●鎧武者と白屍と 夕暮れも過ぎて陽も沈む頃。外灯の灯りだした住宅地にて帰路に着く少年が数名。 各々、袋に入った長い棒のような物と一抱えはありそうな道具袋を携えている。 「やったな。これで全国大会だ!」 「ああ、待ち遠しいぜ」 和気藹々と笑みを浮かべ閑談をしながら歩く彼らはとある学校の剣道部の部活生。 つい数時間前にあった地区大会で優勝を果たし、念願の全国大会へと駒を進めたのである。 そんな中で一人だけ、浮かない顔をしている少年が一人。 「でも、まさか竹刀が折れるとはなぁ」 「ああ、マジびびった。お前力が強すぎんだよ」 落ち込んでいる少年へ仲間達がそういって言葉をかけながら肩を叩く。 だが少年の口から出るのは深い溜息ばかり。買い換えるにしてもそれには親を頼るしかないわけで……。 この後の説明やおねだりをすることを考えると青色吐息といった様子だった。 「おい、あれ……何だ?」 と、その時一人の少年が声を出した。一同がその声につられて正面へと視線を向ける。 そこには立っていた。時代錯誤も甚だしい。いや、寧ろ何故それがここに存在しているのか。 一つの外灯が照らす下、黒塗りの武者鎧が一つ。微動だにせず悠然と佇む様は威風堂々。 腰に携えている刀は大小二振り。遠目でははっきりと見えないが、柄と鍔の装飾も華麗で値打ち物なのだろうなと無意識にそう思う。 まるで美術展に飾られていた一体が持ち出されてこんな場違いな場所に忘れ去られたような印象を受けた。 「日本鎧? なんだってこんなものが……」 一人の少年が近づく。 それに遅れてもう一人の少年がその武者鎧を近くで見ようと駆け寄ろうとしたとき。 目の前にいた友人がずり落ちた。 斜め下に滑るようにして頭と肩と胴が地面に落ちた。 視界に残っているのは上半身が無くなった友人と、銀色に煌く白い刃と、それを振り抜いている武者鎧――否、鎧武者。 「ひぃっ!?」 そしていつの間にか、闇から湧いて出るようにして現れた白き屍達。 カチャカチャカタカタ――刃と骨を鳴らして少年達を取り囲む。 少年達の悲鳴があがり、そして途絶えた。 ●ブリーフィング 「これが今回の任務の内容」 『リンク・カレイド』真白イヴ(ID:nBNE000001)が端末を操作すると、それぞれのホログラムウィンドウに今回の事件の情報が表示される。 発生時間は昨夜。被害者は剣道の部活生が3名、内2名が死亡し残り1名が心神喪失。 「ねえ、この心神喪失の子って? 何で無事だったの?」 「理由は不明。ただ外傷は擦り傷程度でそれも自分で転んだことによるもの」 エリューションによる危害は皆無。ただ極度の恐怖によって心が壊れてしまった。 今はアークの息の掛かった病院に収容されているが、ただ怯え続けているとイヴは告げる。 「今回の敵、鎧武者は強い。気をつけて」 イヴの言葉にリベリスタ一同は頷き、戦場へと足を向けた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:たくと | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2011年04月17日(日)02:25 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
●隔離される世界 日の落ちた町並み。ちらほらと灯る家の明かりが僅かな暖かさを醸しだす。 一日を終えまた明日を迎える為に人々は家族との団欒を楽しみ、夢の世界で癒しを得る。 何の変哲も無い日常、それは疑いようがなかった。何故なら『彼等』が知られる事は決してないのだから。 「ブシドー・サムライってヤツか」 人気の無いアスファルトの道の一角。電柱に凭れる『紫煙漂う戦場』風峰 刀子(ID:BNE001106)は胸に満ちたモノをゆっくり吐き出す。 白煙はただ霧散せず、意思があるかのように空気の流れを無視して四方へと広がりその色を消していく。 チカリと刀子の顔に光が射す。視線だけをそちらに向ければ、揺れるランプを片手に『アイと正義の味方』愛咲 巡(ID:BNE001049)が駆け寄ってきているところだった。 「こっちは異常なしです。結界もばっちり!」 巡は胸元で両腕にぐっと力を込めポーズを決める。結界――それはほんの少し位相をずらし、または近づく存在の意識に働きかけ内側と外側を隔離する術。 今回ここで行われる仕事、その為の下準備が着々と行われていた。 それから一人また一人と人影が現れ『彼等』は集う。 「看板の方も完了です。これでもしもの事もないはずだよ」 『寝る寝る寝るね』内薙・智夫(ID:BNE001581)は持参した『工事中』の看板の設置を行っていた。これで万が一があっても大丈夫であろう。 「これでこの場所は超常の舞台、役者は伝奇の住人達だけデスヨ」 その看板の設置を手伝っていた『飛常識』歪崎 行方(ID:BNE001422)は満足そうな笑みを浮かべる。 数人による結界の重ね掛け、それに合わせて別の手も打ってある。これでこの場から半径百メートルほどは完全に外の世界から隔離された。 「準備は万端だな。行こう」 その言葉と共に『誰が為の力』新城・拓真(ID:BNE000644)は一枚のカードを取り出す。剣と天秤の絵柄、正義のタロットカードだ。 そのカードに光を纏ったかと思うと、光の粒子が溢れ舞い踊り拓真の周囲を巡るとその腰に二振りの剣を再構築していく。 他のリベリスタも各々の幻想纏い(アクセス・ファンタズム)から大太刀・ナイフ・手甲・盾を亜空間より招きよせ、顕現させた。 逢魔ヶ刻も終えし時。夜の闇と月の光が彩る世界で『彼等』――リベリスタ達は戦場へと赴く。 ●戦場(いくさば) 「うぅ、夜にでる鎧武者なんて怪談だよ……」 徐々に張り詰める空気の中『臆病強靭』設楽 悠里(ID:BNE001610)は思わず弱音を零す。 自身も闇の貴族であるヴァンパイアであるが元からの気質かその性格は変わることはなかった。ただ、その手に纏うガントレットは微動だにも震えてはいなかった。 と、その時。先頭を歩いていた『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(ID:BNE000024)が足を止める。 「現れたようだ」 アラストールの視線の先には闇の底から浮かび上がるようにして現れる漆黒の武者鎧。まるでこちらを待っていたかのように威風堂々と佇んでいる。 古の武者と現代の騎士――その対峙に何かを思う前に、互いに刃を抜いた。 戦場には開始の合図もなければ作法も無し。相対すれば、示すべきは己の力のみ。 幻影の如く浮かび上がり現れた白屍が、奇襲を狙ったかのようにリベリスタ達に迫る。 「疾っ!」 それに逸早く反応した『蒼銀の剣士』絢堂・霧香(ID:BNE000618)は銀刃一閃。刀から放たれた不可視の刃は迫る白屍の一体を吹き飛ばす。 その刃を追うように飛び出していた行方は次に来る白屍へと踊りかかった。両腕の肉厚の刃から振り下ろされる一、二、三、四の重圧。 元来より受けることには向かない刀、受け流せず二合を数えた時点で刀を弾かれた白屍に二筋の刃傷が刻まれる。 「よし、今のうちに引き離そうっ」 智夫の声に呼応して拓真と悠里が駆ける。狙うは鎧武者――ゆっくりと長い刀を抜きそれを迎え撃つ。 「先ずは俺だ……! おおおおおっ!!」 拓真が気合と共に振り下ろす双剣。鎧武者の刀と打ち合わされた時、激しい衝撃が走り全身が鉄塊と言ってよい鎧武者を押し込む。 その追撃に智夫がシールドによる殴打、悠里の拳へと続き鎧武者を僅かずつ後退させる。 鎧武者と白屍の分断には成功した。だが、まだそれだけ。この戦場はまだ一滴の血も命も零れ落ちてはいないのだから。 一瞬にして明るさを増す路地。燃え上がる白屍がカタカタと骨を鳴らす。 「死んでるなら燃えてもお構いなしか」 刀子は舌打ちを一つ鳴らし脚を横薙ぎにする。そこから生まれた刃が燃える白屍を炎ごと弾き飛ばす。 転がった白屍は白い煙を上げ尚も起き上がろうとする。しかし突然にその場に再度倒れこむ。見れば白屍の両足が斬り飛ばされていた。 「駄目デス。アナタはもう此処でお終いデスヨ! アハハハハ!」 背後から幽鬼の如く姿を現し、行方は馬乗りになるように白屍へ圧し掛かる。 高く掲げた得物が振り下ろされる。抵抗する白屍の腕を落とし、哂った彼女は躊躇いなくその首を落とした。 別の場所では巡が駆ける。肉薄した白屍へ下段に構えた大太刀を斬り上げから繋げる斬り下ろし。 刃を折り、巡は一つ笑うと一足の内に後ろへと飛ぶ。そこに悠然と立ち進むはアラストール。 白屍の半ばまでとなった刀を盾で受ける。伝わる重みと痺れ、しかし表情を一欠けらも変えず。 世界の恩恵を受けたその身は間もおかず痛みを取り去り、幾合の刀閃を弾きいなしてその身へと刃は通さない。 「塵は塵に、灰は灰に……戦士の魂はヴァルハラへと還りなさい」 剛撃。既に折れた刀で受けきれるはずも無く、頭に叩きつけられた剣は軽々と頭蓋骨を砕いて一つの白屍をただの骸へと還した。 「あなたの太刀筋は見切った。あなたに私の剣、見切れるかな?」 横薙ぎに振るわれた刀を霧香は視線で追いながら、それを体に触れる僅か数センチ手前で避ける。 揺れて肩に掛かったポニーテールを一度手で払うとその姿がブレる。 標的を失った白屍は左右へと頭を振り確認するがその姿はない。そして後ろへと振り向いたとき。 「残念、ハズレだよ」 頭部から骨盤へかけて一閃が通り抜ける。そして小さな地を踏む音。 霧香は崩れる白屍を一瞥し、残る一体へと駆けた。 血飛沫があがる。真紅の滴が弧を描き地面へ壁へと特徴的な模様を残す。 刀を正眼へと構える鎧武者、その白く光る刃に汚れは一つも付いていない。 だが斬られた。拓真は胸元が熱く激しく痛むのを感じ落ちそうになる膝に無理をさせて跳び退る。 「ぐっ……見えなかった」 瞬く間の出来事だった。剣を振るい、弾かれたところまでは分かった。しかしその先、斬られる瞬間を知覚できなかったのだ。 「拓真さんしっかり!」 駆け寄った智夫が傷癒術を施す。符を貼り付けた傷口が僅かな光と煙と共に再生され出血が収まる。 そこに鎧武者が歩を進める。悠然とガシャリガシャリと鎧を鳴らし敵へと迫る。 智夫から放たれる二枚目の符。滑空した符は姿を変え、一匹の鴉となり鎧武者へと吶喊する。が、その鴉も一刀の打ちに地に打ち落とされただの符へと形を戻す。 瞬間、鎧武者の背中に炎が上がる。続けて襲う側面からの衝撃に鎧武者は踏鞴を踏む。 「これ以上はさせない!」 拳を振るう悠里。鎧武者は刀でなくその拳で迎え打つ。 仲間内で随一を誇る膂力。だが、それを持ってしても鎧武者の手甲は砕けない。 強い――初めからそう聞いていたが、その言葉をまた再認識させられる。 その時、戦場の空気が変わる。 「助太刀致すってかぁ!」 拓真と智夫の両側から風が吹き抜ける。間髪せずに鳴り響く金属音、刀子の鎧の隙間を狙ったナイフが手甲に止められ、行方の兜を狙った得物は刀で受け止められる。 さらにそれを二刃が追う。巡と霧香から放たれた居合いによる斬撃が空間を切り裂き鎧武者を捉える。 鎧武者の肩を蹴り宙を舞う刀子、行方はもう片側の武器をさらに刀に打ちつけ反動で跳ぶ。不意の衝撃に動きを止めた鎧武者はその胴鎧に初めて傷をつけた。 「戦場の華と散るにはまだ早いですよ」 拓真の肩に置かれる手。そこから伝わる祝福に徐々に体力が戻っていく。 アラストールの背後、そこには最後の白屍が倒れ伏し徐々にその形を失っていく。 八人のリベリスタ達は揃い、これより反撃へと移る。 ●武士の魂 「キミがどんなに強くても。ボク達は負けないよ!」 悠里の斬風脚を足がかりにリベリスタ達は次々に鎧武者へと肉薄する。 四方から襲う攻撃に流石の鎧武者も全ては捌ききれない。僅かずつだがその身に傷を増やしていく。 「痛いデスネ」 だが、それでも鎧武者は落ちはしない。閃く斬撃、接近を考えていた行方の肩に刀傷が奔る。 遠距離から迫る攻撃を打ち落とし、接近する者に知覚させずその身に刀傷を負わせる。 刀刃による結界。正確無比に狙ったモノだけを切り裂くその太刀筋は正しく完成された一つの極致だった。 「イヴちゃんの言うとおり、強いわね……。これじゃあ近づけないよ」 「ならば、道を切り開こう」 巡の言葉にアラストールが一歩前に出る。瞬間、迫る斬撃。アラストールは手にした盾で弾くがその衝撃は白屍の時とは桁違いだ。 気を抜き受ける角度を間違えれば盾をも斬り裂かれ、己の血に沈むことになるだろう。 「一人だけ行かせる訳にはいかないなっ!」 そこに拓真が加わる。防御体勢に構えた二本の剣からすぐさま火花があがる。 肩を並べたアラストールと拓真が凶刃を捌き合い、時に小さな刀傷を負うも一歩一歩その距離を詰める。 向かってきた刃をいなし、アラストールは剣を手にした腕に力を込める。狙うは盾の影から突き出される最短距離。 拓真は打ち上げられる刀をさらに弾き残った片手に込める破壊の意志を込め、それを腰溜めから一気に解放する。 「はああああああっ!」 「うおおおおおおっ!」 猛る雄叫び。鳴り響く甲高い金属音。鎧武者の刀が宙へと舞った。 勝機――それを逃すリベリスタ達ではない。腕を振るわれ両側の壁へと叩きつけられる二人を一時的に意識から追い出す。 悠里の豪腕が右腕を、刀子の炎刃が左腕を捉える。絶え間ない連撃に僅かずつに傷ついていく漆黒の鎧。 まずは一人からと判断したのか、鎧武者は刀子を押し退け悠里へと拳を振り上げる。 が、急にその視界が黒に覆われ狙いを外す。智夫の式神が鎧武者の面へと突撃したのだ。 「古きは淘汰されて新しき怪異が跋扈する。この世界の都市伝説はボクが引き継いでやるデス」 飛び上がり、弓なりに体を反らせた行方。頭上から打ち下ろされた一撃は兜に皹を入れ、もう一撃は飾り角の一本を刎ね飛ばす。 鎧武者がまた踏鞴を踏む。低く、唸るような声を漏らし角を刎ねられた兜へと触れる。 「これで、お終いにしてみせますっ!」 振るわれる銀の刃。鎧武者は左腕をもってそれを受ける。が、これまで幾重にもリベリスタ達の攻撃を受け続けていた篭手はついに限界を迎えた。 木製品が割れるような音、布が引き裂かれる音、そして鉄が切られる音。激しい衝撃を逃がしきれず鎧武者は後方へと飛ばされ地面へと転がった。 流れるような連携。それをもってして漸く鎧武者に痛打を与えることが出来た。 だが、これまでの戦闘で大分消耗し息の上がっている者も多い。今の連撃をと言われればもう一度出来るかは苦しい状況だった。 そして全員の視線の先では鎧武者が立ち上がる。片腕を粉砕され、兜と鎧胴には皹が。されど放つ覇気は衰えず。 リベリスタ達は再度武器を構える……が、鎧武者は誰もが予想だにしていない行動に出た。 「兜を、脱いでる?」 誰かがそう呟く。日本の武士について少しでも齧っているならばその意味はすぐに分かるだろう。 降伏――戦意の喪失を意味し、負けを認めるというのだ。 放り落とされる兜。片角の欠けたそれはゴロリとリベリスタ達の下へ転がり、鎧武者は面頬も外し素顔を曝す。 そこには生前があったとしてもそれを読み取ることは出来ないほどの異質な顔。それがケタリと笑った。 言葉は無い、音も無い。だがリベリスタ達には何となく伝わる。その力を褒め称えたのだろう。 鎧武者は一つ、また一つとその鎧を剥いで行く。漆黒の日本鎧は主の命に従うように解け、黒い地面へと並べられる。 最後に胴鎧を脱ぎ捨てると、残るは腰に挿していた短刀のただ一本だけだった。 そして座するは鎧を捨てた武者の骸。誰も言葉を紡げない。降伏の意思を示した敗者であるはずの骸からただ目が離せなかった。 鞘から引き抜かれる短刀は美しき白き波を携え、暗闇の中でも光を受けて青白く光を放つ。 骸の武者はそれを逆手に持ち、その腹へと突き刺した。一度ではない、何度も何度も。だが、骸に死は訪れず。 エリューションである身だからか、ただ腹を切ることでは死ねない。骸の武者は本懐を遂げられず、安らぎを得るのを拒まれる。 それでもまた腹を刺すその姿は滑稽に見えるだろうか? 「……絢堂は剣道、霧香は斬禍。剣の道の下、禍を斬る」 その中で霧香が呟き一歩前に出る。その手には先に鎧武者から弾き飛ばした一本の長刀。 骸の武者へと歩み寄るその姿を誰も止めることは無い。ただ成り行きを見守る。 「介錯仕り候」 余計な言葉を省きただ一言。八双の構えにて刀を鳴らす。 『――かたじけない』 耳に届いたかもしれないその台詞を受け。武士の首は刎ねられた。 ●そして現(うつつ)へと 「これで後片付けも完了ですね」 「完璧デス。これでボクの都市伝説はまた一歩質を上げたのデス。アハ」 設置していた看板を撤去し荷物として背負った智夫が声をかけ、行方が愉快そうに笑みを零す。 エリューションは全て討伐された。これにて任務は完了であり事後処理をして後は帰るだけだ。 「タイマンしたかった」 煙草を吹かしている刀子はそんな言葉を零す。 だがその願いも何時かは叶うだろう。この世界であれば強敵など巨万といるのだから。 「それにしてもお腹空いたな。最近は美味しい血ってあんまり飲んでないし……」 のんびりとした調子に戻った悠里がそう言ってチラリと女性陣に視線を移すが、返ってくる視線すらなくがくりとその肩を落とす。 「じょ、冗談だから無視しないでー!」 アークへの帰路に着くリベリスタ達。この戦いで何を思い、今後どう在るのかは彼等次第である。 今回の事件は序の口であり、さらなる困難が襲ってくるだろう。 その時、今という時は全て過去へと押し流される。武者という古い存在のように。 「私は彼方を忘れないよ」 一人の少女の呟きは闇の中へと溶けて消えた。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|