●甘酸っぱくてつぶつぶ 女の子はいちごが大好き。 甘くて、すっぱくて、可愛くて。 一口頬張ればそれはそれは幸せで。 女の子はいちごが大好き。 どうしてかと聞かれれば単純な答えはないけれど、好きなモノは仕方ない。 「我ながら、余りにも完璧な計画なのです……」 暗闇にほくそ笑むのは可憐な一人の少女だった。 年の頃は十五に届くか届かないか――気の強そうなツリ目に少しふんわりとウェーブがかった髪の毛。出る所が出ておらず、概ねぺたんほそいにうすいの三拍子揃った見事なまでのスレンダーボディ(笑)をボディスーツに包んだ少女である。 「怪盗スロトベリーが東京中のいちごを狙っているなんてお釈迦様でも気付かないのです」 まるでそうしなければならないルールでもあるかのように悪だくみらしきものを口走る少女。実にナチュラルに我が名『ストロベリー』さえも言えない所がとってもぷりてぃ。お釈迦様はおろか少女を知る者ならば小学生でも気付きそうな浅はかさを発揮した彼女は、当人曰く『ちみつなけーりゃく』と称する壁の計画書を上から眺めた。 1、よるくらくなったらやおやをねらうです。 2、すーぱーもでぱーとものがさないのです。 3、のーきょーやしゅうはいじょもおそうです。 「ふっ、あたしの才能が怖いのです」 具体的に東京中の関係各所を襲うのにどれだけの時間が掛かるのか、とか。そもそもそれまでに起こり得るトラブルがどうとか。そんな事は自称怪盗には関係ない。 「いちごがあたしを待ってるですよ……!」 微妙によだれを垂らす残念な少女(フィクサード)には関係ない。 ……買えばいいじゃん。 ●三つ巴 「そういう訳で仕事よ」 『リンク・カレイド』真白イヴ(ID:nBNE000001)の言葉は簡潔だ。前置きの無い少女の言い様にも慣れたもの。小さく肩を竦めたリベリスタは無言のままその先を促した。 「今回の仕事はフィクサードの討伐」 「……あー、この怪盗ストロベリーを?」 モニターの中で勝ち誇る如何にも駄目そうな少女を半眼で眺め、リベリスタは力が抜けたような顔で聞き返した。 「しっかし、これは……フィクサード……なんだよな?」 相手はありとあらゆるスケールで色々台無しな少女である。放置しておいた所で都内の八百屋さんから苺が若干盗まれる位の被害しか想定出来ない。つーか買えよ。 「大人げなくね?」 「言いたい事は何となく分かる。ストロベリーは普通の泥棒より無害。ざこ」 こくこくと頷くイヴの言葉は単刀直入に残酷だった。 子供の言葉とは時に容赦が無いもので、言うに事欠いて雑魚とは酷い。 「問題は、あれ」 イヴの白い指がモニターに映った続きの光景へと向いた。 モニターの中には凶悪な顔をした数人の男と件のストロベリーが向かい合っている様が映っていた。 「これって……?」 「都内の某デパートの未来映像」 「……俺にはストロベリーがこいつらと戦っているように見えるんだが」 「うん」 イヴは小さく頷いてリベリスタの言葉を肯定した。 「怪盗ストロベリーは仕事をしようとした所で別のフィクサード強盗団と遭遇するの。 ……彼女は乱暴な手段を取る彼等に反発したみたいね。警備員のおじさんを守ろうとしてる」 フィクサードvsフィクサード。 中々無い珍しい状況にリベリスタは微妙な顔をした。 任務の主題はこの小競り合いに介入して(恐らく絶対に負けるであろう)ストロベリーの代わりに強盗団を食い止める事、といった所か。 「強盗団は全部で五人。実力はそれなりだけど、かなりの悪党。 乱暴な手段も辞さない所があるから注意して」 「分かった」 「あと、ストロベリーの処遇だけど…… これまでの実績は不法侵入十三件、少額の窃盗七件、子供との喧嘩八件に、拾得物横領が三件。お尻ぺんぺんするか、散らかった現場を片付けさせればそれでいいと思う」 イヴの言葉にリベリスタは苦笑いした。 ――だって、ざこだし―― |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:YAMIDEITEI | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2011年04月27日(水)23:24 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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●敵の敵は何だろう? 「邪魔するならお前も一緒だ。覚悟しな」 「かわいいあたしに手をあげるなんて、にんげんのしょぎょうじゃないのです!」 暗闇に踊る二つの言葉。 一つ目は野太く酷薄な男の声。二つ目は幾らかの焦りを隠した少女の声だ。 静かな夜のデパートを舞台にして、入り込んだ強盗団と迷い込んだ泥棒が向かい合う。 男が一歩距離を詰めれば、少女――怪盗ストロベリーは一歩下がる。 しかし、追い詰められようとも少女がそれ以上下がる事は不可能だった。 「ぜったいぜつめいのぴちんなのです……!」 諍いの元はトリ頭――少女がデパートの警備員を庇おうとした事である。 「地獄で後悔しな」 「あたしはてんごくいきだもん!」 殆ど><。な調子で叫ぶストロベリー。 何事も無ければ男の宣言は現実となり、哀れ彼女は以下略削除でバラされていたのかも知れないが―― ――いちごの怪盗とは、甘くて美味そうなやつじゃの―― 時同じくして静けさに包まれていたデパートに新たな声が響き渡った。 「一般に強盗と怪盗の違いは人を傷付けるか否か、が一番大きいところじゃが…… 罪は罪として。人を守ろうというその正義は嫌いではないのじゃ」 声の主は『有翼の暗殺者』アルカナ・ネーティア(BNE001393)だった。 「何だ、テメェらは!」 怒鳴り声を上げる強盗団――恐らくはそのリーダー、外出。 彼が睨み付けたのはアルカナだけでは無い。 「怪盗苺ちゃんと強盗団、リベリスタの皆様が奇跡の共演☆ 天藍くんも苺は大好きです。細かく言うならイチゴミルクキャンディが嫁ですイエーイ」 調子程は気は抜かず『そらのあお』梁・天藍(BNE001819)が嘯いた。 「苺は普通に買えると思うのですが……自分なりの矜持があるのは感心しますけど」 「フィクサードも色々だね。ストロベリーぐらいなら可愛いものだけど、この強盗達は許せないよ」 『追憶の蜃気楼』神無月・優花が何処かズレた感じに感心し、『猫耳探偵』有沢 せいる(BNE000946)が凛と言った。 「ええ。怪盗さんにはちょっと笑っちゃいますけど…… 強盗団は洒落にならないですよね。ここできちんと退治しておかないと!」 そんな言葉に頷くのは『いつも前向きに元気よく』星月 奈緒(BNE000147)。 特別な力を手に入れたら人間はどう変わるのだろうか? 或る者は使命感に燃え、それまで以上の正義を為すかも知れない。 或る者は力に奢り、身勝手な欲望を叶える為の悪にその身を落とすかも知れない。 此の世に潜む神秘に触れ、大いなる能力(ちから)に革醒し、運命にさえ愛されて。特別な存在となった人間をリベリスタ、或いはフィクサードと呼称する。大凡人間の常識と理解の範疇の外にある力を得た彼等でも、やはり(元)人間である限りは変わらない所もあるという事だろうか。 世の中、人の数だけの個性があるのと同じように――リベリスタもフィクサードも様々だ。 フィクサードがリベリスタの敵であると言っても、その『程度』までもが常に同じとは限らない。 毛を逆立てる小動物のようなストロベリーとスキンヘッドに凶悪な面構えで刃物を握るリーダー外出。どちらに肩入れしたくなるか、フェイトの導きは残酷である。 「憎めないというか、純粋な子なんだろうな。 根はいい子みたいだし、変な色に染まってしまう前にしっかり更生させないと」 「助けないわけには行かないよね……だって、かわいい女の子だし」 流石に状況的にパーティが望んだ奇襲までもは不可能だったが、強盗団にとっては騒がしいストロベリーとのやり取りに気を取られていたのが災いした。気が付けば彼等の近くには彼等に二倍する数のリベリスタ達が現れていた。彼等の目的は凶悪な強盗団の凶行を止める事。リベリスタはフィクサードにとって不倶戴天の強敵だが、『鉄心の救済者』不動峰 杏樹(BNE000062)や『暴走百合乙女』霧ヶ谷 かすみ(BNE000053)の言う通り、目的が強盗団の方である以上、今宵の運命は幸運な事にストロベリーの方に微笑んだのだ。 「おのれ、りべれすた! ぴゅあでかれんなさいきょうむてきおおものふぃくさーど、すとろべりーことあたしのいのちをねらってきたですね!」 「や、違うから」 「……勇敢と蛮勇は違います。怪盗さんの行動は後者ですね。 行動はそれなりに立派ですが、もう少し己を見つめ直し、省みるのがよろしいかと」 丁寧に突っ込みを入れる杏樹と、それすら億劫で疲れた溜息を吐き出す『消失者』阿野 弐升(BNE001158)。 「貴様等……あくまでも邪魔をする気か!」 「俺達は出来る事をやる、それだけだ」 殺気を放つ外出。流麗な美貌でそれを軽く受け流し、白刃を引き抜くのは『誰が為の力』新城・拓真(BNE000644)その人だ。 「おまえらにこのあたしがとらえられると思うなですぅ!」 厳しい視線を交錯させる二人の一方、ストロベリーは騒ぐわ自己主張するわ鬱陶しい。 「あー、苺大福あるから。静かにしてな」 「いちごだけたべるです。だいふくいらないです」 シリアスの最中に仕方なく振り向いた拓真にもストロベリーは素っ気無い。 「苺……数パックあります」 「あたしをかいじゅうできると思うなです。でもいちごはもらうです」 慌てて『節制なる癒し手』シエル・ハルモニア・若月(BNE000650)がフォローに入るが、これまた態度はデカイまま。 清々しい程に身の程を知らないストロベリーにパーティは――何故か強盗団までもが息を呑んだ。 この瞬間、敵味方問わず約一名を除く全員の気持ちは有り得ない程の一つになっていた。 ――駄目だコイツ……早く何とかしないと―― 「あー、兎に角こっちは任された。ちゃちゃっと本題行こうぜ、キリがねぇ!」 「んじゃまぁ、一応シリアスに盛り上がったって事で……宜しくお願いします」 『不良?女子高生』早瀬 莉那(BNE000598)の建設的な提案に外出は何故か丁寧に頭を下げた。 言葉と同時にばばっと強盗団が戦闘態勢を取る。リベリスタ達を迎撃する形に散開した彼等は歴戦の風格を見せてパーティを強く睨み付ける! 「何か酷いネ、実際……」 やる前から疲れた天藍はしみじみ言う。 「あたしをむしするなですぅ!」 ……いいから苺はすっこんでろ! ●でも意外と敵は強い。 「此処は俺達に任せて、警備員を逃がしてくれ」 死亡フラグな弐升の言葉を聞いているのかいないのか。 「あたしのちからをみせてやるのです!」 一層ひらがな率の上がるストロベリーは気合を入れる。 世の中には自分に酷似した人物が三人は居るという話がある。 自分で違う自分を見る現象を指すドッペルゲンガーの伝承は有名だ。 今日の現場の光景は大体そんな感じである。 「でも、才ある優秀な戦士は自ら戦わず後ろから指示するものなのです。 一緒に苺でも食べながら彼らの戦いを見守るのです」 「!」 納得したか。 「ぜんざどもにすこしはいいところをゆずってやるのです。 しんうちはあとででるです。いちごおいしいです」 『ぴゅあわんこ』悠木 そあら(BNE000020)とストロベリーのやり取りである。 どう見ても邪魔臭い、さりとて逃がしたら逃がしたで仕事の達成が不可能になるストロベリーを持て余す事なくそあらはその動きを止めていた。 全く偶然だが、本当に似ている二人である。 ……苺を抑えれば、後は仕事が重要だ。 「お兄さん、特殊な攻撃とかしないんでボコる担当。さっさと離れてもらわないとキツイョねー」 戦いの方に目を移せば、圧倒的な速力を武器にまず動き出したのは天藍だった。 彼我の緊張感が弾け、戦いの幕が上がるのとほぼ、同時。抜群の反応速度を見せたスピードスターは騒ぐストロベリーを華麗にスルーし、彼女や警備員と強盗団の間にその身を滑り込ませたのだ。 「伊達にソードミラージュやってないョ。速さだけが自慢だョ」 その言葉に嘘は無く、敵が構えを取るよりも早く残像さえ残す動きで斬撃を繰り出した天藍はフィクサードの黒い影を切り裂いた。 「わらわの動き、そなたらに見切れるかの!?」 追撃の手は素早い。 何時までも遊んでいる訳にはいかないと――パーティの中から一早くアルカナの小さな影が飛び出した。 彼我の間合いをまずは消し去らんとするかのように彼女の両手に煌いた刺突用の短剣は無数の光糸を紡ぎ出す。 「――この攻撃、受けてみるのじゃ!」 白い両翼を広げた少女から迸る光芒は幻想的な美しさを纏って強盗の一人を縛り上げた。 「作戦通りに――近付かせる訳にはいきませんから」 一声を発した優花が側面より迫った黒い影を痺れの光糸で迎撃する。 「……っ……!」 やや鋭さを増した彼女の視線が腕に絡みついた糸を引く男のものと交錯する。 パーティの作戦は敵の手数を減らしていくというものである。 そして、暗いデパートに灯りが点った。闇に慣れた目を一瞬強い光が灼く。 事前に聞いていた通り敵の数は五人――とストロベリー。全身を黒ずくめにした強盗団は成る程、全員がナイトクリークらしい。 「ださいかっこうなのです」 ……約一名、少女マンガの怪盗のような格好をしたピンクもいるが苺はスルー。 「中々、厄介みたいだな」 敵の実力は僅かな攻防でも知れる所。 その身に驚異的なシューターとしての集中力を纏った杏樹は愛用のヘビーボウガンを片手に呟いた。 彼女のオレンジ色の大きな瞳が見る戦局は敵側の猛烈な反撃を映していた。 「む、来ましたね!」 飛び掛って来る影に反応したのは奈緒。 彼女は持ち前の持久力を武器に敵の攻撃を受け止めんと前に出る。 大振りの剣を振るい、掻い潜って接近しようとする敵の爪を牽制する。 ――キッ……! 硬質の鋭い悲鳴が戦場に響く。 彼女は敵一人からの攻撃を何とかさばいたが、チームの連携を持つフィクサードにとってこれは囮に過ぎなかった。 「ひよっこ共にやられるままではいられんのだよ!」 「――!?」 バックステップで飛び退いた影に代わるように声を上げた外出が間合いを埋めた。 崩れた姿勢を死角から狙うように伸び上がった彼の手が奈緒の首元を狙う。徒手にも見えた一撃は小さな――それでも十分な殺傷力を持った爆発をその場へと引き起こす。 「……っ、この……!」 よろめいた奈緒はそれでもこの一撃に倒れない。 「あー、女の子に何て酷い事するの!」 抗議めいたかすみはそれを見るなり素早くバックアップへと動く。 「あんまり好きにやらせないから!」 ギリギリのマイクロミニスカートを翻し――でも決してめくれる事は無い――かすみは凛然と目前の敵を見据える。 実に清らかなる少女に呼びかけられれば天も相好を崩すのか。ふわりと巻き起こった傷痍の風は相当の傷を負った奈緒を強力に支援した。 奈緒が耐え、かすみが支える一方でパーティも敵に向けて猛然と反撃を繰り出した。 「ここからは――威力重視で行くよ!」 気を吐いたのは細かいステップで踏み込んだせいるである。 (――集中攻撃で数を減らして――) まずパーティが優先するべきだった敵のブロックは果たされた。 彼女が次に為すべきは敵を強力に叩く事である。 振り抜かれた大太刀に僅かに遅れるように、物理的な破壊力を帯びた黒いオーラが振り下ろされた。 絡み付く光糸に気を取られた為か避け損ねた強盗の一人の頭部に激しい衝撃が叩きつけられる。 「まずは、一人――!」 「ちぃっ!」 外出から痛恨の声。パーティは一気呵成と攻めかかる。 続く激戦でパーティと強盗団はそれぞれ奈緒と配下の一人を戦力から失った。 だが、元の戦力構成を考えればそれは差し引きゼロでは無い。 莉那、拓真が隙を埋め強盗団に威圧をかける。 「地獄で悔い改めろ。アーメン」 後方の杏樹から放たれる正確無比の精密射撃は気の毒なフィクサードの丁度股間の部分を撃ち抜いた。 背筋がそら寒くなる光景は、そりゃまぁ確かに地獄であろう。 「……容赦ないな、お姉ちゃん!」 叫ぶ外出。その残酷さに思わず口を噤む味方リベリスタ(男)。 「切り札は、最後に切る。言ってて若干恥ずかしいなコレは」 弐升の得手は神秘の力より身体能力。 プロアデプトからすれば予想外のオーララッシュに一気に外出までもが押し込まれた。 「ふふふ! あたしのおそろしさ、おもいしったですか!」 ……苺でも食ってろ、ストロベリー! ●反省ベリー 外出はじめとする強盗団はかなり強靭な抵抗を繰り広げたが、多勢に無勢。 リベリスタ側に若干の被害は出しながらも、壮絶何だか良く分からん戦いは終わった。 「あなたが狙ってた苺はこんな無残な姿になっちゃったんだよ」 結局当然のように包囲されたストロベリーにかすみは言った。 その手にはストロベリー自身が盗み出した苺のパックが乗せられていた。混乱の中で取り落とされた苺は潰れてしまっていた。 「警備員さんを護ってくれた事にはお礼を言いますが……」 同じ手に入れるならば盗むより感謝された方が良い、と。御褒美に苺のゼリーを手渡した優花は言う。 「怪盗はカッコイイけど、盗みは悲しい悪い事。あの強盗達と同じだよ。だから、やっちゃだめ」 せいるもそんな風に言葉を重ねた。頬をぷっくりと膨らませたストロベリーは素直に認めるのは悔しいのか「でもいちごはおいしいです」だの「あたしのです」だのぶつぶつと言っている。 「すべての苺を盗み出してしまったら……同じ苺が好きな人はもちろん、お菓子づくりにも困る。 ショートケーキから苺はなくなるし、美味しい苺タルトも作れない。苺ジュースだって飲めなくなる」 聞き分けの無い子供を諭すように杏樹が優しく言葉を足した。 期せずして先程の攻撃から『恐ろしい人』の認識が生まれてしまった彼女の言葉、 「もー、デコピンでいいんじゃね?」 体罰(笑)を提案した弐升にストロベリーがびくっと硬直した。 「今度怪盗の美学とやら、聞かせてくれんかの?」 「お片付け頑張ろうね。頑張ったらアイスおごってあげるョ? 高級苺でもいーけど」 アルカナが天藍が口々にあの手この手で宥めてすかす。 「……ふ、ふん」 暫しの沈黙を破り鼻を慣らしたのは渦中のストロベリーであった。 「あたしはりべれすたごときのいうことはきかないのです。でもこのばのかたづけくらいはしてやるのです」 恐らくは苺をあげるの一言が効いてのもの。しかし、取り敢えず反省らしき素振りを見せた怪盗にリベリスタ達は笑みを浮かべた。 ――さて、どうでもいい顛末であるが。 リベリスタ達は事件の三日後には怪盗ストロベリーが野望を再起したとイヴに聞かされる事となった。 現実は非情で、彼女は愉快なトリ頭。 「つぎはまけないのです」 ――とにかく苺は黙ってろ!!! 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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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