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ほぅ、と少女の吐息がインディペンデンス・ネイビーの夜空に登って行く。 街灯の明かりが空から降り注ぐ小降りの雪をキラキラと照らしていた。 「もう少し」 急いでしまう足を落ち着けて、彼が待つマンションの明かりを見やると暖かな気持ちになる。 エントランスの鏡の前で桜色の髪飾りを直し、深呼吸してドアチャイムを鳴らした。 ガチャリと開いたドアから現れた金髪の長身。少しだけ驚いたような、それでも優しい涼の顔。 「いらっしゃい、アリステア」 抱きついてしまいたい気持ちを抑えて、アリステアはカバンの中から可愛らしい包みを取り出した。 彼の笑顔が少しでも早く見たいから、ここで。 「……はい」 少女の両手の上に乗せられたハート型のバレンタインチョコレート。 彼女が悩んで買って来てくれたのだろうか、それとも一生懸命手作りしたものだろうか。 クリームのリボンを掛けられて優しく涼の手に渡って行く。 「ありがとう」 普段はクールな表情が多い彼が、この時ばかりは少年の様な笑顔を少女に向けていた。 とても優しげで嬉しげで。 アリステアもつられて笑顔になってしまう。 だって、大好きな恋人が笑ってくれる、こんなに嬉しいことはないのだから。 |
神城・涼(BNE001343) アリステア・ショーゼット(BNE000313) |
担当VC:SHE 担当ST:もみじ |