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温室の中の屋敷の一室、気温こそ場違いなれど今はクリスマスなのだから。 だからメリッサが部屋にツリーを置かせたり、ケーキを用意したのは異界からの来訪者であるシーヴが、「クリスマス?」と首を傾げる様を見かけたこととは、きっと無関係なのだ。 いつもは纏めている髪を伸ばして、メリッサはシーヴの期待の瞳にいつもの冷静な表情を返す。眉根が寄っているあたり、ケーキ失敗したかも、なプレッシャーは実際のところ隠しきれていないのだけれど。 ショートケーキにはたくさんの苺をあしらったけれど、ところどころスポンジがずれてしまっている。 味は完璧にできたと思えるだけに、そのことがメリッサには少しだけ苦々しい。 「わー、メリッサおねーさんケーキ作れて凄いすごーいっ」 そんなことはしかし、シーヴにはまるで気にならなかったようだ。 メリッサは少しほっとしながら、テーブルの上のビンを手にした。 苺を使ったジュースだ。栓を開けるとぽん、と小気味よい音がした。 「乾杯しましょうか。私は未成年だからお酒でなくて悪いけれど」 「そんなの気にしないっ>< ふふふ、とってもいい匂いーっ」 驚嘆から喜びへと。シーヴの表情は、本当に。 (コロコロと、よく変わる子ね) 見ているメリッサの目元も、いつしか和みはじめていた。 ――Merry Christmas. |
メリッサ・グランツェ(BNE004834) シーヴ・ビルト(BNE004713) |
担当VC:壱 担当ST:ももんが |