●Ms.サンタクロース& Mr.レインディアへ贈る X’mas party 12月である。 中旬ともなれば世間はクリスマス一色に染まり、どこからともなくウキウキワクワクした気分を運んでくる。 ここ、アーク本部も例外ではなかった。 そこかしこに『運命オペレーター』天原 和泉(nBNE000024)を広告塔としたクリスマスパーティのポスターなどが貼り出されている。 『Ms.サンタクロース& Mr.レインディアへ贈る X’mas party』 と題され、サンタ風の赤いビキニを着た和泉の写真が右下に据えられていた。彼女が司会・進行をつとめるイベントのようだ。 『水着に着替えて Let’s Have Some Fun ♪』 吹き出しにはそんなキャッチコピーも。 ――ってゆーか、いつ撮影したんだこんな物!!? 内容を読んでみると、三高平市内の某高級ホテル内にある温水プール施設にて水着で行うダンスパーティとあった。 リベリスタなら誰でも参加可能らしい。 ただし、【男女共にクリスマスに因んだモチーフをあしらった水着を着用】とのこと。 たとえばこのポスターに写る和泉嬢のような趣向の水着を用意のうえで参加ということだ。 同時にベストドレッサー賞の選出も予定されており、受賞者には記念品も贈呈される。 参加は個人から団体まで制限は無く、仮に一人で来場しても、誰かダンスパートナーを探したい場合は窓口で申請しておけば、主催側でマッチングサービスもおこなうと書かれてある。 これなら誘う相手が居ないからと気後れする心配もあまり無さそうだ。 ふとした出会いが、今後の良きパートナー、あるいは交友関係として、実を結ぶ事になるかもしれない。 プールサイドで魅惑の社交ダンスパーティ。 踊る以外にも楽しみ方は豊富に用意されている。 泳いでも好し。 飲んで食べるも好し。 会場の熱気にあてられたなら、ひとときオープンテラスへ足を伸ばし夜景を眺めながらクールダウンするのもいい。 一人自由気ままに、あるいは大切な誰かと――。 アナタも是非一度、お越しになってみてはいかがですか? |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:小鉛筆子 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年12月31日(土)00:10 |
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■メイン参加者 21人■ | |||||
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●オープニング 高級ホテルのプール施設を貸し切ってのクリスマスイベントがいよいよ始まる。 会場は市内じゅうから集まった大勢のリベリスタでごった返す中、特設ステージ上に例のサンタ風水着姿で現れた天原 和泉(nBNE000024)。 来場客からの喝采に、和泉は恥ずかしそうに、そして少し嬉しそうに、手を振って応えている。 和泉の足元は水着と同じく赤を基調にしたヒールの高いサンダル。足首には小さな金のベルをあしらった紐が結ばれている。 普段はソックスの下にかくれてしまっているももやふくらはぎも今日は素肌を露わにし、そのまま目線をあげてゆけば上品な花瓶のシルエットをなぞるかのようにしなやかな腰のラインが見てとれる。 眩しいほどの三角地帯はショーツの赤と白のファー飾り。その上に小さなおへそを見付け、細いおなかが再びくの字にラインを描きながら上へとのぼる。マイクを持つ手に今日は赤の長手袋を。眼鏡のフレームと髪留めには明るい緑が使われている。 そしてついつい目が行く胸の房は、彼女の性格もそうであるかのように、あくまでも控えめながらそれと分かる適度な膨みをもっていた。 「メリー、クリスマ~~ス! 皆さんこんばんは♪」 のっけからハイテンションで切り出した和泉。本人としては照れ隠しもあるのかもしれない。参加者らは日ごろ目にする事の無い和泉の瑞々しい水着姿も相俟って、(とりわけ男性達の)興奮度は一気に跳ね上がる。 「お元気ですかーー! わっ、私は今、結構恥ずかしいで~~すっ!」 でも頑張ります、と意気込みを見せる和泉。 「和泉のおしり、今日だけは見ほーだいなのだ。おもったいじょーにぷりんぷりんでかわいいのだー!」 そこへ乱入するように登場したのがテトラ・テトラ(nBNE000003)だ。頭にバケツを被り、オレンジ色のとんがった付け鼻と太い黒まゆ毛、フリルだらけの白いビキニはまるでお団子のような格好。 和泉が困惑した様子でお尻を手で覆い隠している。 「ボクが何にへんしんしてるか、みんなわかるか?」 テトラが会場に向かって問いかける中、ステージ袖からリトラ・リトラ(nBNE000017)がてくてくとやって来て姉の横にならんだ。 「姉さん、早くみんなに水着を見せたいのは分かるけど、こういう時は和泉がちゃんと紹介してくれるまで待ってなきゃダメだろ、もお~」 まるであたしがタイミング逃したみたいな風になったじゃないか、とぶーたれる。 「ちなみにリトラのいしょーはももの木なのだ」 「違う、もみの木だ。っていうか、あたしのだけソッコーでばらすな!」 リトラの水着は青緑のトップスにクリスマスリースを模ったチョーカー、腰にたくさんのツリー飾りでにぎやかなパレオを巻き、中のショーツはこげ茶色、さらに肘の辺りに括られた飾り布も木のイメージに合わせつつ動きを演出している。 「リトラのあたまがツリーのてっぺんのでっかいお星みたいにみえるのだ!」 「でっかくて悪かったな」 さてさて。 紹介するまでもなく勝手に登場してしまった二人のゲストを交えながら、和泉はアークを代表してリベリスタと過ごしてきたこの一年間に感謝の言葉を贈り、早速今夜のクリスマスパーティの開会を宣言した。 ●あなたの手をひいて 「ほら、フツも、早くいきましょ……っ!」 最初の曲がかかり、翡翠 あひる(BNE002166)は嬉々とした表情で焦燥院 フツ(BNE001054)の手を引く。 「あひるに手を引っ張っていかれるのは新鮮だ」 ダンスホールへ引かれてゆくフツがそう零すと、あひるは赤面しながら上目遣いでフツへ問う。 「あひると、踊っていただけますか……?」 笑顔で頷くフツ。 「そんだけお前さんが楽しみにしてくれてたってことなんだよな」 あひるの表情がこの上なく華やぐ。嬉しい気持ちが逸り、つい小走りになってしまう。 オレも引かれるばかりじゃないぜとばかりにフツはあひるの腰にしっかりと手を回してエスコートを買って出る。 「水着だとなんかドキドキすんな。ウヒヒ」 フツの目尻が垂れ下がっている。あひるの視界にもフツの赤いトランクスがちらついてしまい、どうにも落ち着かない。 優雅に一礼し、背中へ手を回す。 フツの手をとって、優雅にひらひら。 あひる、ダンスって好きなの。 相手が、フツだから、もっともっと大好き。 最初の曲が終わり、次の曲へ。 そしてまた次の曲もフツと……。 十分踊りを堪能したふたりは少しの飲み物と軽食を口にして、プールサイドへと向かった。 フツの指導のもと、あひるは準備体操から泳ぎの基本を教わる。 「ほらほら、後10秒がんばったらご褒美だ」 フツに両手を握られながらあひるはバタ足を頑張っている。 ●ぞっこんなのはどっち? 和泉たちの水着姿にすっかり見惚れている御厨・夏栖斗(BNE000004)は、恋人の源兵島 こじり(BNE000630)に耳を思いっ切りひっぱられて悲鳴をあげた。 「いだだ!」 「右頬、出しなさい」 「僕にはこじりさんだけだって」 言い訳する夏栖斗を掴み上げてこじりは一発平手打ち。ぱちーん! 「クリスマス位、落ち着けないの? 死ぬの? 死にたいの?」 そんなこじりの水着は赤のワンピース。お尻にはバニー風な尻尾も付けて、こじりの腰が動くたびに可愛らしくはずむ。 頭はサンタとバニーの合わせ技。 「こじりさんの水着かわいい! 超サンタがーるじゃん」 と、はしゃぐ夏栖斗だったが……その目は今まで一体どこを向いていたんだ? 今頃になってようやく自分の水着を褒められても……とか思うこじりもやっぱり何だかんだで嬉しくなってしまう。ちょっとしたはにかみの裏にはち切れそうな愛しさを押し隠しながら、こじりは言う。 「ありがとう。御厨くんも中々、捨てたものではないわよ」 まあ、実は内心で、『やば……超可愛い好き』みたいな気持ちになってるワケですが、夏栖斗は知りません。 そんな彼の水着は、赤地のハーフパンツに白い雪の結晶をプリントしたデザイン。サンタ帽にヒイラギの葉を模ったバッジを加えてワンポイントを引き立たせている。白いアロハシャツを羽織れば、南国風なサンタのできあがり! その彼が今夜はやけにこじりを褒めまくる。 「こんな可愛い子が彼女とか自慢して歩きたい」 なんてくすぐったい事言われちゃったらもう。 「んじゃませっかくだしダンスする?」 褒め褒めでいい雰囲気を取り戻したふたりはちょうどよさげな曲がかかったので踊りに行く。 ダンスホールには、自慢のボディを惜しげもなく披露しながら情熱的に踊るお姉さんとか、可憐で清楚な雰囲気のお嬢さんとか、バリエーション豊富な水着の数々を目の当たりにする事ができ、そのどれもが――、 「いやホントにかわいい……」 「左頬、出しやがりなさい」 バーーン! すかさずこじりの右平手フックが直撃。 「いてぇ! 今他の子見たとかなんで気づいたん?」 そりゃあ、気付きますよ。見てますから。 「でも一番はこじりさんってか、ほら、結構気恥ずかしくって」 なんとなくこじりを直視出来なくって目を逸らす夏栖斗。 「たしかに水着でダンスというのも、なんだか変な感じよね……」 遠慮がちに夏栖斗の反応を窺いながら目を上げたこじりだったが……? なんと夏栖斗はまた他の女の人の水着姿に目を奪われていた。 「……い い 加 減 に し な さ い よ ?」 ついにこじりは怒った。 「今日は此処まで。私は帰って非リアクリスマスを満喫するから、さようなら」 ぷいと夏栖斗を突き放して退場していく。焦る夏栖斗。 「ごめん! 目隠ししてもいいから怒らないでよ」 懇願する夏栖斗だが、こじりはツンと知らんぷりの顔でスタスタ歩き去る。いまも周りにはおおぜいの水着美女が行き交っているのに、夏栖斗の目にはもう映っていないかのよう。 「帰らないでっ!」 必死に追い縋ってくる彼に胸キュンしながら、こじりはもうしばらく意地悪してやろうと思った。 ●猟奇的萌え ホッケーマスクとチョコレート色の水着、雪の結晶を模したペンダントを散らして番町・J・ゑる夢(BNE001923)はダンスパートナーの到来を胸躍る思いで待っている。 参加にあたってゑる夢はとあるアーク職員から 「聖夜の舞踏会、そこへ一人で訪れる紳士にとって、君は必要な人材なんだ! さあ存分にクリスマスを楽しんでくるんだよ!」 と景気付けられ、喜び勇んでやってきたらしい。 ゑる夢とペアを組んだ男性ははじめ、そのマスクに猟奇的なイメージを重ねてギョッとしたものだが、いざ話してみると本人は意外にもおとめちっくな人となりで、おまけにこの美貌である。見る目に余裕が持ててくればその恐ろしげなマスクに施されたデコレーションにも可愛らしいセンスを垣間見て、だんだん萌えに変わってくるという不思議なプロセスを味わう。 軽い足取りでダンスホールへ連れ添って、恭しく一礼。さっと相手方と寄り添えば、ここからが彼女の魅力のみせどころ。 「めりーくるくるしまーす★」 ものすごい回転をしたかと思えば、ぱさっとパートナーの腕の中にやさしく抱かれ、再び躍動的にステップを踏んでは跳んで跳ねて舞い踊る。 「楽しいですか? 私はすっごいハッピーですよ!」 瞳をキラキラ輝かせながら本当に楽しそうに踊る彼女に、男性なら誰もが心をくすぐられてしまいそう! ●うれしそうなトナカイ 結城 竜一(BNE000210)の水着コンセプトはトナカイ。水着のパンツそのものをトナカイの顔に見立てたデザインだった。 竜一はお目当てのリトラをさがして早速ダンスの相手を申し込む。 「リトラたん、俺と踊っていただけますか?」 リトラは竜一の水着の真ん中に付いた赤い突起を怪訝そうに見ている。 「いいけど、おまえの水着……なんか邪魔くさそうだ」 OKをもらえてはしゃぐ竜一。 実は社交ダンスなどというものはほとんど知らないリトラ。竜一がうまくリードをしてくれるのでそれに合わせてステップを踏む。もともと反射神経の良いビーストハーフだけに、数分も繰り返せばすぐに身体が覚えた。興が乗ってくれば尻尾もくるくると回り始める。 「ふふ。ペアで踊る形式のダンスも悪くないな」 リトラのパレオがふわりと浮き上がり、竜一のトナカイをかすめる。それはあたかもくるくると回るクリスマスツリーのまわりで一頭のトナカイが上機嫌に飛び跳ねているようだ。 終わった後、竜一はさりげなくリトラの手の甲にキスした。 「なかなか楽しかったぞ竜一。また機会があったら誘って」 ●よこどり 一方のテトラは豪華に並ぶクリスマス料理を目の前に食欲を刺激され、とりあえず目に付いたものからひょいひょいぱくぱくと口に運んでいた。 一緒に踊るパートナーが居るわけでもなかった津布理 瞑(BNE003104)は、相変わらずのテトラを見つけるなりふつふつと湧き上がる対抗心にちょっとしたイタズラ心をくわえて、彼女の狙う料理を先回りして奪っていった。 「!!」 瞑の動きに気付いたテトラ。 仕方なく別の料理に手を伸ば――、ひょいぱく。 「………」 反対側のお皿にねらい――、ひょいひょいぱく。 「……ふっははー、ふぇいんとなのだ! ボクが狙っていたのはこっ――」 ひょひょひょひょい、ぱく。……もぐもぐもぐもぐ。 「!!!」 だがこれしきの事で引き下がるテトラではない。ガバッと手近なお皿を掴むと、大口を開けて一気に料理を流し込む。 「ふぉっむふぉふぉっ……モゴめふぇふぉーひょもほひふぁへふぃもぁいぉごぁ……!」 (※対訳:はっはっは、これでもう横取りは出来ないのだ) じっと見詰めるテトラを振り返り、瞑はニヤリと笑みを浮かべた。 ひょいぱく。もぐもぐ……。ひょいぱく。もぐもぐもぐ……ゴックン。プハァ~♪ 「ン゛~~~~ッ!!?☆」 テトラが口に詰まった大量の料理に悪戦苦闘しているあいだに瞑は余裕しゃくしゃくでどんどん料理を口に運ぶ。 「モへわムォグがふぁいひょうぃめワっぺふぁもワー!! ひょほゴうぃふぁひごょーわモあ゛~!!!」 (※:それはボクがさいしょにねらっていたのだ。横どりはひきょうなのだ) テトラは地団太を踏んで悔しがっている。 「あ、ちょっとしたイタズラだから、怒らないで」 とか言って瞑の手はさらに別の料理の皿へのびる。ひょいぱく。 「ハァ。……ま~たしょーもないことやってるな、姉さんは」 やってきたリトラがそんな姉たちを見て大きなため息を吐いた。 ●ワイルドハント エナーシア・ガトリング(BNE000422)は一風変わった黒のコーディネイト。クリスマスが一般に定着する以前の解釈をもとに、冬至をイメージした夜の色を選んだ。 ワンピースの水着に狩猟帽を被り、手袋に角笛にブーツと、まるで世闇にまぎれるハンターのよう。 「この夜は聖なる夜と言うだけでなく魔の者の夜でもあるのよ」 それに社交ダンスならば黒でシックにきめるのも乙なもの。ダンスのお相手は特に決めていたわけでは無かったけれど、同じように相手を探していた星川・天乃(BNE000016)と出会って女同士でペアを組むことに。 「一つ、どう?」 そう言って手を差し出した天乃も同じく水着は黒をベースに、赤いリボンでクリスマス色を演出。 「ダンスなんて、よくわからないけど……ノリで」 「それなら私が少し手ほどきして差し上げましょう」 仕事柄色々な経験をもつエナーシアは社交ダンスは勿論、男性側のステップもある程度は知っている。 自分は器用なほうではないと信じている天乃は相手に合わせるというよりはむしろ振り回すようにからだを躍らせる。 「肩に余計な力が入っているとステップがおろそかになるわ。もっとリラックスして、自然に。そう」 力で踊ろうとする天乃の動きを柔よく制しながらうまく誘導するエナーシア。 剛と柔、柔と剛、微妙なパワーバランスで踊るふたりはその身を包む黒い色の水着もあって、ひととき会場にいる人々の目を引き付けた。 ●祝福の天使 地上にきらめく無数の明かりが眼下に広がるテラス。 桜田 京子(BNE003066)は美味しいココアをふーふーして飲みながら、テラスに佇む戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)のところへ戻ってくる。 舞姫の純白のビキニはフリルとリボンで飾られている。細やかな飴細工を思わせるブロンドの髪、ヒイラギのブローチで留められたレースのパレオは月明かりの下で舞姫の細いシルエットを幻想的に描き出していた。 カクテルグラスの中で色鮮やかな飲み物が波打っている。それを一口含んで物憂げな大人の雰囲気を満喫しながら、舞姫は隣に並んだ京子に囁く。 「綺麗ね、夜景が……」 隣でココアの香りが上り立つ。 「――って、こういうセリフは、『キミの方がもっと綺麗さ!』とか言ってくれる人が隣にいなきゃダメー!!」 やっぱり女の子同士でアンニュイを気取っても全然ムードが出ないみたい。きょとんとした顔で会場を見回す京子。 「もしかして男の人少なくないですか?」 たしかに来場客は女性の方が若干多いように見える。 あると君とか沙織さんも来れば良かったのに、京子はそんな事を呟いてココアをまたひとくち。 「きー、来年はきっとステキな彼氏とイヴを過ごすよ! 京子さん、がんばろ!!」 「あはは、彼氏ね……」 舞姫の意気込みに京子は苦笑い。 「(そりゃ私も彼氏は居ないけど、戦場ヶ原先輩は絶対彼氏できる気がしない……)」 「何か言った?」 「それよりも、風邪ひいちゃうよ」 そう言って京子は手に持ったバスタオルを広げて舞姫の肩に被せてあげた。 「ま、彼氏なんて早々に出来るものじゃないですって! 気長に行きましょ! ね?」 ●ゆうわくされちゃった ティアリア・フォン・シュッツヒェン(BNE003064)はワインを片手に一人壁の花。彼女の豊満な肢体は赤いマイクロビキニの僅かな布地で申し訳程度に秘部が隠れているに過ぎない。あまりにも扇情的で刺激の強い格好のせいか、却って普通の男性諸君は声をかけるのをためらってしまうほど。 しかしそんな中、十歳ほどの少年の姿をした御厨・九兵衛(BNE001153)は彼女に近付いて行って、惜しげもなく披露される艶やかな肢体を舐めるように見詰めた。 ふふ、と笑い、ティアリアは九兵衛を見詰め返す。 破顔した九兵衛がいそいそとティアリアのもとへ馳せ参じ、ダンスのお誘いと洒落込んだ。 「可愛い子なら大歓迎よ。……あ、でも至近距離から見ても大丈夫かしら? ふふっ♪」 ふたりは手を取り合って踊り始める。今にも零れそうな乳房が九兵衛の目の前でぷるんぷるんと弾む。 「ええのう……こりゃええのう……」 いまやもう完全に本性丸出しの九兵衛ですが、ティアリアも反応の良いボウヤと踊るうちにだんだんその気になってくる。 「何でしたら、誰も居ないところで二人っきりの情熱的なダンスでも宜しくてよ? わたくしも色々と愉しみたいもの。ふふふっ♪」 ●オトナ プールサイドに設えられたテーブルでひとり食事と酒をたしなむ金髪の美女。 青みがかった緑色のビキニと白い肌のコントラスト。銀色に輝く星の髪留めに白のファーストールがより一層の気品を引き立たせていた。 壁の花にしておくのは勿体無さすぎる美しさ。しかし彼女はそれを気に留める様子も無いようだ。 イセリア・イシュター(BNE002683)は、クランベリーソースのたっぷりかかった七面鳥をロゼ・シャンパンと共に楽しんでいる。 ……美しく、とても洗練された振る舞い。 手にするグラスに、酔いの頬紅まで合わせてこそ、大人のコーディネートというものだ。 「さあ! どんどん飲むぞ! ははっ!!」 ぐびぐびぐびとシャンパンの芳醇で爽やかな喉越しを味わい、上機嫌のイセリア。飲みっぷりの良さは他では見られないほど。 「さあ! ……ひっく! 8本目! ろんとこい!」 七面鳥を粗方食べ尽くした頃にはイセリアのまぶたもとろ~んとしてきた。 流れる音楽に合いの手を入れるかのように軽快なしゃっくりが飛び跳ねる。 楽しそうに泳ぐ若者たち。水際でいちゃいちゃしてるカップル。イセリアのからだもシャンパンのおかげでポカポカと温まり、涼しげな水の音と流れる優雅な音楽に乗ってとてもイイ~気持ちになっていた。 「だんす? わらしも、ぷーるはいっていいか?」 おぼつかない足取りですっくと立ち上がると、頭がぼーっとして地面がぐるぐる回り始める。 「おお、じめんが回ってゆれている。いい仕掛けら!」 へへらへらとニヤけながら危なっかしい千鳥足で、イセリアはつととととと……っとプール際へ倒れ込む。 「っ!!」 びっったーーーん!!! したたかにおなかを打ち付けてイセリアは水中へ没した。……嗚呼、残念。 ●ぶっくせいじんあらわる 「われわれは ぶっくせいじん ちきゅうの みなさんと ゆーこー かんけいを きずきに とおいほしから やってきた」 テトラはぶっくせいじんとそうぐうした。 「おー、これはこれはぶっくせいじんどの。ちきゅうへよーこそなのだ。今日はちょうどくりすますパーティの日なのだ! ぜひいっしょに楽しんでいくのだ!」 そう言ってテトラはぶっくせいじんの前にクリスマス料理をたくさん持ってきてお供えしはじめる。 「ははー。どーぞめしあがれ~なのだ!」 甲斐甲斐しくお供えしてくれたので、ぶっくせいじんはありがたく頂くことにした。 「にはは♪」 「おー。ぶっくせいじんが喜んでいるのだ! もっとおそなえするのだー♪」 ぶっくせいじんの反応に気を好くしたテトラはじゃんじゃん料理を持ってくる。 「さあ、えんりょなくどーぞどーぞ♪」 「や、もうケッコウ……。こんなにたくさんは食べ切れへんよ……」 げふっ。 そろそろ正体を明かさないと身がもたなそうだ。 えいやー! っとダンボールの外皮を脱ぎ捨て、ぶっくせいじんは脱皮し、中から出てきた桜 望(BNE000713)はふくれたおなかをさすってその場にへたり込んだ。 「には~~……く、苦しい~」 その後テトラはぶっくせいじんの抜け殻をかぶって場内を疾走していたそうな。 ●とっておきのプレゼント 「ぷはぁっ」 泳ぎを終えてプールから上がってきたのは華奢で細身の浅黒い肌が綺麗なオンナのコ。ぽたぽたと髪に滴る水を手でぬぐいながらプールサイドに腰掛ける。 「それにしても、みんなスタイルよくてイイなぁ……」 五十嵐 真独楽(BNE000967)の水着は、クリスマスプレゼントをイメージしたデザイン。 ベースの緑にポップな黄色いベル柄のビキニトップスとミニスカートの組み合わせ。胸元には大きな赤リボンをあしらって、ラッピングっぽいアレンジを。 雪の結晶を象ったアンクレットも包装の飾りみたいな感じで可愛らしいアクセントを加えている。 けどまぁ、贈る相手はまだ決まってないけど……。 サンタさんが運命の人の所に運んでくれたらいいのに、なんて思う一方で、今はパパがいるからまだいいや、とも思える。 周囲の女性たちを羨ましそうに眺めつつ、いつかは自分もセクシー女子目指して頑張るぞっ、と密かにファイトを燃やすのだった。 運命の人へは運ばれてないけど、クリスマス料理ならよりどりみどりに色々運ばれてくるので、是非たくさん召し上がってくださいね! おすすめはシュトーレンとサイダー。泳ぎで疲れたからだにもフルーツの香りが元気をくれますよ♪ ●まさかのお誘いとトイレ休憩 宴もたけなわといった頃。 それまで並ぶ料理を適度に楽しみ来場者たちの踊るさまを眺めながら、新田・快(BNE000439)はずっと機会を待ち続けていた。 彼の視線が向かう先には赤いサンタビキニで運営の仕事を頑張っている和泉の姿。ひとまず業務が落ち着いたのか、周りのスタッフに会釈しながら和泉は持ち場を離れてゆく。 「今日は司会進行お疲れさま」 「あ、お疲れ様です」 和泉は快に笑顔で挨拶を返す。 「和泉さんに会いに来たよ」 「そうですか。わざわざありがとうございます」 でも今日は依頼の召集じゃありませんから、と冗談めかして和泉は快にお辞儀をする。 「まさかポスターが和泉さんとは思わなかった。びっくりしたよ。夏の水着は見られなかったのに、まさか冬に見せてもらえるとは思わなかった」 「ええ、私も冬に水着になるなんて思いませんでした。……どうでしょう、変じゃないですか?」 そう言って和泉は遠慮がちに左右へからだをひねって見せる。 「変だなんてそんな。むしろこんな近くで見られるなんて嬉しいよ」 「えへっ……。あ、ありがとうございます♪」 ほっとした表情で眼鏡をおさえながら和泉はにっこり微笑んだ。 「和泉さん、仕事もいいけど、ちょっとくらい楽しんだっていいんじゃないかな。普段、フォーチュナの仕事で大変なんだしさ」 「はい、お気遣いありがとうございます。私も皆さんのダンスとかを見ながらこっそり楽しませてもらってますよ」 いや、そうじゃなくて、と快は首を振りながら、「俺は参加したアークの『全員』が楽しむべきだと思うんだよね」 と言った。 はぁ、と生返事で答える和泉はまだ、快が何を言わんとしているのかよく分かっていないようだ。 「一曲くらい踊らない? 俺が相手で不足なければ」 「えっ? わ、……私が、ですか?」 ようやく理解した和泉はまったく想像もしていなかったという風におどろいた。 「嫌なら無理にとはいわないよ。でもせっかくだし、もし時間があるなら、どうだろう?」 「……はい。私なんかでよければ。あの、でもその前にちょっと……」 「?」 「………御手洗いに………」 「! ……あ、ごめん……」 「すみませんっ」 ずっと業務が続いて休憩をはさむ暇もあまり無かったようだ。和泉はその場で何度か頭を下げて小走りに去っていった。 可憐な後ろ姿を見送りながら快は頭の下がる思いがした。 ●そんなこともあるかもね 主催側のダンスパートナーマッチングサービスで出会ったペアに、桐月院・七海(BNE001250)と、大石・きなこ(BNE001812)等がいた。 七海ははじめ一人で飲みながら踊る人々の様子を眺める側で楽しんでいたのだが、ダンスパートナーの誘いを受けるに至ったので快く承諾した。 七海は水着も一応着けているものの肌を見せるでもなくアシンメトリックなデザインの燕尾服姿で登場。鳥の翼になっている右腕には少しだけクリスマスの雰囲気を醸しつつ、一夜漬けで学んだステップを頼りに酔いの回りかけた足を前へ後ろへと踏み出している。 一所懸命に踊る七海の様子に微笑を浮かべるきなこ。 ビキニは緑地に赤と白のチェック柄のクリスマスカラー。トップ中央の胸のつなぎ目には小さな黄色いお星さまのワンポイントアクセサリーを付けて、ボトムの腰の両サイド部分にも金色のベルが小さく揺れながら可愛らしい音色を鳴らしていた。はしゃいでいるはずみで大きな胸が露わになっても大丈夫なようにニプレス装着もばっちり。 大掛かりなウォータースライダーとまではいかないけれども、プール周辺にはアトラクション的な仕掛けも様々に設置されていた。 びしょびしょになりながら楽しそうにはしゃぐきなこを七海は離れたところから眺めている。 濡れる女を肴に杯を干す、というのもなかなか乙な楽しみ方ではある。 「七海さぁん!」 呼ばれて振り向いた矢先に勢い良く水が吹き付けて七海の顔を濡らし、ウォーターガンを持ったビーストハーフがそそくさと逃げていった。 目をまん丸にして七海を見詰めるきなこ。 誰かのちょっとしたイタズラに彼もしてやられたと思ったのか、ほんの少し口元がほころんだのを翼で隠すように覆っていた。 ●寂しい乙女の心 丸田 富子(BNE001946)は一人きりだが、心は友と一緒に参加。 「HAHAHA!!」 豪放な笑い声が会場の隅で響く。熟年女の魅力がはち切れそうな水着の下で揺れていた。 「どうだい、アタシのないすばでーはっ? 出るからには優勝を目指すよ!」 ダンスホールでも彼女のキャラクターはひときわ異彩を放つが、本人は気に留める事も無く今生きているこの時を存分に楽しもうとしていた。 「ハァーヨイヤサーヨイヤサ」 見えない友人と謡う盆踊り。流れている曲などお構いなし。 (……花子、アンタの分もアタシはこれからの人生、楽しんで楽しんで楽しみ尽くしてみせるよっ! だから先に行って待ってておくれよ。 アタシがそっちに行く時はたくさんの土産話と、おいしい料理をもっていくからね) 富子の心に隠された小さな悲しみを知る人は少ないが、『三高平の肝っ玉母さん』はそんな時も笑顔を絶やさず、多少周りから白い目を向けられたとしても図太く明るく生きてゆく。 これからも、命ある限り。 ●エンディング 「栄えあるベストドレッサー賞に輝いたのは――」 ドラムロールが鳴り、若干の間を持たせた後、和泉は受賞者の名前を発表する。 「大石きなこさんと、五十嵐真独楽さん、以上のお二方です! どうぞ盛大な拍手をお送りください!」 会場におこる拍手と喝采の中、二名の受賞者がステージに上がってくる。審査員からの講評を交えて、和泉の手からトロフィーと花束が贈られた。 「いやー。皆さんどなたもすてきで、私も会場を行き来する合間に拝見させてもらいながら、『本当、皆さんすてきだな~』って感心しちゃいました。今回残念ながら選ばれなかった方々も、もしまた来年第二回があるようでしたら、是非もう一度遊びにいらしてください」 皆がパーティ会場から外へ出た頃には大粒の雪が当たり一面を覆い尽くすように降っていた。 メリークリスマス。そして、来年もアークと共に歩めるよう。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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