ソニックブームです。地面も裂けます。建物も破砕されます。勘弁して欲しい――そんな訳で」
「倒すのか?」
 反射的に、そんな声が響く。しかし、夜倉は小さく首を振ると、大仰に肩をすくめ
「何とか追いついて、説得とかできませんかねえ。追いつく自体は兎も角、彼って一挙一動が破壊行動そのものですから、そのあたりの対策も必要ですが。あと、途中途中でエリューションも少しだけ発生してるので、その駆除も」
 倒さないの?
「倒してもいいですけど、何も分からないまま『あのチャンネル』とまた事を構えるんですか?」
 真っ平御免でございます。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:風見鶏  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 2人 ■シナリオ終了日時
 2012年01月02日(月)23:30
 不倶戴天第二章、はーじまーるよー。

●依頼達成条件
1.『過速捕食者』を空き地へと誘導する
2.『過速捕食者』との意思疎通。
※2を達成せず排除しても成功ではありますが、展開に大幅な変化が起きます。

●アザーバイド『過速捕食者』
 不倶戴天のチャンネルにおける準捕食者ポジション。
 当然人語は解さない。
 速度が尋常じゃなく速く(現有リベリスタ最速+)、回避がありえない(現有リベリスタ最高回避に匹敵)。常に2回行動を行い、殆ど移動に費やす。面接着、ハイバランサー相当を保有。

・N.S(P):自らの指向性で移動している間に限り、常に「物近範・出血」相当の攻撃を維持する。要するにソニックブーム。
・S.T(物近単・混乱):急速な方向転換。追随に支障をきたす。
・S.S(F)(神遠単・魅了):その後姿に秘めた魔力。真後ろを追随すれば、その速度に見惚れる可能性がある。

●戦場:ビル街+空き地
 ビル街は50メートル四方。兎に角ビルだらけなので、相手方も移動経路に混乱する可能性あり。
 中央付近にある広場(10メートル四方)へ誘導できれば第一目的は成功する。
 広場での戦闘に於いて、意思疎通を試みて会話に持ち込めば一応の成功となる。
 広さに注意。

 色々と考えて試行錯誤するシナリオです。
 頑張って行きましょう。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ナイトクリーク
星川・天乃(BNE000016)
ホーリーメイガス
霧島 俊介(BNE000082)
ソードミラージュ
紅涙・りりす(BNE001018)
インヤンマスター
焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)
ホーリーメイガス
秋月・瞳(BNE001876)
プロアデプト
レイチェル・ガーネット(BNE002439)

ルカルカ・アンダーテイカー(BNE002495)
クリミナルスタア
ガッツリ・モウケール(BNE003224)
■サポート参加者 2人■
ソードミラージュ
戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)
クロスイージス
カイ・ル・リース(BNE002059)

●神速・真速
 速度というものは、それが真に迫るほどに、早くなるほどに、世界に影響をあたえるものである。
 空気を裂き、重圧を産み、果ては時間すらも引き歪める――だからこそ、速度というものは恐ろしい。その恐ろしさを知るのは、リベリスタの中にあって誰あろう、ソードミラージュの面々だろう。
 速度が増す。空気が渦巻き、刃を作り、地面をナイフを入れたチーズの如く引き裂いていく。そのフォルムからすれば空気の壁を打ち破れば自壊する筈のフォルムは、しかし自分の速度を以てしてもその一切を損なわない。速度を操るということは、自らが生み出すリスクすらも食い尽くしてこその実力なのだ。故に、その存在が強靭であることは誰の目にも明らかで。
 そのカタチが何であるかなど、論じる前に止めなければならぬのだ。

「ゲジか……Gの天敵と言えばアシダカグモかと思ったが食物連鎖のさらに上の位置か?」
 まさかの手合いの出現に戸惑いつつも冷静な分析を続けるのは、『ナイトビジョン』秋月・瞳(BNE001876)。というか、アシダカですらあれなので其れ以上とか正直考えたくはないのだが。
「アシダカはアシダカで個別に存在しているようです……が、……うん、今回の仕事は交渉、落ち着きましょう私」
 瞳へ過去の報告書から得た情報を伝えようと、『シャドーストライカー』レイチェル・ガーネット(BNE002439)は口を開いたが、結局出てきたのは自活の言葉だった。だが、過去の報告書を読みあさって精神的ダメージを限界まで溜め込んだ挙句、超音速で動くゲジと交渉してこいなどと言われて幾人が正気を保てるだろう。一般人では無理だからこそのリベリスタです。本当にありがとうございました。

「ぎゃおおおおおおおおお!! ゲジゲジやめてよおおお!!」
 とまあ。
 過去に伝説的なトラウマの残し方をした(しかもファーストコンタクト)『Gloria』霧島 俊介(BNE000082)にしてみれば、また関わることになるだなんて正直勘弁極まりないはずである。
 だが――待て。この少年、あろうことかテラーナイト絡みの事件にも参加して一定以上の成果を挙げているのだ。今更キモい怖いが通用する身ではあるまい。ヨッシャ!(深呼吸含む)

 今回、彼らは『過速捕食者』の出現まで中央の広場で待機する手筈になっていた。そして、各々に探査、追跡、実交渉、加えて偶発的エリューションへの対応……と、かなり幅広く行うことになるだろう。
 そして、交渉のコマとしてとんでもないものを持ちだしたのは、『ゼログラヴィティ』星川・天乃(BNE000016)だった。虫籠に布を被せているとは言え、その籠からは絶えずガサガサゴソゴソ聞こえるわけである。俊介などは視線を向けないことに必死だ。全身全霊だ。

「我輩、鳥目だかラ、夜は更に見えないのダ~」
 目を瞬かせ、周囲の状況をしっかりと確認しようとしている『夢に見る鳥』カイ・ル・リース(BNE002059)だったが、本人の言葉通り、夜と言う環境は鳥にとって極めて不利な戦場であることは間違いない。間違いないのだが、神秘の前にそんな言い訳は通用しないと思う。多分。

「あー、あー、アイアム、ジャパニーズ……アー、ボウズ・コゾウ。ナムアミ、ダブツ。ニホンゴ、ワカリ、マスカ?」
「フツ……色々とアウトだと思うのよ」
「……いや、わかってるよ。人語介さねえんだろ!」
 普段からぶっ飛んでる性格である『シュレディンガーの羊』ルカルカ・アンダーテイカー(BNE002495)にすら冷静に突っ込まれるこの神性。ボウズ・コゾウこと『てるてる坊主』焦燥院 フツ(BNE001054)もその辺りは色々と間違っている気がしないでもないが、分かっていてもつい間違った異国語に走ってしまうのは日本人の常というべきだろうか。効果的かどうかはさておく。

 追いつくには、圧倒的な速度に対応する策が要る。
 止めるには、全員が全身全霊を賭してそれでも足らぬ力が要る。
 言葉を伝えるには、言語を共にする技術だけではなく、理解する努力が要る。
『人間失格』紅涙・りりす(BNE001018)は、そのどれも持ち得ない、と自分に対して敢えて定義付けた。ともすれば諦めの言葉に聞こえるかもしれないが、そうではない。それらが足りない分を補って余りある信念と手練手管で補い、役割を果たす――それがこの人物の在り方なのだ。
「それも何時もの事だし。ま、何時も通りセコくヤるだけだね。僕は」
 そんなごく当たり前の一言に、その在り方は集約されたと言えるだろう。
 ……状況さえ許せば、キマってる台詞なんだけどなあ。

「少しはっきりとは見えないけど……あれ、かお?」
 遠くへ向け、その視界を広げていた『おっ♪おっ♪お~♪』ガッツリ・モウケール(BNE003224)の視界に、ちらりとそれらしき影が映る。だが、その速度と距離から来るサイズ差に、確信を持てない。加えて、その速度。一瞬でも気を抜けば見失ってしまうだろうと思われるそれは、捕捉するだけで神経を削りに着ていた。

 だが、確実に破壊される背後の建築物を見れば、それが件のアザーバイドであることは疑いようもない。
 再び対象を注視し、声を届けようと意思を傾けるガッツリの傍ら、各々がその背に翼を纏う――

 矛を交えない戦いが、闇の中花開く。

●Night Chaser
(げじさんは……ここから大体南西から進んできてるお。右に左に動きまわってるみたいだお)
 瞳の翼の加護を受け、一も二もなく飛び出した『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)を始めとするリベリスタが視界から消える前に、ガッツリが思念を通して指示を送る。『過速捕食者』の動向を察知する重責を担う彼女にとって、リベリスタ達とその相手を同時並行的に捕捉し続け、加えてテレパシーを操るというのはどうしたって、無理がある。彼女一人で全てをカバーしようとすれば穴が出来る。策も通じない。だからこその協力関係なのである。

『ガッツリさん、無理はなさらぬよう。幻想纏い経由からの通話の方が我々なら確実ですから』
『そうそ! 頼ってくれたっていいんだぜー!』
「う……なら、お願いするお……」
 舞姫と俊介が、相次いで幻想纏いから言葉を紡ぐ。俊介のそれは彼の肩に乗る猫だが、どちらにせよ通信機能のクリアさは変わりない。僅かに顔を伏せたガッツリだったが、思考の切り替えは早かった。思念言語の対象を確認し、素早く言葉を練り上げる――

「さっき南東って言ってたのにもう正反対まで来てるのね。このまま抜けられても困るし、東側に――!?」
 真っ先に『過速捕食者』を捕捉したのは、速度と連続行動権を行使したルカルカであった。幸いにして幻想纏いが起動していたとは言え、彼女がそれを補足した次の瞬間には、その身が衝撃波に揉まれ、襤褸雑巾のように落下する。魔力で編まれた翼があれど、それが緩衝の助けになる確証など、無いのだ。
「ルカルカさん!? ……あれ、ですか……?」
 幻想纏いを通して状況を伝え聞いていた以上、他のメンバーも散開しつつそこそこの距離で固まることになる。とすれば、各々の状況も、相手の出現も多少なり視界に捉えるタイミングも存在する。レイチェルが追いついたタイミングが、丁度そうであったように。
 外壁が瓦礫と化す前に塵と消え、硬質の粉塵となって宙を舞う。レイチェルの姿を視認したわけではあるまいが、ほぼ直角といっていい軌道で方向を変えたその軌道は、彼女から大きく離れる形となった。視認した時のレイチェルの表情が得も言われぬものだったのは、ご愛嬌だ。

「音、聞こえる。このまま進めば、ぶつかる、かな……」
 翼の加護に身を置きつつも、自らの脚力にモノを言わせ、変幻自在にビル街を駆けまわる天乃。瓦礫の合間から出現するエリューション、外壁が変質したであろうそれは生まれて間もないのもあってか、彼女の指先の一振りで体を為さずに切り裂かれていく。
「光を避けてるってわけじゃない、か。でも、ああも頻繁に方向転換してるってことは……誘導できてるのかな?」
『完全じゃないけど、割と話の分かる相手だお。方向感覚がかなりあちきらと違うみたいだから、困ってるお』
「――ウム、色々と大変なんだなあ」
 ナリがゲジなら、習性にも似通った点が存在しうる、と考えていたりりすの眼前で、しかし相手は絶えず方向転換を繰り返し、光を避けるそぶりをまるで見せていなかった。だが、通信として流れるガッツリの言葉からは、それが彼女の交渉の結果だということが分かる。
 完全な背後を取らぬよう、しかし衝撃波を警戒しつつ。フツが何とかその動きに喰らいつけたのは、かなりの僥倖であったといえるだろう。

「おーい、こっちじゃねーぞー!」
 自らの方へ飛び込んでくる相手に、俊介は広場を指さして進行を遮ろうとする。それに反応しての方向転換が、彼の身を幾許か苛むが、しかし吹き飛ばされても何とか精神の揺さぶりには耐え切った辺り、凄まじい。……いやまあ、その口のエリューション放り出そうよ。息絶えてるし。

「それにしても、交渉してるにしては速度がちっとも落ちないのダ、何が起こってるのダ……?」
「『速度の有り様は存在主義に関わる、速度を落とした移動だなんて死にましておぞましい』……との事だ。やはり理解出来ないな、別世界は」
 交渉は進んでいるはずだし、言葉は理解できている。であれば何故、速度が落ちないのか、というカイの疑問には、瞳が代わりに答えを示す。
 彼女も一応の交渉はしたのだが、そこばかりは譲歩不可能な一線だった、ということか。

 やがて、建築物に破損がないものが珍しい程に多くの時間と犠牲を払った末、『過速捕食者』は中央広場へとその身を躍らせた。

「きゃー、こっち来たー!?」
 折り悪くレイチェルが居たのはご愛嬌だ。

●やがて幻想(ゆめ)は現実(うつつ)を食む
 りりすがルカルカを回収して中央に戻る頃、既に両者の間での会話が始まるところだった。エリューションはほぼ全てが発生直後であったがために大きな脅威ではなく、寸暇を置かずしてリベリスタに駆逐されている。交渉への闖入者は先ず発生しないだろう。

「これで、意思は伝わると思う、けど」
「いやぁぁァァァァ!?」
「……、……!」
 天乃の行動には、一切の躊躇がなかった。多くの修羅場を越えて、『それ』に対する圧倒的な耐性を持ち得た彼女からすれば、掌の裡に収まる程度の存在を握り潰すことなど造作も無い。でも俊介は悲鳴上げるしレイチェルは白目剥いてるし、自重が必要な局面ではないだろうか。

「われ上位世界との架け橋となr……りたくないが、やらねばならんか」
 諦め気味に深いため息をついた瞳は、ゆっくりと歩を進めると、異界の言葉で交渉を始めた。

「敵意が無いのは、恐らく分かって頂けたと思うが……どうだろうか?」
「……勇ましいのだな、この地の騎士階級というのは」
 瞳の言葉に対するその返答には、敵意や害意の類は一切感じられなかった。というか、先程までのガッツリとの対話が一定の理解を生んでいるのだろう、その言葉にはリベリスタに対する理解が深いようにも感じられた。

「そちらの言い分については、概ね理解した。我輩を含め既に四派の流入があったとは……否、こちらでは『ソウチョウ』などと呼ぶのだったか。あ奴からは話半分に聞いておったが」
「知っている、の?」
 瞳を通し、問わず語りにその名が出たことは天乃を驚愕させるには十分な情報だったといえる。こちらの世界で言えば全く違う生態を持つ生物同士、横の繋がりがあるなどとはどう会っても考えはすまい。
「知っているも何も――そちらの想像は些か我らを旧時代的観念で捉えすぎだ。種の絶対的な上下関係はあるが、同程度の強度を持つ者同士は政治的解決もあろうよ。……まあ、蛮族の如き者達が少なくないのは認めざるを得んが」
「ほ、ほぅ……」
 その言葉を聞き、しかしリベリスタは真っ当なリアクションを示すことが出来なかった。知的レベルがとか位の上下がとか、ぶっちゃけ俺達にはどうでもいいよ。帰ってくれよ。来ないでくれよ。寧ろビーの一件を知っていながらお前その反応は軽すぎねえかな。
 ほぼ全員のそのリアクションを微妙な表情で隠しながら、しかし情報を得なければならない。何でしょうこの生き地獄。

「つ、つまりそちらの存在が悪影響になることは……」
「知っている、というのは誤りだが、そのような認識はある。存在の相違が善悪を超えるのは世の常というものだろう」
「じゃあ、一体何で来たんだよ?! っていうかどうやってこっちの世界に来てるんだよ?」
 堪りかねて、一気に言葉を吐き出したのは俊介だった。まあ、完全な形では伝わらないとしてもその言葉が口を衝いて出るのは仕方のないことだろう。
「『調査』、といえば傲慢に聞こえるやも知れぬが。純粋な興味と懸念からだと言っておこう。こちらの住人が多少なりそちらに流入している可能性、こちらに対する影響の深さ、その他諸々……不確定要素が多すぎるのだ。下界へ降りる手段も、吾輩程度になれば造作もなき事よ」
 ぞぞぞぞぞ、と血の気の引く音がその場を席巻したように思えた。言葉通りなら、今現在も『あのチャンネル』から人知れず世界干渉を受けていることにほかならず、このゲ、違った『過速捕食者』はその管理をすら自負しているのだ。その結果があの有様である。

「こ、今回はこちらの方で何とかしますので……今日のところはお引取り願ってかまいませんでしょうか?」
「そこまで言わせてしまっては忍びないな。では、今回は失礼するが――ゆめ忘れるな。我輩らの知らぬ所で起きることは多い。何れまた見えることもあろうかと思う」
 もう二度と会いたくありません、という言葉を何とか飲み込むと、リベリスタ達はその後姿を追ってバグホールへと向かう。だが、明確な指向性を持ったそれに追いつくことはこんどこそかなわず。彼らが追いついたときには、既に彼が通ったバグホールが収縮を始めているところであった。

 ――嗚呼、悪夢の帳がまた開く。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 作戦としては形も綺麗で、連携も悪く無いと思います。
 非戦の扱いについてもう一押しあれば、とは思いましたが、十分及第点に達していたかと。
 そうでなければ、敵意を以て対処されて情報交換どころではありませんでしたし。

 ともあれ、今後の展開に暗雲が立ち上っている気がしないでもありません。
 頑張って行きましょう。