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スモーキィグレイの空からは今にも雪が降り出しそうな気配がある。 クリスマスツリーはクリストローゼとビリジャンを纏い、街灯はホワイト・リリーの光で恋人たちを静かに祝福していた。 ふわりと悠月のレガッタ・ブルーのストールが風に揺れる。 同時に流されて行く艶やかな黒髪を彼女の細い指が軽く押さえた。 アルパイン・ブルーとサザン・クロスのチュニックを纏った彼女の横を歩むのは拓真だ。 黒曜石の瞳で隣の君に優しげな眼差しを向ける迪拓者。 髪を押さえる白い細指に自分の手を重ねれば、悠月の瞳に少しだけ驚きの色が見えた。 ―――見つめ合う瞳。 お互いの事を知り尽くしている二人なれど、間近で感じる吐息と体温には頬が染まる。 拓真は指に絡む黒髪を撫でながら悠月をそっと抱き寄せた。 「悠月……」 「拓真さん……」 名前を呼び合い言葉にせずとも通じ合う心で「愛してる」と囁く。 悠月のグリーシァン・オリーブの瞳が静かに閉じられて。回す腕に力がこもった。 高鳴る鼓動は打った回数だけ二人の愛情を深め合う。 今までも、これからも。 ずっと、変わらず。お互いの隣に居る限り。 ――――桜色の唇はまるで果実のように甘く、蕩けるようになめらかだった。 |
新城・拓真(BNE000644) 風宮 悠月(BNE001450) |
担当VC:たぢまよしかづ 担当ST:もみじ |