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『で?』

 クリスマス。恋人達の聖なる夜。

 だから、だろうか。いつもクールな『お姫様』――ユーヌ・プロメース(BNE001086)が、結城 竜一(BNE000210)にじゃれついてくるのは。
「……」
 ベッドに座した竜一の中にすっぽり、ユーヌの小さな体は収まっている。頭を彼の肩に預けたまま、自分より大きな掌をいじってみたり、フーと息を吐いて彼の前髪を揺らしてみたり、そのまま上目に見上げてみたり。
 デレである。
 竜一にしか見せない、やらない行為。
 そして今日はクリスマス。
 恋人達のクリスマス。
 そう、恋人達の――
「……」
 そうだ、だから、良いよね、今日という日は年に一度。据え膳食わねば何とやら。
 竜一はユーヌを――ベッドに押し倒す。ぎし、とスプリング。
「!?」
 竜一の予想に反して、彼女は逆らう事無くシーツに沈んだ。彼にとっては不意打ちだった。
 彼女はじっと、無表情のまま黒い瞳で恋人を見上げている。静寂。カチコンッと凍る空気と対照的に竜一の頬はどんどん真っ赤に染まっていく。
 微動だにしない二人、時間。
 ――果たして彼は、少女の薄紅に染まった頬に気付いただろうか。

(おや、クリスマスプレゼントは要らないのか?)

 見上げる少女のモノローグ。
 されど時計は無情に進んで――結局、何も無いまま終わったとさ。
 めでたしめでたし?


『了』
 
ユーヌ・プロメース(BNE001086)
結城 竜一(BNE000210)
 
担当VC:乙衣ゆと
担当ST:ガンマ