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● 「どうして!!」 伏見・H・カシス(BNE001678)は走る。 「どうして!?」 カシスは只管、走る――ネオンに彩られた聖夜の街を。 「どうしてなのーーーーーーーーー!!?」 カシスは只管、走っていた。 言葉にするのなら、理不尽? いやいや、聖夜なんて無かったという事か。 瞳からは煌めく塩水が流れていく――思い返せば今日の大企業の面接。緊張で頭の中が真っ白になっては、練習してきた言葉の羅列が上手く口から出てくれなかった。まさか、自分の名前でさえ上手く言えなかっただなんて。 そんなちょっとした失敗のあとに、フィクサードが事件を起こしそうだからとアーク本部から連絡が来たとなれば。真っ白になっている頭が災いして、二の返事で「はい! 依頼行きます!」なんて言ってしまって、呼び出された場所の集合時間まで――ハッ、あと三十分!? 「いやぁぁぁあああ!!!」 周囲はクリスマスを其の儘描いた様な雰囲気。『リア充滅べ』という言葉を今なら悪意と私怨を込めて言える気がした。 混乱や焦り、嫉妬心や寂しさがくるくる廻る心の中。だがしかし、それでもカシスは走るしかなかった。 |
伏見・H・カシス(BNE001678) |
担当VC:村正宗 担当ST:夕影 |