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もちを討て!

●暴れもち
 この世には、“とても美味しいもちが作れる”という臼のアーティファクトがある。そこに入れればどんな米であろうとも、とても美味しい出来栄えになるという新年の際にひとつは欲しいアーティファクトだ。
 しかし、とある理由からそのアーティファクトは封印されていた。というのも、そのアーティファクトを使って作ったもちはとても美味しいけれども、暴れるのである。
 しかも十分以上の強さを持ったもちであり、下手なフィクサードではそのもちの前に敗れ去るしかない。食う側が逆に食われてしまうのだ。
 それでも、それでもだ。もちは殺人的に美味しいという噂のため、これに挑戦するフィクサードは後を絶たなかった。
 己の命を課しても、食べたいものがある。これを食べれば、人生はハッピーに向かうという伝説もある。
 また一人、そうした伝説を信じてもちをこね始めた男のフィクサードが居た。
 大剣と杵を手に、真剣な顔で臼の中のもちをつくその姿はとてもシュールであるが、それは彼の命を賭けた行動である。誰が笑うことができようか。
 もち米に、諸々の材料と命を込めて丹精込めて作る。それだけのこと。それだけのことを、彼はやっていた。美味しいもちを目指して。
 そして、できあがったのはもちろんもちだ。ふっくらと仕上がり、とても美味しそうに見える。
 だが、それは死闘の始まりでもあった。男は大剣と杵を手に、飛び上がって攻撃を仕掛けてきたもちと戦うことになった。
 ……しかし、もとより覚悟の上のつもりだったが、自分で生み出したもの故に男の剣は鈍ってしまう。その隙を突かれ、男の体にもちのとりもちが直撃。身動きがとれなくなってしまう。
 力を込めてもがくものの、動けない男に向かって近づいてくるもち。分裂を繰り返しながら、数を増やして襲ってきたもちは、それぞれ恐ろしい攻撃を繰り出し――。
 男は、命を奪われた。

●いいからもちつけ
 あんぐり、という表現がよく似合うほどに、リベリスタたちの口はぽっかり空いたまま閉じなかった。
 というのも、この……どこから突っ込んでいいのか分からない未来の映像を見せられたからには、こうなるのも仕方ないと言える。
「まあ、そういうアーティファクトもあるのよ。世の中には」
 だから諦めなさい、という涼しい顔でリベリスタに解説をしているのは『運命演算者』天凛・乃亜(nBNE000214)だ。説明する乃亜も、どこか諦めたような顔をしている。
「状況を説明するわね。ある日、町の神社に封印されていた臼型アーティファクトが奪われた。奪われたアーティファクトはさっきの映像通りの力を持っているんだけど、アーティファクトを奪ったフィクサードは自宅で使用しちゃったの。それで、ハタ迷惑なことに、このフィクサードの自宅は街中にあるのよ……」
 つまり、と動く度にふりふりと揺れるツインテールを指で流してから、乃亜はリベリスタたちに向けて人差し指を向ける。
「被害が予想されるわ。もちろん、これを放って置くリベリスタじゃあ……ないわよね?」
 自信満々にウインクをひとつ。
 やれやれ、とこれにはリベリスタたちも両手を掲げて反応するしかなかった。
 そんな反応を見せたリベリスタたちに対してコロコロとした笑顔を見せながら、乃亜は手元の資料を渡していく。今回の事件、微妙に悲しい背景があるらしい。
「どうも、新年を迎えた独身のフィクサード男が、新しい年こそクリスマスで成功するぞという意気込みを込めてもちを作っているみたいね」
 その背景にため息を付いてから、乃亜はもう一度フィクサードたちの顔を見て頼み込んだ。
「……お願いね。どんな形であれ、無闇な人の死を防げるのはあなた達だけだから」
 その強い眼差しには、真剣が見て取れた。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:nozoki  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2011年12月31日(土)21:13
 はい、新年を迎える前にもちを用意するのは年末に必要なことですね。
 今回は、そんなもちに関わるバトルです。

●勝利条件
 アーティファクトを回収し、もちを倒す。

●舞台と状況
 アーティファクトを奪い、もちを作った男の自宅です。街中にある一軒家で、一人暮らしをしています。
 臼が置かれている居間は、戦いに十分な広さを持っています。
 鍵は空いています。
 リベリスタたちが駆けつけた時は、もちが既に作られてしまっており、フィクサードは倒されてしまっています(気絶中)。

●アーティファクト
 臼型のアーティファクトです。「爆誕のもち臼」という名を持ち、このアーティファクトを使ってもちを作るととても美味しく、食べると人生が良い方向を向くという伝説があります。
 しかし、もちは非常に凶暴になり、自律して動き回ります。人を殺すこともあるでしょう。

●もち
 アーティファクトによって作られ、動き回り始めたもちです。分裂したため、数は8体います。ただし、これ以上増えることはありません(小さくなりすぎてしまうため)。
 攻撃方法は対象を捕縛させ、攻撃力・防御力を低下させる遠距離攻撃とりもち弾と、ノックバックの効果を持つ体当たりです。
 能力はそれなりにあり、油断はできません。
 倒すと食べられます。

●フィクサード
 神社に封印されていたアーティファクトを奪い、もちを作った張本人です。
 フィクサードとしての実力はそれほど高くありません。
 27歳の男で、顔は悪くないのに未だに彼女を作ったことはありません。クリスマスも膝を抱えて家に篭っていました。
 気絶しているため、戦闘には特に参加しません。
参加NPC
天凛・乃亜 (nBNE000214)
 


■メイン参加者 8人■
ホーリーメイガス
ニニギア・ドオレ(BNE001291)
覇界闘士
付喪 モノマ(BNE001658)
クロスイージス
鮫島 ジョーズ子(BNE002625)
ソードミラージュ
リンシード・フラックス(BNE002684)
★MVP
クリミナルスタア
イスタルテ・セイジ(BNE002937)
スターサジタリー
鳶屋 晶(BNE002990)
ナイトクリーク
六・七(BNE003009)
クリミナルスタア
細・遥香奈(BNE003184)

●もちもちへ
 今回、リベリスタの皆が戦う相手はもちである。暴れもちだ。どうしてそうなったのかを簡単に言うとアーティファクトのせい。説明終わり。
 ともかく、そのもちと対峙することになったリベリスタたちは燃え上がっていた。おいしいもちを食べたいのだ。
「おもち! しかも、おいしいおもち! ……あ、お邪魔しますっ」
 目を少女のようにキラキラと輝かせながら、『大食淑女』ニニギア・ドオレ(BNE001291)はもちをついたというフィクサードの家の玄関を潜る。ちゃんと結界も忘れない。
 称号の通り食い気の強いニニギアは、ハッとしてよだれが出ていないか口元を手で覆って確認する。大丈夫、まだ出ていないしそんなはしたないことにはなっていない。
「ほっ……」
 胸に手をあてて、安心の一息。
「ひっひっひ、残念だったねぇ、フィクザードがおいしく食べようとした餅は私達がおいしく頂くとするよ!」
 居間で既に転がっていたフィクサードの姿を確認。超絶スーパー鮫ババァこと『tyoubabaa』鮫島 ジョーズ子(BNE002625)は転がっているそれに向かって高笑いをしていた。高い声と鋭い眼光が家中に響き渡って、これはまるで家庭内で起きた殺人事件のようだ。フィクサードは死んでいないけど。
「これがホントの……死んでも食べたい、という奴ですね……」
 静かに、挑戦者なフィクサードを憐れむような目で見る『餅キラー』リンシード・フラックス(BNE002684)はゴスロリ少女に虚ろな目で見下される大の男というある意味羨ましいとも取れるシチュエーションを作っていた。だから死んでないって!
「ま、死んだら食べられませんが……。私は、生きて……この餅を食べて見せます……」
 きりっ。称号も餅キラーになってリンシードの準備は万全だ。そんなに餅が食べたかったのか。
「伝説の餅キラーにお任せください……」
 きりっ、きりっ。どこかカメラ目線で言い放つリンシードであるが、伝説の称号は今襲名したばかりである。
「餅ってのは万能食だもんねー。焼いてよし煮てよしの主食になるわ。……ホント何でこんな事になっちゃうのかしらねぇ」
 もちについて考えを巡らせながら、なんでそんなもちと戦わなきゃいけないんだろうと頭を抱える『アブない刑事』鳶屋 晶(BNE002990)。アーティファクトの神秘というのは、時として人の理解を超えてしまうのだろう。リベリスタをやっていると時々そういうこともある。
「しょうがない! 動けば撃つ! 動かなくても撃つ! 行きましょう私!」
 自分のテンションを上げるためにも、髪の一つ結びをキュッと締めて、銃を持って自己暗示。今ならいける、もちだって撃てる。
 もちを撃つなんて経験は今までも、これからもないだろうけど、いける。
「面白いアーティファクトもあるもんだ。正に爆誕と呼ぶに相応しいアクティブなもちが生まれる訳だね」
 すごいもんだねー、とただただ感心している『本屋』六・七(BNE003009)は、前向きに考えることにしている。例えば、今回は美味しいもちをタダで食べることができるのだから、お得だとか。そういう感じの思考。
「ちょっとアクティブ過ぎる気もするけど」
 でも流石にツッコミは入れる。ぴょんぴょんと跳ねているもち、というのは空想の世界でも中々ない。あったとしても、どこかキメちゃっている人の頭の中だろう。じゃあこのアーティファクトを作ったのはそういう人なんだろうか。
「この臼使い方によっては立派な兵器よね。そこらのフィクサードよりも強力な存在をお米だけで作りだせるんだから」
 そんな考え方もあると、細・遥香奈(BNE003184)は示す。確かにおいしくもちを食べる以外にもそんな方法があったのか、とこのもちにやられてきたフィクサードたちは思うだろう。たぶん。
「むしろそっちが正しい使い方だったり?」
 長い黒髪をゆるく撫でながら、冷たく言い放った遥香奈の言葉にハッとするニニギア。
(そう言われてみれば……!)
 という顔である。食欲は人を盲目にさせるのかもしれない。
(なんにせよ放っておくわけにはいかないわね。きっちり倒して、おいしくいただきましょう)
 無頓着に、淡々と。無口なのに喋りすぎたと小さく咳をしてから、そう思う。
「新年を迎えるにはお餅が必要ですし。とてもおいしいお餅が手に入るなんて、まるで夢みたいですね。お餅確保の為にも頑張ります」
 こちらもやっぱりおもちが目当てな『のんびりや』イスタルテ・セイジ(BNE002937)。子供っぽく、よしっと小さく拳を握って気合も十分。足を一歩進めて戦いの場所へ、
「あ……わっ!?」
 と思ったら、足に何かを引っ掛けて、頭から転ぶ。顔面からゴツーンといくがメガネは無事だ。よかった、メガネキャラは守られた。
「……あ、あれ? いたんですか?」
 引っ掛けたのは、気絶したフィクサードの体。もちの回収に頭がいっぱいで、イスタルテは今の今までその存在を忘れていたようである。
 メガネをかけなおして、めっ。

●跳ねもちとの戦い
 さて、イスタルテと共に戦いの場である居間へとやって来たリベリスタたちを迎えたのは、アクティブに跳ねまわるもちであった。
「なんだいなんだい! 私がババアだからって大人しく食べられないつもりかい!?」
 それに対して何故か怒ったように声を荒げるジョーズ子。ジョーズ子が強欲なのもあるが、年をとると無意味に声を荒げるものらしい。
「言っとくけどね! 私は餅で喉を詰まらせたりなんかしないよ! いつまでも変わらない吸引力と食欲のただ一人の持ち主なんだからね!!」
 もちといえば、毎年悲惨な事件が起こる食べ物。これを読んでいる皆さんももちを食べる時には気をつけましょうね。
「ええと、フィクサードさんも、盗みはいけないと思うんです……」
 まず、イスタルテがフィクサードを保護するためにも確保し、ロープで縛る。
「乃亜さん、縛られたフィクサードの見張りと、万一人が来た時の対応はお願いしますねっ」
「ええ、任されたわ。存分に戦ってきてね」
 どういうわけか、というか十中八九もちが目当てなんだろうけど、付いてきた乃亜はそんなフィクサードを胸で抱えて引っ張って廊下まで持っていく。そして、そのまま監視することになった。ついでに人が来た時の対応もするようだ。
「まぁ、別にフィクサードが一人死のうが死ぬまいがどうでもいいが、そんなに悪い奴じゃねぇ気がするし」
 さて、そんなフィクサードに対しても鋭い眼光を向けながら、『BlackBlackFist』付喪 モノマ(BNE001658)はぶっきらぼうに言い放つ。
 いざとなれば、そんなフィクサードの体を庇うつもりもある。言葉とは裏腹に、このフィクサードを一番心配しているのはモノマだろう。
「切り刻むよ。もちだから切り餅だね」
 飛び込んでのダンシングリッパーをジャンプしているもち達に放ちながら、七は不思議な感覚を覚える。これは、料理をしている時の感覚と似ているんじゃないだろうか。
「こういうのを、料理してやるぜって言うのかい?」
「うん、これは……そうだね。料理してやる、だね」
 確かに切り刻んでダメージを与えているが、なんとも言えない感触である。
「うーん……とっ!?」
 それに戸惑っていたら、もちたちの反撃が始まった。一斉にとりもち弾を放ち、リベリスタたちの動きを封じようとしてきたのである。
「……!」
 遥香奈はフィンガーバレットを振り上げバウンティショットを使っての撃ち落としを試みたものの、失敗。その為、体を張って後衛へと飛んでいったとりもちを一身に受けた。
「……」
 ねばねばとした感触、体中に張り付く白いモノ。動けば動くほど絡み付いて、スカートがべたべたになっていく。
「むっ……。剣と、服が……べたべたします……」
 リンシードの体もまた、白いベタベタに張り付かれてしまっていた。黒いゴスロリが白く汚れていく。といえばなんだかエロい意味に聞こえる不思議。
 焦りながらも、ひっペ返しにかかるリンシード。しかし、こびりついたもちは中々取れず、苦戦することになった。
「ま、面倒みてやるさね」
 そこに、ジョーズ子のブレイクフィアーが使われて、もちによる異常は回復していく。
「こ、こんなにおいしそうなくせに、強い! すぐに治すからね!」
 受けたダメージの方は二二ギアが天使の歌を使うことで対処。ダメージの量こそ少ないが、積もり積もれば大変なことになるだろう。だから、その前にニニギアが体を癒していく。
「捕縛、むしゃっ、を解除、むしゃむしゃ、しないといけないから、むしゃむしゃ、しょうがないね」
 そんな中、ブレイクフィアーの手を煩わせるわけにはいかないと、モノマはとりもちを食べていた。勢い良く、がっつくほどに。
 しかし、それでも中々取れない。それにいくら美味しいといえどもとりもちは食べづらくてしょうがない。
「醤油が欲しいな……」
「何処の家にも醤油はあるわよね。勝手に使っちゃいましょう」
 おおよそ元刑事らしくない発言をする晶。さすがはアブナイ刑事だとも言える。
「ともあれ……今は、撃つわよ! 狙い撃つ!」
 そんな晶はハニーコムガトリングを放って集団攻撃をしたもちの群れに銃弾の雨を浴びせていく。凶暴化しているとは家もちはもち、鉛玉はかなり痛いようだ。
「しかし……手負いの餅は何をしでかすか……分かりませんよ……」
 何故かベテランっぽく言葉を投げかけながら、リンシードの多重残幻剣がもち数体を切り刻んで数を減らしていく。
 切り餅になってしまったものを除けば、あと元気なもちは残り6個だ。
「先に言っておきますけど……これはメガネビームじゃないですよぉ……」
 ピカっと光ってイスタルテの神気閃光が放たれ、もちたちの動きを一瞬止める。どこが光ったかといえば、やっぱりメガネなんだけど。
(それにしても、私もそれなりに色んな敵と戦ってきたけどお餅と戦うことになるとは思ってなかったわ)
 目の前で跳ねまわっている白いそれを前に、考えを巡らせる遥香奈。
 すると、目の前まで飛び込んでくるもち。そのままの勢いで体当たりを仕掛けようとして来ているのだ。なんとも攻撃的で凶暴なもちだろうか。
「無頼の拳で叩いてこねればさらに美味しくならないかしら」
 それに対して身をくるりと回し、片足を軸にターンをして背後に回ってから、拳を一気に突き出す。その一撃で吹き飛んだもちはそのまま壁に叩きつけられて、動かなくなる。最後にピクピクと死にかけの生物のような動きをしたが、これから食べることを考えてリベリスタたちはそれを見ないようにした。こわい。
「つきたての美味しそうなもちに襲われるのは何ていうかこう……シュールだよね。嫌いじゃないよ、こういうの」
 七は飛び込んできていたもちを両腕で防いでから、そのまま腕を放つようにしてもちの体を弾く。
「それでも全力で殴りにいかせて貰うけどね」
 そこに、ブラックジャックを叩きこんで一体のもちをKO。
「うまく当てて香ばしい香りを漂わせたいわ!」
 更にもう一体飛び込もうと飛び上がったもちにニニギアのマジックアローが飛んで行き、そのもちは魔法の矢に焼かれて地に落ちていった。
「これは餅をぶっ叩くのには最高のスキルだよ!」
 そして、逆に飛びかかったのはジョーズ子である。馬乗りのような形で怯えるもちを確保し、その体に向けて頭上からガードロッドを叩きつける。すごい絵面だがヘビースマッシュだ。
「外はカリッと香ばしく中はモチモチにしてやんぜ!」
 モノマは居間の椅子に手を付きながらジャンプをしながら、残りのもちの上方へ近づいていき、蹴り落とすような業炎撃を使って燃やし尽くしていく。これで、ほとんどのもちは動かなくなった。
「さあ、これが最後のフィナーレよ! まとめて撃つわ!」
 腰に深く落としショットガンを構え、そこから放たれた晶のハニーコムガトリングが残りのもちを撃ち抜いていく。
 これが、決着になった。

●もちもち食べよう
 それから、リベリスタたちは勝利の味としてもちを頂いくことになった。
「喉を詰まらさない様に気をつけろ?バカいっちゃいけないよ! 年寄りだと思って甘く見るとアンタの食いぶち無くなるよ!」
 鉛玉やマジックアロー、それに鈍器や拳で叩かれたもちであるが、アーティファクトの不思議か、やっぱり美味しく清潔なものである。
 もちもちとした食感と、存分な歯ごたえ。それから、口内で味が溶けるように染み出していくような感覚。要するに美味しいのだ。
「もぐもぐ! うめー!」
「おぉ……このもちもち加減、堪りませんね……」
「作りたてのお餅って本当に美味しいです」
 とはいえ、もちの食べ方は色々ある。モノマは砂糖醤油、ジョーズ子は醤油、リンシードはきなこ・あんこ・砂糖醤油・海苔を使って色々試す。イスタルテは砂糖ときなこだ。
「私は断然海苔餅派ね。火で炙って、醤油をつけて、海苔を巻いて、また軽く炙る」
 うんうん、と人の家の醤油を使いながら頷くのは晶だ。ビールも持ってきたが、今はこれを味合うことに専念しようと晶は思った。
(私は醤油と海苔を巻いてから焼いて食べるつもり。お餅の王道と言えばこれでしょう)
 無口のままもぐもぐと、淡々と食べていく遥香奈。これだけ味があれば、こうやって食べているだけでも時間が過ぎてしまいそうだと思った。
「あ、もち美味しいねー。流石だね」
 きなこを使って美味しく頂きながら、七はこの臼のアーティファクトをどうするか考えている。
(この臼さえあれば美味しいお正月が過ごせそうだよねえ)
 とはいえ、難しそうな臼の扱いに首を傾げる。リベリスタたちも、それと同じようなことを考えたらしい。皆首を傾げていた。
「ちょっと気の毒なフィクサードくんにも、食べさせてあげるよ……」
「少しずつ分けてあげましょうか。そうすれば彼も馬鹿な真似もしなくなるでしょう」
 さて、多くのリベリスタたちの希望により、フィクサードにももちを食べさせてもらうことになった。念願のもちを食べ、あまりの美味しさに天国に昇る心地だと表現したフィクサードは、そのまま改心してリベリスタになったとか。
「乃亜さんも食べて食べてー」
「おいしーい。もちもちね!」
 そして、ちゃっかり付いてきていた乃亜ももちを食べて弾むような気持ちになっていた。美味しいものは、みんなの心を癒すものだ。
「おいしかった!」
 ニニギアはお箸を置いて、食べ終わる。
 今ならば、この美味しいものの為に命を賭けたフィクサードの気持ちが……分からないような、分かるような。
 ともかく。
「ごちそうさまでした」

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 もちとのバトル、お疲れ様でした。年の瀬ということで、それらしい敵でしたがやっぱり絵的にシュールでしたね……。
 それでも、リベリスタの皆様のノリがとても良かったため楽しい物語に仕上がりました。ありがとうございます。
 MVPの理由は丁寧で仲間のことを考えたプレイングだったからです。

 それでは、改めてお疲れ様でした。