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『あぶない歳末福引セール』
 ガラガラと鳴る鈴の音に、男はふと足を止めた。
「おや、買い物帰りだな? 商店街加盟店レシートの額に応じた回数引けるぞ」
 ぱつんぱつんの赤いボディスーツが法被のせいで残念なことになっているベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァの頭上に、景品一覧が貼りだされている。
 一等の海外旅行(シベリア)ってなんでだよタイが曲がっていますわよな花園を垣間見ようとした男どもの末路かよと心中で突っ込みつつ景品に目を向け。
 二度見した。
 座っている
 街野・イドが正座で景品の間に座っていた。
 しかも『三等』と書かれたたすきがかかっていた。
 目の異常を疑い一度頭を振ったが、やはり座っていたしたすきもあった。
 男は 思いっきり 引いた(二重の意味で)。

「はい、ボックスティッシュひとつ!」
 白玉を交換し、ベルカは一仕事終えた、という顔をした。
「うむ! 資本主義に負けたのではない!
 寧ろこの催しを利用して民衆から資本を奪い取り共産主義の糧とするのだ!」
 そういう脳内設定で乗り切るらしい。
 友人を売り飛ばすのがきょうさんしゅぎ()なのか……? と呟く商店街のおっちゃんに、ベルカはほがらかに笑ってみせた。
「大丈夫! 三等の玉は抜いておいた!」
「別に構いませんが」
 イド。きみはもうすこしじぶんをたいせつにしようね?
 
街野・イド(BNE003880)
ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)
 
担当VC:藤丸あお
担当ST:ももんが