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部屋も目一杯飾り付けた。サンタルックで着飾って、ケーキはホールで用意した。 クリスマスはどこにも、誰をも分け隔てなく訪れる。 それが例え、病みかけの愛であったとしても。 「お兄ちゃん、今日はずーっと一緒だよっ」 虎美は虚空へと微笑みを向ける。 彼女には見えている。兄の姿が。愛しい、誰よりも愛しい人の姿が。 兄は常に、虎美の傍にいるのだ。 「えっ、どうして?」 脳内の恋人に何を言われたのか、虎美の表情が一瞬曇った。 その表情が、やがて喜びに輝き――頬を赤らめて、幸福の色を宿したものに変わる。 灯りのついていない暗い室内で、虎美の顔を見るものはいない。 ツリーを見に行った? 知らない。お兄ちゃんなら、この部屋に帰ってくるから。 プレゼントを手にして、虎美って呼んでくれるわ。 「わあっ! お兄ちゃん、これって……」 そしたら、私もプレゼントを返すの。 プレゼントは虎美、なんて事は言わない。 だってそれはもうとっくにお兄ちゃんのものだから。 宙を抱きしめて、虎美はうっとりと目を閉じる。 兄ならその頬に頬ずりを返してくれるから。ああ、お兄ちゃん大好き。 お兄ちゃん、お兄ちゃん。お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん。 ――Merry Christmas? |
結城・ハマリエル・虎美(BNE002216) |
担当VC:つとう 担当ST:ももんが |