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 温められた蒸気が砕いたコーヒー豆の色をじわりじわりと変えていく。
 慣れた手つきでロートの中に湧きだしたコーヒーを軽く混ぜていくのは聖だった。
 コポコポと沸き立つ香りは豆本来の色を醸し出している。
 その光景をアメジスト・バイオレットの瞳でじっと見つめるシュスタイナ。
 この前の約束通り、聖堂でのサイフォン式コーヒーの実演を給わっているのだ。
 ごく一般的な家庭においてはドリップ式の方が普及しているもので、このサイフォン式をシュスタイナは今日初めて見ることが出来た。
「何だか、実験みたいね」
「そうですね。ドリップ式も良いですが、今回は見た目の面白さも考慮してこちらにしてみました」
 ビーカーやフラスコ、アルコールランプとくれば、理科の実験を思い起こさせる。
 シャンパン・ゴールドの瞳を細めて聖は収束して落ちていくコーヒーを見遣った。
「これが落ち切れば完成です」
 砂時計の様にトロトロと落ちていく液体。
 シュスタイナはテーブルに両肘をつき、両手を重ねて顎をのせて。
 目の前の聖の動きを興味深く見つめていた。アメジスト・バイオレットの瞳に微笑みを浮かべながら。
 ゆったりとした時間の流れに、香り立つコーヒーはとても美味しいものだろう。
 
シュスタイナ・ショーゼット(BNE001683)
鴻上 聖(BNE004512)
 
担当VC:ガクハル
担当ST:もみじ