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『イルミネーション・ナイト』 |
「――」 「――――」 互いの呼吸さえ分かる距離。 眩い位に幻想的なツリーのライトに照らされて。おでことおでこがそっと触れ、互いの仄かな体温を伝え合っている。 (こ、こここここんなのって、せ、せんぱい……!) 外は寒いけれど。突き刺すようなその外気も頬を真っ赤に紅潮させた羽柴 壱也(BNE002639)の熱を冷ますものではない。 (ああ、もうコイツ。可愛すぎ……) 目を白黒させて、瑞々しい唇を僅かにわななかせた壱也の様子に付喪 モノマ(BNE001658)はハッキリと――胸が詰まるような気がした。 こうなった経緯は大きな問題では無い。 何せ今夜はクリスマス。雪の降るクリスマスである。恋人達に舞い降りる奇跡は、好機はまるでバーゲンセールのように叩き売られ、それに誰が不満あろう筈もない。キラキラと光の粒を散らすツリーの前でぎゅっと手を握り、向かい合えば後は―― 「……っ……」 白い吐息が頬に触れた。 壱也はぐるぐるになった頭で考える。 (こ、こういう時は目を閉じればいいんだっけ――?) 悪戯な夜に遊ぶ雪が初々しい二人の姿を笑っていた。 |
羽柴 壱也(BNE002639) 付喪 モノマ(BNE001658) |