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優しさに包まれて |
レコードから流れ出す旋律は薄暗い部屋を優しく包んでくれているようで。聞く、というよりも体全体で音楽を感じるに近い。綿谷 光介(BNE003658)のお気に入りのレコードをシエル・ハルモニア・若月(BNE000650)も目を細めて聞き入る。 既に半同棲といえる程光介のアパートで暮らしているけれども、クリスマスはやっぱり特別。二人だけで過ごす聖なる夜が近づく度に心が躍った。 料理上手な光介を手伝うようにシエルも一緒にパーティ料理を作って、ちょっと作り過ぎたとお互いくすりと笑って、ささやかなお祝い。 楽しい時間はあっという間で、今はクリスマスツリーのイルミネーションだけが照らす寝室でその余韻に浸っている。 ソファ代わりのベッドに並んで腰掛け手を繋いだ、それは特別な繋ぎ方。合わせた手のひらの温もりが心地よく絡めた指先がもつ熱に酔いしれて。 どちらともなく肩を寄せて、お互いを預ける。 その全てが心地よい。 「シエルさん」 唐突に名を呼ばれ、夢から醒めたようなまま薄い目でシエルは光介を見つめる。 (嬉しい) なんだか無性にというのが今ならよくわかる。光介ともっと言葉を交わしたいという衝動に駆られた。でも、だからこそ、シエルは一言だけ。 「光介様」 愛しい人の名を呼ぶ、特別な想いを込めて。 |
綿谷 光介(BNE003658) シエル・ハルモニア・若月(BNE000650) |
担当VC:壱 担当ST:久遠 |