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六道紫杏>

「本当、ホントにアタクシ信じられませんわ!」
 六道の兇姫こと――六道紫杏は酷く憤っていた。
 研究室をウロウロと歩き回る彼女には全く落ち着きはなく、大凡全ての労働を一分足りとてした事のないような彼女は印象から受け取る『我侭さ』を知らしめるかのようにそこにある。
「信じられませんわ! 何ヶ月も周到に準備を重ねてきたアタクシに先んじて、あんなつまらない攻撃を加えるなんて!」
 口に発する事に或いは意味を見出しているのかも知れない。自分が不機嫌だという事をハッキリと回りに知らしめる事に意義を感じているのかも知れない。紫杏の口調は必然と荒れたものになっていた。特務機関アークの保有する『特異点』――つまる所、三ツ池公園の大穴は研究者ならば誰もが垂涎の宝物庫である。然るにアレを『強奪』するべく戦力を編成してきた彼女の計画は直前で入った横槍で幾らかの修正を余儀なくされている。この後強くなるアーク側の警戒を思えば彼女の業腹も当然といった所である。
「こうしてはいられませんわ! 『教授』に連絡して用意をしないと!」
 三ツ池公園に虫型のスパイロボットを放っていたのは奏功した。
 バロックナイツだか『楽団』だか知らないが六道紫杏にとって拠るべきは自己の研究は当然の事、『教授』であり『凪聖四郎』ばかりである。土足で日本を荒らす異邦者共等、彼女は歯牙にかけていない。『教授』はあくまで『教授』だからこそ全幅の信頼に値する。
「そうと決まったら急がないと。スタンリー! スタンリー! スタンリィ――!」
 ……と、三度呼んでから紫杏は彼が来る事は無い事を思い出した。
「――は、居ませんでしたわね。
 ……アロー、アロー、『教授』につないで下さいませんこと?
 そう、私、六道紫杏ですの。『教授』の可愛い教え子ですわ!」
 気を取り直して秘された海外拠点へ直通する特別な携帯電話を握り締めた紫杏は勢い良くそうまくし立てた。
 混沌組曲は一の毒蛇の存在のみに拠らず、複雑怪奇に絡み合う。
 これより始まる状況を未だ――『姫君』以外は知らないのだ。