●承前 三高平市――夜の街角。 ある日、空から何かが突然振ってきた。 それを見つけたのは、とあるリベリスタだった。 老人のような姿に、少年のような瞳。真っ赤な服。白い髭。大きな白い袋。 どっからどう見ても、クリスマスなお方の格好。 落下の衝撃で片方の腕と脚がそれぞれ変な方向に曲がっていて、激痛にのたうち回っている。 仕方ないのでアーク本部に電話して、それから本部の指示を受けて救急車を呼んだ。 この時期は変なヤツがうろつくことが多い。 とりあえず、リベリスタは相手の名前を確認した。 「ワシャ、サンタじゃ!!」 ……はいぃ? ●依頼 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000018)は集まったリベリスタ達にニコニコした表情で話し始めた。 何か良いことでもあったのだろうか。 「自身を『サンタ』と名乗るアザーバイドが上空から転落して大怪我したんです。 全治一ヶ月はかかるみたいで、クリスマスに彼は活動できません」 いつからかクリスマスには『サンタ』が現れてプレゼントを配る。 これがいつからか世界中の子供達にとって、常識となっていた。 彼等アザーバイド『サンタ』はずっと昔から同じ姿でクリスマスイブに世界各地に出現し、子供達へとプレゼントを配って回っているらしい。 考えようによって、物凄く友好的なアザーバイドだとも言える。 この地域に訪れたアザーバイド『サンタ』もこれから、子供達にプレゼントを用意して街中を跳びまわる……はずだったのだが。 「どうやらソリの練習中に失敗して、そのまま転落したみたいです。 そこで皆さんにお願いです。彼の代わりに三高平市の子供達へ、クリスマスにプレゼントを配って欲しいんです」 用意されたのは赤い衣装、白い付け髭、大きな白い袋の三種の神器。 白い袋の中には様々なおもちゃが用意されている。 「子供達の中には、アークのリベリスタも含まれています。 中には純真に信じてる子もいますから、その子の夢を打ち砕くような行動だけはしないようにお願いします」 和泉は笑顔のまま手を振り、リベリスタ達を優しく見送った。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ADM | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年12月24日(土)23:26 |
||
|
||||
|
●サンタが街にやって来た! ――深夜のクリスマスイブ。 クリスマスの様々なイルミネーションが街に彩りを加え、商店街はセールに追われているこの時期。 アザーバイド『サンタ』の替わりとして、子供達へ贈り物を届けるというこの任務に参加した彼等は、渡されたサンタクロースの衣装に身を包み、それぞれ手にプレゼントを持って三高平市を回っていた。 サンタ衣装でサングラスは外さず、定番のクリスマスソングを熱唱しながら配り回る『ファンキー&ソウルフル』伽藍・道楽(BNE001965)が声を上げる。 「ワシが最高にハッピーなクリスマスにしてやるぞい! ワシの歌で街中をクリスマスムード一色に!! 袋の中のプレゼントは子供達のもの。歌は老若男女すべての者へ届けるぞい。 さぁ街中に響き渡れ! ワシの歌!! 今宵は楽しいクリスマスじゃ!!」 陽気に歌う向こう側では、『銃火の猟犬』リーゼロット・グランシール(BNE001266)が黙々と自身のミッションを果たすべく、迅速にプレゼントを配り回っている。 「この寒いのに配達業務とは……、しかし子供に夢を与える任務というのは悪くありません」 サンタの付け髭を揺らしながら、彼女は迅速に、確実に子供の部屋へプレゼントを配布していく。 一方で宇宙服を白と赤のツートンカラーにし、リヤカーをロケットの形に加工した風変わりなサンタを演じる『地球・ビューティフル』キャプテン・ガガーリン(BNE002315) 「素晴らしい地球の良い子達へ、宇宙時代のサンタからプレゼントだ!」 子供達は嬉しそうに、サンタ達からのプレゼントを受け取っている。 商店街を行く子供達にプレゼント配っていたのは、『正義の味方を目指す者』祭雅・疾風(BNE001656)。 「メリ~クリスマス! 良い子にしてたかな?」 疾風にはプレゼントの中身がわからないが、子供たちには嬉しいものであるようだ。 「純粋に信じてる子の夢は壊さない様にしたいからね」 家族たちに手を振りながら、彼はまだまだプレゼントを配り続けていた。 今宵、『サンタ』に扮したリベリスタ達が、三高平で小さな奇跡を起こす――。 出発前、悩みながらおもちゃを選別している『息をする記憶』ヘルマン・バルシュミーデ(BNE000166)と『月色の娘』ヘルガ・オルトリープ(BNE002365)。 共通の友人へのプレゼントについて相談をしていたヘルガは、ふと思い出した様に持ってきていたケーキを相手へ見せる。 「蜂蜜を使ったケーキを作ってきたから、それにする?」 ニコッと微笑した彼女に一瞬硬直し、少し慌て気味のヘルマン。 「ケ、ケーキふたつくらいなら食べられますよね。きっと!」 隠し持っていた自作のケーキの箱を取り出し、彼は少し申し訳なさそうな表情を浮かべている。 考えていた事がすっかり被ってしまった2人、気を取り直すようにヘルガはヘルマンに話し掛けた。 「……あっ、ヘルマンさんにもちゃんとプレゼントがあるのよ!」 出発前に彼女が取り出したのは、ブーツモチーフのシルバーチャーム。 ヘルガは笑顔でヘルマンへと手渡す。 「サンタさんからじゃなくて私からになっちゃうけれど、よかったらどうぞっ」 「え、え、いいんですか、どうしよう、クリスマスプレゼントって初めて貰っ……あの、来年のクリスマスは、わたくしからプレゼントを贈らせて下さい!」 予想外のプレゼントに、しどろもどろで返答を返すヘルマン。 ヘルガは微笑して肯きを返す。2人は見詰め合ったまま、笑顔で準備を進めていた。 準備を終えて孤児院の子供達を訪れていたのは、ツァイン・ウォーレス(BNE001520)と『MGK』の仲間達。 若いサンタになかなか信じようしない子供達へ。証拠を見せるべく彼は両手を交差する。 「サンタッ……クローーースッ!!」 クロスジハード、Xmasバージョンを気合で発動し、子供達の頭上に輝く十字架を出すツァイン。 子供たちは歓声を上げ、もっとやってーと子供達にせがまれ出して困った表情を浮かべる。 「ホ、ホラ、斜堂も優希なんかサンタっぽいところ見せてくれよッ!」 その隣で『滅璃異苦痢棲魔栖』と書かれたバイクに跨っていた『影たる力』斜堂・影継(BNE000955)。 ツァインからスナック菓子10本で雇われた自身に愕然としていた彼は、明らかにソリでもなければサンタらしさの欠片もないその姿で、厳しい現実を見せつけようとする。 「サンタもバイク使うんだよ!」 子供にそう言い放つ傍らで、共にプレゼントを配る『紅蓮の意思』焔優希(BNE002561)はツァインの本気度合いに素直に拍手していた。 「良い子にしていた君達に贈り物だ。来年も良い子にしているのだぞ?」 子供達に目線を合わせて頭を撫でる優希。 彼等はリベリスタとして戦うだけでなく、それ以外の場でも人の役に立てることに喜びを感じつつ作業を行っていた。 一方で小児科病棟を訪れていた『やる気のない男』上沢翔太(BNE000943)は、病室を回って子供達へとプレゼントを配っている。 翔太の申し出に病院は二つ返事で協力をしてくれていた。 沢山の子供達に奪い合いの喧嘩にならないように均等に配る事に気を使いながら、プレゼントを配る翔太。 彼と一緒にプレゼントを配っていたのは、『てるてる坊主』焦燥院フツ(BNE001054)。 坊主頭のサンタに扮したフツも子供達へ優しく接しながら、おもちゃの気持ちを代筆したメッセージ付きのプレゼントカードを入れて置いた。 「たのしくあそんでね」「えらんでくれてありがとう」と、書かれたメッセージを受け取る子供達。 更に式神を使い、ちょっとした動きをさせておもちゃに命を吹き込んだように見せて喜ばせている。 サンタは本当にいるのかという子供達の問いに、頷いて答えた翔太。 「サンタさんは本当に居るぜ」 彼は子供達の為に本物のサンタから、プレゼント配りを任されたのだと説明した。 「きっと来年は怪我も治ってて、俺に頼むんじゃなく皆の前に来てくれるだろうさ。 その時には皆も元気になっていれば、サンタさんも喜ぶぞ」 一応に頷いて目をキラキラさせている子供達を見て、珍しく笑顔を見せる翔太。 サンタ達のプレゼントの奇跡は、広がりを見せ始めていた。 『重金属姫』雲野杏(BNE000582)はタイトなサンタドレスに身を包み、同行する『ビタースイート ビースト』五十嵐真独楽(BNE000967)もまたミニのサンタワンピを着こんでサンタに扮している。 2人はサンタとして活動する傍らで、それぞれが用意していたお互いへのプレゼントを交換していた。 「はい、プレゼント」 彼へ渡されたのはピンク色で豹柄のジャージ。お揃いにする為に彼女自身のも購入したらしい。 「わぁ、これ、貰ってもイイの? えへへ、嬉しい! 今年は杏がまこのサンタさんだね♪ ありがとぉ」 「まこからは~まず、手作りのカップケーキとね。 じゃんっ、エレキの角型ハードケース!」 ケーキと共に出てきたのは、中がブルーのビロード風で、彼女の羽根の色と同じ。 真独楽なりに一生懸命探してきたのだろうそのプレゼントに、目をうるっとさせた杏。 「シュミに合うとイイけどぉ……」 「まこにゃんがくれる物なら、宝物にするわ」 嬉しそうに見詰め合う2人、クリスマスの幸せはサンタ自身達にも連鎖していたのだ。 ●恋人がサンタクロース! 一人で待つ『Rabbit Fire』遠野うさ子(BNE000863)を訪れたのは、サンタ姿の『Star Raven』ヴィンセント・T・ウィンチェスター(BNE002546)だった。 「メリークリスマスです。うさ子さん……っ!」 部屋の中へと踏み込んだヴィンセントだったが、コードに足を取られて転倒し、あっという間に絡まって動けなくなってしまう。 そんな少し抜けているところも、彼の愛らしいところだとうさ子は感じて微笑む。 「メリー・クリスマス。サンタさん」 何とかコードを払いのけて、真っ白な兎のぬいぐるみを受け取ったうさ子。 初めての男性からのプレゼントに、顔は高潮して胸の鼓動は高鳴っている。 ヴィンセントはぬいぐるみに付けてあった銀のロケットを示し、自分とお揃いにしてあることを話した。 恥ずかしそうに頷いたうさ子と一緒に写真を撮り、笑顔を見せるヴィンセント。 「これでいつも一緒にいられますね……でも本当は、本物のうさ子さんがいいのです」 そう言って、ぎゅっとうさ子を抱きしめたヴィンセント。 心臓が苦しくなる位、互いの高鳴る鼓動が身体越しに伝わってくる。 「じゃあ、一緒に寝るのだよ? 添い寝して欲しい……」 そのままベッドへと移動する2人。 これから朝までの時間。互いの鼓動が音楽の様に重なり、その音で愛情を確かめ合っていく。 「うさ子さん、愛しています」 恋人の『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)にプレゼントを渡しに向かったのは、サンタに扮した『原初の混沌』結城竜一(BNE000210)。 ダンボールを被って気配を絶ち、そーっとユーヌの部屋へと侵入する。 部屋ではベッドで彼女が横になっていて、近くにはプレゼント用の靴下が下げられていた。 ニヤニヤした竜一は、靴下を手にとって思わず匂いを嗅ごうとする。 「おっと、間違えた。プレゼント……はっ!?」 すると靴下に仕掛けてあった鳴子が僅かに鳴り、合図で飛び起きたユーヌが符を竜一へ放った。 「ギャー! ……あふん」 瞬く間に呪縛されて縛られ、竜一はまるで陸に上げられた魚のように身体をビチビチとさせる。 ユーヌは自身にリボンをかけ、ビチビチしている簀巻きの竜一の下へ。 必死に振り解こうともがく竜一だが、しっかり縛られた為に動くこともままならない。 「さて、夜更かしで眠いんだ。抱枕になってくれ」 竜一を抱きしめたまま、一仕事終えて眠りに付くユーヌ。 その寝顔の可愛らしさに、顔を必死で近づけようともぞもぞする竜一。 「……うう、動けない……」 凹んだまま縛られた竜一を小さく笑うユーヌは、「おやすみ」と告げて小さくキスをする。 思わず表情を緩める彼だったが、朝まではこのまま動けそうもない。 「メリークリスマス」 ちょっと予定とは違ってしまったが、彼にとってそれはそれで素敵な聖夜の出来事だったのだろう。 「そろそろ、寝ようかしら」 自室のベッドに横になろうとする『毒絶彼女』源兵島こじり(BNE000630)。 そこへ大きな白い袋に赤い服を着た『高校生イケメン覇界闘士』御厨・夏栖斗(BNE000004)が現れた。 きょとんとサンタを見据えたこじりは次の瞬間、物凄い勢いで殴りかかる。 あっという間にボコボコにされそうになった夏栖斗。 「ちょっ、まっ! 僕だから! 夏栖斗! 僕!」 止まらない連撃に抗いきれず、慌てて付け髭を外してこじりに弁解を始める。 クスリと笑ったこじりはその手を止め、夏栖斗へ「黙りなさい」と小さく告げた。 ホッとした夏栖斗は自分のすべきことを思い返し、こじりへとプレゼントを差し出す。 「メリークリスマス」 手渡したのは、大きなクマのぬいぐるみ。 自身がバイトをしてお金を貯め、彼女の為に用意したものだ。 夏栖斗が次の台詞を言うより早く、こじりは「気が利くじゃない」とばかりにクマを殴り始めた。 また慌てて止めに入る夏栖斗。 「ちがう! 殴るな! せめて抱っこしてよ」 熊の首を絞める様にしてぎゅーっとしたこじりの姿を、夏栖斗は携帯で写真に収めた。 彼女のレアショットに満足げの夏栖斗。その首にこじりは優しく手を回す。 「私、欲張りなのよ? だから……」 今夜は、ずっと一緒に居なさいと笑んだ彼女に、照れ笑いの彼氏。 聖夜の終わりは、当分先の時間となりそうだ。 ●リベリスタとサンタクロース! 『百の獣』朱鷺島・雷音(BNE000003)は部屋で静かにサンタの到着を待っている。 そこへサンタクロースの衣装と付け髭をした『自称・雷音の夫』鬼蔭虎鐵(BNE000034)が部屋を訪れた。 一目で正体に気づいたのか、冷ややかな視線を向ける雷音。虎鐵は大きく咳払いをした。 「う、うぉっほん! ……ワシは虎鐵ではないサンタじゃー!」 慌てて用意していたプレゼントを手渡す。 雷音がリボンを解くと、そこには今まで手にしたことのない紅く小さな実を数多くつけた盆栽が入っていた。 「ぴ! ピラカンサ!」 つやつやとした紅い実がなんとも愛らしいこの植物に、彼女は一目で心が奪われてしまったようだ。 「こ、虎鐵の割には気が利くといってやろう……」 言いつつ雷音は植物に手を触れ、一生懸命わからないなりにこの盆栽を選んだのであろう虎鐵の事を思う 笑顔で部屋を出た虎鐵の元に、一通のメール。 『本当に嬉しいです。大切にします。名前一緒につけてください』 届いた文面に赤面しつつ、虎鐵は幸せな気分に浸っている。 彼は笑顔のまま、他の子供達へとクリスマスプレゼントを配りに向かう。 ポンチョ風のサンタ服に身を包んだ『あかはなおおかみ』石蕗温子(BNE003161)がインターフォン越しに声を掛けたのは、『普通の女の子』華蜜恋・T・未璃亜(BNE003274)。 同い年ぐらいの2人だが、目を丸くして未璃亜がドアを開けて温子へと尋ねてくる。 「子供だけど、本物のサンタってホントっすか!?」 「何言ってるのかしら。チッチッチ」 使命感に燃えて目をキラキラさせている温子は、小さく指を振る。 「いいこにはサンタさんがプレゼントをくれるけど、もっともーっといいこにはサンタさん代理の栄誉が与えられるのよ」 「そうなんすか!? いやぁうちは去年までは散々だったっすから……うちに来るサンタは酷かったっす」 着せ替え人形が欲しいとお願いしたら、コスプレ衣装が届いて自身が親の着せ替え人形になったりと、どんなものを頼んでも親が楽しむものばかりだった彼女。 本当のサンタと聞いて目を輝かせたのも無理はない。 温子がプレゼントをひとつ未璃亜へと手渡す。 「おっとこうしちゃいられない。子供達がわたしの配達を待ってるのよ」 未璃亜の部屋を去った温子の前に、『幸せの青い鳥』天風・亘(BNE001105)が通りかかった。 「ハッピーメリークリスマス!」 「メリークリスマスなのよ」 亘は別の場所で配達を続けていたが、温子を見かけて呼び止めている。 彼が温子に手渡したのは、彼女のマフラーと同じ色をしたもこもこ手袋。 「寒い日が続きますし、風邪をひかないよう気をつけてね」 いつも自身のコーポレイトへ訪れてくれる仲間への、日頃の感謝を込めてプレゼントしたのだ。 笑顔で礼を言って手を振り合い、温子と亘はまたそれぞれのプレゼントを抱えて配達に向かう。 男の子なのにミニスカサンタに扮した雪白桐(BNE000185)は、『素兎』天月・光(BNE000490)と2人でプレゼントを配りに回る。 「サンタクロースですよ?皆さんいい子にしていましたか?」 「桐ぽんは男だぞ~」 子供達へと手配りしている桐に見惚れた子供達へ、光が突っこみを入れて笑わせる。 ある程度配り終えた桐に、光がウササンタの携帯ストラップを差し出した。 「桐ぽんにもご苦労様のプレゼントだぞ」 笑顔で受け取った桐も、彼女へニンジン型のトップがついたネックレスを手渡す。 「はい、光さんにもプレゼントです」 光は不意に空から降ってきた雪を指差し、きゃいきゃいとはしゃぎ出した。 「おや、寒いと思ったら降ってきたな」 「冬も本番ですね」 光の頭に付いた雪を優しく払い、空を見上げる桐。 雪が舞い散る中、クリスマスの小さな奇跡は続く。 「サンタではない! サタンだ! ハッハー!」 『メンデスの黒山羊』ノアノア・アンダーテイカー(BNE002519)の考えるサンタは、ちょっと違うものらしい。 その隣で『シュレディンガーの羊』ルカルカ・アンダーテイカー(BNE002495)が突っこみを入れ、ボケを重ねていく。 「酸たー 酸だー とかしつくして、めずらしくねーちょんがふくきてる」 「プレゼントね、うんうん、おいちゃんちゃーんと用意してありますよ」 頷いて袋からプレゼントを取り出すノアノア。 「これだ! ジャーン!」 黒のスケスケTバック。 「いっけね、これ自分用だった、こっちこっち」 赤のセクシーネグリジェ。 「すけすけ。おっぱいすけすけよ」 最後に出てきたのは、あったかふわふわな白い手袋。 「これだ! お前いつも寒そうな格好してっからなー、知ってる、サタン知ってるよ」 手袋をはめたルカルカの表情は嬉しそうだ。 「あったかい。ルカもねーちょんに毛糸のぱんつをあげるの」 真冬でも寒そうな格好を貫くノアノアに、ちょっとした気遣いを見せるルカルカ。 ちょっと変わった姉妹のプレゼント交換も、どうやらうまくいっている様子だった。 『フェアリーライト』レイチェル・ウィン・スノウフィールド(BNE002411)の部屋には、『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)が一緒に泊まっていた。 レイチェルの部屋は洋間で広い部屋だった。その為、女子会を開いてサンタを待っている。 「あたし、素敵じゃなくていいから、普通の彼氏がほしい!」 思わず口にしたレイチェルに対し、自棄ジュースとケーキですっかり荒んだ気分になっていた舞姫。 「………なんで聖夜に彼氏と一緒じゃないのよ、ガッデム!!」 「どうしたの舞姫。辛い事あった?」 優しく舞姫をフォローしようとしたレイチェルだったが、舞姫から発せられるドス黒い感情の渦が押し寄せ、心が満たされていってしまう。 それから間もなくして、この家をプレゼント持って訪れたのは、『人間失格』紅涙・りりす(BNE001018)。 「引きこもりに地利感覚なんてあるわけないだろう。だが、まぁ。お仕事頑張りましょうかね。」 サンタらしいフル装備をして、効率良く手早く配りまわっていたりりすが、出迎えてくれた舞姫とレイチェルへプレゼントを渡そうと袋を探る。 「メリークリス……」 「「ヒャッハー、サンタ狩りだッ!!」」 言うや否や、不意打ちで飛びかかられてボコボコにされてしまうりりす。 暗黒の感情に魅入られた2人の敵ではなかったのだ。 「大丈夫。峰打ちだ」 ぶっ倒れているりりすを前に、平然と言い放つレイチェル。 一方でりりすの持参していた白い袋を見やる舞姫。 「よこせ、貴様の全てをよこせぇぇぇえええええ!!!」 袋をガサゴソと開けて、プレゼントを探し出す2人。 その中に、超可愛い男の娘や理想の彼氏が…………いるはずもなかった。 「「がっでむ!!」」 『気紛れな暴風』白刃悟(BNE003017)は子供達にプレゼントを配りながら、自身の過去を思い出す。 (毎年朝に現れるプレゼントは、魔法みたいで嬉しかったな……) 自分が配るプレゼントも、そんな風に感じてくれたら嬉しいなと彼は思う。 やってきたのは、エリス・トワイニング(BNE002382)の自室。 律儀に靴下をベッドに吊るし、静かに寝入っている彼女。 そっとプレゼントを忍ばせた悟の視線の先に、メッセージカードと小袋が置かれていた。 『サンタさん、今日は、配達、ありがとう。プレゼント、受け取って、ください』 手作りのサンタの形をしたジンジャーブレッドマンを手にし、小さく笑った悟。 彼は思いついた様に、サンタとトナカイの絵葉書を一緒に置いていく。 (これくらいはアドリブ利かせても、許してもらえるかな?) 今日ぐらいは、みんなが幸せになって欲しい。 そう願うサンタ姿の彼は、眠るエリスへ軽く感謝の礼をして、クッキーを手に部屋を出て行った。 『十字架の弾丸』黒須櫂(BNE003252)は160センチもあるクマのぬいぐるみを運んでいた。袋に入りきらないのか半分、茶色の顔を出している。 彼女が向かったのは友人である『黒鋼』石黒鋼児(BNE002630)の家。 彼は早めに家を出て、外で待っている。 「……やっぱもらうだけってのは良くねぇよな」 金のなかった彼は手作りでプレゼントを返すことにしたのだ。 薄手のサンタ服の為、少しだけ寒そうにしてやってきた櫂。 鋼児の姿を見て、プレゼントの袋をぎゅっと握り締める。 「き、きてくれてありがとっ」 彼女の普段の冷静さは何処へいったのか、勢いよく鋼児へと袋を投げつけ、慌てて立ち去ろうとする。 「そっそれじゃ、メリークリスマス!」 「待てやゴラァ!」 彼の声に櫂は一瞬ビクッとなって動きが止まった。 駆け寄った鋼児が彼女に手渡したのは、可愛らしいシュシュ。 「……家族以外から何かもらうのは初めてなんだ。 あんがとな、櫂」 プレゼントに嬉しくなり、泣きそうな表情を浮かべる櫂。 「私こそ有難う……」 そんな2人の様子を物陰から覗いていた『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)。 (ちぃ、出遅れましたか……) 肩をすくめた彼女がその場を離れ、訪れたのは『K2』小雪・綺沙羅(BNE003284)の部屋。 「HOーHOーHOー!! 天使なサンタが伺いますよー」 入口の明らかに目に見えるちゃちな罠を見るに、どうやらサンタの正体を知りたがっているらしい。 笑ってかわしたユウだったが、そこへ更に金タライと網が襲い掛かる。 罠は、二重トラップになっていたのだ。 「サンタ、討ち取ったりー!!」 虫取り網を持って襲い掛かってきた綺沙羅。 贈り物もなく一人で寂しく過ごした事しかない彼女にとって、今日の思い出が一番の贈り物なのかもしれない。 「サンタさんって、本当に居たんですね……♪」 『童話のヴァンパイアプリンセス』アリス・ショコラ・ヴィクトリカ(BNE000128)は、『アリスを護る白兎騎士』ミルフィ・リア・ラヴィット(BNE000132)に告げると、わくわくしながらベッドの端にプレゼント用の靴下を下げる。 笑顔のミルフィはアリスを寝かしつけると、部屋を出てサンタのコスチュームを身に纏う。 自身の大きな胸を強調したサンタ服。ギリギリのミニスカートで脚を露出し、ちょっと『えっち』なサンタガールといった格好だ。 そのままアリスの部屋へと入ったミルフィは、その愛くるしい寝顔を見て心が激しく動揺し、軽く眩暈を起こしそうになる。 (……い、いけませんわ、とにかく、プレゼントを……) 気を取り直してプレゼントのぬいぐるみを置き、愛しのお嬢様のほっぺに軽くキスをしたミルフィ。 翌朝。彼女の元へ駆け込んできたアリスは、興奮したように話しかけてきた。 手にはミルフィが用意したぬいぐるみを持ち、ニコニコした表情のアリス。 「ミルフィっ♪ 私、夢でサンタさんに会ったんですよ♪ 何だかミルフィに似てて……私のほっぺにキスをしたんです」 「それは良かったです。メリークリスマスですわ、お嬢様♪」 アリスの笑顔を見て、自然と笑みが零れるミルフィ。 クリスマスに起きた小さな奇跡は、様々な形で連鎖する。 彼は今回、『ネメシスの熾火』高原恵梨香(BNE000234)がミニスカサンタとなってプレゼントを配るのを手伝いに回っている。 ひたすら黙々とソリを引き続け、進入する為に高所へと昇ろうとする恵梨香には「俺が踏み台に」とその身を四つん這いする快。 思わずそういう趣味なのか、疑問に思って尋ねた恵梨香。目にはちょっとした不信感が宿っている様だ。 「まぁどんな趣味でも構いませんが、下から覗くのはやめてくださいね」 言いつつも快を足蹴にして、家へと侵入していく恵梨香。 部屋の中では絶対にサンタはいると信じ込んだ『突撃だぜ子ちゃん』ラヴィアン・リファール(BNE002787)が就寝していた。 ベッドに靴下をかたどった入れ物を下げて準備万端にし、最近流行のカードゲームに出てくる、『神のカード』が欲しいと書いた手紙が忍ばせてある。 順調にプレゼントを配り終えた恵梨香に、馬車馬のように付き従っていた快から袋が手渡された。 「一日サンタクロース、お疲れさま」 中にあったのは赤いマフラーと手袋。彼からの心遣いに笑顔を見せる恵梨香。 一方で翌朝。目覚めたラヴィアンが入れ物から目にしたのは、神カード『天翼巨竜神兵オシリラーベリスク』だった。 「ありがとう、サンタさん!」 空に向かって純真に声をかけるラヴィアンは、嬉しそうにカードを手にしたまま部屋を出て行った。 元気良く街中を駆け回っていた『駆け出し冒険者』桜小路・静(BNE000915)は、アーク本部を訪れていた。 彼が向かったのは『リングカレイド』真白イヴ (nBNE000001)の部屋。 この日の為に、彼は苺を中央に山盛り乗せて、たっぷり生クリームでデコレーションしたケーキを持参してきている。 「メリークリスマス!」 現れたサンタ姿の静に、少しだけ驚いた顔をして小さく首を傾げるイヴ。 手渡されたケーキには、ピンクの兎の砂糖菓子が所々に潜んでお出迎えしてくれていた。 「これ……ありがとう」 嬉しそうに礼を言うイヴに、小さく笑みを返す静。 自身にプレゼントが来ると、彼女はまったく思っていなかった様だ。 一口ケーキを食べ、笑顔を浮かべるイヴを見つめている静。 「いつも有り難うなっ、おつかれさま!」 自分よりもずっと年下にも拘らず、いつもフォーチュナとして様々な神秘を目撃し続けるイヴ。 こんな日だからこそ、少しでも安らいで欲しい。 素直にそう願う静だった。 三高平に幸せの広がる夜。 誰にも等しく訪れる聖夜の奇跡を、今宵『サンタ』となったリベリスタ達が起こしたのだ。 その笑顔は、翌朝プレゼントを見つけた子供たちのはしゃぎ声と一緒に広がり続けていた。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|