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『野獣死ねばいいんじゃね?』 |
悪い奴等もクリスマスは祝うんだぜ。 誰が言ったか言わないか――どんな悪党でも一度位はママのケーキを期待して、クラッカーを鳴らして能天気な聖夜に浮かれる位はしたもんだろ? 「……ったく、シケてやがンな」 誰に遠慮する場所でもないから――その本性を大いにむき出しにしたオー ク(BNE002740)が吐き捨てるように呟いた。 蝋燭の明かり、暖炉の火に照らされる彼は何を血迷ったか赤と白の例の格好――クリスマススタイルに身を包み、洋モノのエロ本を舐めるように見回している。 「クリスマスだってのによォ、熟れた人妻の一人も落ちてねぇ。何時からこの日本はこんなに世知辛い風になったかね」 何時の世も法治国家日本はそんな有様ではなかった……と言いたい所だがきっと江戸時代辺りならそれなりにこう。 「ギャー! ギャギャギャギャギャー!」 豚の対面に座る蜥蜴――リ ザー ドマン(BNE002584)が甲高い奇声を上げている。ピカピカに磨いた髑髏にクリスマスの飾りをくっつけて嬉しそうに撫で回している。エロ本から視線を上げないまま、ねとつく涎を手の甲で拭い豚が言う。 「たまにはよう、日本語話せよな」 「ギャー? ギャギャギャギャー」 「ま、いいけどよ」 何だかんだでコミュニケーションの取れる豚と蜥蜴。 洞窟の夜は更けている。全く何時も通りに――何時もとは少し違う、ここも浮かれた空気に染まって更けている。 「さて、お嬢チャン達のクリスマスを悪夢色に染めるとするかね」 「ギャー!」 のっそりと重い腰を上げた豚は巨大なずた袋を背負い、ふと思う。 (あっしらしくもねェ……) その袋の中身は、子供達が泣き叫びそうな代物だったけど。 |
オー ク(BNE002740) リ ザー ドマン(BNE002584) |