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●割りとちょくちょく遊びに来る猫がいたら●

●モノクロチェシィデイズ
 ひとつの行動だけを指さして浅はかだと笑うことほど愚かなことはない。理解できない。理解できていない。その前提でこそ人間とは相するべきなのだから。猫?
猫に関してはまあ……思った通りでよいのでは。

 ロッテ・バックハウス(BNE002454)の朝は早い。純和風と言える食事を腹に収め、アークへと向かうための支度を始める。西洋童話をそのまま切り抜いたような彼女と、畳の床に木造の住宅は不似合いにも思えるが、ここが彼女の居場所だ。何よりも尊く、誰よりも立派な王女の居城。
 自分を育ててくれている、大好きな老夫婦はでかけていた。年配者の朝というのは子供のそれよりももうひとつ早いものだ。きっと、散歩にでも出かけているのだろう。自分の足も外へ。誰も返すはずがないのに挨拶を言葉にするのは、幸せの証左と言えよう。
「いってきまぁす!」
「いってらっしゃいにゃー」
 さあ、今日も世界を守るために出っぱストーップ。
 なんかいた。今、なんかいた。脳裏に浮かぶニヤニヤ笑い。否、そんなはずはない。あの猫がわざわざ自分の家になど来るものか。きっと幻聴に違いない。そうと決め込んだロッテは今一度非日常の世界に向けて足を、
「とりあえずツボとタンスだよにゃー、勇者的に考えて」
 いた。やっぱりいた。気のせいなんかじゃなかった。気のせいなんかじゃなかったんだ。慌てて振り向くと、今にも自分の家にあがりこみそうな猫へとしがみつく。知っている。わかっている。この猫がろくな事をしでかさないのは誰だって知っている。
「あわわわわわこの家には何も楽しいことはないのです……!! さ、キャドラ様!! アーク帰りましょうかぁ~!! わたし連れて行くのですぅ!!」
「嘘や! この慌てよう、楽しいもんでいっぱいなのにゃ! いざゆかん思い出のアルバムとかベッドの下のエロ本とか同級生の縦笛とか探しに!」
「それは男の子のですぅ! むしろ男の子の部屋にもあっちゃいけないものが混ざってますぅ!」
「つまり女の子の部屋! にゃんという聖域! 勇者キャドラいざゆかん!」
「アッハァァン!! だめえええええおうちだめえええええええ!!」
「あはんらめぇ言うたでこの子! エロい、エロいよそれ! あとで録音してダウンロード販売で儲けようぜ!」
「いや! いや! だめええええええ入らないでえええええええ!!」
 ロッテ・バックハウスの朝は早い。それとは何の関係もないが、長く辛い一日になるのは間違いなさそうだった。

●ギザギザマウスキャット
 自由。奔放。猫というのはその象徴だ。それは例え集団に属したとしても変わらない。変わることがない。悪戯を好み、自己快楽を優先し、時に妖精よりも残酷だ。特に、そうだ。穿いてない猫を見かけたら、注意した方がいいだろう。

 冒頭だけで半分を消費したので怪獣ジスウセイゲーンと戦って参ります。しばしサウンドオンリーでお楽しみください。
「ハッ……!! そ、そっちはわたしの部屋……!!」
「ほほう、こっちが聖域にゃ。いざ! いぃざ!」
「いやああああああ! そこダメですぅ!! あぁ……ッ!!」
「エロい! やっぱエロいねマウスラヴァーの人! 才能あるよチミ!」
「それは数少ない友だちから貰ったプレゼントのキャンドル……!! だ、だめええ!! こわれちゃううう!!」
「いますげえ悲しい事実が聞こえたからそこは後で慰めるにゃ!」
「オットォォ!! それは千堂からお返しで貰った飴ちゃぁぁああん!!」
「フィクサードからの貰い物だとぅ!? そんなもんあちしが始末してやる!」
「大事にとっておいた物ですぅ……!! た、たべないでぇえ!!」
「あむあむあむ……あ、結構うめぇ」
「ああ……!! あああ……しぇんどう……」
「さあメインディッシュ! 変な服とかエロ本とか下着とか下着とか下着とかねえかにゃ!」
「ほとんど下着じゃないですかぁ! アワワワ……たんす開けちゃらめえええええ」
「うっお、何このひらひら! エロス! エロス!」
「そ、それは一張羅!! ここぞという時用のフリフリお洋服!!」
「けしからん! まったくけしからん! あ、ごめん爪ひっかかった。とーれーねーえー!!」
「やぶらないでえ……!! よ、汚すのだけはらめえ……!!」
 ふう。やっと撃退できたぜジスウセイゲーンめ。仮面がなければ即死だっt……ぉお、なんという惨状。まるで強盗でも入ったみたいに荒れている。荒れまくっている。いや、強盗よりもっと酷いもんが入ったんだが。
 さて、そんなクソ猫の次なる対象は。
「ぉ、なんにゃあれ?」
「いやああああSleepyちゃん逃げてぇ!!」
「なに、ロリ!?」
「言ってないですぅ! 催眠術で攫ったりしませんからあの子にだけは、手を出さないでくださァァい……!! や、やめるのですぅ!! プリンセス☆トラップネストォ!」
「あぶねえ、スキル使いやがった! にゃあんてやつ!!」
「あぁっごめんなさい!! 服引っ張らないでぇ!! 噛みつかないでえ!」
 がじがじ。がじがじ。猫の暴走は続く。誰にも止められないまま続いていく。その度に、聞きようによってはやたら艶かしい叫びが響き渡った。おいお前ら、ちゃんと録音したか?
あとでコピーください。

●スチームライムダッシュ
 台風のようだ。と言っても諦めのつくことはなかろうが。それでも、似たようなものかもしれない。恨み言。つらみ言は絶えまいが、因果応報とでも言うか。何かしらの形になって世界は巡り巡るようには出来上がっている。それであの猫が、心を入れ替えるわけでもないのだが。

「あぁぁ……おうちが……ボロボロに……ど、どうすれば……」
「やっべー……やりすぎた」
 当の猫も悔いる程の状態。後の祭り。であれば、その被害者たるロッテの心境や如何程か。打ちひしがれる、打ちひしがれている。それもこれも……あれ、あの猫どこ行った?
 見れば、遠い。否、見える距離ではあるのだが。離れている。離れていく。そろり、そろりと。声をかけようとすると、振り向くこと無く駆け出した。永遠のショタが出すような足音奏でて逃げ出したのだ。
「あーばよぅ、ろっさぁ~ん」
 後には何も残らない。あるとすれば、過ぎ去った事故現場だけだ。悲しみは怒りに。怒りは何れ恨みに変わる。積もり積もったそれ。ロッテは涙をだばだば流しながら。その決意を胸にした。
「おのれ、キャドラ……ぜったいに……ぜったいに、ゆるさないのですぅ……ぶえええええええん!! イタズラには、屈しないですぅぅう!!」

 後日。三高平に近いとある川で。割と見たことのあるどら猫が、うつ伏せのまま。頭にたんこぶをひとつつけて。どんぶらこっこ、どんぶらこっこと。流れていったとか。流れていかなかったとか。
 了。