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忙しさの合間を縫うように、小洒落たオープンカフェでほっと一息つくレナーテ。ふいに、着信を告げるスマートフォンの画面を見た彼女の表情が、ぱあっと華やぎます。 一人、ドイツへ出張中のレナーテにとって、何よりの癒しはもちろん、電話の向こうの彼の声。目の前に広がる、古く味わい深い町並みも、ひと時、輝くレナーテの瞳には映らなくなり。やがて彼女はうっとりと目を閉じ、自然と柔らかい微笑みを浮かべながら、心地よいその響きに聞き入ります。 スマートフォンから聞こえてきた澄んだ声が、快に、夜空を吹き抜けていく風の冷たさを、ひと時、忘れさせます。遠く、海と空を隔てた先にいる彼女が、通話口の向こうで笑うたび。快の心には、あの笑顔が浮かんでは、彼の胸をじんわりと暖めてくれるのです。 手には、艶めく黒と淡いピンクの箱。リボンでラッピングされた、彼女からのバレンタインチョコ。 薄くたなびく白い息が、瞬く星たちの合間へと立ち昇っては、すう、と消えていきます。 快は、改めて思うのです。この夜空をたどれば、今も、ずっと、彼女と自分は繋がっているのだと。 昼夜を挟む遠い空。ゆるゆると電波に乗せて届く声。時間や距離、二人を隔てる何者をも、障害にはなり得ません。だって、心は、いつだって繋がっているのだから。 ふいに二人、同時に、同じ言葉を紡ぎ。頬を染め……二人は、お互いを胸に想い合うのです。 |
新田・快(BNE000439) レナーテ・イーゲル・廻間(BNE001523) |
担当VC:ガクハル 担当ST:墨谷幽 |