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『聖夜が踊る』 |
女王の目配せで始まる音楽。しっとり、ジャズのリズム。 リードに任せて、ふわり。赤い宙へ。赤い中へ。輝く中へ。 誘われるままのダンスはちょっと足元が覚束ないから、彼に捕まって身体を支え。彼もしっかり彼女の手を握って。 (……何だか、すごく恥ずかしい気がするのだよ) 揺れる音色に身を任せ、目の前のヴィンセント・T・ウィンチェスター(BNE002546)に全て委ねてしまえば遠野 うさ子(BNE000863)の小さな胸は『詰まって』しまうようだった。赤い瀟洒なドレスで着飾った少女と、何時に無く凛々しい顔をして黒いタキシードに身を包む彼である。年上の貫禄を見せるヴィンセントが頬を赤らめたうさ子の緊張を解すようにふっと微笑みかける姿等、なかなかどうして絵になっている。ロリコンの癖に。 「……大丈夫ですよ」 「む……」 「今日はちゃんとリードしますから」 言葉と共にくるりとターンさせられたうさ子が目を丸くした。 ふわふわと浮き上がる気持ちとステップは自分が自分の体ではないかのように錯覚させる。 (負けてる気がする……) 胸元で揺れる揃いのロケットに小さく唸ったうさ子は滅多に見せない、ひどく可愛い顔をした…… |
遠野 うさ子(BNE000863) ヴィンセント・T・ウィンチェスター(BNE002546) |