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雪山の彷徨者

●忍び寄る白い影
 とある日本海側の都市ではこの時期、毎年のように大雪が降りつづけている。
 しかし今年はそれだけではなかった。夜に雪山に入っていった人が次々に姿を消していたのだ。
 多くは地元の人間で、遭難にしては少し奇妙である。

 失踪した子どもを探していた父親は、気がつくと周りがすっかり暗くなっていることに気がついた。
 時間を忘れて探し回っていたようだ。
「なんだ、これは」
 森の中に広がる空間に、雪だるまが輪のように並べられていた。
 子ども達がこんな所まで来て遊ぶのだろうか。

 父親は雪だるまの数を数えた。結構な数がある。
「いや、待て。これは、失踪した人数と一緒だ。一体どういう……」

 その時、背後に大きな白い影が近付いて来ていることに彼は気づかなかった……。

●アーク本部
「雪の精霊、と聞いてどんなイメージを浮かべる?」
 アーク本部に呼び出された面々は、真白イヴが最初に発した言葉に戸惑った。
「え…? 雪女とか、きれいな女性のイメージかな?」
「そう…残念ながら今回の敵は少し違ったイメージね。ずばり『雪だるま』」
 少しどころか、だいぶ違うようだが。
「今回の敵は巨大な雪だるまの姿をしたエリューションエレメント。フェーズは2。雪山に迷い込んだ人々を凍らせて雪だるまにしているの」
 姿は滑稽だが恐ろしい敵のようだ。
「凍ってしまったら、死んでしまうのでは…?」
「それは今のところ大丈夫。雪だるまは凍らせた人たちを保存食にしているらしくて、倒せば元通りになるはず」
 ならば、一刻も早く救出に行かなければならない。
「まって、いま敵の説明をするから」
 イヴは端末を操作して画面にエリューションエレメントの情報を映した。
「基本の大きさはだいたい人の2倍くらい。攻撃方法は転がって突進と吹雪を発生させて攻撃してくる。吹雪は当たると稀に凍ってしまうことがあるから注意が必要ね……」
「『基本の大きさ』とはどういう事だ?」
 イヴの言葉には、引っかかるところがあった。
「ああ、大事なことを忘れていた。雪だるまは雪原で転がるとすこしずつ大きくなるの。そのぶん攻撃の威力も上がるから、気をつけてね」
 どうやら意外と厄介な敵のようである。あまり時間をとられていると、危険かもしれない。
「森の外の道路まで来れば雪はないから、そこまで雪だるまをおびき寄せたほうがいいかもしれない」
 たしかにそうすれば、雪だるまが大きくなる心配はない。
「エリューションを倒せば、捕まった人々も助かる……だからお願い、必ずみんなを助けて」
 画面を冷静に説明していたイヴだが、そのとき皆を見て助けを求める表情は歳相応の少女のものにも思えた。
「ああ、もちろん」
 リベリスタたちが頷くのを見たイヴは、少しだけ嬉しそうにしていた。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:青猫格子
■難易度:NORMAL ■シナリオタイプ:通常 ■シナリオ納品日:2011年2月8日
 はじめまして、青猫格子です。
 今回はエリューションエレメントとの戦闘シナリオをお送りいたします。
 敵が雪だるまという愉快な形状をしていますが、油断していると凍ってしまうかもしれません。

●補足
 敵の能力はオープニングで書いたとおりですので、地形について補足を。
 舞台は雪山のふもとの森になります。ここは敵の縄張りのようなものです。雪が積もっているので、長時間戦っていると雪だるまは強くなってしまいます。
 森のすぐ外には大きな道路があり、ここまで来れば敵が強くなる心配はありません。
 人通りは殆ど無い場所ですので、人目は気にしなくて大丈夫です。

 以上です。
 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

■参加人数8人
黒川 智(BNE000108) カイン・トバルト・アーノルド(BNE000230)
エレーナ・エドラー・シュシュニック(BNE000654) ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)
佳倉守 祥司(BNE001263) セフィリア・ロスヴァイセ(BNE001535)
エイプリル・フール(BNE001676) 草薙 健一郎(BNE001695)
■プレイング
黒川 智(BNE000108)
雪の精霊って言えば、クールビューティーな妙齢の女性だろ普通
雪だるまとは、情緒とか男のロマンとか、完全無視かよ、いやだいやだ

[心情]
とにかく、最近暴れてないから、一暴れして、ストレス発散ぐらいの
軽い気持ちで参加する

[準備]
ある程度の防寒装備と、雪で滑らないように
足下の装備選択には注意する、滑って転んだらしゃれにならない

[作戦]
雪の無い場所に誘い出すのは同意だが
先ずは、全力での一撃を加え形をいびつつにすることで、転がりにくくし
移動速度や戦闘時のバランスを崩し、戦いやすく出来ないか提案する
もしくは、近くに温泉でもあればそこに誘いこみ溶かしてしまうとか

[戦闘]
戦闘では、当然のごとく前衛
「業炎撃」「斬風脚」とプロレスの技(ラリアット、ソバット、バックブリーカー等)を合わせて戦う
「鉄拳・・・じゃなく熱拳制裁ってか、食らえやオラ」
「いくぞー、うおりゃー」
戦いに熱くなると、首切りパフォーマンスとか観客もいないのにやってしまったり・・・

[口調等]
無駄に熱い、言動が暑苦しい
戦闘中も無駄に叫んだり、叫んだり、叫んだり

「くそ、雪と暴れてたら、熱いような寒いような、変な感じだな、おい」
「みんな早く帰って、一杯やろうぜ、な?」
カイン・トバルト・アーノルド(BNE000230)
まぁったく、こーんな寒いのに何で雪山なのよ…
でも、人命かかってるんなら、ささっと救出しないとね
・対策
暖かい格好に、スパイクきいてる靴を履いていく
それでも滑りそうなら縄でも括りつけていくよ
【最優先】
一般人を無事救出すること、皆同じだと思うけど、一応
その為に、迅速に道路側へ移動させることに集中する
【基本行動】
戦闘時前衛
同行者と一緒に協力し決して単独行動はさせないよう気をつけて雪だるまを探す
ただ…そうね、人の後ろを歩くと少しは楽かなぁ?だってさ、ホラ雪に埋もれんように、だ
○雪だるま
遭遇したら先ず、皆へ知らせる
少し間をとりじりじりと詰め物理攻撃で少しずつ雪だるまの身を削っては移動を繰り返す
保存用でなければ反撃があるはず
敵の転がって突進をうまく利用して森の外の道路までおびき寄せていく
道路まできたら逃亡を防ぐ為、取り囲むような感じで
ささぁっと倒して帰るわよー!ああっクソ寒いッ
それもこれもお前のせいだっ!雪だるま指差しヘビースマッシュ
同行者と同時攻撃を試みるぞ!
また、同行者のHPが半分を下回ればオートキュアーを施す
BSをかけられたらブレイクフィアーで補助
雪だるまの攻撃は超反射神経で回避
どうしても避けられなければブロードソードで受け流しスモールシールドで防御だ
倒した後、付近に遭難者がいれば先ず隠れるか相手を気絶させるなど配慮
その後は一般的な範囲で助けが必要なら人を呼んだりなどしよう
エレーナ・エドラー・シュシュニック(BNE000654)
心情
…冬とは言え寒すぎるの…早めに終わらせて暖炉の前にいきたい…(ぷるぷる
とりあえず…ゆきだまっぽいから…もやしちゃう?

基本行動
雪玉が大きくならないように拘束アビを中心に使い麻痺を狙いサポートに回る
余裕ができたら遠距離攻撃

開始時点で敵を目視、できたらピンポイントで怒り状態にして自分に向かうようにする、周りと連携して雪の無い道路方面に移動させる(転がりにより敵エリューション強化を防止するため)

「…こっち…おいで…ゆきだまさん…(手招き」

この間にもしかしたら強化が入る可能性があるので移動中でもピンポイントを連続して使用し、なるべく敵エリューションが一直線に道路側に出てくるように気をつけて行動する

その後は後衛側に移動してトラップネストで敵エリューションの拘束をメインにサポートよりの行動をする

「うごいたら…めっ…おとなしくたおされると…うれしい…(じっ」

基本立ち居ちは後衛、ただし前衛の枚数が半分以下(2~3人)になった場合前に出る。

敵が倒れそうになったら(見た目ぼろぼろ)一気にピンポイントで畳み掛ける
ただし怒りで向かってくる可能性があるのでやや後方に構えつつの姿勢は変えない

終了後

「…かなり…リアル…すこし…あたまつかれたかも」
いろいろ計算しながらなので頭が沸騰して素の性格が出てるかも?
ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)
【目的】
雪だるまのエリューションエレメントの打倒
【心情】
雪山はそれだけでもやっかいなのだ。
この問題の種を排除する。
【準備】
冬山登山用装備を一式
凍傷対策に電気懐炉と魔法瓶に熱湯をいれてもっていく
特に手の凍結対策に手袋とハンドグラブを二重につけて
凍結した場合はハンドグラブを脱ぎ捨てる
なるべく白色のもので雪との保護色を意識する
登山用のブーツにアイゼンをつけて滑りにくくする
「冬山を舐めてかかるわけにはいくまい。」
【行動】
罠などを作る際は、手伝いを行い。隠蔽や位置についてはさりげなく石などをおき自分たちにはわかるように工夫しておく
探索時は、騒がずに周りの様子を確認しながら動く
「…サーチ。…クリア。」
敵を見つけてもすぐには戦わず皆に合図して襲撃しやすい位置を意識して戦いを開始
開始直後に結界を張る
サイドから襲撃を掛け時も皆が襲撃を始めて一テンポずらして相手の注意が他に向いた隙を突く
極力大きくしないように小さい間は正面から戦い
大きさが大きくなってきた場合は罠の方へ誘導
その間は補助に徹し皆をサポートする
罠にかかったらそこでヘビースマッシュをつかう
凍傷にかかれば前記対策にくわえ、自分だけの場合は無限機関をつかい熱で凍結を解除できないかを試み
味方のも場合は、ブレイクフィアーでBS回復を促す
戦いが終わればゲートをレイクゲートで破壊しておく
「ミッションコンプリート。」
佳倉守 祥司(BNE001263)
VTSとは言え、緊張しちゃいますね……でも、ちゃんと成果を上げてみせますよ。
仮想の訓練だからって気は抜きません。

準備:
雪山だから、マフラーやダウンジャケットを着て防寒をしていきます。
敵の攻撃は軽減出来ないだろうけど、単純に場の寒さ対策です。
……でも、VTSでも寒さって感じるのかな。

作戦:
「可哀想とは思いません。人を凍らせたりして……だから、お仕置きの拳骨です!」
無限機関でEPが十分足りるから、僕の攻撃は全てスキル攻撃です。
前衛に立って最初に爆砕戦気を使い、後は業炎撃で敵を攻撃します。
以降、爆砕戦気の効果が切れたら使い直します。

「大丈夫ですか? 無理しないで!」
もしも凍っちゃった人、残りHPが少ない人がいたら、その人を庇って前に立ち塞がります。
自分の残りHPが少なくなったら、後衛に下がって斬風脚を放ちますよ。

何らかの手段で敵がバッドステータス【怒り】に陥り、
敵が【怒り】を掛けた人を追い回しはじめたら、以下の作戦に移ります。
「そっか、向こうまで誘き出すんですねっ」
10m移動しつつ、遠距離から斬風脚で敵を攻撃して追いかけます。
敵が道路まで来たら、接近して業炎撃で一気に溶かしちゃいます。

戦闘後:
囚われてた人達を助けたら、お仕事完了でしょうか。
「はふ……帰ってお風呂入りたいです」
雪や氷を操る敵。VTSで本当に冷えるのかはともかく。
慣れない事で疲れはするだろうから、お風呂が恋しくなりそうです。
セフィリア・ロスヴァイセ(BNE001535)
雪だるま……ですか。
けれど、油断していると痛い目を見るのでしょうし、
最初から最後まで油断無く対処させて頂きましょう。

先ずは、ハイスピードで事前準備ですね。
速度、回避を上昇させて相手の攻撃を避けやすく、先手を得やすくします。

後は、他の皆さんとの連携で上手く敵を雪のない場所まで誘導しましょう。
私は、挑発は得意ではないので、その過程をお助け出来ればと思います。

ヒットアンドアウェイを使用しつつ、敵を削りながら敵を道路まで案内しますね。敵を削りながら、というのは難しそうなら、雪を吹き飛ばしたりとか…。
出来るかどうかは、少し解りませんけれど。
雪崩などにも、十分に注意しておきます。
スキルは幻影剣を活用しつつ、雪だるまを徐々に削って行こうかと。

道路到着後は、もう遠慮はしないで、ソードエアリアルをメインに一気に殲滅に掛かります。
凍ってしまった人達を返して頂きます、お覚悟を。

事が終わったら、小さな雪だるまでも作ろうかしら?

台詞集
「仮想空間……凄い、本当に現実みたい……」

「普通の雪だるまなら、愛らしくてとても好きなのですけど……」

「きゃっ、吹雪……!? 皆さん、気をつけて!」

「ただ、黙って逃げるというのも、あれですので!」

「銀風の力、全力で御見せ致します!」

「ほっ……終わりましたね。これで、無事に氷づけになった人達は戻るんでしょうか……」
エイプリル・フール(BNE001676)
キャラクター設定:
真っ赤な軍服と軍帽。冷静ぶっている(中身は子供)

アクション:
雪山に到着したところで地図を皆に渡します(エイプリルは方向音痴なので読みません)
「周囲の地形を頭に入れたほうがいいかな。これを使うといいぞ」

雪山進行中は、作戦参加者の最後尾で行動します。
「転ばないように気をつけなければな。あわわ」

敵を発見、戦闘が開始されたらフレアバーストをメインに距離を取って戦闘を行います。
敵の誘導が行われている場合、敵が通ると予測される道に向かってフレアバーストを使用、雪を溶かして敵の強化を抑制します。
「地の利で敵が有利ならば、それを崩せばいい。頭脳プレイというものだ」

誘導が失敗、または行われなかった場合、出来るだけ距離を取りつつ、作戦参加者で一箇所にまとまらないように行動します。

道路まで敵の誘導が成功した場合、敵が山に戻らないように回り込み、退路を塞ぎます。
その後はマジックミサイルで攻撃します。
「逃がしはしないぞ。おとなしく倒されるといい!」

戦闘後、道路の脇に雪だるまを一つ作ります。
「本来、雪だるまとは人を喜ばせるものだ。こういう場所に立っているのが一番であるな……よし、一件落着!」
草薙 健一郎(BNE001695)
【心情】
一昔前に流行ったバーチャル体験、とかいうもんじゃろうか
どちらにせよ訓練・実践は大事じゃて
しかし雪だるまにして人間を保存食に、とは酷い話じゃ
早々におる世界が間違っとる事を分かって貰わねばの

【準備】
防寒対策に厚手のコート、手袋、マフラー
地形対策としてスパイクシューズ

【行動】
出来るだけ音を立てずに慎重に移動しつつ敵を捜索
敵の姿を確認次第、コンセントレーション使用
順次、ピンポイントを使い敵の怒りを誘発
怒り誘発に成功した場合、そのまま道路まで後退しつつ誘導
誘導中は回避と後退に専念しつつ、怒りが解除される事があれば再度ピンポイント

敵を道路まで誘導後、攻撃をトラップネストに変更
敵が麻痺状態になった場合、自分のHPが50%以下であれば、吸血を使って攻撃し自己回復を図る

敵が森へ後退しようとした場合、再度ピンポイントで道路へおびき寄せる
基本方針として戦場を道路へ固定、BS攻撃を駆使して敵を不利な状況にする
EPが尽きてしまった場合、吸血で回復を図る
自分のHP・EP共に充分で、敵が毒・麻痺になっていればパワースタッフで殴打

【戦後】
被害者を迅速に発見・救助する
敵を退治しても雪山は危険、被害者を連れて早々に下山
被害者には病院での検査を勧め、温かい飲み物でも渡しておく

「冬が化けた物、というトコじゃろうか…しかし、人食いの冬なんてのは願い下げじゃな。古来より冬は春の前の短い眠りじゃ…永久の眠りであってはならん」
■リプレイ
●雪山入り口
 人里離れた雪山。視界はほとんど白といってよい。
 その白い世界が夕日に照らされて、幻想的な風景を作り上げていた。山の生物は皆眠っているのだろうか、ひたすら静かな世界であった。
「うおお~、寒い! 寒いぜっ! ほんとに寒い」
 その静寂を打ち砕いたのは『愛娘の騎士になりたい・・・』黒川 智(BNE000108)。
 彼ほど騒ぎ立てることはなかったが、一緒に来ていた『甘くて苦い毒林檎』エレーナ・エドラー・シュシュニック(BNE000654)も同じ気分であった。
「ほんとに、リアルな雪山……」
 風に乱れる髪を掻き揚げながら、辺りを見回す。
 彼らは今、雪山の入り口に立っていた。目の前には白い森が広がっている。そして後方には人里と山とを隔てる道路が通っていた。
「そうだ、彼様に雪山は危険な場所なのだ。さらにエリューションなどがいるならなおさらだ。一刻も早く排除しなければならない」
 冬山登山用装備で身を固めていた『T-34』ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)は寒そうにしていたエレーナと『銀風』セフィリア・ロスヴァイセ(BNE001535)に魔法瓶で持ってきていた熱湯を差し出した。
「ありがとうございます」
 セフィリアはウラジミールから湯気の立つコップを受け取り、微笑んだ。寒い雪山で暖かい湯が身にしみる。

「……さて、いつまでも寒がっているわけにはいかない」
『永久なる咎人』カイン・トバルト・アーノルド(BNE000230)が立ち上がった。こうしている間にも、時間は進み、木々の影が長くなっていた。
「目的の雪だるまを探さないといけない」
「そうだ!」
 エレーナの言葉に、『難攻不落の四月馬鹿』エイプリル・フール(BNE001676)がうなずいた。そして鞄から何かを取り出して皆に渡す。
「このあたりの地図を用意してきた。これを参考に探そう」
「ありがたいが、エイプリルさんの分がないようじゃが……」
『若年寄』草薙 健一郎(BNE001695)がたずねる。
「私は方向音痴だから、皆に任せた!」
「はあ……」
 健一郎がなんだか納得のいかないような顔をしていると、『護人見習い』佳倉守 祥司(BNE001263)が切り出した。
「まあ、誰にでも得手不得手はあるものですからね。それでは雪だるまを探しに行きましょう」
「なるべく皆で離ればなれにならないように、一緒に行動しないとな」
 カインの言うとおりだった。これから次第に暗くなり、森での単独行動は危険である。
 皆はなるべく互いを見失わないように気をつけながら、森へ踏み入れていくのだった。

●雪だるまの森
 森の中は相変わらず静かで、健一郎達のスパイクシューズがザクザクと雪を踏みしだく音が響くばかりである。
 健一郎、ウラジミール、智、祥司達の後ろをセフィリア、エレーナ、カインらが付いていく。最高尾はエイプリルだった。
「すごい雪」
 小柄なカインは付いていくのに精一杯の様子だ。
「埋もれるんじゃないぞ、カイン殿」
 後方のエイプリルが声をかける。
「わ、わかってるよ、もう……」
 カインは不服そうに答えるが、振り向かない。その間に前の集団に置いていかれないように注意し続けていたからだ。
「あれ……もしかして、ゆきだま?」
 エレーナが前方にある木の根元を指した。
「いや、あれは岩に雪が積もっているだけのようじゃ」
 健一郎が慎重に確認してから答える。
「それより、向こうが怪しいぞ」
 ウラジミールが別方向を指し示した。その先で森の木々が途絶え、雪の積もった土地が広がっていた。
「みなさん、あちらへ行ってみましょう」
 祥司が呼びかける。

 森を抜けると、すっかり日は落ちて暗くなっていることに皆は気がついた。空には月が昇っている。
「見てください、雪だるまが! あっちにも!」
 セフィリアが辺りを見回して声を上げた。
 広場を囲むように、大人より少し大きいくらいの雪だるまが立ち並んでいた。
「こいつらは、エリューションエレメントに捕まった人達か」
 智は雪だるまの一つに近づいてさわってみるが、氷のように硬くて中に人がいるかどうかはわからなかった。
「うーん、壊したら中の人も無事ですまなさそうだな……」
「なるほど。やっぱり親玉を倒さないと、だめってこと」
 カインがブロードソードを構える。その剣の先は彼らが通ってきた森のちょうど反対側であり、さらに鬱蒼とした木々に覆われた森だった。

 ずしり……ずしり……

「なに、この音?」
 セフィリアが身構えた。カインの視線の先の森から、何かが近づいて来ていることは皆わかった。
「ここはやっぱりあれしか考えられないだろう、あれ」
 智がガンレットを見せるように拳を構える。体内の機械が敵を察知してざわめいているようだった。
「……もうすぐ、くる」
 エレーナの言葉の直後、森の奥から大きな影が飛び出してきた。

●森の中の戦い
 それは広場に並ぶものよりさらに大きな雪だるまであった。
 姿形は何の変哲もない雪だるまである。大きな玉が二つくっついた身体をしており、顔に当たる部分に黒い石で簡易な眉、目、口が描かれている。
 しかし「それ」は我々の知っている雪だるまでないことは明らかだった。なぜならものすごい勢いで転がって、ウラジミール達に突進してきたからである。
「真正面から来たな! だがこのオレが止めてやる!」
 智はそういって突進してくる雪だるまの前に立ちはだかった。
「くらえええっ!!」
 勢いよく蹴りだした右足から斬撃が発生し、雪だるまを真っ二つにすべく斬りかかる。

 ガギィン! と鈍い音がして巨大な雪だるまがはじかれた。
「む、手応えはあったが……」
 雪だるまは少し勢いを落としはしたが、まだ動きは止まらない。
「油断できませんね」
 祥司は身を構え、戦気を高める為に集中した。体内のオーラが溢れてくるのが感じられた。
「とりあえず……ひきつけなくては」
 エレーナがスタッフをかざすと、その先から気糸が撃ち出され、雪だるまの頭部を貫いた。

 ずず……ず……。

「止まったか……?」
 ウラジミールが身構えながらつぶやいた。彼の正面より数メートル先で雪だるまは急速に速度を落としていた。
「そこまでだ!」
 すこし距離を置いていたエイプリルがメイジスタッフを標的に掲げ呪文を詠唱した。爆発するような音がして雪だるまが炎に包まれた。
「これで一気に、溶けてくれればいいが……」

 ず……ずずっ……。

 しかし、炎に包まれた敵は完全に停止してはいなかった。しばらくすると炎の収まった雪だるまは体を傾けて軌道を変え、今度はエレーナに向かってスピードを上げて突進してきた。
「おいで、ゆきだまさん……」
 エレーナは手招きしつつ、広場の外へと駆け出す。無論雪だるまを道路へ誘い出すためだ。
「やはり簡単に倒れてはくれないな」
 エイプリルが仕方なさそうに後を追いかけた。
「ワシらも急ごう」
 健一郎の言葉で、カイン達も急いでエレーナの後を追うことにした。

●道路へ急げ
 エレーナは雪だるまが追いかけてくることを確認しつつ、森の外へと向かって走っていた。

 ごろごろ……。

「少し、大きくなったかも……」
 様子を見ている間にも、雪だるまは猛然と突進してくる。
「……っ!!」
「エレーナさん! 大丈夫ですか!」
 雪だるまにぶつかって転倒したエレーナを、後から追いかけてきた祥司が抱え起こした。
「大丈夫。かすり傷だから……」
 大したダメージではなかったようで、エレーナはすぐに起きあがった。

 ずずずっ……。

 雪だるまは再び軌道を変え、エレーナへ再度体当たりをかけようとしていた。
「く、来るなら来なさい」
 祥司がエレーナの盾にならんと立ち上がったそのとき。
 銀色の風のような幻影が見えた。いや、それは決して幻ではなかった。直後雪だるまの体に斬撃が走ったのだ。
「セフィリアさん!」
 影の正体はセフィリアだった。雪だるまを斬りつけた彼女はそのまま素早く後退し、祥司達の傍らに立つ。
「ご覧なさい、銀風の力を!」
 その間に仲間達も駆けつけてきた。
「さて……道路まで後少しじゃ」
 今度は健一郎が気糸で雪だるまの注意を引く。
 雪だるまは怒るようにその場で数度跳ねて、健一郎に飛びかかってきた。
 しかしその体は最初に現れた頃より崩れかかってきていた。幾分か勢いも弱くなってきているようだ。
「急げ!」
 ウラジミール達は健一郎をかばうようにしながら、道路へ向かって走った。
 森の出口はすぐに見えてきた。

 カイン達が道路に出てすぐに、雪だるまも飛び出してきた。
「来たな!」
 エイプリルは健一郎達と顔を見合わせ、森への入り口をふさぐように立つ。雪だるまが戻らないようにするために。
 道路に着地した雪だるまは上半身を動かして辺りを見回すような動作をした後、顔らしき部分から吹雪をとばしてきた。
「危ない!」
 カイン達は素早くこれを避ける。吹雪は道路のガードレールに当たり、その部分だけ凍り付いた。
「まったく、もう十分寒いというのに……これ以上寒くするなっ!」
 カインはそのまま雪だるまに飛びかかり、振りあげたブロードソードを敵の頭にたたきつけた。
 雪だるまがよろめいたところをウラジミールは見逃さなかった。すぐに駆けつけて同じく剣で雪だるまに斬りかかる。
「……くっ!」
 雪だるまはウラジミールに抵抗しようと、その場で回転し始めた。その力で剣を押し返そうとしたのだ。
「おっと、あまり動くでないぞ」
 健一郎が今度は気糸を雪だるまの周囲に展開し、敵を絡めて拘束する。抵抗していた雪だるまは回転が止まり、ウラジミールの剣で道路の反対側に吹き飛ばされた。
「かかったな! これで止めだ!」
 エイプリルと祥司が顔を見合わせる。エイプリルはスタッフをかざして呪文を唱え、祥司は気合いを込めた蹴りで斬撃を繰り出した。
 斬撃で雪だるまは真っ二つになり、続いてエイプリルの放った魔力弾で破片は粉々になった。

 うおーん……。

 終始無言であった雪だるまであったが、最後の瞬間、怨念のような声が聞こえた気がした。
「怨むでない。元から住む世界が違ったのじゃ……」
 健一郎が溶けて朽ちていく雪だるまに、小さな声でつぶやいた。

●雪山と雪だるま
 その後、ウラジミール達が雪だるまの群生していた広場に戻ると、雪だるまの姿はなくなっていた。代わりに捕まっていたと思われる人達がその場に倒れていた。全員意識はなかったが生命に別状はない様子だった。
「とりあえず、道路の付近まで運びましょう。あそこからなら、迷わず人里へ帰れますから」
 祥司の言葉に皆同意して、何往復かして全員を森の外へ運んだ。しばらくすれば意識を取り戻すだろう。
「あ~、よく動いた! おかげで暑いか寒いか分からなくなってきたぜ」
 智がひと仕事終わった後、大きく伸びをした。
 皆が笑っている間に、セフィリアはエレーナが疲れた表情をしていることに気が付いた。
「大丈夫ですか?」
「ええ……かなりリアルで、頭が疲れたけど……」
「そういえば、ここって仮想空間だったんですよね」
 すっかり忘れていた。
「仮想でもすっかり冷えてしまいましたよ。帰ったらお風呂に入りたいです……」
 祥司が寒そうにしながら言う。再び皆で笑い合った。

「よし、一件落着だな!」
 そろそろエイプリル達が帰る時間になっていた。
「あれ……ゆきだまさん……?」
 帰る際に、エレーナが道端に小さな雪だるまがあることに気が付いた。
「なに……いや、これは本物の雪だるまだな」
 険しい顔をしていたウラジミールの表情が一瞬、和らいだ。
「やはり、雪だるまはこういうものであってほしいですね」
 セフィリアの言うとおりだった。人を食う雪だるまなど、あってはならない。それはただの怪物だから。
 そして怪物は倒され、雪山の入り口に、小さな雪だるまだけが残り続けていた。

■シナリオの結果
結果:成功
重傷:なし
死亡:なし
■あとがき
 この度は、βシナリオにご参加いただきありがとうございました。青猫格子です。
 今回はたくさんのプレイングの中から8人選ぶという特殊な形式のため、心苦しいですが全てのプレイングを採用することは出来ませんでした。
 登場できなかった方のプレイングでも惹かれるものが幾つもあったのですが、レギュレーションの都合ということでご了承下さい。
 さて雪だるまは無事に倒すことができました。いかがでしたでしょうか。
 大きい雪だるまもいいですが、小さいのも可愛くていいですよね。小さければ、動いても怖くありませんし。むしろ可愛いですし。
 そんな感じです。楽しんでいただければ幸いです。

■プレイング評価
ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)
 ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)さんのような寡黙なキャラクターというのは割と動かしにくい部分もあると思うのですが、彼は今回上手い具合に特色を出せているのではないかと感じました。雪山に行くにしても準備を厳重に行う点などは、人柄が現れていますね。
 こんな風に、キャラクターの性格と行動が上手く結びついているとSTはそのキャラクターを捉えやすいので描写しやすくなると思います。人によると思いますが。
 逆にギャップのある行動というのもインパクトがあると思いますが、なかなかバランスが難しいのではないかと思います。