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はいずるよどみ

 何故それが生まれたか。
 答えは何処にも存在しない。
 不条理な結果だけが其処には残される。

 水が高きから低きへと流れるように、其の世界からの扉は不意にある人間の心の奥底へと現れた。
 人の心が歪んでいたのか、扉の向こうが歪んでいたのか、今となっては知る由もないが、2つが交じり合い、生まれ出でしは名状し難き姿をしていた。

 生れ落ちた怪物は、自分が何かも判らぬままに、まずは心を失い動かなくなったかつての人間の肉を食べた。
 少し大きくなった怪物は、次の獲物を求めて動き出す。
 見つけた獲物は悲鳴を上げて逃げ出した。怪物は少し考え、良く伸びる腕を作って捕まえた。
 泣き喚く獲物は、前に食べた肉とは違い、一杯叫んで面白かった。
 だからゆっくり溶かして食べてみた。
 嗚呼、楽しい。嗚呼、美味しい。
 もっと、食べたい。


 何故こんなものが、生まれたのか。


●端末に届いた一通のメール(デコード済み)
 タイトル:緊急を要する依頼です
 送信者:真白イヴ
 本文:山奥の洋館にエリューションが発生しました。ターゲットは人を捕食し成長するタイプの模様。
    至急指定のメンバーと合流し、現場へと向かって下さい。
    ターゲットに関しての情報は添付したファイルを参照して下さい。

 添付ファイルに記された情報。
 1、処理対象は触手が生えた酸性のスライムの状エリューション。
 2、触手で捕まえた獲物を体内に取り込み消化吸収して体積を増やす。
 3、経験により知能を成長させる。速やかに処理をされたし。
 なお処理対象が洋館の何処に潜んでいるかは不明です。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:らると
■難易度:NORMAL ■シナリオタイプ:通常 ■シナリオ納品日:2011年2月8日
 洋館で探索出来るポイントは、玄関ホール、食道、浴場、主人の部屋、客室、地下室、等になります。
 重点的に探索したいポイントを挙げて下さい。
 またこんな形で、タイミングで襲われたい、奇襲を受けたい等のMな要望もありましたらどうぞ。
 触手の生えたスライムって、えっちなゲームみたいですね。一応酸を吐いたり、酸のついた触手パンチとかもするのでお気をつけ下さい。
 現在既に館の主人と家政婦2名が犠牲になっており、エリューションの体積は人間3人分くらいです。
 それでは、ご縁がありましたら宜しくお願いします。

■参加人数8人
アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024) アナスタシア・カシミィル(BNE000102)
犬束・うさぎ(BNE000189) 繁森 虎太郎(BNE000542)
一条・C・ウルスラ(BNE000884) 卜部 冬路(BNE000992)
有坂 詩乃(BNE001280) 長谷川 又一(BNE001799)
■プレイング
アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)
光ある所に影が生まれる様に
何処かで澱みは生れ落ちる
多分それは、何処にでも在る当たり前の事

【作戦】
戦力の分散は愚の骨頂
基本的に無駄に少数行動を取らず
一つ一つの場所を潰しましょう
正し大人数である事が逆に不利に働く空間なら
人数を少数に別ける事も止む無し、その場合も最低限二人以上で行動

全員で探索する場所は、玄関ホール、食道(食堂?)
他は現場の状況で考えるべきか
何処を調べるのかは逐次、連絡を取り合う
使用可能なら携帯電話やトランシーバー等用意したい所

完全に別れるよりも廊下等で待幾
件の敵が移動する可能性の警戒、発見時の応援対応、皆の現在地の把握

探索するなら浴室や主人の部屋、地下室を警戒
それぞれ、相手の経験を推察するに襲撃に適していると考える
もちろん、先入観は禁物

粘体である以上何処に居ても可笑しく無い、隙間や狭い場所、天井、穴等に注意

敵を発見したならば慌てず皆に注意を促した後、応援を呼ぶ為の大声を出す
用意があるなら携帯電話等で現在地や移動場所の連絡

どうやら騒ぐ個体に興味を示す様ですので大声を出しながら引き付け後退
広い場所まで誘導出来れば頂上
予め誘導する広い場所に辺りをつけて皆と決めておけば集い易いかも


【戦闘】
粘体の様ですので物理攻撃に強そうな気がしますが
小手調べの為にもヘビースマッシュ
物理に強いならば、時折全力防御を絡める様にし盾となり
神秘攻撃力の高い者にメイン火力として働いてもらいましょう
アナスタシア・カシミィル(BNE000102)
■行動
※常に二人or二人以上で行動
 皆が揃っている時に広い場所を見つけたら、そこを集合地点にする
 作戦に影響しない程度のネタ行動歓迎・内容お任せ

あたしはまず客室を重点的に探してみようかな、
エリューション自身も捕食のために人間の居そうな場所を探しそうだしねぃ
でも誰も行く人が居なかったら他の人についてくよぅ!
「客室っていくつもある…のかな?虱潰しに探さなきゃだねぃ…!」
ドアを開けてもすぐには入らず、まずは見える範囲を目で、他は耳で警戒
何の反応もないようなら警戒を解かずに入室し、天井、床、物陰の順番で探すよぅ
「はふー、隠れる定番の場所といったらベッドの下だけれど、何かあるかなぁ」
余裕があるなら浴場も探索

【発見した場合】
「発見」と大声で叫んだ後、
同行者と協力しながら敵を引きつけ、集合地点に誘導
その際多少攻撃を受けるのは仕方ないと覚悟しとくよぅ
腕に足を掴まれる等した場合は抵抗して振りほどく
失敗した場合は代わりに業炎撃を使用し、誘導続行

【本戦闘】
「それにしても、ホント…凄まじく吸血したくない姿をしてるねぃ、この子っ」
業炎撃と斬風脚を交互に使用
誘導時に業炎撃を使っている場合、学習されてそうだから斬風脚中心にしとくよぅ
戦闘不能に近い状態になったら、一歩下って敵の動きを皆に知らせるねぃ
犬束・うさぎ(BNE000189)
◎準備
全員に携帯の番号交換を聞いて置きます。
後、捜索前に全員でザッと回って館内の間取りを把握しませんか?
戦闘に適した広いスペースがあれば、後の誘導が円滑になります。

◎捜索
迅速に探す為別れて探しますが、
この際必ず2人以上の班で探すようにします。3人が理想ですね。
超反射神経に期待してビーストハーフは極力バラけさせます。

武器は出したまま片手に、
もう一方の手に携帯を、他班の方とこまめに状況の情報交換です。
常に誰かと話しながら探しましょう。
無事確認になりますし……何より怖さが紛れます。
私、怖いの苦手なんですよ。凄く。

◎発見
「いましたよ!○○の方です」
見つけ次第、大声で屋敷内の全員に周知を。
現在位置と誘導先(その場から一番近い『広いスペース』)を伝えます。

不意打ちを食い絡まれるなどしましたら、
ハイアンドロウを叩き込み怯ませましょう。
適うなら相手の速度に合わせて逃げて見せ、誘導先に誘い込みます。

別班の方が見つけた場合は、
声の聞こえる方向と指示内容を頼りに合流を目指して走ります。

◎戦闘
「粘液触手の調理開始、ですね。私は食べませんけど」
前衛として接敵。
ハイアンドロウで迫る触手を爆破します。
が、敵は不定形、物理攻撃の効きが悪いかもしれません。
その場合はギャロッププレイを使い縛り上げます。

◎補足
無表情ですが無感情ではありません。
寧ろ感情的かつ少し臆病で、状況次第で悲鳴位漏らします。
表情は変わりませんが。
繁森 虎太郎(BNE000542)
おーおっかない話だ(禁煙中のはずの煙管をふかしつつ
極力二人以上で行動する様心掛けよう。目と反射神経はいいんでな。こいつが仲間の助けになりゃいいが

・探索
【主人の部屋】敵探しは勿論だが、手記か何か無いかね
余裕があれば【地下室】露骨に怪しそうだ。連絡手段に番号交換済みの携帯所持
溶けてる場所や奇襲には要注意だな

・目的
エリューションの捜索と撃破は勿論なんだが、そいつの謎も俺は知りたい。…無駄かね?
知ったところでどうするワケでもないがな。最優先はエリューションの撃破だ
ただ過去で起こった事件とは言え何も知らんままってのが気に入らんだけだ

・戦闘
戦力を集中させ畳み掛ける為探索中『全員で戦闘可能な広い場所』をチェックしておこう
自分が遭遇した場合:仲間に聞こえる様壁を殴るなり蹴るなりデカい音を立てながら移動し広い場所に誘導。そら、活きのいい餌はこっちだぜ
仲間が遭遇した場合:音や声等明らかな異変又は報告があれば速やかにそちらに向かって仲間と合流しよう
ある程度仲間と合流出来るまでは経験を積まれん様引き付ける程度に留めるか
攻撃は斬風脚を中心に状況に応じて負傷覚悟の業炎撃。D.Actが可能なら攻撃後ワザと触手に捕まって敵の気を引くのも手かね。取り込まれん様全力で踏ん張ってやろう
仲間の危機にはかばうを優先

・終ったら
弔いに手ぐらい合わせよう。死者に善も悪も人もエリューションも関係あるまい
さて、とっとと酒呑んで寝たいなあ
一条・C・ウルスラ(BNE000884)
●準備するもの
・ホイッスル いつでも吹けるように首にかけておきます。
・携帯電話 使えるようなら探索前に他の参加者とアドレス交換しておきます。
・懐中電灯

●探索
探索開始の前に、一般人が入り込んで来ないように結界を張っておきます。
洋館の中で一般人を発見したときは外まで誘導します。
「訓練とはいえ、これ以上の犠牲者は出したくないものね。」
探索はしらみ潰しに。なるべく二人以上でするようにします。
時折他の人と情報交換。
「おばけなんて出ない。おばけなんて出ない。」(小声)
洋館の中が暗かったら懐中電灯を使います。照明があったら付けていきます。
部屋に入る前にはまず透視で中を確認。怪しい隙間も懐中電灯で照らして透視します。
不定形な相手なので、通気口なんかの隙間も見逃さないように気を付けます。
「視力には結構自信あるのよ。」
どこから襲ってくるか分からないので一緒に居る人となるべく死角を補うようにします。
敵を発見したら笛を吹いてみんなに知らせます。それから大きな声で場所を。
可能なら戦いやすい広い場所まで誘き寄せるように逃げます。
その余裕がない、背を見せられないような状況のときはその場で戦うことにします。

●戦闘
戦う時は後衛。飛べるような広さと高さがあれば飛びます。
スターライトシュートを惜しまず使って攻撃します。
「弱点なんて分からなくてもいいのよ。何もかも撃ち抜くんだから。」
卜部 冬路(BNE000992)
@探索の方針
二人以上のグループを作り探索を行う。
不意打ち無効スキルを持つ者は分散するように。
八人で戦えそうな広い場所に目星をつけ、集合場所を決めておく
ホールか食堂が妥当?
怪しいのは「人が立ち入るであろう」客室と予想し重点的に探索。

可能であれば連絡用の携帯かトランシーバー、発見時に鳴らすブザーや笛を用意

@探索方法
スキル:集音装置で物音を逃さぬよう聴く
特に這いずる音や水音などを重点的に
隠れそうな場所は直接探らず、用意した棒などで突付いて調べる

また、スキル:超反射神経で不意打ちを無効化し
遭遇時は他の仲間も戦える広い場所まで誘き出すために逃走する
同時に用意したブザーや笛で大きな音を出して他の仲間に発見を伝える
上記の物が用意できない場合は大声を出す
スライムには逃げる獲物に見えるように悲鳴などあげつつ逃走
…というか超ビビリなので「ひいいいっ!?」とか奇声を上げて逃げます。

@戦闘
前衛で戦闘。
オーララッシュを使用しつつ、スライムの触手が後衛の味方に及ばないように気を配る
戦闘スタイルは割合力任せ。叩き付けるように剣を振り回す。

@その他
奇襲は無効化できるけど出来る限り情けない声を上げつつ逃走したいです。
ウサギだし。
そして仲間と合流後「ふふん。さ、作戦通りよ!」と涙目で言いたい。
あと前衛なので酸とか触手とかもばっちこーい。泣くけど。

@キャラ
だいたいロリババアです。
有坂 詩乃(BNE001280)
目的:洋館内の人間の保護
動機:敵の撃破も大事だけど、人の命のほうがもっと大事
手段:
人は恐怖すると安心できる場所へ篭る事が多い
だからボクは寝室や客室を中心に生き残りを探そうと思う
大声をあげながら探し回るのは敵にも気付かれてしまうので賢明じゃない
ひと部屋ひと部屋、ドアの前でノックして落ち着いた声で呼びかける
「今この館に凶暴な大型動物が侵入しており、既に何名か犠牲が出ている」
「館内にはすでに専門家が撃退の為進入しているが、安全の為一緒に外まで退避しよう」
こんな感じで退避を促す
もし既にエリューションを見た人だったら、
研究所から逃げ出した遺伝子操作された実験生物と説明して納得させる
また、保護した人が怪我を負っていたら傷癒術で処置する
使用するのは符だから、傍目から見てもシップを貼っているみたいなので不審に思われないはず
館の外までの道中にエリューションに遭遇しても極力戦闘は避ける
敵が攻撃してきた時は守護結界を発動させつつ、
式符・鴉を使用して敵の注意を逸らしてその隙に移動する

救える命はボクが助ける

余談
館内を移動中に天井で待ち伏せをしていたスライムに不意を突かれて、
落下による体当たりはなんとかかわしたものの、続けざまに吐かれた酸は避けきれず、
着ていた制服やスカートの一部と、はいていた黒いストッキングの一部が溶けて、
肌や下着がちらりと姿を見せるなんて少し色っぽいシチュエーションはいかがでしょうか?
長谷川 又一(BNE001799)
今回のシノギは怪物退治だねぇ。

大方の方針としては戦いやすい場所に誘い出して畳んじまうってことで決まってるみたいだが、幾つか連携に不安は残ってる。
単独行動は無しってことだが、ここは一つ気配を殺して忍んでみますかね。

基本的には他のメンバーとは一定の距離を置いて追従。
常に気配遮断を使用して仲間にも存在を気取られぬように行動する。
あっさり見つかれば何のことはねぇが、不定形の怪物だけにどんな所から襲ってくるか分かりゃしねぇ。
殿に付いてる人間がいればもしもの時に役に立つ。

班ごとに分かれた場合には、人数の少なく、女性の多い班に付く。
俺が怪物ならそういう獲物を狙うからね。

戦闘が始まっても仲間が劣勢にならない限りは出て行かない。
気になるのは怪物が一体だけなのかってことだ。

:行動方針
気配遮断を使用して仲間の後を警戒しつつ追従。
戦闘が始まっても基本的には監視を続ける。
行動を起こす状況は以下の場合。
1、怪物の奇襲により仲間の身に危険が及んだ場合
2、怪物が他にも存在していた場合
3、怪物が逃走を図った場合

以上の状況に陥った場合は気配遮断を解くと同時にギャロッププレイで一撃を加え、対象を麻痺状態に。
俺の役割はその一点。
獲物を影から狙い、脚を止めて仕留める機会を作るってことさ。

まぁ すぐに見つかって何の苦労もなく倒しちまったら出番はねぇが
薄暗い場所で生きてる奴ぁ 闇に慣れた目でなきゃ見えねぇこともあるもんだ。
■リプレイ
●不意の前哨戦
 ふと気がつけば、リベリスタ達は其処に居た。
 何処までも澄んだ星空に、身を切る様に冷たい山の空気。そして人の来訪を厭うかの如く、暗く、深い、闇の中に、其の洋館は建っていた。
 リベリスタ達にとっては幸いな事に、館からは所々明かりが見える。
 金に物を言わせて配線を此処まで通したか、もしくは発電機を自前で備えていたのかまでは判らないが、光は彼等にとって大きな助けになる。
 仲間達を見回し、「はふぅー」と仲間達の緊張を解すかの様な明るい笑みを向けた『てけとーれでぃ』アナスタシア・カシミィル(BNE000102)が、洋館の扉に手を伸ばす。

 ここで一つ言うべきだろう。アナスタシアに、そして彼女を含むリベリスタ達に油断があった訳では決してなかった。
 彼女達は、館に隠れ潜むエリューションを見つけ出して退治する心算でこの館を訪れた。
 しかし、その見つけるべき対象が、訪れた餌の気配に誘い出され、既にドアの向こうまでやって来ている等は、……想像の埒外であっても責められる要素は全く無いだろう。

 高性能過ぎる耳を持つ兎少女、『雪暮れ兎』卜部冬路(BNE000992)が最初に其の表現し難い音に気付いたのは、アナスタシアの手がドアノブを握る寸前だった。
 冬路が警告の声あげ、アナスタシアの肩……を掴むには身長が足りなかった為、腰にしがみ付いてドアから引き離そうとした次の瞬間、ドアを突き破った触手の群れが、2人をドアごと館の中に引きずり込む。
 もし冬路一人なら人並み外れた反射速度で触手から逃れる事も出来ただろうが、不意を付かれたアナスタシアを抱えて逃げるには、冬路の体格は小さすぎる。
 纏わり付く触手から滲み出る酸に、2人の体が焼け爛れていく。
 仮想空間とは思えぬ程のリアルな……否、仮想空間だからだろうか? 慣れる事の無い、純粋で、激しい痛みが脳を焦がし、冬路の口から涙混じりの叫びが漏れる。

 だがエリューションの猛攻も、リベリスタ達の計算外も此処までだった。
 音も無く飛び上がった『夜翔け鳩』犬束・うさぎ(BNE000189)のハイアンドロウにより、アナスタシア達を捕らえる為に伸ばされていた触手が、爆発音と共に中ほどから千切れ飛ぶ。
 次いで弾け飛んだ触手から噴出す酸の前には、『飄飄踉踉』繁森 虎太郎(BNE000542)が立ちはだかり、其の精悍かつ強靭な肉体をもって仲間達を庇う。
 字は『夜翔け鳩』、そして苗字には犬、最後に名前はうさぎ、其の実態は狸のビーストハーフである犬束うさぎと、同じくトラのビーストハーフである虎太郎は、獣人特有の反射神経により虚を突かれることなく攫われた二人の後を追って来たのだ。
 そして破れた扉を潜り、ショートボウを油断なくエリューションに向ける一条・C・ウルスラ(BNE000884)、癒しの符を手に傷付いた仲間達へと駆け寄る『Rouge&Noir』有坂 詩乃(BNE001280)と、最後に奇襲など無かったかの様に、貫禄すら感じる落ち着いた態度でエリューションを見据える『祈りに応じるもの』アラストール・ロード・ナイトオブライエン(BNE000024)。
 合計『7人』のリベリスタ達が揃い、詩乃の傷癒術で傷を癒して貰った冬路が、
「ふふん、まんまと誘い出されよったな。さ、作戦通りよ!」
 目尻の涙を拭って大見得を切る。
 リベリスタ達にとってエリューションの行動が想定外だったのと同じ様に、リベリスタ達が単なる餌となる獲物ではなく、己を滅ぼしうる強力な力を持った存在である事は、エリューションにとっての大きな計算違いだったのだ。

 リベリスタとエリューション、同じく理の外、界の外より力を得た者達の激しい争いは……、だが期待に反して起こらなかった。
 無論リベリスタ達がエリューションを見逃した訳ではない。
 ウルスラはスターライトシュートでエリューションを打ち抜こうとし、アナスタシアもその両腕に炎の力を宿して先ほどの痛みを倍返しにしようとしていた。
 しかし其のどちらもが届く前に、まるで魔法の様にエリューションの体がするすると縮み、そして煙の様に消えてしまったのだ。
 後に残されたのは、床に開いた拳大の穴。
 リベリスタ達の強さと脅威を学習したエリューションの取った手は、床を溶かして床下の換気スペースへの逃亡だった。
 まともに7人を相手せずに、館に潜み、分断し、奇襲する。それがエリューションの選択。
 悪意に満ちた館の探索が、今漸く始まろうとしている。

●探索
 負傷者の手当てを済ませ、一息ついたリベリスタ達は少し躊躇いは覚えたものの、やはり少人数のグループに別れての探索を選択した。
 勿論彼等とて、それがエリューションの狙いである事は承知してはいるのだが、エリューションが一度逃げを選択した以上、大人数で行動していては姿を見せる事はないだろうと判断した為だ。
 仮に人数を分ける事無くエリューションとの我慢比べを選択した場合、ほぼ確実に時間は彼等の敵に回るだろう。万一次のフェーズに移行されでもすれば、其れこそ取り返しの付かない事態となってしまう。
 一つ目のグループは、地下室や主人の部屋を重点的に調べる虎太郎、ウルスラ、アラストールの3人。残る四人は2手に別れて2階の客室や寝室を左右の端から順番に探索していくことになる。
 そして犬束うさぎの提案により、各グループに一人は不意打ちに対応出来るビーストハーフを混ぜる編成となっていた。

 暗視能力と優れた反応速度を持ち、ついでに頑丈と便利な虎太郎を先頭に、コツコツと音の響く石段を、一歩ずつ下って行く3人。
「おばけなんて出ない。おばけなんて出ない」
 カチカチと奥歯を鳴らしながら、小声で自分に言い聞かせるウルスラ。
 地下室への階段には灯りが設置されておらず、持ち込んだ懐中電灯の光が頼りなのだが、一箇所しか照らせぬ光だとそれ以外の闇が余計に濃く感じられ、どうしても其の闇の向こうに何かの気配を感じてしまう。
 そんなウルスラの手を、不意に小さな手が掴む。驚きに思わず息を飲んだウルスラの手を握るのは、
「ふむ、そう怯えずとも大丈夫でしょう」
 私達も居ますから、と声をかけるアラストールだ。アラストールの凛とした表情はどこか冷たさすら感じるが、けれど握る其の手はまるでウルスラを気遣うかの様に暖かい。
「……若いってのは良いね」
 微笑ましい若者二人の様子に、ふと口寂しさを覚える虎太郎。だが禁煙中の彼は愛用の煙管を咥えるだけで我慢し、漸く見えた地下室のドアに手を伸ばした。
 さて鬼が出るか蛇が出るか。

 一方、客室探索の片割れであるアナスタシアと冬路のペアは合体していた。
 先程の痛い経験を活かし、不意打ちを感知、そして反応する事の出来る冬路をアナスタシアの背に搭載する事によってエリューションの奇襲に対応しようと言う、進化したアナスタシア。まさにアナスタシアMk-IIである。
 と言う冗談はさて置き、まだ恐怖の残る冬路を背負う事で、少しでも安心させようと考えたのだ。
「はふぅん、やっぱりこっちはハズレかねぃ」
 客室の様子を探り、ため息を漏らすアナスタシア。エリューションが居るならば捕食対象の一番居そうな客室が怪しいだろう踏んでいたのだが、入り口での遭遇戦を考えると、恐らく既に館の中に他の人間はもう残っていなかったのだろう。
 どうしようか? と二人が顔を見合わせた時、館内に犬束うさぎの大声が響いた。

●2度目の遭遇、そして8人目
 エリューションと遭遇したのが、詩乃と犬束うさぎのペアであったのは少々皮肉気である。
 詩乃はエリューションの退治よりも、寧ろ救える人が居るのなら救いたい。もしかしたら隠れて助けを待っているかも知れない人を探すと言う、退治よりも救助を優先していたからだ。
 二人が開いた扉の先は、大きな寝室であった。すぐには部屋に入らず、天井や床などの目に付く場所にエリューションの影が無いかを確認する二人。
 だが其の頭上の天井が酸で溶かされ、小さな穴が開いた事に、二人は未だ気付いていない。

 さて、ここで最後の8人目『八咫烏』長谷川 又一(BNE001799)の話になる。
 又一は洋館前に飛ばされてからこの方、ずっと気配遮断を使用し、物陰に潜んで仲間達を見守っていた。
 何事も無くエリューションが倒されるのならばずっとこのまま隠れ続けて、仲間達にも知られずに終わる心算で居た。
 何故なら敵が1体のみとは限らないから、どんな不慮の事態に陥り敵を逃すか知れないから、今正に起きようとしている奇襲の様に、仲間に犠牲が出かねない事態が起こる可能性がほんの僅かでもあったから。
 鬼手は最後まで伏せておいてこそ、鬼手となる。
 彼は気配を殺し闇に潜み続けた。だが彼が姿を現した時、彼は自分が重大な思い違いをしていたことを思い知る。

 最初にその奇襲に反応したのは、やはり人外の反応速度を持つ犬束うさぎであった。咄嗟に構えたうさぎは、詩乃に警告を飛ばす。
 エリューションの狙いは詩乃だ。反応が一瞬遅れた詩乃に襲い掛かるエリューション。
 しかしうさぎは動けなかった。何故なら、彼女達に向かって『不意に気配を現した見知らぬ男』が駆け込んで来ているからだ。
 自分を警戒して動きを止めてしまったうさぎを見、又一は己が犯した失策を知る。
 仲間達にまで存在を隠していたのは確実にやりすぎだったのだ。
 もしうさぎが彼の存在を知っていたならば、又一の存在はエリューションに対して正に鬼手として機能したかも知れない。
 だがそれをフイにしてしまったのは、他ならぬ又一自身のミスだった。

 寝室へと転がり込む様に逃げ、何とかエリューションの落下から逃れた詩乃ではあったが、完全に避け切れた訳ではなく身に纏っていた制服や黒いストッキングが酸によって一部が溶かされ、身動きする度にちらりと覗く下着が酷く扇情的だ。
 だからと言う訳ではないだろうが、……いや、もしかすれば其れも原因だったのかも知れない。兎に角、エリューションの狙いは完全に詩乃へと向けられていた。
 しかしエリューションの攻撃が詩乃の肌へと届く事は無かった。もがく様にびくびくと震えるエリューションの体に幾重にも絡まる細い気糸は、目の前の男への対応よりも詩乃を救う事を優先したうさぎと、己が失策は己の手で濯がんとする又一の二人の体から放たれたギャロッププレイだ。
「すまねぇ」
 小さく短い又一の謝罪。うさぎには其の謝罪と先程のエリューションに対しての行動で充分だったのだろう。無表情のままうさぎは一つ頷き、そして二人は同時にエリューションに向かって跳躍する。
 二人の猛攻を避ける為に窓を突き破ったエリューション、そして舞台は外へと移る。
 いつの間にか、空からは雪が降っていた。

●決戦
 ちらつく雪を撒き散らす犬束うさぎのハイアンドロウの爆風。声にならぬ叫びを上げるエリューションを、又一から伸びた黒いオーラが貫いた。
「シノギ屋又一、死活打崩候」
 掌の付け根を左右逆に合わせる独特の構えを取るうさぎの隣に、又一が並ぶ。
 二人の攻撃が終わっても、だがリベリスタ達の攻撃はまだ終わっては居なかった。
「それにしても、ホント……何度見ても凄まじく吸血したくない姿をしてるねぃ、この子っ」
 場違いに明るい声が響き、真空の刃が放たれる。そして斬風脚を放ったアナスタシアの背から飛び出し、一気に肉薄した冬路のオーラスラッシュの連撃が、斬風脚で抉れた痕を更に大きく削り取る。
 うねりうねりと反撃の為に伸ばされた触手も、飛来した光弾、ウルスラの放ったスターライトシュートに潰される。
「……ふむ、どうやら間に合ったようですね」
 ウルスラの隣から進み出るのは、剣を片手に堂に入った構えを取るアラストールだ。
「随分冷えるな、こんな夜は熱燗に限る」
 軽口を叩く虎太郎は、既に何時でも仲間達を庇える位置へと移動済みである。
 そして最後に、
「もう誰も傷付けさせない。皆はボクが守ってみせる」
 剥ぎ取ったカーテンを体に巻き付け、その肌を覆い隠し、印を結んだ詩乃の守護結界が仲間達に防御の加護を与えた。

 山の冷気に動きを鈍らせたエリューションと、勢揃いした8人のリベリスタ達。
 其の戦いに決着には、それから然程の時を必要とはしなかった。


 ――Mission Complete!――

■シナリオの結果
結果:成功
重傷:なし
死亡:なし
■あとがき
 書いてて楽しかったです。普通の探索だけだと単調になりがちかなとも考えたのですが、色んな個性をちりばめて貰えてましたね。
 あと面白い失敗もありましたしね。美味しかったですよ。
 真面目に取り組んでいただける中にも、一寸した隙があるってのは大好きでした。
 参加してくださった方々、有難う御座います。コンゴトモヨロシク。

■プレイング評価
有坂 詩乃(BNE001280)
 可愛かったです。プレイングが、ですが。
 作戦が特に秀でて居るとかではなく、自分のキャラの特徴を良く捉えてそれをSTに伝えようと努力しているプレイングであると感じました。
 余談の内容も、良い感じで程好く隙を作って下さったので嬉しく思いました。
 優れていると言うよりも好みであると言った側面もありますが、私はこのプレイングを評価対象に選びます。