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髪の香り、温かい温もり。空は雪が降り、けれど寒さなんて感じない。 震える彼女の肩を抱きしめ続け、彼の其の姿は、祈りの様でもあった。 言葉を発する事も無く、もう大丈夫です、と起き上るリリ。ロアンの胸は濡れていたけれど、もう、彼女の瞳から雫が伝う事は無い。 『幸せだった日々をやり直そう』 兄と妹。辛い事も、苦しい事も、全て分かち合える存在。其の絆をもう一度確かめあう様に。 『大丈夫、もうずっと一緒だから。何があっても、君がどれだけ泣いても、悪魔だろうと何だろうと、絶対に離さないから』 ロアンはリリに言い聞かせた。諭すように、優しく。優しく。 彼の妹として生まれた事を、神に感謝しよう。きっと此れも神様が読んでいた事であろう。リリにはロアンが必要であるという運命を。 嗚呼、願わくば。此の一瞬が永遠であれば良いのに。 嗚呼。 ――幸せだった筈の日々を、もう一度。 其れが例え……刹那の時であったとしても。今、此の瞬間はロアンの中で永遠であるから。 |
ロアン・シュヴァイヤー(BNE003963) リリ・シュヴァイヤー(BNE000742) |
担当VC:ハツキリゥ 担当ST:夕影 |