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『蒼き炎』葛木・猛(BNE002455)は、隣を歩く『蒼銀』リセリア・フォルン(BNE002511)を眩しげに眺めた。 玲瓏と言うに相応しい容姿と毅然とした物腰の彼女は、普段は痛々しいほどに大人びた空気をまとっている。 けれど、今日は少し違った。 華やかなクリスマスの飾りつけを施されたウインドウを次々とのぞき込む彼女の眼差しは明るく、唇は柔らかな微笑みをたたえている。 ゆるやかに解き流した長い髪に一片の雪が留まり、白銀の輝きを重ねた。 「猛さん、見て」 雑貨店の店先で立ち止まったリセリアが手にとったのは、スノードームだった。 白いものが舞い散るガラスの中で、男の子と女の子が雪だるまを作っている。 リセリアは空を見上げた。 「ここ以外にも、どこかの世界で雪が降っていたりするでしょうか」 「そうだな。そんな所もあると思うぜ」 そこにはきっと、二人のように歩く誰かもいるだろう。 猛はリセリアに笑いかけた。 「その髪、いいな。時々、そうしろよ」 「でも、剣を使うにはちょっと……」 ためらうのに、重ねて言う。 「だから。俺と出かける時だけでいいから、さ」 リセリアは何も言わなかったが、猛の手の中で彼女の指が、小さくそれに答えたような気がした。 世界は、不完全で脆い。 けれど今日だけは、全ての世界が平穏であればいい、と二人は思った。 |
葛木 猛(BNE002455) リセリア・フォルン(BNE002511) |
担当VC:しんりミツバ 担当ST:須藤 マサミ |