冬景色の絵が、ポインセチアの彩りが、今をクリスマスだと教えてくれる。 食事を楽しむふたりは、慧架は赤のイブニングドレス、杏樹は修道服と正装で着飾っている。 プリミピアットのボロネーゼもセコンディピアッティも、素晴らしく美味しい。 料理に舌鼓を打ち、ノンアルコールのカクテルを味わって――楽しい時間はあっという間だ。 その華やかなディナーの終わりに、ドルチェが一皿運ばれてきた。 チョコレートのブッシュ・ド・ノエルは、ひとりで食べるには少し大きく見える。 談笑に気を取られていた杏樹は僅かに眉根を寄せた。 「しまったな……さっき、カトラリーを持って行かれてしまったようだ」 「あら」 慧架の前にはデザートフォークがあるのだが、杏樹の分が見当たらない。 「じゃあ……ちょっと無作法、しちゃいましょうか」 クスクスと笑って、取り分けたロールケーキを更に小さく、一口サイズに切り取って。 慧架はそれを軽くフォークで刺すと、手皿で杏樹に差し出した。 「はい、杏樹さん。あーん」 一瞬だけきょとりとした杏樹は、すぐに笑みを浮かべるとブッシュ・ド・ノエルをぱくりと口に頬張る。 「ここのケーキは美味いな。来年もまた来れるといいけど」 慧架は彼女の言葉にそうですねと笑顔を見せた。 ――Merry Christmas. |
鈴宮・慧架(BNE000666) 不動峰 杏樹(BNE000062) |
担当VC:綾瀬みゆき 担当ST:ももんが |