●ハーピィ・ソング 人が滅多に入り込まないような山奥にビーストハーフのフィクサードが一人紛れ込んだ。そのフィクサードは鳥の足と羽を持つ、誰もが振り向くような美しい女性。ファンタジーめいた彼女の姿を形容するとしたらハーピィというのが相応しいだろう。 そんなハーピィのような女性であるが、異形化を隠す幻視の力を使いこなせず故郷から追い出されたばかりだ。 追い出され、山へと逃げてきたハーピィであるが、この世界に仲間が居ると知っていた。鳥のビーストハーフが飛んでいる姿を、この山に逃げる途中で目撃したことがあるからだ。 仲間の存在を知ってハーピィは嬉しくなり、すぐにでも仲間に入りたくなった。自分は孤独だと思っていたが、仲間が存在した、という事実は心を躍らせた。 しかし、その目撃から十年ほど経ったがこのハーピィは迷い込んだ山奥で一匹生活していた。なぜ仲間だと信じるビーストハーフに接触しないのかを言えば、このハーピィが極端に臆病で恥ずかしがり屋だからだ。 歌は得意なのだが、言葉がうまく紡げず無口になってしまう。人と会うと頭の中が真っ白になるから、行動も何が伝えたいのか分かりづらい。 いわゆるコミュニケーションが取れない性格で、あがり症でもあるからすぐに逃げる。その上、人間不信気味で少しでも不安を感じたら独自の力――眠りの歌を使って対象を眠らせてしまうという難儀さだ。 それを数十年も続けているのだから、筋金入りである。 さて、このハーピィ。フィクサードであるが悪さを考えたことはない。むしろ人里に下りることもなく、動物に囲まれて平和に暮らしていた。放置してもそれほど問題はなかったのだが……この山が開発されることになったので、事情が変わった。 人の手が加えられようと重機が山に迫った時、驚いて人前に出てしまったのだ。もちろん、幻視は使えず鳥女の姿を晒してしまったことになる。口下手で何も言わなかったために言い訳すらなく、神秘の秘匿もできない。 そんな姿を見た山の所有者は、ハーピィが何かをする前に縄で捕獲。そのまま籠の鳥にしてしまう。 「……」 籠の鳥となったハーピィは見世物となり、毎晩籠の中で悲しげに歌うだけ。そんな未来をカレイド・システムは見た。 もちろん、神秘の秘匿という点でも、悲しい結末を迎えさせないためにも、アークはリベリスタ達に説得依頼を出す。 ●筋金入りだから なんとも言えない人生の縮図を見たような気がして、リベリスタ達は資料に向かって頷くしかなかった。五十年近く一人で暮らしていた理由が口下手と対人能力不足とは。一番の問題は幻視が苦手ということだが。 「でも、寂しがり屋みたい」 補足する『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)も、心配そうにしている。そんな生活なのに、よくも五十年もったというべきか。 「今回の依頼は山奥の彼女に会って説得、保護することだよ。もしも説得が失敗したら、戦ってでも連れて来て」 重い言葉であるが、神秘の秘匿はそれだけ大事なことだ。少なくとも普通の人たちの前で見世物になるよりはマシだろう。 「逃げられないようにすることが一番大切。逃げられてしまえば、補足まで時間がかかってしまう」 逃げ癖が付いているうえに、眠りの歌を持つハーピィ。戦う力はないものの、厄介といえば厄介だ。しかも、その厄介さが厄介な結末を導くという。 「それと。すごく美人だから、気をつけて」 何を気をつけるというのだろう。と、リベリスタ達が首をひねると、真白イヴは続けた。 「服着てないから。目を奪われるかも」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:nozoki | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年12月09日(金)23:41 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●地を這う鳥の歌 飛び立つ鳥に対して、鳥籠の中の鳥はただ嫉妬するしかない。少なくともハーピィはそう思っていた。 「……」 今日もまた、小鳥に話しかけようとして逃げられてしまう。本人も、この性格をどうにかしないといけないとは考えているのだ。 人の寄り付かない山の中が、彼女の鳥籠。 鳥籠の中の鳥に許された自由はただ泣くことだけ。 「……」 涙を拭いて、ハーピィは歌う。空はあんなにも青くて広いのに、自分はこんなにもちっぽけだと悲しむように。 「……」 だけど、空はそんなハーピィが思っていたよりも広い。青空の向こうから、ハーピィを探しに来た人が居るのだ。 「さぁ出ておいで美人ちゃぁ~ん。あぁ、どんな声歌うんだァ? 聞いてみてぇーなぁ」 青空の向こうで羽ばたきながら、空から双眼鏡を覗き込む『阿呆鳥』クランク・ファルコン(BNE003183)の姿が遠くあった。美人に出会える期待でハイになっているので、心情駄々漏れの台詞がちょっとチンピラとか悪役っぽい。 「……」 しかし、ハーピィは俯くばかりでクランクの姿が見えなかった。この籠の中の鳥は、憧れはあるもののすっかり外に出るのが怖くなってしまっている。 「お、人がいたぜぇ、多分あの子かぁ。ひゃは、どんな子だろう……か、可愛いじゃねぇか…」 そんな姿をクランクは見て、正直な感想を漏らした。普段の強気な顔も綻ぶ。 「やっぱり見たいし……べ、別に裸をって意味じゃない……けど……。お、男だからしょうがねぇじゃねェっすかァ!」 そして、双眼鏡をよく覗いて眼福に浸るのであった。 ●まっすぐに向かおう 時は遡り、リベリスタたちはこの地のハーピィを迎えるために準備をしていた。といっても、せっかく山に登るのだし、ハーピィに警戒心を与えないためにもピクニックのように楽しくいく予定である。 「なんかもう美人とかそれ以前の問題だろ」 なので、今のうちに、ハーピィが受ける未来の理不尽、そしてハーピィが受けてきた理不尽に憤慨するものもいる。両手を勢いよく合わせてそれを表現する『ディフェンシブハーフ』エルヴィン・ガーネット(BNE002792)もその一人だ。引き締まった体が震えて、少し近寄りがたい雰囲気である。 「故郷を追い出されてずっと一人で過ごして……その時からずっと、心は迷子の子供みたいなものなんだろうな。この困った小鳥を、孤独って鳥篭から解き放ってやろうぜ!」 とはいえ、目的を忘れていない。一度怒ってスッキリとした体を緩ませ、エルヴィンは世話好きな面を見せる。エルヴィンにとって今回のハーピィは子供という認識なのである。 そんなエルヴィンは強結界を山に張り巡らせて、一般人の目を逸らせる。これによってハーピィに気付かれてしまうかもしれない、という疑惑はあったが、それでも行き場のないハーピィに何かを知らせることになるから問題はないのだ。 「彼女が心を伝える手段はその声(うた)のみ。故郷を追われ一人過ごす中、仲間の存在を認識し、歓喜し、いつの日か仲間との生活を夢見て過ごし誰にも迷惑をかけずひっそり過ごしてきた彼女。その生活をただ悪戯におのが欲望のままに蹂躙しようとせし者がいる」 フォーマルな燕尾服に身を包み、歩きながら決意を固める『「Sir」の称号を持つ美声紳士』セッツァー・D・ハリーハウゼン(BNE002276)の姿は、まるで彼がオペラに臨む時のようであった。 「これを許す道理があるだろうか。――否。少なくとも私にはそのような道理は持ちえないましてや声(うた)をこよなく愛する彼女を、だ」 渋い声を演劇のように奏でながら、セッツァーは自分の中で物語を構築していく。その物語は、セッツァーが信じている声(うた)の力で、彼女を救い出すというハッピーエンドを迎えるというもの。 「この依頼是が非でも成功させなければならぬ。彼女の笑顔とその歓喜の声(うた)を聞くためにも」 ハッピーエンドの後は、素晴らしい女性の声(うた)を聞きながらカーテコンコールだ。それを信じているから、セッツァーは張り切っている。声帯にも力が入り、渋い顔には真剣が入った。 「50年近くも一人じゃと、淋しかったじゃろう。ましてや、幻視が上手く使えず、故郷を追われておるなら尚更じゃ」 これから山登りをするというのに、それに似合わぬゴシックな服装に身を包んだ『嘘つきピーターパン』冷泉・咲夜(BNE003164)は、ハーピィの境遇に自身の境遇を重ねていた。 「長い孤独は理解してやることはできずとも、故郷を追われる気持ちはわしにもわかるしのぅ」 故郷を追われていたという事実。それでも、人に助けられ、咲夜は孤独ではなかった。しかし、ハーピィは孤独だ。だからこそ、仲間が居るということを、まだ人と関われるということを伝えなければならない。 「彼女が再び人との関わりを持てるよう、最善をつくすのじゃ」 女性を惑わす少年のような笑みを浮かべつつ、咲夜は手作り弁当を片手に真摯に向かう。夢の国の少年は、孤独な夜に迎えに行くのだ。 「元々幻視が出来なかったからここにいるだけで、ここはハーピィさんのおうちじゃないもんね」 ハーピィを迷子と称した歌を軽快に歌っていた『枯れ木に花を咲かせましょう』花咲 冬芽(BNE000265)は、ステップを踏みながらポニーテールと翼を風に揺らしていた。ただ真っ直ぐに山を、その中に閉じ込められているハーピィを見つめるその姿は冬芽のまっすぐな心をそのまま表しているかのようである。 「だから、私達アークが貴女の新しいおうちになってあげる。怖がらずにいらっしゃいなっ♪」 控えめな胸に手を置き、間を置いてから差し伸べるようにして手をスナップさせる。誘うように、仲間だと伝えるように。……今はまだ見えないけれども、この手がきっとハーピィを助けると、冬芽は思う。 「いきなり体が変化して、追い出されて……。本当、大変だったね」 パタパタと手首を動かして、ハーピィと自分の体の違いを体感している『スターチスの鉤爪』蘭・羽音(BNE001477)は、今回のハーピィに対して特別な思いを抱いていた。 「同じ鳥のビーストハーフとしても、放ってはおけないよ。仲良くなりたいな……」 自分との体の違いは、そんなに少ない。だけど、性格は違うし境遇も違う。どこかで間違えば、自分もそうだったかもしれない。だから、友達になって救ってあげたい。そう思う。 「羽音様、張り切るのは結構ですが動かれるとずれてしまいます」 「……んー」 そんな羽音の体に、持参したベールや羽織り物を着せているのは『宵歌い』ロマネ・エレギナ(BNE002717)だ。ハーピィは裸の女性、ということなので保護した時のため、こうして同じような体をしている羽音の体に合わせているのである。 「……大丈夫……かな?」 胸のあたりをぺたぺた触りながら、羽音は思う。相手はボンキュッボンだからだ。 「この魔王が居るのだ、方舟に乗った心算で居たまえよハッハー!」 そう、こうしてとても大きな胸を張っている『ああんっ☆魔王さま!!』ノアノア・アンダーテイカー(BNE002519)のような大きさだという情報だ。 「いざとなれば僕の服貸してやるから」 幻視を解除し、山羊の角と毛皮に包まれた胸を見せつけながらノアノアが言う。それには羽音もロマネも頷かざるを得なかった。でもこれほとんどビキニじゃない? ●ピクニック気分で さて、空に偵察へ向かった冬芽とクランクを除いた一行は、ピクニックのようなふるまいをしながらハーピィをおびき寄せる作戦に出ていた。それは、青空の下で演奏会というものである。 「明るく愉快にピクニック風、やっぱ自分がまず楽しまねーと」 子供用のピアノでエルヴィンが鼻歌交じりに伴奏を始める。筋肉質であごひげのある体には似合わないような、優しい旋律が流れていく。それはまさしく子供に聞かせるための曲だ。 「これでも先生目指してるんで最低限は弾けるんだよ」 普段付けているグラサンを外したその顔は、優しいお兄さんそのものである。 「動物型を使った可愛らしいおにぎりにタコさんウィンナー、甘い玉子焼きは定番じゃの。後はほれん草の白和えに……」 女性受けを良くするために勉強したという料理の腕で作ったお弁当の中身を自慢しながら、咲夜はピクニックシートに皆の分も置いていく。和気藹々とするための演出をしながらも、咲夜はソプラノでところどころ歌う。歌もできるのだ。 「私は声(うた)が届くであろう範囲で、できる限りの想いを込めた安らぎの歌を声(うた)い音によるコンタクトを試みよう」 歌のメインはセッツァーだ。自分の思いを十分以上に込めて、伴奏に合わせ歌を奏でていく。その荘厳な声は山に響き、風景と合わせてどこか神秘的な光景を作り出す。ロマネもそれに合わせて、歌を紡ぐ。声は重なり、神秘を増す。 「……動いたな」 AFの通信を通じて、クランクの声が聞こえる。どうやら効果はあったようで、ハーピィは反応した。 「だけど……待ってー!」 しかし、しばらく迷った後に逃げ出したらしい。それを追いかける冬芽の声も聞こえてくる。 ハーピィの重り付きのワイヤーをひっかけてから、冬芽は人形を取り出して自己紹介を始めた。当然ハーピィは「!?!?」と混乱しているのだが、冬芽のペースに呑まれてその言葉を聞いている。 「こんにちは! 私は花咲冬芽! びっくりさせちゃってごめんね!」 手元で人形をぴこぴこと動かしつつ、冬芽は愛嬌のある笑顔のまま一気に喋り捲る。 「だけど、お話をしたい人が居るから……。あ、私もだけど! みんなで喋りたいから、下ろすね!」 そして、ハーピィの体を抱いてゆっくりと下降を始める。地上で待っている皆が居るから、そこまで運ぶ算段だ。 「はい、チョコ! 甘いよー!」 「……!?」 まだ混乱して歌も歌わないハーピィの口元に、「はいあーん」とチョコを入れる冬芽。そのままなあなあで地上に下ろしていく。 そして、ハーピィが冬芽によって地上に降りてきたところで、まずは羽音が前に出る。もちろん仲間だという証明である鳥の足を見せている。 「怖がらないで? あたし達は貴女と同じで、普通の人間じゃない。でも……貴女に危害を加えたりは、しないから」 微笑みながら、真っ直ぐ目を向け、羽音はゆっくりと語る。 「すぅー、はぁ……」 「……」 深呼吸。焦って言葉を捲し立てないように、配慮をしてからもう一度言葉を紡いでいく。 「あたしは、蘭羽音。貴女と同じ様に、ある日突然こんな体になった。でも……アークって所で、この体を隠す術を教わったの」 鳥の足と尾羽を動かし、全身を使って自分を表現する。そうすることで、仲間だと知らせたいから。 「この森は……もうすぐ開発されて、住めなくなるの。ここにいたら、一般人に見つかっちゃうし……。それに、1人は寂しいでしょ? だから……あたし達と一緒に、アークにおいでよ。アークには、貴女と同じ様な人がいっぱいいるし。その体を隠す術も、教えてもらえるよ。どうかな……?」 あ、言葉を重ねすぎちゃったかな……。と言った後でちょっと後悔をしながら、羽音はハーピィの反応を待つ。 「……」 迷っている様子であった。警戒心はまだ残っているようで、その言葉を信じていいのかと考えている。 「相手と話す為には相手と同じ土俵に上がる事が第一条件、だろう?」 だから、ノアノアが脱いだ。豪快に脱いで胸がぼろん出て、自分のお尻を尻尾で叩いて気合を入れる。 「しっしっ」 すかさず女性陣がガードに入ったのと、男性陣がクランク以外は紳士だったのでセーフである。何がセーフなのかは分からないが。 「しっかりするのじゃわし」 咲夜が自分にブレイクフィアーを使っているがたぶんセーフだ。 「僕、敵、違う。友達、なりたい。お前、歌上手い、俺知ってる。お前、歌う、私、教えて貰う。一緒、歌おう! 楽しく、歌おう!」 ハーピィの両肩をがっしりと掴んで、頭が真っ白になってもしっかりと伝えられるように心をこめて言う。 「初めまして、ロマネと申します。貴方が素敵な歌声をお持ちの方だと伺いました」 お弁当をちらつかせながら、ロマネも続ける。リベリスタたちは一緒に歌を歌おう、キャンプをしようとハーピィを誘っているのだ。 「レッツご飯タイムっ!」 ちらちらとお弁当を覗いていたハーピィを冬芽が掴んで、お弁当タイムへ。 それから、演奏会の続き。セッツァーとノアノアが歌い、エルヴィンがピアノの伴奏を続ける。 (あとはきっと信頼すべき仲間たちが事をなしてくれる。そう、声(うた)を愛する者に不幸など訪れるはずもないのだから) ただ歌に専念し、歌を紡ぐセッツァーの胸中はこうだった。その証拠に、エルヴィンがハーピィに対して小さく手招きをしている。 「……」 「弾いてみるかい?」 ぴょこぴょこと、小鳥のようにして近付いてきたハーピィに対してエルヴィンは顔をまっすぐに見つめ、ゆったりとした安心できる言葉を返す。 「……」 こくこく。頷くハーピィにエルヴィンはピアノをプレゼントした。 「もう君は一人じゃない」 優しい笑みは、ハーピィの中に残されていた猜疑心を溶かすのには十分である。 「わたくし共が住む街へ行きませんか? ロマネは着替えを渡し、手を差し伸べる。その手に少しだけびくっ、と反応するハーピィだったが、これまでの触れ合いで信じてみよう……という気になっていた。 「……」 「大丈夫。きちんと最後まで聞くから……ゆっくりと話を聞かせてくれると嬉しいのじゃ」 何かを言いかけていたハーピィに、咲夜が優しく語りかける。子供に言い聞かせるように、ゆっくりと。 「♪」 その返答は歌だ。しかし、それは敵を眠らせる技ではなく、喜びの歌である。聴いているリベリスタたちには、それがよくわかった。 「よぉ、可愛い子ちゃん、君の綺麗な歌声、アークのやつらにも聞かせてやってくんね?」 歌声に釣られて降りてきたクランクが、そんなハーピィに声をかける。 その返答もやはり歌だ。歌によって、新しい環境に対する迷いや不安を表していた。 「俺達だけが聞くのはやっぱもったいねぇなぁ……アークにいる奴等にも聞かせてやりてぇんだけど……どうかな? 勿論オレも手伝うぜ!」 「……」 歌は一旦中断。ハーピィは恥ずかしそうにしながらも、クランクの言葉に小さく頷いた。つまりは、これで説得は完了である。少し分かりづらいが。 「窮屈かもしれませんが、着て頂けますか? なるべく着易いものを選んだつもりではございます」 そういうわけで、ハーピィはロマネが先に手渡した服を着たのだが。これは胸のあたりが窮屈そうだった。 「……」 がくり、と項垂れる羽音。項垂れながら、緊張で食べられなかったお弁当の中身を漁る。 あまりに窮屈そうなのでノアノアが服を渡す。 「吾輩パンイチで帰るから」 「それはダメー!」 しかし、それは却下。当たり前ではある。 「女子は、身体を冷やしてはいかんのじゃ」 結局は、咲夜の用意した着物の上衣を羽織ってハーピィは向かうことになった。 新しい住処へと。 「♪」 自分と共に歌を歌ってくれる、仲間と共に。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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